「この弁当は売れるぞ」を現実にする、事業を統括する立場の仕事論
私は現在、C&R社から出向という形で、株式会社コネクトアラウンドに所属しています。担当しているのは、武蔵新城にある「Fun Eats Makers」というコネクトアラウンドが展開する店舗で、障がい者福祉施設や大型オフィスビル、一般企業のランチ向けお弁当の製造・販売を手がけています。販路の拡大と各販売現場での販売数アップを目指しながら、日々売上拡大に向けた取り組みを進めています。
仕事の内容は、事業戦略の立案と実行、新規販路の開拓営業、新作のお弁当開発といった商品企画のほか、月次の請求事務も担当しています。必要があれば、配達ドライバーとして自ら車を走らせることもあります。役職としては武蔵新城店の事業責任者で、早期の収益化を至上ミッションとしています。店舗の調理責任者(店長)やアルバイト約10名に対して事業方針を示しながら業務運営を推進するほか、福島県双葉郡大熊町の施設メンバーとも連携しながら商品開発やイベントの実行にあたっています。
仕事をする上で特に大切にしているのは、お弁当を実際に購入するエンドユーザーの声を徹底的に拾い上げることです。できる限り販売現場に足を運び、その場でしか得られないリアルな声を商品開発に反映させるよう心がけています。
実際にその姿勢が実を結んだ経験があります。以前、「お弁当+ミニサラダ」のセットを1,100円前後で販売していたのですが、20代が中心の若い販売現場で売り出したところ、まったく売れなかったのです。そこで現場でヒアリング調査を実施したところ、「野菜は美味しい」「ボリュームが少ない」「値段が高い」という声が集まりました。この声をもとに、白飯の量を従来比1.25倍に増やし、自社で生産しているリーフレタスとミニトマトをたっぷり盛り付けた、どんぶり弁当を1,000円以下で販売することにしました。すると、即完売するほどの好評をいただけるようになったのです。
また、当社は「農福連携」(農業と障がい者福祉を結びつけ、障がいのある方が農業分野で活躍できる仕組みを作る取り組み)を事業テーマとして掲げており、障がい者福祉施設との接点が多くあります。施設を訪問する際には、当社がどのような事業資産を持っているのかを伝えながら、「どうすれば障がい者福祉施設やその利用者の皆さんが社会でもっと活躍できるか」を常に念頭に置いて会話やディスカッションを重ねています。打ち合わせの最後には必ず「一緒に何かできないですかね?」と投げかけるようにしており、施設側の規模感や得意なことをうかがいながら継続的な関係を築くようを意識しています。
店舗の調理責任者と一緒にレシピを試作開発して「この弁当は売れるぞ」と自信を持って売り出したものが実際にヒットした瞬間や、業務発注を喜んでくださった障がい者福祉施設のスタッフの方が私たちと同じ目線で真剣に取り組んでいる様子を感じたとき、この仕事のやりがいを強く実感します。
「経験のない未知の領域があること」が、転職を決める理由になってきた
私のキャリアは、ひとつの場所に留まり続けるよりも、「常に新しいフィールドへ踏み出す」の連続でした。最初に就職したのは株式会社大阪有線放送社(現: U-NEXT HOLDINGS、以下「USEN」)で、新卒入社から10年間在籍しました。飲食店へのBGM機器営業からスタートし、マンションデベロッパーへの光回線営業と営業推進業務、人事部での新卒採用業務、そしてGyaO事業のチャンネル責任者と、営業・人事・企画と多岐にわたる職種を経験しました。
USENでの10年間は、会社自体がものすごいスピードで進化した時代でもありました。入社時はBGM機器とカラオケ機器だけだった商材に、自前の光インターネット回線やGyaOの立ち上げ、GAGAのグループ化といったメディア事業が次々と加わり、社員に求められる能力やスキルが絶えず変化していきました。その変化についていくために必死に食らいついて業務経験を積んだこの時期は、自身のキャリア形成の土台になっていると感じています。
USENを離れて最初に選んだのが、C&R社でした。転職の理由はシンプルで、Web制作業務においては、それまでクライアントの立場にいた自分が、今度はサービスを提供する側に身を置いてキャリアを積みたいと考えたことがきっかけです。ここでは人材・制作物受託の法人営業と経営企画部での業務を10年間経験しました。
その後、AIコンサルティングのスタートアップへ転職しました。当時AIへの注目度が急速に高まっており、自分のこれまでの営業経験をその領域で活かしてみたいという思いが背中を押しました。ただ、転職のタイミングがちょうどコロナ禍と重なり、営業活動は困難を極めました。多くの企業が完全在宅勤務に移行していたため、電話営業や代表メールへのアプローチがまったく機能しない状況が続きました。途方に暮れながらも、Webinarを開催して参加者へ営業をかけるほか、一部開催されていた展示会に出展して来場者へアプローチするなど、工夫を重ねながら商談につなげていきました。この経験で、新規の顧客とつながることの難しさを改めて痛感しました。
その後、C&R社へ復帰しました。理由は、活動する業界や関わる人々の範囲が広いフィールドで再度働きたいという思いからでした。戻ってみて改めて感じたのは、グループが手掛ける事業の幅広さと、異なる事業や業界をまたいで横断的に商材を提供できる強みでした。社員がそれぞれ企業理念に基づいて意志統一されている点にも、以前とは違う視点で気付けました。復帰後は総務部で3年間業務に従事した後、現在所属している株式会社コネクトアラウンドへ出向しています。振り返ってみると、転職のたびに「これまでの経験が活かせること」と「まだ経験していない未知の領域があること」の両方がそろっているかどうかを判断の軸にしてきたように思います。
販売数170%UPを生んだ「机上の空論ではない改善」と、失敗と苦労の連続の日々
コネクトアラウンドに出向してから、企業向けのお弁当の考案や販売ルートの開拓をメインで担当しました。ですが当時は販売数が低迷し、完売率も60%という状況でした。売れなかった商品が4割近く出てしまっているということですから、商品として根本的に見直す必要があると感じていました。
そこで取り組んだのが、容器からメニューの内容まで含めた完全なリニューアルです。私たちの会社では自社で野菜を生産しているので、その強みをしっかり活かしながら、「消費者が本当に買いたいと思えるお弁当とは何か」というところから考え直しました。
そのために意識したのは、現場のリアルな声を拾うことです。スーパーに足を運んでお弁当売り場を研究したり、実際に販売を担当している方々に当時のお弁当についての率直な意見をヒアリングしたりしました。自分たちだけで「これが良いはずだ」と考えるのではなく、実際に売り場に立っている方、購入するお客様に近い方の声を取り入れることで、机上の空論ではない改善につなげられたと思っています。
リニューアルの結果、販売数は170%アップし、完売率は60%から97%まで向上しました。数字として結果が出たとき、「現場に聞きに行って良かった」と心から思いました。自分なりに仮説を立てながらも、現場のリアルな声をもとに修正していく姿勢が、このスタートアップという環境でとても大切だと改めて実感した経験でした。
ただ、仕事全体で振り返ると、正直なところ失敗と苦労の連続です。売上や利益を上げていくための事業戦略の立案から商品開発、それを実際に製造するための体制作りやオペレーション(業務の流れや手順)の構築、さらにはお客様を新たに開拓していく営業活動まで、これらすべてを最少人数でこなしながら、猛スピードでPDCA(計画・実行・評価・改善のサイクル)を回していくことが日々の仕事です。
一方で、こうした経験を通じて、自分自身の成長も感じています。以前、長く営業部長を務めていたこともあり、「現場としてどう動くべきか」という視点は身に付いていました。しかし今は、それに加えて「経営者としてどう考えるべきか」という目線を少しずつ持てるようになってきたと感じています。日々の出来事や判断の積み重ねのなかで、経営的な視点が自然と養われてきている実感があります。
前職での営業経験はもちろん、企画部門や管理部門(法務・総務・営業推進)での経験も、今の仕事のあらゆる場面で活きています。スタートアップという環境では何でも自分で考え、対応しなければならないからこそ、これまでのキャリアで積み上げてきたすべての経験が武器になっていると感じています。
「好奇心と実行力」を持つ人と、社会意義ある事業を一緒に育てたい
今、私が最も集中して取り組んでいるのは、武蔵新城事業の黒字化です。一人でも多くのお客様に私たちのお弁当を召し上がっていただくことが、今の最優先事項です。まずはここをしっかりと達成させること。それが次のステップへの土台になると考えています。
その先には、一旦ストップしている店舗事業を再開したいという思いがあります。地元のお客様に喜んでいただけるお店をもう一度作っていく。その日が来ることを楽しみにしながら、今は目の前の目標に全力を注いでいます。
中長期的な目標については、あえて今は明確に設定していません。目の前の課題に集中するためです。ただ、今の仕事を通じて積んでいる経験は、私にとってとても大きな意味を持っています。これまでのキャリアで培ってきた営業・企画・管理の経験をすべて集約して活かすことができる環境なので、同時に経営スキルを磨く機会にもなっています。この経験を積み重ねることで将来は、当社やグループ会社全体において中枢的な立場から企業の発展に貢献できる人間になりたいと思っています。
最後に、入社を考えてくださっている方へお伝えしたいことがあります。私たちが取り組んでいる事業は、農業振興・ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人々が互いを尊重し、能力を発揮できる社会の実現)・復興支援という、社会的意義がとても高いテーマを扱っています。そして今まさにスタートアップの段階にある。関わる皆さんから喜んでいただける事業を、自分たちの手で一から育てていける環境です。
組織がまだ小さいからこそ、自分のアイデアがカタチになりやすい。「こんなことができるんじゃないか」「こうしたらもっと良くなるんじゃないか」という発想を、実際に動かしてみることができる場所です。そのやりがいは、私自身が日々実感しています。
私たちが求めているのは、受け身でなく、自分で考えて、社内外のまわりを巻き込みながら、最後まで実行しきれる人です。「これをやったらどうなるだろう?」という好奇心を持ち続けて、それを行動に移せる方と一緒に活動していきたいと思っています。社会に意義のある事業をスタートアップから育てたい方にとって、これ以上ない環境が、ここにはあると信じています。
