100名体制で実現する、高品質なシステム開発と業務支援
──はじめに、プロジェクトの全体像やチームの特徴を教えてください。
H.S:大手建設会社およびそのIT領域を担うグループ会社をお客さまとし、社内で利用される各種業務システムの開発を行っています。また一部のメンバーはお客さまの業務部門と密接に連携し、管理部門・調達部門・設備部門などにおける業務プロセスの改善やシステム活用の推進を支援しています。
チームは現在、全体でおよそ100名の規模。数多くのシステム開発に携わっているため、それぞれのグループでプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーがいます。
特徴は、メンバーも含めて全員が当社の正社員であること。これは、このプロジェクトに限らずケアリッツの大きな独自性であり、競争優位性の源泉になります。全員が正社員であるからこそ、品質の担保にいっそうの責任が持てる。そこは、お客さまにも評価していただいている部分です。
──皆さんは現在、どのような役割をされていますか
H.S:アカウントマネージャーとして、全体管理はもちろん、営業活動の支援も行います。また、特定の業務システムのプロジェクトマネージャーも兼任しています。
O.W:私は、大手建設会社の業務部門をお客さまとした社員支援プロジェクトにおいて、マネージャーを務めています。お客さまは非常に規模が大きな企業であり、当社以外にも複数のベンダーと連携しながらシステム開発を進めています。その中で私たちは、ベンダー間の調整役として仕様の整理やレビューを行うほか、ITに関する相談対応などを通じて、お客さまと同じ立場に立ち、プロジェクト全体を俯瞰しながら推進しています。
また、建設現場で働く方々とも直接コミュニケーションを取り、日々の業務における課題や改善要望を丁寧に拾い上げ、それをどのようにシステムへ反映するかをお客さまと共に検討しています。
さらに社内的な役割としては、プロジェクトに参画しているメンバーの知識・スキル向上を目的に、これまでの経験や知見を共有し、チーム全体の品質向上にも取り組んでいます。
Y.O:私は、先頭バッターとして参画し、まずは個人の信頼を獲得することに注力。その後、会社としてさらなる貢献をめざしプロジェクトチームを立ち上げ、お客さまへの支援体制の基盤を整えました。
その後、O.W、H.Sをはじめとした各メンバーが主体的に動くことで安定したサービスを提供できる状態であることを見届け、自分が抜けても問題ないと確信したので、このお客さまは彼らに任せ案件からは離任しました。今は事業責任者として報告を受ける立場なので、プロジェクトに直接関与はしていません。
「まずはやってみる」。小さな成果の繰り返しが大きな信頼に
──ここからは、どのようにしてプライム案件を獲得し、拡大してきたかを伺います。まずは、このプロジェクトが生まれた経緯を教えてください。
Y.O:はじまりは2020年の春です。当時のケアリッツは社員数200〜300名規模で、SIerとして本格的に事業を拡大していくフェーズにありました。その中で私は、大手企業のお客さまに対するプライム案件の開拓・拡大を担いました。
お客さまである大手建設会社さまとは紹介を通じてご縁をいただき、当時まだ営業担当者だった現社長の古関と共に挨拶に伺いました。その中で、「IT領域を担うグループ会社がシステム開発を主導できる体制を整えたいが、これまで信頼できるベンダーに出会えていない」という課題をお聞きしたのです。その課題に対し、私たちは支援できる可能性があることをお伝えしたことが最初のきっかけとなりました。
──当時のケアリッツの規模や知名度を考えると大手企業から受注することは難しいと思うのですが、何が決め手になったのでしょうか。
Y.O:「この会社なら大丈夫だろう」と感じていただけた部分もあったと思います。ただ実際には、それまで複数のベンダーと開発を進めてきたものの、品質面での課題があり、見直しを検討されている状況でした。一方で、IT領域を担うグループ会社さま側では技術的な評価軸を持ちきれず、どのベンダーを選ぶべきか判断が難しいという課題も抱えていました。
そうした中で、これまでの開発プロセス上の課題を整理し、「こういった進め方であれば品質面のリスクを抑えられる」と具体的に提示したことが、お任せいただく判断につながったのだと考えています。
また、「私自身が実際に参画し、責任を持ってプロジェクトを推進する」と明確にお伝えしたことも後押しになりました。私自身は15年以上の管理者経験を持っていたため、少なくとも過去に起きていたような品質面の問題は防げるという確信がありました。
──そこから、どうやって信頼関係を築いていったのでしょうか?
Y.O:派手な成功談というよりも、地道に一つひとつ積み重ねていった結果です。やるべきことを着実に積み重ねていく。その繰り返しでした。
最初は、私が一人で現場に入りました。すぐに感じたのは、お客さま側も、ベンダーとの適切なコミュニケーションの取り方に課題を抱えているということでした。そこで私は、単なる進行役にとどまらず、業務や意思決定の実態を理解するために、さまざまな打ち合わせに積極的に参加し、必要に応じてその場で論点整理や提案を行うようにしました。
お客さまの課題を一つずつ特定し、改善策を提案してスピード感を持って対応していく。その積み重ねの中で徐々に信頼をいただき、半年ほどでチームは5名規模へと拡大しました。当初はシステム運用中心の参画でしたが、その後は開発領域も任せていただけるようになり、プロジェクトの幅が一気に広がっていきました。
──O.Wさん、H.Sさんが参画したのは、この頃ですか?
Y.O:まずは1〜2個のシステム開発をケアリッツに依頼したいという要望をもらい、開発チームを立ち上げることになりました。そのリーダーを任せたのがO.Wです。
O.W:当時はまだコロナ禍ではありましたが、建設業界という特性もあり、お客さまは対面でのコミュニケーションを重視されていました。私自身も現場で直接コミュニケーションを取りながら進めるスタイルを大切にしていたため、密に連携を取りながらチームを立ち上げていきました。
さらに別システム開発もケアリッツが手がけることになり、そこからH.Sが加わり、15名程度の体制に拡大していきました。
人材育成は、プロジェクト運営そのもの。成長が組織の力になる
──現在の100名規模へと拡大していくプロセスは順調だったのでしょうか。
O.W:15名ほどの規模からは、一時的に伸び悩む時期がありました。当時は複数のベンダーが並行して関わっていたこともあり、お客さまの中では「既存体制をあえて変更する必要性がない」という状況だったと思います。
──その停滞期を、どのように乗り越えたのですか?
O.W:その時期も既存プロジェクトの品質改善や安定稼働に継続して取り組み続けていました。その積み重ねの結果として、「ケアリッツは品質が安定しており、安心して任せられる」という評価を徐々にいただけるようになったことが大きかったと思います。
その信頼を土台に、既存領域を無理に拡大するのではなく、新規プロジェクトが立ち上がるタイミングで声をかけていただく形で参画機会が広がっていきました。そして、大規模な新規プロジェクトを成功させたことで評価がさらに広がり、別部門からもご相談をいただくようになりました。
H.S:じつは、その大規模プロジェクトの前にも、O.Wが担当した重要なプロジェクトで高い評価をいただいており、その実績が次の大きな機会につながっていました。小さな成功の積み重ねが、大規模プロジェクトの受注につながった形です。
──急速にチームが拡大すると、品質が低下したり、マネジメントでつまずいたりするケースもあると思います。品質を維持し続け、さらにこのプロジェクトから多くのリーダーやマネージャーを輩出できているのは、なぜでしょうか。
Y.O:会社が大きくなるためには「人が育つこと」が前提になりますが、このプロジェクトにおいてはとくにその重要性が大きかったと考えています。
ケアリッツの特徴として、プロジェクトに参画するメンバーはすべて当社の正社員で構成されています。そのため、外部リソースのように必要に応じて入れ替えることで対応するのではなく、一人ひとりの成長そのものがチームの強さに直結します。
つまり、短期的なリソース調整ではなく、「このメンバーをどう育て、どう戦力化していくか」がそのままプロジェクトの成果を左右する構造になっています。だからこそ、人材育成は付加的な活動ではなく、プロジェクト運営そのものの中心にあります。
このプロジェクトでも、その前提のもとでナレッジの言語化や共有を徹底し、メンバーが現場で成長し続けられる状態を意識してきました。
H.S:教育を重視するY.Oさんのスタイルは、しっかりと受け継がれていると感じますね。
人数が増えるにつれて、さまざまなバックグラウンドやスキルレベルのメンバーが加わるようになります。その中で私が拡大期に強く意識していたのは、「個人の能力に依存せず、誰が担当しても一定以上の成果が出せる仕組みづくり」でした。
そのために、組織としての役割や責任の“器”を先に用意しておく。人が育つ環境がなければ、その下のメンバーも育ちません。だからこそ、一定の役割を先に設計し、素養や意欲のあるメンバーに段階的に任せていく。その上で、フォローできる体制を整えることを徹底していました。
O.W:教育というと、若手育成に目が向きがちですが、実際には「リーダー層の育成」こそが非常に重要だと考えています。そのため小規模なプロジェクトの中でサブリーダー、リーダー、マネージャーといった役割を段階的に経験し、徐々に規模の大きなプロジェクトに挑戦していく。その循環が次の管理職を継続的に生み出す仕組みになっていると感じています。
裁量ある挑戦ができる環境がおもしろい。このプロジェクトを社内の新たな標準に
──ケアリッツで働き、このプロジェクトに関わる中で感じる、おもしろさややりがいはどんなところですか?
H.S:プライム案件だからこその裁量の大きさもありますが、私が一番おもしろいと感じているのは、組織そのものをつくっていけることです。
このプロジェクトは今は100名規模まで拡大していますが、メンバーは全員ケアリッツの正社員です。そのため、「足りないスキルを持った人を外から連れてくる」という発想ではなく、「今いるメンバーをどう育てるか」を常に考えなければなりません。
組織を大きくしたい一方で、目の前のプロジェクトも成功させなければならない。その中で、一人ひとりの強みをどう活かし、どのような役割を任せれば成長できるのかを考え続けるのは難しいですが、その分やりがいも大きいです。
自分たちの考え方や育成方針が組織づくりに直接反映されるので、単にプロジェクトを運営するだけではなく、自分たちのチームをつくっている感覚があります。
O.W:私も同じですね。正社員だけでチームを構成しているからこそ、メンバーが成長していく過程を長い目線で見られますし、自分自身もその中で育ててもらいました。
私自身、このプロジェクトに参画してからY.Oをはじめとする先輩方に多くの機会をいただきました。もともとはシステム開発そのものが好きだったのですが、リーダーを任せてもらったことをきっかけに、組織づくりやマネジメントのおもしろさに気づきました。
大手企業のお客さまと一体となって上流工程から関われることも魅力ですが、それと同じくらい、自分たちの手で組織を育てていけることにやりがいを感じています。
──今後、ケアリッツでさらにプライム案件を拡大していくために必要なことを教えてください。
Y.O:このプロジェクトを通じてあらためて感じたのは、プライム案件を拡大するためには技術力だけでなく、お客さまの課題を深く理解し、その解決策を提案できる力が必要だということです。
私たちはこれまで、高品質なシステム開発を強みとしてお客さまから信頼をいただいてきました。一方で、「本当に役に立つシステムを造る」という会社のビジョンを実現するためには、技術力だけでなく、お客さまの課題に踏み込み、解決策を提案できる力もさらに磨いていかなければなりません。
技術力と提案力の両方を高いレベルで実現し、お客さまにより大きな価値を提供していく組織に変化させていくことが、今の私のミッションだと考えています。
H.S:やはり重要なのは、現場を組織として機能させることだと思います。ケアリッツはプロパー人材を中心にチームを構成しているため、人が育たなければ組織も強くなりません。メンバーが成長し、リーダーとなり、さらに次のリーダーを育てていく。その循環があって初めて、チームとして継続的に成果を出せるようになるのだと思います。
私たちはこのプロジェクトの中で、長い時間をかけてそのモデルを作ってきました。ただ、それが会社全体の標準になっているかというと、まだ発展途上です。
だからこそ、このプロジェクトで培った考え方や仕組みを他のプロジェクトにも展開し、どの現場でも人が育ち、組織が強くなる状態をつくっていきたいと考えています。
O.W:そうですね。ここまでプロジェクトの成功事例としてお話ししてきましたが、本当に価値があるのは、この取り組みを他のプロジェクトでも再現できることだと思っています。
このプロジェクトでは、人材育成や組織づくりを重視しながら、チームを拡大してきました。その過程では、リーダー一人ひとりの努力や現場での工夫に支えられてきた部分も少なくありません。
だからこそ今後は、これまで培ってきた考え方や仕組みをより体系化し、他のプロジェクトでも実践できる形にしていきたいと考えています。「この人についていきたい」と思われるリーダーが育ち、そのリーダーが次のリーダーを育てていく。そんな組織づくりを会社全体に広げていくことが、私たちの次の挑戦です。
※ 記載内容は2026年5月時点のものです
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