ここなら、新しい挑戦ができる。インターンシップを経験し、経理の世界へ
現在、財務経理本部 Business FP&A統括部 Japan FP&A Divisionにて、マネージャーとして活躍する加勢川。学生時代は経営学を専攻し、「数字に強い人間になりたい」との想いから、金融機関や事業会社の経理に照準をあわせ、就職活動を行っていたと言います。
「どこでも働けるように『手に職をつけたい』という思いは強くありました。授業で簿記を勉強したこともありますが、『数字を扱える、わかる』というのは、身を立てていく上で武器になるかなと思い、就職先もその視点で探していました」
そんな中、あるインターンシップの募集を目にします。
「経理という仕事に興味はあるけど、あまり具体的なイメージが沸いていないこともあって、ちょっと覗いてみようかなと。ただ当時、経理のインターンをやっている会社は珍しくて、やっと見つけた富士通のインターンにご縁があって2週間参加しました」
先輩社員から、富士通とはどんな会社か、経理にはどんな部署があり、それぞれ何を担当しているかについて説明を受けたり、その年の新入社員と一緒に工場見学に行ったりと、富士通に入社したかのような時間を過ごせて本当に有難かったと振り返ります。そんな中、ある話が加勢川の心を強く惹き付けます。
「皆さん、経理の仕事と聞いてイメージするのは、帳簿とか決算を締めることではないでしょうか。どちらかというと、ルーティンが滞りなく行われることが重要で、変化があまりない世界。私もインターンに参加するまではそう思っていました。でも、話を聞いてみると、私の想像とは全く違う世界だったんです。
当時、富士通が適用している会計基準は日本基準でしたが、グローバルに事業を展開していく上で、国内外で一貫した経営管理を行っていく必要があり、海外拠点を含むグループ会社の会計基準を統一する検討が進んでいました。それが、国際会計基準(以下、IFRS)だったんです」
経理という仕事に対する理解が進むとともに、心躍る話であったと語る加勢川。
「会計以外でもそうですが、何かを変えるというのはとてもチャレンジングなこと。同時に、これまでを振り返って見直すチャンスでもあります。そういった新しいことに挑戦できるんだ、この会社で働いてみたいとその時に思ったんです」
2009年、加勢川は富士通へ入社し、財務経理本部 IFRS推進室に配属されます。
「IFRS推進室は、会計基準の変更準備を行う部署。連結決算において、現行の日本基準からIFRSに移行した際、どのような影響が出るのかを検証し、どのように決算実務を行うのか検討を行っていましたが、入社当初は他社事例も少なく、マニュアルのない先進的な取り組みでした。
配属されてまだ間もないころは、基準ばかりを意識して机上の空論になりがちでしたが、グループ会社や関係部署にヒアリングしていく中で会社のバックグラウンドの知識がつき富士通としてどうあるべきなのかといった会社の運用に落とし込む意識に変わりました。
富士通では、よく『三現主義』という言葉を使いますが、きちんと現場を見ないと独りよがりの単なる数字遊びに終わってしまうことを、このとき学びました。そして、実際にIFRS移行に関われたことは、これまでの会社人生の中でも忘れられない経験ですね」
入社12年目に訪れた転機。「ビジネスを知らない経理」からの脱却
IFRS適用という大きなプロジェクトを経験し、会計のプロフェッショナルとして着実に成長を遂げていった加勢川。その後、富士通グループの連結決算・予算・予測を取り纏め、決算の外部公表も担当する同じ本部内のグループ経営管理部へ異動し、グループ会社との窓口としての役割や、役員への報告資料作成、公表対応など、幅広い業務に携わりながら経験を積んでいきました。
「昨今、企業の会計処理について問題となることがありますが、連結決算は最後の砦。ここで気づかなければ、それがそのまま世の中に出てしまい、投資家に誤った情報を提供することになりますし、企業としても信頼を損なう可能性があります。グループ経営管理部は外部に一番近い経理という事もあり、日々緊張感を持ちながら仕事をしていました。
また、グループ会社の窓口としての役割もあるため、会計処理について問合せが来ることもあるのですが、そこでも最後の砦なのだという意識を持つように心がけていました。私たちが『わからない』『こちらの担当範囲ではありません』と言ってしまうと、そこで相手は行き詰ることになるからです。
自己成長につながるいい経験だと思って、自分で調べ答えられることには積極的に対応し、もし専門外なことであっても、社内でその分野の専門家を見つけてきて相談するなど、解決するまでサポートするという意識を持ってやっていました」
転機が訪れたのは、2020年。入社から10年以上、本社経理一筋でキャリアを積んできた加勢川は、上司からのある言葉に、はっとしたと言います。
「当時の上司から『今後のキャリアを考えたときに、ビジネスサイドの経験がないまま、経理を続けるのは大変じゃないか』と言われたんですね。
本社経理を続けてきて、ある程度経理という仕事については知識もついたのですが、ビジネスに張り付いて数字を見る(原価計算含む)ビジネス経理の経験がなかったこともあり、富士通が行うビジネスについては理解が低いままであることに気づきました。
今後、経理としてキャリアを積むのであれば、事業部門でビジネス経理を経験した方が良いのではないかとアドバイスをもらい、自分のキャリアイメージとも一致したため、部署異動することになりました」
踏み出した一歩から始まった挑戦の連続。ビジネス経理、管理職昇進、そしてFP&Aへ
2020年7月、エンタープライズ領域を担当するビジネス経理チームの一員となった加勢川。これまで本社で会計業務に専念してきた加勢川にとって、右も左もわからない世界でした。
「当時、事業部門で計数管理をしている方と一緒に、事業部長への予算・実績値報告を経理的な視点で支援したり、不採算プロジェクトの経理処理の相談を受けていたりしていましたが、彼ら、彼女らが使う専門用語や業務の流れを覚えることだけで精一杯でした。
事業部門の方が、『いま、〇〇で困っているんです!』と専門用語を使いながら相談してくれるのですが、私からすると、『あなたの言葉がわからなくて困っています!』という状態でした(笑)」
徐々に言葉も覚え、相手の困っていること、富士通で行われているビジネスについて理解できるようになったが、そこに至るまではかなり苦労したという加勢川。あらためてこの挑戦について聞きます。
「もちろん、上司からのアドバイスが大きいのですが、私はひとつの事をとことん突き詰めるよりは、視野を拡げ、幅広い視点でコミュニケーションを取りながら取り組む方が自分の性格にあっていると思ったんですね。そうした時に、本社経理で会計に専念するよりも、ビジネス経理に行って、自分自身の幅を拡げた方がいいんじゃないかなと。
また、『富士通で経理をやっている』ということの価値を考えた時に、このままビジネス経理を経験しないのはもったいないよなとも思ったんです」
その後、2022年にマネージャーに就任した加勢川。その翌年の4月には、富士通でFP&A(Financial Planning and Analysis)組織が発足します。
「FP&Aとは、従来の経理業務だけでなく、事業計画の策定や進捗管理、業績予測など、より経営に近い立場から、ビジネスをサポートするためのファイナンスとデータ活用のプロフェッショナル集団です。それを本社側と事業部門側に配置し、互いに連携させることで迅速な情報伝達と意思決定を実現させることを目的に活動しています。
私は、これまで事業部門で計数管理をしていた方たちと同じ部署になり、経理面でのサポートだけではなく、数字やデータを活用してビジネスをどうドライブしていくかの意思決定をサポートする役割となりました。事業部門にとって事業計画/予測の策定や進捗管理は、工数的にも負担の大きい部分だと思っています。
情報を提供するだけではなく、数字やデータから課題を読み取り、事業部門へ伝えて一緒に考えていくことがFP&Aの役割だと考えています。まだスタートしたばかりですが、そこをいかに進めていけるかが大事だと思っています」
めざすは数字が語る未来予想図の作成。自身が「橋渡し」となり、全社変革を実現させる
近年、日本でもFP&Aを採用する企業が徐々に出てきているが、まだまだ少数であり、富士通にとっても新しい試み。今は、その価値や力を発揮するために準備している段階と語る加勢川。そんな中で描く自身のビジョンとは。
「まずは、これまでの会計知識に加え、適切かつ効果的にデータを扱える人間となることですね。ただ、それだけではビジネスとしての判断を十分にサポートできるとは思っていません。現場について、富士通について、さらに学びを深めていかないといけないと思っています。
また、事業部門からの信頼も得られなければいけない。加勢川とはどういう人間なのか、どういう知見と経験を持っているのかを示していくのと同時に、私に相談したい、意見を聞きたいと思ってもらえるように、関係性を築いていく必要があると思っています。
現場を十分理解した上で、会計の知識とデータ分析の知見を活用し、業績予測や経営・事業戦略の立案に役立てる。それは、言うなれば『数字が語る未来予想図』です。それを描けるだけの知見と経験を高め、信頼関係を築いた事業部門長の経営パートナーになることが目標です」
また財務経理本部では、FP&A以外にもさまざまな部門変革活動(以下、DX活動)が推進されていると語る加勢川。今年度より、その推進役のひとりとなったことで気づいたことがあると言います。
「同じ本部に所属する皆さんの業務や働き方が少しでもよくなるようにと活動しているわけですが、自分とはどこか遠い存在、活動と思っている方もまだまだ多いんじゃないかなと。それは、目の前の業務が忙しくなると、活動に参加したり、情報を自分からキャッチアップする機会がどうしても減ってしまうためだと思っています。
自分からキャッチアップしない方が悪い。そういう側面もあるとは思いますが、それではこの活動の意義も半減してしまうと思っています。どうしたら、誰でも情報を得られるような仕組みを作れるか、どんなフォローができるか。今は忙しくても、少し余裕が出てきたときに参加しやすい環境をいかに用意するか。その視点を持てたのは、自分が推進する側の立場になったからだと思います」
これまで数々の挑戦を行ってきた加勢川がいま伝えたいこととは。
「DX活動の話もそうですが、事業部門からすると本社という存在が、ビジネスの現場で働くBP(ビジネスプロデューサー)やSEからするとFP&Aという存在が、同じ会社の一員でも少し遠い存在に感じてしまうことがあると思うんです。
でも、それって互いが互いのことを知らないだけかもしれない。働き方は多様化しましたが、どんな方法でもコミュニケーションを取って、まず話してみることは変わらず大事なことだと思うんです。
もし、対話の場が不足しているのであれば増やしていきたいですし、私も現場の声をもっと聴いていきたい、聴く必要があると思っています。そして、皆さんが、この全社変革の主役になるための『橋渡し』のような役割を、私自身が担えるようになれたら嬉しいですね」
※ 記載内容は2024年9月時点のものです
