館内の案内役を務め、生命の大切さやふれあいのすばらしさを体感するお手伝いを
「鴨川シーワールド」のオペレーション部門に所属する野村。サービス課で営業職を担当しています。
「鴨川シーワールドは、『海の世界との出会い』をコンセプトに1970年に開館した水族館です。国内で初めてシャチを飼育し、パフォーマンスを行った施設として知られ、水生生物との出会いを通して、生命の大切さやふれあいのすばらしさを体感し、知識や自然環境との関わりを楽しく学んでいただくことを目的としています。
中でも私たちサービス課の役割は、来館されたお客様をサポートすることです。パフォーマンスや体験コーナーの誘導、危険な行為の監視・防止など、鴨川シーワールドを安全に楽しんでいただくための案内役を務めています」
スタンプラリーのためのインク補充やチケットの準備など、開館作業から始まる営業スタッフの一日。施設内を転々としながら活動する中で、野村にはとくに好きな時間があると言います。
「お客様が動物たちとのふれあいを楽しめる『ディスカバリーガイダンス』の中に、ベルーガのおでこに触ることができる『ベルーガにタッチ』という体験プログラムがあります。
4才以上から参加できるため、海の生きものと初めて接する子どもたちが少なくありません。子どもたちが生まれて最初にベルーガと出会う瞬間の感動は、何度その場に居合わせても色褪せることがありません。
最初は怖がる子どもたちが、パパやママたちと一緒にベルーガとの時間を過ごすうちに、『ベルーガさん大好き』と言いながら会場を後にする様子を見ると、この仕事をしていて良かったと感じます」
入社以来、営業職を担当してきた野村。仕事をする上で守り続けていることがあります。
「接客業務を担う上でもっとも大事なのは、笑顔だと考えています。館内をもしスタッフが下を向いて歩いていたとしたら、道案内が必要なお客様がいたとしても、こちらから気づくこともできず、お客様からも話しかけづらいと思われるでしょう。
パフォーマンス会場で前説を務めるときはもちろん、会場へ移動する途中も、常におもてなしの心を忘れず、笑顔を絶やさないよう心がけています」
地元の魅力を広く伝えたいと鴨川シーワールドへ。接客の現場で育んだサービスへの情熱
野村が接客業に興味を持ったのは、高校時代のことでした。入社までの経緯をこう振り返ります。
「一緒に暮らしていた祖母が花を育てるのを見て園芸に興味を持ち、総合学科のある高校に進学しました。授業の一環で栽培した生花を販売する機会があり、そのときに近所の方に喜んでもらえたことがとてもうれしくて。将来はサービス業に就きたいと考えるようになりました。
中でも鴨川シーワールドを選んだのは、地元鴨川の魅力を広く伝えたいと思ったからです。縁の下の力持ちになりたい気持ちもあったので、生きものの飼育を担当するトレーナーではなく、接客業を希望して入社しました」
野村が入社した2020年はコロナ禍の真っ只中。施設が休館に追い込まれる中、ふたたび再開される日を待ち望みながら、研修に励みました。
「駐車場での誘導やパフォーマンス開始前に行う注意事項のアナウンスや、体験プログラムでの接客対応など、お客様のいない施設内で模擬練習を重ねました。本番の様子をイメージできずやりづらさがあった反面、知識や技術を習得した上でお客様をお迎えできたことは、人前で話すことに慣れていなかった自分にとって好都合だったと思っています」
同年7月、万全の準備で再オープンの日を迎えた野村でしたが、現場で待っていたのは想定外のことばかり。多くの苦労に直面したと言います。
「パフォーマンスの流れは頭に入っていましたが、『オーシャンスタジアム』を埋め尽くした、シャチパフォーマンスを心待ちにする1,000名を超えるお客様を前に萎縮してしまって。緊張のあまり大きな声が出せず、悔いの残るデビューとなりました。
また、館内ではお客様から質問されることが少なくありません。先輩方から教えてもらったことはすべて覚えたつもりでしたが、それ以外のことは何もわからない状態。野生のシャチの生態やウミガメの種類などについてお客様から尋ねられても答えることができず、歯がゆい思いをする日々が長く続きました」
現場で揉まれながら施設の「顔」としての自覚を徐々に育んだ野村。先輩社員、そして来館者に支えられながら成長してきました。
「お客様から質問を受けるたびに、それぞれの生きものに詳しい飼育員の方に教えていただいたり、自分で調べたりしながら新しい知識を蓄えてきました。
また、パフォーマンスの最中に、私が新人であることを知る常連のお客様から『頑張れ!』と励まされたことも。当初は案内アナウンスの業務をこなすだけで精一杯でしたが、水よけのポンチョを必要としているお客様を見つけて担当係員に声をかけるなど、少しずつ視野が広がり、お客様に寄り添った接客ができるようになったと思います」
鴨川シーワールドだから感じることができる、接客の醍醐味と来場者との絆
2024年で入社5年目を迎える野村。キャリアの中でとくに印象に残っている出来事があります。
「鴨川シーワールドでは、人気のシャチをはじめ、動物たちとのコミュニケーションが楽しめる特別体験プログラム『満喫体験』等を開催しています。お客様からの要望を受けて2007年から実施しているもので、給餌体験をはじめ、シャチやベルーガとふれあえることが最大の特徴です。
さらに、普段は見ることのできない水族館の裏側を覗くことができたり、シャチが泳ぐ姿を見ながら食事ができるレストラン『オーシャン』でセミコース料理が楽しめたりと、まさに鴨川シーワールドを『満喫』することができるプログラムとして人気を集めています。
この満喫体験を初めて担当した際、あるご年配のお客様にたいへん喜んでいただくことができました。その後も来館されるたびに声をかけていただくようになり、とても懇意にしていただいています」
そんな野村にとってのやりがいは、ここでしかできない経験ができていること。さらに次のように続けます。
「現在、私が担当している業務は、以前は想像もしていなかったことばかりです。たとえば、パフォーマンスの開始前に満席のお客様の前で話す機会は、鴨川シーワールドでなければ得られなかったでしょう。
また、入社時に抱いていた『地元鴨川の魅力を伝えたい』という願いも、少しずつかたちになりつつあります。鴨川シーワールドは、日本で唯一シャチのパフォーマンスが見られる施設として知られていますが、国内での飼育例が少ないベルーガや、鴨川市東条海岸でのアカウミガメの保護活動なども大きな特徴です。
ほかにも、『サマースクール』をはじめとする教育プログラムや希少な水生生物が生息する環境の保全活動など、生きものを通じて、ふれあいのすばらしさ、生命の尊さを伝えられていることをとても誇りに思っています」
心を込めた接客で、鴨川シーワールドでしかできない体験をひとりでも多くの方に
キャリアを通して接客の現場一筋で活躍してきた野村。笑顔の連鎖をつなげていくために、鴨川シーワールドでこれから共に働く仲間に向けて、こんなメッセージを送ります。
「人と話すことが好きな方が活躍できる職場だと思います。『この仕事が好きだから、ここで働きたい』と仕事に対して前向きで、情熱を持った方々と一緒に働けたらうれしいです。えくぼがチャームポイントの私みたいに(笑)、笑顔が素敵な方と出会えるのを楽しみにしています」
そう話す野村のいまの目標は、来館者から愛される存在になること。接客担当として、めざす姿があります。
「お客様へ鴨川の魅力をお伝えできることに大きな喜びを感じています。『次に私と会う機会があれば迷わずしゃべりかけてください!』とたびたびお伝えしていますが、もっと声をかけてもらえるようになりたいですね。生きものたちのことや、おすすめのお土産でもなんでも構いません。鴨川シーワールドのキャストメンバーの中で、一番話しかけやすいスタッフでありたいと願っています。
お客様からの質問に完璧にお答えできないこともありますが、先輩方の助けを借りながら、お客様とより良い関係を築き、かけがえのない体験づくりのお手伝いができたらと考えています。
また、鴨川シーワールドでは期間限定で、夜の水族館ガイドツアー『ナイトアドベンチャー』を開催しています。閉館後の館内を約1時間かけて巡るもので、シャチやイルカなど動物たちの寝姿が観察できるとあって人気を博してきました。
通常は飼育員がこのガイドを務めますが、一部のナイトプログラムはサービス課のメンバーが案内を担当することもあります。いずれは自分も挑戦したいですね」
自分流の接客術で、ここでしか味わえない特別な体験を提供するために。鴨川シーワールドでの野村の挑戦は、まだ始まったばかりです。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです

