お客様に喜んでいただくために。外商催事や外商サービス付きタワーマンションを企画
「外商」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
百貨店で買い物する場合、店舗に行くのが一般的ですが、外商は、いわゆるお得意様である企業や個人顧客の元に直接出向き、要望を聞き、サービスを提供することを指します。そのなかでもNが担当しているのは「外商催事」です。
N 「一流ホテルなどに限定で売り場を作り、お客様を招待して、店頭で取り扱っていない商材やふだんは手にとっていただけないような特別な商品をご紹介しています。さらに最高のおもてなしをプラスし、楽しんでいただくことで、お客様に満足していただけるよう工夫しています」
ホテルに催事場を構築し、おもてなしでは有名人ゲストを呼ぶ段取りを整え、各店舗のお得意様営業部と売上目標を交渉しながら企画書をまとめ、イベント当日を迎える──。自ら「イベンター」と称するように、商談成立の最終目標に向けて、Nの仕事は多岐に渡ります。
N 「複数店舗にまたがる催事を構築するのが主な役割です。札幌から博多まで全国の店舗が参加する大規模催事の企画構築から、関西3店舗の合同催事を行うこともあります」
催事を通して、Nには大切にしていることがあるといいます。
N 「お客様に喜んでいただくことが第一です。その次に、外商係員が日々の営業に、いかに魅力をプラスアルファできるかという『外商係員の目線』を持って仕事をすることを心がけています。というのも、普段の営業活動ではご紹介できる商品ラインナップは限られます。お客様が求めている魅力的なものや面白いもの、楽しいことをさらに提供したいという思いから、催事ではより多くの価値を感じてもらえるよう運営しています」
また、Nは別の業務にも携わっています。2021年10月、東急不動産と共同で大阪に「ブランズタワー大阪本町」を企画しました。外商の機能を最初から付加した富裕層向けタワーマンションという、画期的な取り組みです。
これまで培った経験やビジネススキームをもとに、業務に取り組んできたN。そんな彼が「ぜひやらせてほしい」と上長に上申した企画が、晴れて形となりました。企画の内容次第では、マンション開発のような外部企業とのコラボレーションもできることの証明でした。
N 「当然ながら、初見で東急不動産様とお取組み出来たわけではありません。外商はもともと宝飾、時計、美術品といった店舗にある商品を扱っているのですが、お客様の中には、当社では対応できない商材を求めていらっしゃることもあります。
そんなときは、他社様と提携させていただいて、大丸・松坂屋がお客様にご紹介させていただくことがあるのです。その過程で、マンションデベロッパーさんともお付き合いを重ね信頼関係を築いてきた経緯があり、『外商サービス付きマンション』の取り組みに至ったのです」
「接客を極める業界って面白そう」、就職活動で思い浮かんだ百貨店への道
新卒で大丸松坂屋百貨店に入社する前、飲食店で4年間のアルバイト経験があったN。接客の経験が、百貨店を目指す契機となりました。
N 「お客様から接客をお褒めいただくことが多かったり、店長や社長から『接客といえばN君だよね』と言われたりすることがあったんです。当時の私は、いかにお客様が喜んでいただけるか、ということに興味がありました。
そうした経験から、就職活動においても接客を極められる業界に関心がありました。そこで思い浮かんだのが百貨店だったのです。『百貨店で究極の接客をしたい』と、就職活動に臨みました」
愛知県出身のNは小学生のころ、夕方の情報番組で「松坂屋(当時)の外商部に潜入」という特集を見ました。パリッとしたスーツを着て究極のおもてなしを提供する接客のイメージが、子ども心に百貨店外商への憧れを強めたとも述懐します。
N 「私の世代は、百貨店に入社してくる動機といえば、ファッションが大好きだったり、企画の仕事がやりたかったりという人が多かったですね。外商志望という新入社員は、当時としては珍しかったかもしれません」
入社3年後の2013年には、大丸札幌店お得意様営業部にて、外商に携わる部署に異動となり、希望がかないます。
大丸松坂屋百貨店に就職を決めた理由は、もうひとつ。Nは転勤を苦にしない性格だったのです。
N 「昔から漠然といろいろなところに住みたいなと思っていました。各地に住んでみたいという憧れがあったので、全国転勤できることも魅力でした。結果として、これまで神戸、札幌にもいましたし、今は東京で働いています。あの頃抱いていたイメージに沿った形になっているのかなと思います」
札幌店での外商経験が、これまでの外商のイメージを一新させる外商サービス付きマンション開発などのアイデアにつながっていくのです。
新規開拓で実績をあげ、お客様の人生に寄り添った接客を実践。外商の仕事の土台に
3年間の札幌生活の前半は新規顧客開拓を、後半は外商係員として勤務しました。
Nが札幌に異動した時、外商顧客の新規開拓だけを担当する専門部隊を立ち上げることになったのです。
N 「新規顧客開拓の業務を専門化することによって、開拓を飛躍的に向上させようという戦略で新しい部門ができ、その最初の現場担当者の1人が私でした。基本的には文字通り、開拓に特化していました。そこで外商のご案内をし、ご入会いただけたお客様を、外商係員に引き継ぐという業務でした」
新設の部門だったこともあり、具体的なノウハウもありません。しかし、Nは逆にチャンスととらえます。「誰も知らないのだから、若手でも先輩たちと互角に戦える」と──。
N 「お客様へのご案内方法は、完全に『飛び込み』でした。ただ、むやみにご訪問をするのではなくて、外商のお客様になっていただけそうな方を様々な方法で調べて訪問し『大丸・松坂屋から参りました』と、サービスをご案内させていただきました。『また来ますので、ぜひ検討してください』と再度お伺いして接点を積み重ねていく、というスタイルでやっていました」
Nが地道に顧客訪問を続けた結果、ついには新規開拓実績で社内上位の結果を挙げるまでになりました。また外商係員として勤務していた頃には、顧客との思い出深い出来事もありました。
N 「非常に良くしていただいているお客様に、クリスマスケーキをお届けしたことがあります。お客様の大切な方の誕生日が近かったので、『N君チョイスで、花を用意してサプライズしてくれないかな』とおっしゃったので、花とメッセージカードを書いてお届けしました。お客様にもプレゼントされた方にも喜んでいただいたことが、非常に印象に残っています。お客様の大事な節目に携われたことは、非常にありがたいなと。お客様の人生に寄り添った接客ができたのではないかなと思っています」
北海道でさまざまな経験を積み、お客様に寄り添いながら成長したN。さらに大きなフィールドで自分の力を試してみたいと、札幌から東京本社への異動にも、ふたつ返事で即応しました。
本社へ異動後は、2016年から2019年までアライアンス・外商メディア企画業務に従事。外商顧客向けの媒体や雑誌制作も担い、掲載商品等の企画や交渉を行いました。
取り払いたい外商の垣根。オンラインとオフラインのハイブリッド施策も推進
これまでにさまざまな側面から外商に携わってきたN。今後はさらに外商の裾野を広げていこうと考えています。
N 「現在は大きく『販売促進』という役割を担っていますので、一般のお客様にも外商リソースを活かして何か新しい体験を提供できればおもしろいのではないかと思っています。また逆に、一般のお客様向けの企画を、外商の顧客様にも応用してご提案することができればなと。新しい切り口で施策し、さらに満足していただけるような戦略に活かせればと思っています」
いわゆる外商の垣根を取り払って、多くのお客様に、より良いものを提供したいとNは語ります。
N 「一般のお客様に対しても、どうすれば、より当社でお買い物していただき、お得意様になっていただけるか、ということに興味があります。たとえば航空会社の上級会員システムのようなサービスを、当社でも組み立てているところです。そこに外商のビジネスで培ってきたノウハウが活かせます」
コロナ禍は百貨店営業を直撃しました。外商や催事は状況に応じてオンラインも交えながら取り組みを進めています。
N 「お客様と会えない状況で、いかにコミュニケーションを取って商談を進めるかという命題がありました。そこでzoomを使った外商のオンライン接客を構築し、全店舗の外商にまで共有し活用できるようにしました。同じように催事についても、会場にカメラを用意し、全国のお客様とオンラインでつなぎ、商談を進めました」
オフラインでもオンラインでも、外商のベースとなるのは、人と人の関わりです。
これまで顧客の人生の節目にかかわり、顧客に寄り添った取り組みを行うことで、新しい価値を提供してきたN。
たくさんの顧客に愛される、魅力あふれる大丸松坂屋百貨店であり続けるために──。Nは持ち前の企画力と推進力で顧客に体験を提供し、さらなる価値を創っていきます。
※所属部署・担当は、取材当時のものです。

