素材メーカーからITベンチャーへ。良いと思えるサービスをクイックに世に出すために
大学時代は生物工学を専攻し、大学院時代は化学の研究をしていた岡田。新卒で入社したのは、化学と親和性のある素材メーカーでした。
岡田 「大手素材メーカーのAGCで、粘着剤の開発やプラズマテレビの前面フィルターの色設計シミュレーションを担当していました。もともと自分で設計したものを世の中に出してみたかったので、とてもやりがいを感じていました。それに品質管理のための統計の知識や、色設計におけるモデルを使ったシミュレーションの経験は、freeeのデータ分析にも活きています」
6年半にわたる素材メーカーでの勤務。途中、岡田は必要に駆られてMBAスクールに入学しました。
岡田 「研究開発のほかに、別の素材メーカーさんからの買い付け業務や顧客折衝など、交渉する場面がたくさんありました。交渉では相手のビジネスを知ることや、自社のコストを意識することは必須です。そこで私は経営的な考え方やロジカルシンキングを身につける必要性を感じ、MBAスクールに入学しました。
授業では経営学や新規サービスの立ち上げのためのビジネス戦略などを学びました。その一つひとつにおもしろさを感じると同時に、自分でゼロからサービスを立ち上げ、ビジネスを回してみたい気持ちが湧いてきたんです」
岡田が、MBAスクールの卒業生であるITベンチャーの経営者に想いを伝えると、タイミングよく誘われ転職を決意します。
岡田 「Webサービスやアプリの受託開発をしている会社に、PM(プロジェクトマネージャー)・Webディレクターとして入社しました。
畑違いのところに飛び込むのに不安はありませんでした。むしろ自分の人生を考えると、『良いと思えるサービスをクイックに世に出す』という、自分のやりたいことができないことの方が嫌だったんです」
岡田はPMとして、業務を開始します。
岡田 「クライアントの事業やWebサービス・アプリで実現したいことを理解しつつ、要件定義・UI/UXデザイン提案・仕様への落とし込み・開発進捗管理などを行い、最終的に納品するまでが業務でした。
入社当初は右も左もわからない状況で、かなりの失敗や自信喪失も経験しました。それでも少しずつ学びながら、徐々にスムーズにプロジェクト進行できるようになりました」
専門性を磨き続ければ、未経験でもデータアナリストとしての強みになる
受託会社での4年半の日々。後半2年間、岡田は新規事業の立ち上げを任され、2年目には数億円の売上を立てました。
岡田 「ゼロから売上を作るまで、一貫して担当することになりました。具体的には、事業計画作成、Webサイト制作のディレクションのほかにも、広告運用、営業、採用、チームマネジメントなど、その事業に関わるすべてを任されました。
この経験から、『何もないところからでも、なんとかなるもんだ』と前向きになりました。
実際に事業を作ってみてはじめて、どうすれば顧客はサービスを購入してくれるのか、どうすれば売上を増やせるのか、リアルなビジネスを理解することができました」
岡田は事業を立ち上げることに自信を得た一方、ある種の不安も感じたといいます。
岡田 「なんでもやってきたけれど、専門性がなく中途半端な感じがしていました。
SNSやYoutubeを見ると、自分の好きなことや専門性について、ひたすら探求・発信している人たちが目に付き、彼ら、彼女らのように探求したいものがあるって素敵だなと思うようになりました。そして、自分も働く上で専門性を見つけたいと思い始めたんです」
岡田は自分の主軸を探して、さらなる転職を考え始めます。脳裏によぎったのは、MBAスクールで触れたデータ分析でした。
岡田 「定量データやファクトをもとに経営戦略を考える授業で、定量的なファクトにもとづいて会社の向かう方向性を考えて示すのはおもしろく、すごく説得力があると思いました。
また趣味で企業分析もやっていて、頭のどこかで『データ分析を軸に仕事ができないかな』とも思っていたんです」
そんなタイミングで、freeeからスカウトメールを受け取った岡田。カジュアル面談で「未経験ですが、データ分析がやりたいんです」と伝えたことで、アナリティクスで責任者をしていた鎌田 真太郎と出会いました。
鎌田との面談で企業分析の結果を見せると、鎌田の目の色が変わったといいます。
岡田 「『未経験でも、事業責任者目線ならではのビジネス構造理解力は、データアナリストとしての強みになるはず』と言葉をかけてもらったんです。また『施策フェーズへ移すときに考慮すべきポイント』を知っている点も評価されました。
それから話を聞くにつれて、鎌田のチームで働けるのであれば、自分のチャレンジしたいことができ、向かっていきたいキャリアを歩んでいけそうだとワクワクしました」
こうして2019年2月、岡田はデータアナリストとしてfreeeに入社しました。
「マジ価値」を追求──分析チームの業務と、その価値を高めるために
freeeのデータ分析業務は、大きく3つあると岡田はいいます。
岡田 「まずは『課題発見』です。どの機能がうまく使われていないのか、どこでユーザーが引っ掛かっているか、どこで『マジ価値(ユーザーにとって本質的に価値のあるもの)』が届いていないのか。プロダクトや機能、ユーザー属性ごとに、データを可視化・集計してボトルネックを発見します。
その後『課題改善のためのアクション』につなげます。何を改善すれば事業やプロダクトのKPI達成につながるのか、そのための絞り(ドライバー)を見つけます。いわゆる相関分析や因果分析です。
3つ目は『機械学習』を利用して、何かを予測することです。実現すべきゴールに合わせて対応しています」
岡田は入社以来、知識のキャッチアップも怠りません。
岡田 「データ分析の経験がなく、会計の実務レベルの知識も乏しかったので、社会人になって一番勉強したかもしれません。
データ分析に関しては書籍も多く出ていて、興味のある分野だったので、学ぶことに楽しさを感じていました。『書籍費フリー制度』を利用して、経費で購入できたのもありがたかったです」
岡田はデータ分析の知見を高めながら、課題発見・KPI設計サポートなどの実務に励みました。その途中、仕事の進め方に課題を見つけます。
岡田 「当初は他チームからのピンポイントな依頼をもとに分析し、結果を伝えていたんです。しかしそれではフィードバックが少なく、分析の価値が見えづらいという課題がありました。
分析は会社や部署の意思決定をサポートするので、分析チームが介在する意味をもっと実感したいし、社内にも知ってほしいと思ったんです」
すると岡田は他社の事例を参考に、改革に着手しました。
岡田 「メルカリのイベントで自社の事例紹介があり、PMや事業部と一緒にKPIを追いながら分析をするスタイルを知りました。まずは自分で試してみてから、チームに提案しました。
今では新機能開発や施策を企画する時点から分析チームもアサインしてもらい、分析結果がどのような意思決定につなげられているのか、どんな結果があればアクションに結びつくのか把握しやすくなりましたし、それによって能動的な提案ができるようになりました。
仕事の進め方をタスク依頼対応型からコミット型へ変更し、他の事業部と一緒になって『マジ価値』を追求しながら働く体制を作ることで、仕事の深さが変わってきたように思います」
これからもデータ分析を軸に、freeeのビジネス拡大に貢献していく
岡田はほかにも、機械学習を活用することで、カスタマーサクセスの生産性向上に努めました。
岡田 「入社してしばらく経ったころ、機械学習のタスク自体はある程度できるようになっていたので、自らコードを書いて『freee会計』のプランや行動履歴などの変数を組み合わせてモデリングを行い、人介在のオンボーディングを必要としているユーザーを予測によってスコアリングしました。
作った予測モデルは今も実際にカスタマーサクセスのオペレーションで使われていて、サクセスするユーザーが全体的にも増えました。データの力を利用して一定の成果をあげることができたのは嬉しかったし、自信になりました」
岡田はデータ分析のおもしろさを次のように語ります。
岡田 「同じデータでも切り口を変えることで、見えてくる景色やインサイトが変わってくる点が楽しいですね。分析手法を変えると、見過ごしていたものから新たな発見を得られることが多々あります。その瞬間、自身の成長も感じられるし、モチベーションにもなっています」
データアナリストとして働く上で大切なのは、「アクションにつなげきること」だといいます。
岡田 「分析フェーズよりも実行フェーズの方が意思決定の結果に及ぼす影響は非常に大きいと思っています。
どんなに正確な分析をもとにした意思決定をしても、実行フェーズがうまく機能しないと結果が出てこないし、逆に多少荒い分析と意思決定でも、自分たちは正しいと信じて実行し切れば成果が出ます。大切なのは行動の熱量や本気度なんです。
『データ分析の価値が出てくるのは、ユーザーにマジ価値が届けられてこそ』と常に肝に命じています」
最後に、岡田がこれからの目標を語ります。
岡田 「今後もデータ分析をキャリアの軸にしたいと考えています。freeeの自由で、挑戦を後押ししてくれる環境のもと、いろいろとチャレンジしていきたいです。
freeeのプロダクト内にはさまざまなデータが蓄積されていますが、freee独自のデータを完全には有効活用しきれているわけではありません。なので、まだまだデータ分析によってfreeeのビジネスを加速させる伸びしろがあると思っています。
そんなfreeeのビジネスをさらに拡大させられるようなデータ分析をしていきたいです」
