フィンランドへの留学経験が自分の礎に。人材育成業界を目指した理由とは
2019年に新卒で株式会社富士通ラーニングメディア(以下、FLM)に入社した澤。人材育成プログラムの企画運営を担当し、研修の講師も務めてきました。学生時代に経験したフィンランド留学でのある経験が大きく影響し、FLMに入社したといいます。
澤 「学生時代に『世界幸福度ランキング1位はフィンランド』というニュースを見て、興味を持ちました。いろいろ調べていくと教育水準が高いことが分かって、教育が幸福度に与える影響が大きいのではないかと。その仮説を確かめるためにフィンランドに留学し、教師として2週間ほど働かせてもらいました」
留学といえば、アメリカやカナダなどの英語圏を選択するのが一般的。澤が通う大学でも、フィンランド留学を支援する制度はありませんでした。
澤 「当時は日本語で情報が得られるウェブサイトがなく、英語のサイトを見つけては、とにかく読み漁りました。その後、フィンランド留学を取り扱っているエージェントを見つけて、自ら現地の学校にコンタクトを取り、教師として働く機会を得ました」
自分の目標に向かってまっしぐらに行動する澤。しかし、元々そういうタイプではなかったといいます。
澤 「自分に自信がある方ではなくて、行動する前に考えて立ち止まるタイプでした。でも、フィンランドの幸福度が高い理由をどうしても知りたくなって。本もいろいろ読んだのですが、やっぱり現地で教育現場を見て確かめたいという想いが強くて、思い切って行っちゃいました」
フィンランドの中学校と高校で教えることになった澤。そこでの経験は、彼女の人生において大きな転機となります。
澤 「フィンランドの中高生に、日本の文化などの科目を英語で授業しました。フィンランドの生徒たちは、自分からどんどん発言するんですよ。教師が話している途中でも発言してきます。それにはすごく驚きました。
たとえば、私が高校生の時の授業は、教師が一方的に話して、指名されたら発言するという感じだったので全然違うなと。フィンランドの子どもたちはたまに『うるさい』と思うくらい発言してきます(笑)」
フィンランドでは、生徒たちで互いにプレゼンテーションをしあう機会が頻繁にあったと振り返る澤。日本の教育との一番の違いは「生徒の自主性を重んじている点」だといいます。
澤 「自分で考えて、自ら行動するということを、フィンランドでは子どもの頃から既に実践しているんです。自主的に行動する生徒たちは、とてもいきいきしていました。それが幸福度が高い理由の一つなのかなと」
帰国後、澤は人材育成業界をメインに就職活動し、縁あってFLMに入社します。
忙しさの中で忘れかけた自分の気持ち。背中を押してくれた上司の問いかけ
フィンランド留学から戻り、人材育成業界への期待を胸にFLMへ入社した澤 。「最初は苦労した」と当時を振り返ります。
澤 「新しい環境になかなか馴染めなくて。慣れるのに必死で、どこか消極的にもなっていました。自分が思っていることを周囲にうまく伝えられず、自分の殻に閉じこもってしまったり。目の前の業務に忙殺されて、入社前に『やりたい!』と考えていたことをどんどん忘れていく感覚がありました」
袋小路から抜け出せずに悶々としていた澤。2022年になり、異動という転機が訪れます。
澤 「異動とともに業務がガラっと変わりました。そして新しい上司から『澤ちゃん、何をやりたいの?』とストレートに訊かれたんです。それで改めて考えてみました。人材育成業界という枠にとらわれずに、いま私は何をやりたいんだろうなと」
澤の心に真っ先に浮かんだのが「デザイン」だったといいます。
澤 「小学生の頃、漫画を描くのが好きだったことを思い出したんです。自分で漫画部を立ち上げて、描いた漫画を同級生に読んでもらったりしていました。『おもしろかったから続きを作ってよ』と言われるのがすごく嬉しくて。漫画以外でも絵で入賞したことがあって、その時に親がすごく喜んでくれたことも思い出しました。 そんな経験からデザインをやってみたいと思い、勉強してみることにしたんです」
デザインは「独学で学んだ」という澤。そんな時、富士通で新しい働き方の制度「Assign Me」が始まりました。「Assign Me」とは、現在の業務を続けながら他部門のプロジェクトにスポット的に参加する制度。「Assign Me」のロゴを作成するデザイナーが募集されていることを知ります。
「本当にやりたいこと」を見つけた先に掴んだチャンス
「これは運命!チャンスが舞い降りてきた!」と、勢いでデザイナー募集に応募し、採用された澤。しかし、上司に打ち明けるのにはとても勇気が必要だったといいます。
澤 「自分がやりたいことを伝えたほか、本業と両立するための工夫、『Assign Me』でどんな経験やノウハウを持ち帰ってくるかなど、『どうしてもやりたい!』という気持ちとともに上司に説明しました」
話を聞いた上司は「120%責任持って応援する」と優しく背中を押してくれたといいます。その後始まった「Assign Me」のロゴデザイン制作。デザインにあたり、心がけたことを澤はこう振り返ります。
澤 「認知度を上げるために、目を惹く色づかいにしました。また、制度利用に対するハードルを下げるため、『クールで知的』な感じよりは『ポップで楽しさを感じさせる』デザインを意識しました。プロジェクトメンバーの熱い想いを、デザインに『ギュッ』と込められたと思います」
また、本業とロゴデザイン制作を両立するにあたり、本業での仕事の仕方を徹底的に見直したといいます。
澤 「『本業の時間を短くできないか』と工夫を重ね、ロゴデザインに割く時間を捻出しました。また、デザインに取り組む時間帯を決め、集中して作業に取り組むようにしました」
作成した3つのロゴ案は、投票にて選ばれることに。FLMの社員にも、自ら投票を呼びかけた澤。
澤 「本業とは違うことをやっている自分に対して、ネガティブな感情を持っている人もいるかもしれないと思っていました。でも、すごく多くの方が好意的に反応してくださって、びっくりしました。社長までもが『いろいろ活躍していて、素晴らしいですね』と反応してくださって。その時あらためて『やってよかった』と思いました」
特別な人のための制度じゃない。「まずはやれることからやってみて」
「Assign Me」での経験を「ぜひほかの社員にも伝えてほしい」と頼まれたという澤。5月に開催された社内オンラインイベント「Career Ownership Days」に登壇しました。
澤「2022年7月現在富士通では、キャリアオーナーシップ制度のもと、キャリア形成を支援するさまざまな仕組みがあります。でも、それらを活用しているのは積極的で行動力がある人だけで、自分には縁遠いものだと思っていました。それに私は深く考えこんでしまい、なかなか行動に移せないタイプ。
そんな私でも『Assign Me』を使って挑戦できたことを、イベントではお話ししました。キャリアオーナーシップ制度は、自分のキャリア開拓に積極的な人たちだけのものではない。自分に自信がなかった私でも、やってみたら自信になった、行動できたということを伝えたかったんです」
「Assign Me」への参画は、自信とともに別の効果も澤にもたらすことになります。
澤 「今までは、FLMという自分の会社の中しか見ていなかったんです。でも『Assign Me』を通じて全社プロジェクトに関わり、富士通グループのさまざまな社員たちと仕事することに。見える世界が広がり、物事を広く捉えられるようになったと感じています」
そして、改めて自分の軸を再認識することとなったと語ります。
澤 「自分で考えて、決めて、行動する。自主的に行動するのは、やはり楽しいなと感じました。あとは、自分の意見をまわりに発信していくことの大切さ。最初のフィンランドでの話に繋がっちゃいましたね(笑)。もし新しいことへの挑戦で悩んでいる方がいらっしゃったら『まずはやれることからやってみて』と伝えたいです。そのほうが、チャンスと巡り合える機会は増えると思います」
自分で考えて、決めて、行動し、発信していく。澤が見据える未来は、きっと挑戦に溢れている世界に違いありません。
