半導体関連装置の利用価値を高めるために。試行錯誤し生み出す、新たなソリューション
日立ハイテクのナノテクノロジーソリューション事業統括本部は、アメリカ、台湾、韓国、日本のお客さまに対して半導体製造、検査・計測装置を開発・製造・販売しています。
それら半導体製造・検査装置の利用価値を高めるために、お客さまに向けてデジタルソリューションの創成・開発・顧客協創を行うのが、甲斐が所属するデジタルサービス本部 ソリューション開発部です。
「お客さまの課題をもとに仮説を立て、システムの要件に落とし込み、提案するというのが我々の主な仕事です。お客さまの課題を聞いてから実際に提案するまでに半年から1年ほどかかりますが、その間に上記の業務を行いつつ、システム化にあたっては社内の開発部門と協力して進めています。開発期間の短縮、生産性向上、歩留まり向上など、お客さまの課題はさまざまですが、日々そうした課題に即したソリューションを『協創』していくことに尽力しています」
生み出すソリューションのかたちは多種多様。開発・試作・量産工程における「加工する~見る・測る・分析する」ワークフローを自動化することで、従来2~3年かかる半導体の開発期間を短縮することが可能となります。
また、お客さまの量産課題である生産性向上に対し、装置状態から不具合の予兆診断・予防保全などのソリューション創成・開発を行うことも。お客さまの現場・経営課題からニーズは何かなど、さまざまな仮説を立てた上でソリューションを開発しています。
「現在、創成・開発しているソリューションは多数ありますが、その量・質ともに、これからさらに高めていく必要があります。当部署は、社内でも自らアイデア創成・戦略立案・開発をまとめることができる職場です。また、当社は半導体を扱う中で、とくに必要な『加工・計測・解析』をシームレスに提供しており、専門的な知見を多く蓄えているのが強み。そのため、それぞれを分業的に行う企業では得られないデータやノウハウがあります。それらが、お客さまへ提供するソリューション開発にも役立っています」
現在、チームは専業メンバーが5名、日本各地にいる兼業メンバーが約10名。甲斐は、部長として各メンバーへの案件の割り振り、業務のマネジメントのほか、ソリューション開発の企画・実行計画・戦略立案や予算執行などを幅広く担当しています。
「我々のチームメンバーのバックグラウンドでいうと、半導体装置メーカーなので、装置ドメインの知識を持ったメンバーが多いです。一方で、半導体メーカーやソフトウェアベンダー出身の人もいて、年代も20代から50代までと幅広く多種多様なメンバーが集まっています。
さまざまな視点から物事を捉えられるため、出てくるアイデアも豊富。お客さまの課題を解決する上でも、新たな利用価値を届ける上でも、心強い仲間が集うチームだと自負しています」
モノからコトへ。デジタル化実現の役目を背負い、現在のデジタルサービス本部へ異動
甲斐が当社に入社したのは1996年のこと。半導体プロセス製造装置のシステム設計や開発、評価業務に20年ほど従事した後、2018年に経営戦略本部に異動しました。
「当時の私にとって、経営戦略の企画はまったく新しい仕事です。異動した当初は、どんな仕事をするのか分からず緊張していました。しかし、いざスタートしてみると、全社の経営戦略の立案やビジョン・ミッション、新規の事業計画など、今まで携わったことがない業務ができ、おもしろさを感じました。
当時携わっていたのが、日立の『LUMADA』という事業計画。『illuminate+data』を組み合わせて作った造語で、データに光を当てて価値を生み出そうという意味を込めて、今後の向かうべき道のビジョンを練りました。簡単に言うと、モノからコトへ、データを活用して新しい利用価値提供をしていこうという計画です。その流れでデジタル分野に力を入れていくことになり、計画に携わった私が指揮を執って実行に移すために2020年に現在の部署に異動してきました」
近年はさまざまな課題に対し、解決手法としてAIやIoT、ビッグデータ解析などの技術が用いられています。そうしたデジタル化の機運は半導体業界にも波及。装置から取得するデータを今まで以上に深く理解し、活用することがグローバルレベルでも求められています。
「コロナ禍を経て、IT技術によって装置の状態を可視化・分析したいというニーズが格段に高まりました。今では、ITソリューションは多くの企業で重視されるようになり、業務の高速化、省人化をスムーズに実現するために、我々としても注力すべき領域となっています」
デジタル化の中では、IT、AI、DXの知識が欠かせません。しかし、以前までは半導体装置の設計に軸足を置いてきたため、新たなナレッジを得ることは大変なことだったと振り返ります。
「半導体装置のデジタルサービスは新しい取り組み、かつ我々の部門自体も創成期ですので当初からナレッジがありませんでした。しかし、学ぶ上では日立グループの中に各種の研修機関がありますから、それらを活用したり、社外や業界団体のセミナーに参加したり、さまざまな方法を取り入れています。今も勉強する日々です」
自らのアイデアを実現可能なシステムに落とし込み、お客さまに提案できるのが醍醐味
IT知識をもとに、課題を解決する。こうした仕事をする上では、課題を見つける力とソリューションアーキテクトの力、お客さまへの提案力が欠かせないと甲斐は言います。
「課題を見つける力がなければ、そもそもお客さまに新たな利用価値を届けることができません。それに加えて、見つけた課題を課題のままで終わらせずに解決する方法まで考え、システムの仕様に落とし込んで初めて実現の可能性が見えます。そして、お客さまの課題を解決できるソリューションを実現できる見込みが立っても、それが伝わるような提案ができなければお客さまの意見をもらうこともできず、『協創』できなくなってしまいます。見つける、形にする、伝える。これら3つがそろって初めて、お客さまとともに作り上げるスタートラインに立てると言えますし、そこに我々の存在意義があります」
ソリューション開発は、1部門だけで完結するものではありません。社内の連携も重要な取り組みのひとつ。いろいろな部署の技術を集結させるために、甲斐たちは社内ワーキンググループを立ち上げ、週に1回の頻度で新しいアイデアについて議論しています。
「ソリューション開発は、東京本社だけでなく茨城や山口の工場、韓国、台湾、アメリカなどの現地法人と協働で進めており、オンラインで国内外問わず、オープンなかたちで意見を交わしています」
さまざまな能力や関係部署の支えがあってできる、ソリューション開発の仕事。甲斐は、この仕事のどこに醍醐味があると感じているのでしょうか。
「いいアイデアがあれば、役職にかかわらず内部でレビューし反映される環境です。自分で考えたことを実装し、お客さまに提案するところまでできることこそ、この仕事の醍醐味ではないでしょうか。そして、提案の結果お客さまから『一緒にやりましょう』と言っていただける瞬間はやはりうれしいですね。提案が認めてもらえたことにも、やりがいを感じます。
また、当社は装置をメインで販売する会社であり、集まるデータも豊富です。それはつまり、装置に関するふんだんなナレッジを踏まえて発想できるということ。根拠を持った実現性の高いアイデアを生み出せる環境なのも、仕事のおもしろさを支えていると思います」
『ハイテクプロセスをシンプルに』。ソリューションによって、お客さまに貢献し続ける
日進月歩のデジタル領域。ソリューション開発に終わりはありません。
「当社のビジョンは、『ハイテクプロセスをシンプルに』。複雑な手順やワークフロー、技術をいかにシンプルにしていくのかを大事にしています。我々一人ひとりが社会課題やお客さまの課題に正面から向き合うことで、これからもお客さまに貢献していきたいです。
私個人としては、どうしても既存の業務にとらわれがちな状況があると感じています。そんな中で、いかに新しいことに取り組んでいけるかが課題。半導体業界は、まだまだ属人的で手動で行われている領域が多くあります。お客さま視点に立ち、常に何を提示したらいいのかを考えられるようになることこそ、ビジョンの実現に近づく一番の近道だと思っています」
『ハイテクプロセスをシンプルに』──ともにビジョンを追える仲間との出会いを、甲斐は心待ちにしています。
「半導体製造プロセスの知見があったり、お客さまのために貢献したいという想いを持っていたりする方であれば、楽しんでいただける環境だと思っています。私個人の話にはなりますが、デジタル領域に来る以前は、より良い装置を作るべくお客さまと常にコミュニケーションをとって課題を聞き、それを解決するために装置に新しい機能を作り出していました。
今は、ソリューションで課題を解決していますが、当時の知見は生きていますし、手段は変わろうともお客さまにとっての利用価値をいかに上げるかに尽力することは今も同じです。
また、デジタル化という新しい領域に飛び込んで自分のアイデアを試して実現していきたいと考える方も、活躍できる領域だと思います」
リモートワーク、出社とハイブリッドに働けるため、ワークライフバランスも整っていると語る甲斐。まだ見ぬソリューションを生み出しながら、お客さまの未来を支えていきます。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです

