カナダへの留学、そしてブラジルの営業担当として学んだこと
──入社する前後のお話をお聞かせください。
学生時代は、バドミントンに打ち込むストイックな日々を過ごしていました。また、英語が好きで英語の教員免許も取得していたため、当時は真剣に英語教師になろうと考えていました。しかし、大学3年時のバンクーバーでの留学経験が、私の人生の方向を一変させたんです。
自分が好きなのは、英語の勉強そのものよりも、英語を通じて海外の方とコミュニケーションをとること。英語を誰かに教えるのではなく、英語でのコミュニケーションを通して社会に貢献したい。この経験を通じて、自分自身の可能性を見つめ直すきっかけになりました。留学をしていなかったら、私は今ここにはいないかもしれませんね。
教員という立場では私の願いは実現しにくいかなと感じ、一般企業で働くことを決心した私は、海外売上比率の高い2018年に統合前のアルパインに新卒入社しました。そして福島県のいわき市で社会人としてのスタートを切りました。
最初に経験したのは、海外の自動車関連のお客様に対してすでに受注しているプロジェクトへの要求事項を営業担当として応えていく仕事です。
印象深いエピソードとしては、当時受注していたプロジェクトが急遽お客様の都合でキャンセルとなり、それに伴う費用をお客様から回収するというミッション。社内の関係者の間を駆け回り、プロジェクト受注で発生した費用の情報をまとめて提出し、お客様へ費用をお支払いいただくために奔走しました。
想定外の仕事だったため、モチベーションとして少し苦しい部分もありましたが、自分の感情は二の次で、とにかく自分がやらなければ会社が損をしてしまうという一心で動いていました。結果として、費用を回収することができ、自身もとても良い経験になりました。右も左もわからなかった中でのミッション達成は、大きな成長の糧となったと自負しています。
それから、私は働く場所を福島県のいわき市から東京へと移し、転勤後に任されたのはブラジルの直販営業といわれる現地代理店への営業担当でした。
──ブラジル……。社員の中でも仕事で直接かかわる機会は珍しい国ですよね。
「まさか、地球の反対側にある国の担当になるなんて……」と思ったことを覚えています。しかし、誰かを介さずに直接営業活動をできる仕事は大変貴重なものでした。
それまでは、あくまで海外の現地社員がお客様とコミュニケーションを取る仕事が普通だったのですが、そこでは自分の言葉が100%お客様に届くという状況でした。
そして、ブラジルとの時差はなんと12時間!一日に1通のメールのやり取りが限界なんです。このメールはちゃんと通じるのか、相手が混乱するような言葉遣いはないか、何か聞き漏らしていないか。やり取りのチャンスが少ないからこそ、一つひとつのコミュニケーションがとても重要になることを学びました。
日本にいながら地球を駆け巡る~ブラジル直販からアメリカ現地法人支援への道~
──現在のお仕事内容について教えてください。
私は、今はアメリカを中心とした北米の現地法人を本社から支援しています。当社の製品には、車に組み込まれるコンポーネントがありますが、デトロイトの現地法人でもそちらを取り扱っています。私の役割は、その中で日本から支援を行い、現地の営業予算の達成へ貢献することが大きなミッションとなります。
支援というとイメージが持ちづらいかもしれませんが、日本の本社側とは時差と距離があるため、現地で対応しにくい部分が発生します。その状況の中で、彼ら、彼女らが寝ている間に別の国の工場担当者に話を通したり、それこそ日本国内の営業と開発部門側で決めなければならないこともあったり、やるべきことは多岐にわたります。
加えて、すべて日本側を通して話を進めるのではなく、可能な限り現地の社員だけで事業をまわせるような状態にしていくことも念頭に置かなければなりません。距離は離れていても、現地の社員視点で行動することが常に求められていますね。
アメリカでの現地法人サポートを任された当初は、正直寂しさを感じました。なぜなら、ブラジルの直販担当として直接お客様と対話できる仕事が本当に楽しかったからです。
今の仕事は、現地法人にフォーカスしたものなので、直接対外的なお客様へ直接コミュニケーションを取れる機会が少なくなりました。それが悪いというわけではないのですが、私は積極的に話してコミュニケーションを取ることが好きなのでジレンマを感じてしまい、その気持ちを上司にも正直に伝えました。
そのとき、上司は私の気持ちを理解してくれ、「将来的には今の仕事の経験を活かした上で、もっとガツガツやりとりをしていく仕事をアサインしたい」と伝えてくれました。こういった感情や想いをハッキリと伝え合えることができる関係性を築けていることに感謝しています。
自己と向き合う価値観~“自分ごと化”する仕事の姿勢~
──会社内ではとても活発な印象ですが、そこから離れたときはどうなるのでしょうか?
じつは、会社から離れたプライベートの時間はとても静かになります。仕事のときはスイッチが入れ替わり、オフのときは本当に一日ボーッとしていることも。どちらかというとエネルギーを内に向けるようになっているのかなと。
その意味で、ヨガやピラティス、そして瞑想する時間を設けることで自分と向き合う時間を大切にするようにしています。これらは、自分の心身のバランスを整えるのに役立っていると思っていて、たとえば、何も考えずに頭を空っぽにする時間を大切にしています。
また、繁忙期や困難な課題に直面しているときに自分の心を一旦クリアな状態にして、どうすれば課題解決できるか、真摯に向き合うこともあります。とくに、瞑想は誰にでもおすすめできるので、ぜひやってみてほしいですね。
現在は落ち着いてきていますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、私の生活が大きく変わりました。自分と向き合う時間が増えたことで、自身を見つめ直す時間が増えたんです。私はどういう価値観をもっていて、人生の方向性をどうしていきたいのかと。その結果、自分自身をもっと大切にして、私の心地よさと幸せを追求する重要性を認識しました。
これは持論ですが、自分自身がどういう状況に置かれているかを自覚することは、遠くにいる現地のチームメンバーがどう感じているかを理解する上でも重要だと思っています。距離の離れた彼ら、彼女らの心情を理解して、それを考えて対応することができるようになると、より生産的な仕事ができると感じています。
──仕事に対する価値観を教えてください。
私が心がけているのは、すべての出来事を「自分ごと化」することなんですよね。何か問題に直面したとき、それを自分自身のこととして感じ、それを解決するために自分がどう動けるかを真剣に考えています。
以前、仕事のモチベーションで悩んだときに、いろんな人に相談してみたんです。「私の仕事って、本当に意味があるのかな?」と。そんなとき、ある先輩から「“自分ごと化”してみなさい」という助言をもらったんです。それがきっかけで、私が担当している海外の現地法人をサポートする仕事がどれだけ大切なことなのかが、腹落ちして理解することができたと思います。
彼ら、彼女らが直面している課題について、同じ気持ちになって一緒に問題解決をめざすことが大切だということ。そうすることで、私自身も現地法人やそれ以外の生産拠点の関連部門とのコミュニケーションがスムーズになって、問題解決につながるんだと。
このマインドで仕事をしていると、現地のメンバーから信頼を得られたと思う場面が増えました。そして、今まで入ってこなかった現地のビジネス情報がどんどん入ってくるようになりました。
たとえば、「こんなビジネスがあって取りたいんだけど、価格がこれじゃ厳しい。もっと安くできない?」という声があったとき、私が「わかりました!あなたが寝ている間に工場側の担当と話してみるね」と提案して実行すると、現地の営業メンバーは楽になるんですよね。そして、それがうまくいったときに現地のメンバーから感謝されると、やって良かったと思うんです。
挑戦への想い~キャリアビジョンと心の奥に持ち続けていきたいこと~
──苅部さんから見て、アルプスアルパインはどんな会社ですか?
この会社は、とにかく「全力で取り組む」力が素晴らしいと思います。お客様の要求に対して、できる限りのことを尽くそうとする姿勢。それが、アルプスアルパインのDNAだと感じています。
私は、今後も当社でキャリアを積んでいくつもりです。とくに、このまま海外での仕事に関わることに強い想いがあります。現時点の夢は、いつか現地法人での駐在員として働き、さまざまな挑戦をしていきたいです。
私生活の面でも、再び海外に住むことに興味があります。自分が新たな環境にどれだけスムーズに適応できるのか、その中で仕事に対してどれだけ熱意を持てるのかを試してみたいです。
留学でバンクーバーに住んでいたときは、あくまで学ぶことが主な目的だったので、もし仮に駐在という形で住むとなると、やらなくてはいけない仕事は多くあると思いますし、そこに挑戦して自分がどう乗り越えていくかを想像するだけでとてもわくわくします。
個人的には、行く先はこれまで住んだことのない、関わったことのない地域が理想です。その点、現在欧州でもどんどん市場が大きくなっていくアジア圏においてもいろんな発見ができると思っています。
最後になりますが、これから当社で働き続けていく中で壁にぶつかったとしても、同じ目標に向かって働く仲間が多くいることを忘れずに乗り越えていきたいと思います。
※ 記載内容は2023年7月時点のものです
