臆することなく、まずはチャレンジを。前例のない課題解決に果敢に挑む
生産技術部のミッションは、スマートファクトリー化に向けたデジタル化の加速、生産コア技術、設備の開発、そして那珂地区の総合整備の推進によるものづくりを改革すること。現在、その中で家田は設備開発に携わっています。
「工場では人手不足が深刻な問題となってきていて、少子化が進み労働生産人口がますます減っていくことが予想される中、人の手をかけることなくスムーズに作業を進めるために、組み立ての自動化が急務となっています。
そのため現在、血液検査を行うための装置である医用分析装置の担当として、組み立て作業の自動化に取り組んでいます。自動化を実現できる設備の開発を通して、医用製品の生産合理化に貢献することがミッションです」
医用分析装置の組み立て作業の自動化は、これまでほとんど前例がなく、手探りで答えを模索してきました。
「私がいま関わっている設備では、さまざまなユニットごとに複数のハンドを取り替えながら搬送し、組み立てていくことが求められます。社内はもとより社外にもあまり事例がないため、試行錯誤を繰り返してきました。
ちょっとした接触などが原因で自動組み立てができなくなるため、設備として構築するためには、ロボットを導入しやすいよう工程を工夫する『ロボットフレンドリー』な環境設計が欠かせません。たとえばロボットが搬送しやすい形状にしたり、固定するネジの位置をなるべく搬送中の製品から離してもらったり。少しの変更で組み立てできないものができるようになるので、設計担当者にお願いして、性能に影響しないレベルの調整を行っています」
2021年には技師に昇格し、チームの主任としてプロジェクトをまとめたり、後輩社員を育成したりする立場となった家田。生産技術を担う者として、常に大切にしていることがあります。
「生産技術部には他部署からさまざまな困り事が寄せられます。中には前例がないことに関する相談も多く、これまで10数年間働いてきて、ひとつとして同じプロジェクトがなかったと言えるほど、さまざまなことに携わってきました。
『これは自分の専門外だから』と言って選り好みしていたら仕事になりません。成功しなかったとしても成長につながると信じ、どんな案件もまずは引き受けてチャレンジをすることを心がけてきました」
ハードディスク装置、レール検査装置の合理化から生産拠点立上げまで多様な業務を経験
学生時代は工学部で機械技術の基礎を学んだ家田が生産技術の存在を知ったのは日立ハイテクの会社説明会でのこと。自分の適性に合うと感じたことが入社の決め手になりました。
「製品をつくるためにどうすればいいかを考えて環境を整えたり、設備を導入したりする部署だと知って、仕事の領域が幅広く、常に新しいことに挑戦できそうな印象を持ちました。ひとつの製品に集中し、長い時間をかけて設計・実験していく仕事よりも、多様なプロジェクトに挑んでいく生産技術の仕事の方が自分の性に合うと感じたのを覚えています」
変化に富む環境を求めて2007年に入社した家田。希望していた通り、これまで多種多様なプロジェクトに携わってきました。
「最初に担当したのがハードディスク装置の合理化業務です。レーザーを扱う装置だったので、光軸を合わせるための器具を設計したり、その周辺部位の開発をしたり。作業工程を分析してタクトを短縮する方法を検討したことも。作業者が入れ替わることが多かったので、作業手順書の作成を担当したこともありました」
つぎに家田が担当したのが、鉄道のレールの異常を調べる慣性軌道(レール)検査装置の合理化でした。
「ハードディスク装置の業務を行っていたクリーンルームから一転、今度は出張して鉄道をつくる現場での作業に携わりました。鉄道のレールは異常があったりすると早期修復の必要性があるため、その検査は鉄道保守で欠かせない業務となります。重要な装置ということで人の命を預かる責任感が芽生え、神経質に業務に取り組んでいた記憶があります。
ただ前回と同じレーザーを使用する業務だったため、それまでに培った経験を生かしながら新しいことにチャレンジする良い機会になりました」
そして2015年からは、現在も担当する医用製品の生産合理化業務に携わるように。ここでもまたゼロから業務を覚えていきました。
「検査装置と名称は同じでも、業界も製品も違うため勉強の毎日。拠点が変わって知り合いがひとりもいなかったので、初対面の方に質問をしては業務理解を深めていく日々でした。これまで一番苦労したのがこの時だと思います」
このころ、家田は設備の開発ではなく、導入すべき装置や製造ラインを考える立場となり、生産拠点を整える役割を担いました。
その後、2017~2018年に産休・育休を取得した家田。生産技術部は時代のニーズに合わせてすばやく姿を変えながら成長してきた部署ゆえ、2019年の復職時に景色が一変していたことに驚いたと言います。
「以前、自動化関連の案件はごくわずかでしたが、1年ほど現場を離れている間にロボットハンドやマテリアルハンドリングを使用した設備がどんどんつくり始められていました。私もさっそく出荷試験自動化設備の開発担当にアサインされ、AGV(無人搬送車)に搭載されたロボットハンドが使う器具を設計したり、ロボットの動くルートを作成したりする業務に携わりました」
思い描いたものがかたちになり、現場で活用されることがやりがいに
これまでのキャリアの中で家田にとってとくに印象的だった出来事があります。現在も勤務する那珂地区生産本部に異動後にある設備の更新作業を担当した時のことでした。
「重要度の高い設備の老朽化が進んでいました。古い設備であることから、設備に関するドキュメントもなければ、設備に詳しい方もすでに退職済み。かろうじて設備を知る担当者を見つけてヒアリングを行うところからのスタートでした」
しかも、医用製品であるというだけでなく、作業の中断が許されないコア設備。プレッシャーは相当なものだったと振り返ります。
「厳格な規格があるため、法令についてしっかり調べながら対応することを心がけました。また、前の機械とただ置き換えるだけでなく、性能を上げたり、業務を効率化したりすることも大切です。『やりづらい』と声が挙がっていた箇所の改善にも力を入れました。
1~2年ほどかけて取り組み、更新作業を無事に完了。このプロジェクトを通じて、作業の見通しを立てた上で精緻な開発計画を立てることの重要性を学びました」
そんな家田が設備開発をしていてもっともおもしろいと感じるのが、自分の意図した通りにものがかたちになるとき。さらにこう続けます。
「私はCADの作業がとても好きで、PC上でつくったモデルが自分で選んだ材質を使って組み立てられ、思い通りに動いたときに大きな手ごたえを感じます。とはいえ、最初から期待したように動くことはめったにないため、何度も挑戦を繰り返さなくてはなりません。トライ&エラーのサイクルを早く回していかないと納期に間に合わないため、常に別案を用意してテストに臨んでいます。
苦労の末にできあがったものが誰かの役に立つことも設備開発のやりがいです。現場のメンバーから『使っているよ』『あの設備のおかげで生産が順調だよ』と声をかけられると安心しますし、喜びを感じます」
技術は進化するもの。以前できなかったことでも、決してあきらめない
出産後もフルタイム勤務を続ける家田。余裕を持って仕事に向き合えるよう、会社の制度を活用しながら仕事と家庭を無理なく両立することを心がけてきました。
「コロナ禍以降は在宅勤務が推奨されたため、時短勤務を取得しなくても子どもの送り迎えがしやすくなりました。通勤時間がなくなったことで家事や育児に時間を充てられる時間が増え、とても働きやすくなったと感じています」
一方、これまでプレイヤーとして全力投球してきた家田ですが、今後は後輩の育成にも意欲を示します。
「自分が経験したことや苦労して学んだことを、これからは後輩に惜しみなく伝えていきたいと思っています。ヒントを与えることで優秀な後輩たちがどんどん成長して先に進んでくれれば、いずれは彼ら、彼女らのほうから新しいことを教えてもらえると考えているからです。そうやって一緒に成長していきたいですね」
そして前例のない課題解決に取り組む生産技術部の一員として、これからも臆せず新しいことに挑んでいくつもりです。
「以前はできなかったことでも、時代が進み技術が進化することで実現可能になることが少なくありません。一度やってみてうまくいかなかったからとあきらめるのでなく、常にアンテナを高く張って、新しい方法がないか調べるようにしています。
また、机上で悩まずに行動することも意識していることのひとつ。フットワークを軽くして『初動を早く』をいつも心がけています」
変化と挑戦を恐れないマインドをいつも携えて。家田はこれからも前だけを見ながら挑戦を続けます。
※ 記載内容は2023年9月時点のものです
