異業種交流研修、企業内大学、階層別研修……。多種多様な能力開発支援策の企画・運営
──まずは、部署紹介をお願いできますか?
私が現在所属しているのは、人事部の人材開発室。主に人材の育成と採用に関する方針の決定、各種企画の立案、運営に携わる部署です。
共に働く行員は9名で、内訳は室長が1名、研修担当が5名、採用担当2名、研修運営のサポートをしてくれる行員が1名。研修運営のサポートをしてくれる行員は当行陸上部の競歩選手として活動もしており、バラエティに富んだメンバーです。
──ご自身の仕事について簡単に教えていただけますか?
そんな中で私が担当しているのは、多種多様な研修の企画・運営。たとえば、新入行員の研修や、課長職・部長職などの階層別に行う研修などが挙げられます。
また、2022年から新たに始めたのが、異業種交流型の研修です。これは、当行の研修に他社の社員さまをお招きして、一緒に研修を行うというもの。参加者が所属組織以外の視点、考え方を知り、新たな視点を持ってビジネスを行えるようになるという効果があります。また、交流を通じて、当行の行員と他社の社員さまがビジネスパートナーになるきっかけになれば、との想いも運営として持っています。
その他にも、2020年から能力開発支援制度の一環として始めたのが、“企業内大学”。大学のように「学びたいこと」「今さら学びにくいこと」を自由に学ぶ機会を、従業員に提供しています。外部の講師をお招きするのはもちろん、行内からも講師を募っている点が特徴です。営業術やマネジメントスキルをはじめ、雑談の秘訣や資格取得のコツといった内容をテーマにしたセミナーもあります。いろんな部署から参加者を募集しておりますので、社内交流のきっかけにもなることも魅力です。
──仕事で心がけていることを教えていただけますか?
これらのさまざまな企画を進める中で、私なりに意識しているのは、目的を見失わない運営。先ほどお伝えした企業内大学の活動で言えば、明確な目的として「学び合う文化の醸成」や「人間関係の構築」があります。
そのために講師の方にお願いしているのが、一方的に知識を伝えるだけでなく、参加者全員が課題を共有し、学びを深められる場にしてもらうこと。運営としても、まずは参加者の中で自己紹介や呼び名、最近のマイブームなどを楽しく話してもらいつつ、それぞれの課題共有の時間を設けるようにしています。
そして、終わりには、学びを振り返る時間も設定。学びをどう活かすかを語りあいます。学びをアウトプットする場になりますし、この一連の流れの中で新たな関係性が生まれていくこともあります。
マインドチェンジで業務の変化も前向きに。秘訣は、経験を積み自信を持つこと
──銀行でのキャリアを教えていただけますか?
私が千葉興業銀行に入行したのは、2013年のこと。はじめは豊四季支店へ配属され、銀行業務の基礎をみっちりと学びつつ、個人・法人の渉外業務も担当しました。
約3年後には、法人渉外として、おおたかの森支店へ異動。そのころのおおたかの森は人口がどんどん増加していて、法人のお客さまが増え始めていたため、新規立ち上げの企業に対する融資案件も経験できました。
自分の裁量で仕事を進められ、主体的な行動が成果を生み、自信につながる。すごく楽しく仕事ができていると感じていました。
──仕事において転機となった出来事はありますか?
そんな中で転機となったのは、入行5年がたったある日、人事部の採用担当への異動を命じられたこと。自分の向き合う相手が、お客さまから学生へと変わることへの戸惑いはもちろん、法人渉外の仕事がちょうど楽しくなってきたころだったため、正直、気持ちは落ち込みました。
異動後も、最初は勝手がわからず戸惑う日々。それでも、あるときから気持ちが切り替えられるようになりました。それは、「自分は経験を経て仕事に自信が持てるようになったときに、仕事に楽しみを覚えられるタイプだ」と気づいたとき。
思い返せば、法人渉外担当だったころも最初は覚えることが多く、未熟な中でお客さまに求められることに都度対応するなど、試行錯誤と努力の毎日でした。そんな中で、仕事がどんどん楽しくなっていく感覚を味わえたのは、経験を積み自信を持ち始めてからだったのです。だから、人事部の仕事を楽しめるようになるために必要なのは、いかに経験をはやく積み、自信を持てるようになるかだと考えるようになりました。
以降も、採用担当から研修担当に変わるなど業務に変化がありましたが、スムーズに移行できました。些細なことかもしれませんが、この気づきを得てからというもの、仕事に取り組む姿勢が変化したように感じています。
自分が持っていた固定概念を捨て、一から向き合うことで得られたもの
──研修担当になった際にどのような変化がありましたか?
人事部に異動し今のように研修を担当するようになったのは、入行して8年が経ってから。これまで持っていた「研修」へのイメージがガラリと変わりました。
当時持っていたイメージは、受講者は講師から一方的に教えてもらう、というもの。しかし、いざ研修を企画するとなったとき、そうしたマインドは変えるべきだと思ったのです。
というのも、私自身が過去に受けてきた研修の多くが、講師からの知識伝達を主とするものでした。その私がこれまでと同じマインドで研修を企画すれば、受講者に主体的に研修へ参加してもらうことはできないと思ったのです。
「講師が受講者に教える」のではなく、「受講者と講師が一緒に学びを深めていく」という姿勢が大切なのではないか。つまり、主役は受講者であり、私たち企画・運営側はそのサポーターでしかないのだと考えを変えました。
──どのようなきっかけで異業種交流研修を企画しましたか?
現在取り組んでいる異業種交流研修も、固定概念を手放し、新たな視点を持てたからこそ生まれたものです。もともと、研修担当のミッションとして「経営に資する人材の育成」がありました。
では、今の当行の経営はと言うと、コンサルティングを軸にしています。そのコンサルティングを進めていく上で、お客さまのニーズが多様化しているという現状がある。そこで、われわれのコンサルティングの質を上げる目的として、新たな視点を持てるような機会を作らねば……と考えた結果、「異業種交流会を研修につなげる」という方法にたどり着きました。
おかげさまで、参加してくださった皆さまから、新しい視点・気づきを得られたという感想が多数寄せられています。たとえば、あるメーカーの企業さまは供給する側の視点で物事を考えていらっしゃいますが、われわれは消費者側の視点で物事を考えることが多いということに気づいた方がいらっしゃいました。同じ状況でも業界によって思考に偏りが出ることを実感できた、という声をいただいております。
──人材育成の仕事で感じるやりがいや楽しさは何ですか?
人材育成は、上をめざせば、ものすごく高い専門性を求められる分野です。新入行員向けの研修ひとつとっても、さまざまな育成の理論や原理原則があります。それを当行にはどう当てはめていくかという問いは正解がなく難しいもの。しかし、経験を積めば積むほど専門性も高まり、自分にしかできない分野だと実感することも増えてきています。そこに、やりがいや楽しさを感じています。
──今後の目標は何ですか?
今後の展望として考えているのは、自社のみならず、他社の人材開発や採用に関してコンサルティングができる存在になる、ということ。そのためには、私自身が学ぶことも欠かせないと思い、インプットを習慣にしています。
鶏口人材が活躍できる環境であるために。提供するのは、自律するためのサポート
──求める人物像について教えていただけますか?
最後に私から伝えたいのは、私たちは「鶏口人材」という、当行の定義するマインドを持った方に入行していただきたいと思っていること。そして、求めるばかりでなく、その方たちが活躍できるための環境を提供したいと考えているということです。
「鶏口人材」とは故事成語をもとにした造語で、「大きな組織の一部となるよりも、小さな組織の主役となって活躍したいという志を持っている人」を表しています。その鶏口人材のマインドを持ち、共感した人たちが実際に入行してきたとき、成長のカギとなるのが新入行員研修だと思っています。
そのため、まずは働くことの土台となる、社会人基礎力の実践と学びの型の習得を軸とし、2023年度入行の新入行員に対しては4カ月間という長い期間をかけて研修を実施しています。たとえば、研修に取り入れているのが、「同期の中で主役になる」という観点を養ってもらうための、チーム活動。毎日、チームで「目標設定・相互支援・振り返り」を行い、一人ひとりが主体性を発揮できる場を提供しています。また、チーム内のみならず、全体の場で意見を発する機会も設けています。
もちろん最初は段階を踏みながら、運営側から発表者をランダムに指名していくステップを踏んでいますが、ゆくゆくは自分で手を挙げて他の人に対して学びを共有していくことが理想です。そのような自発性が自然と発揮されるよう、運営にさまざまな工夫をしています。
──新入行員育成プログラムについて教えていただけますか?
また、入行して2年間は「新入行育成プログラム」を用意していますが、中でもOJTは若手行員の育成の根幹として注力しているポイント。
仕事の機会を提供する。その人に教える。実践してもらい内容を振り返る。そして承認する。このサイクルを回すことが、新入行員の自律的な成長を後押しすることにつながると考え、実践しています。
とくにわれわれが重要視して、各営業店のマネジメント層の方々にも念押しして伝えているのが、「振り返り」と「承認」。たとえば、新入行員が仕事をして「お客さまにこう話し、こういう商品を売りました」と報告したとします。
その際に、はじめは「自分の行動のどこが良くて、どこが良くなかったのか」をしっかり振り返れるようサポートすることで、自身の行動をどう捉え、改善すればいいのかを考えられるようになります。
そこでのサポートを経て、振り返り方を身につけられれば、その後も「今回はここが良くなかったから、次はこうしよう」と自律して創意工夫しながら次の機会に向かえるようになります。
ただし、振り返りだけでは、人間、良くなかった点に目がいくことも少なくありません。だからこそ、承認が大切です。これもまずは現場の上司・先輩が、行動や考えの良かった部分を伝えることから始まります。はじめは、そうした他者からの承認が自信につながるからです。やがては、良いところを自身で認められるようになる。そうして、自律的な成長へとつながっていくと考えています。
このような入行当初の取り組みだけでなく、これまでお伝えしてきたように入行後時を経てからも、学ぶことのできる環境は用意していますし、その環境自体今後もブラッシュアップしていきます。
成長する環境と共に、自らも高く、高く上がっていきたい。そんなマインドを持っている人なら、きっと当行はマッチする場所だと思っています。
※ 記載内容は2023年8月時点のものです
