データ統合基盤や生成AIを活用し、自動車ユーザーの声から見える兆候を解析
片岡が所属するグローバルコンサルティングビジネスグループは、富士通のコンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」を推進しながら、お客様の課題をビジネスとテクノロジーの両軸で解決し、社会に貢献することがミッション。2025年4月1日に新設され、日本とグローバルに所属するコンサルタントと組織をマネジメントするメンバーで構成されています。
その中で片岡が担当するのは、モビリティ業界を中心としたデータ利活用やサービス開発のコンサルティングです。
「たとえば、自動車メーカーのカスタマーセンターには、電話やメールで顧客から日々多くの声が寄せられます。これらの意見は宝の山なのですが、いわゆる自由記述で寄せられる内容をすべて把握するには、顧客とカスタマーセンターとの一連のやりとりを人の目で確認しなければいけませんでした。
そこで当社が取り組んでいるのが、自由記述テキスト情報の解析。データ統合基盤や生成AIを活用して情報を分類し、どのような兆候があるかを早期に発見できる仕組みをめざしています」
片岡はPM(プロジェクトマネージャー)として、データサイエンティストやSEと協働しながら10名弱のメンバーと共に地道な改善を重ねながら、AIの有効性の検証を行っています。
プロジェクトを取りまとめる上で片岡が心がけているのは、細部まで丁寧に進めていくことと、お客様の期待を超えることだと話します。
「多くの人が関わるプロジェクトでは、さまざまなことが曖昧になったり、結論が適切に引き継がれなかったりすることが往々にしてあります。だからこそ、最初の段階でしっかりとした設計や役割分担、タスク計画を立て、チームのルールを決めておくこと。そして、状況に応じて見直しをしながら、それぞれが自律的にパフォーマンスを発揮していくやり方を模索していくことが大切です。
また、今はまだ富士通にコンサルティングのイメージを持っていないお客様もたくさんいます。そのため、お客様の期待以上のものを提供することを繰り返しながら、信頼関係を築いていく必要があると考えています」
薬や医療の枠を超えて社会課題を解決したい。コンサルタントとしてキャリアを歩む
学生時代は薬学や生命科学を専攻し、漢方薬の研究をしていた片岡。意外にも、当時の経験が現在のキャリアの原点だと言います。
「私が研究していたのは、麻黄湯(まおうとう)という漢方薬。麻黄湯はインフルエンザに対する治療効果があると言われていますが、当時はエビデンスを示すためのデータが十分ではありませんでした。私は第一人者として研究することを自ら提案し、基礎データがない状態でしたが、インフルエンザの治療薬という社会へのインパクトの大きさから、文部科学省の科学研究費を確保することができたのです。
この経験から、社会課題を解決したいという強い信念をもって周囲に働きかけることで賛同してくれる人がいるのだと知りました。そこで、薬や医療の枠を超えて社会課題の解決に取り組んでみたい。そんな想いが芽生えました」
その想いをかなえるため、2009年に富士通総研(現在は富士通に統合)に入社。富士通グループを選んだ理由は、テクノロジーという強みがあることでした。
「当時、ICTやクラウドというキーワードが注目されていました。これから社会課題を解決するにあたってテクノロジーが不可欠になるならば、そのスキルも身につけたいと思ったのです。お客様に対しても、テクノロジーという具体的な解決手段と一緒に提案できることに魅力を感じました」
入社後は、製造業やヘルスケア領域を中心に、事業企画から業務支援まで幅広く担当しました。
「お客様が新規事業に参入する際の実現手段について、富士通の技術戦略部門と連携し、ビジネス面と技術面の両方からサポートしていました。時にはお客様から厳しい意見をいただくこともありましたが、『頼んでよかった』と評価していただけた際には、大きな手応えと感動がありました」
2022年には、富士通グループのDXを実現する会社として設立されたRidgelinez株式会社に出向。建設業界のDX推進に携わることに。
「総合建設会社のDX戦略の立案から、DXを組織に浸透させるためのコンセプト策定や、アウター・インナーブランディングの施策立案などを行いました」
正解のない課題への挑戦には、チームとしてのビジョンを描くことが重要
テクノロジーを使って社会課題を解決したい──その想いから富士通グループでコンサルタントのキャリアを歩んできた片岡。学生時代に研究していた漢方とICTを組み合わせたプロジェクトがとくに印象に残っていると言います。
「日本の科学技術は、要素技術にとどまってしまうことが多いのですが、ICTを使って社会実装することをめざすプロジェクトでした。もともと挑戦したかった、テクノロジーを活用した社会課題解決に取り組めることがおもしろかったですね」
片岡がこのプロジェクトで学んだことは、コンセプトの大切さと、諦めずに発信し続けること。
「当初は基礎研究が中心でしたが、それでは社会実装につながりません。そこで、研究者やデザイナー、営業担当者などを集めてワークショップを開催。ビジョンやタグライン、ロゴマークなどを策定し、自分たちがめざす社会を明確にしました。それをきっかけに、このプロジェクトが一気に加速したのです。
それまでは、富士通が電子カルテ以外のヘルスケア領域に取り組んでいることがあまり認知されていませんでしたし、私たちの取り組みはかなり尖ったものでした。でも、水面下でも発信し続けていけば、何かしらの芽は出るのだと感じました」
そして、この姿勢は現在のプロジェクトにも活きていると続けます。
「実際の業務に当てはめたユースケースを作って提案したり、その反応を受けてデモ化したり、少しずつ進化させてきたことでお客様に納得いただけるレベルに近づいてきました。
同時に、社内にも発信し続けたことで、営業担当者が興味を持って手伝ってくれたり、官公庁の担当者を紹介してくれたりといった動きが起こり、他業界への展開も含めや次のステップが見えてきたところです。
漢方のプロジェクトも現在のプロジェクトも、まだ正解のない課題への挑戦です。その中で前に進むためには、チームとして共通のビジョンを描くことが重要だと学びました。
専門分野の異なるメンバーが集まる以上、相反する意見が生まれます。それをチームとして融合させ、進む方向を導き出す。そして、メンバーのコミットメントを引き出しながら、実際の行動につなげていくことが私の役割なのだと感じています」
組織図だけでは見えてこない出会いが可能性を広げる。人材の豊かさが富士通の魅力
グローバルコンサルティングビジネスグループはまだ設立から日が浅い部署ということもあり、従来のコンサルティングファームとは異なる新しい形を模索中。片岡自身も、これまでとは異なる環境に苦労しながらも、自分たちなりのスタイルをめざしています。
「各部門で細かくミッションが分かれていたり、関係する部署も多かったり、大きな組織ならではの苦労もあります。一方で、新しい部署だからこそ自由度を持って取り組める環境があるのです。
コンサルファームと同様の感覚で私たちの部署に入ると、もしかしたら戸惑うかもしれません。けれど、過去の考え方や環境にとらわれず、柔軟に新しい未来を考えられる人であれば、自分たちで組織を作っていく楽しさを感じられるはずです」
また、「発信し続けていけば芽は出る」を実感できる環境も魅力だと言います。
「自分たちの想いや実現したいことなどを発信し続けることで、おもしろい人材と出会えることが富士通の強みです。たとえば、現在のプロジェクトで営業担当者や官公庁とつながることができたのも、たくさんの部署を回りながら共感を広げてきた成果です。
社会課題を解決するには、いろいろな要素を組み合わせる必要があります。富士通には多様な部門があり、さまざまな人材がいて、組織図だけでは見えてこない出会いもある。自分の意思を持って動けば可能性が広がっていくことが魅力です」
コンサルタントという仕事のやりがいを、「常に新しい学びがあること」だと話す片岡。これまでの自身の経験を振り返り、チームのメンバーにも仕事を楽しんでもらえるようなサポートをしていきたいと話します。
「社会の流動性が高まる中で、一人ひとりの人生においてポートフォリオとなるような仕事を一緒に作っていきたいと考えています。タスクになってしまうと、仕事がおもしろくなくなってしまいますから、それぞれの成長につながり、『これは自分が手がけたものだ』と誇れる仕事を共にめざしていきたいですね」
※ 記載内容は2025年8月時点のものです
