『どう伝えるか』を学んだ学生時代が、いまにつながっている
工学部の材料工学科に所属していた学生時代は、勉学に取り組みつつ、家庭教師のアルバイトにも力を入れていました。最初は「どう伝えれば理解してもらえるのだろう」と悩むこともありましたが、次第に相手の目線に立って説明することの大切さを学びました。生徒が理解を深め、成績が上がったときの喜びは格別で、この経験は、その後の自分に大きな影響を与えています。
就職活動を始めた頃、愛知県の大学に通っていたこともあり、自動車業界に自然と関心を持つようになりました。研究室の先輩が自動車メーカーと共同研究をしていたり、教授がトヨタ中央研究所出身だったことも、私の関心に影響を与えたと思います。材料工学の知識を生かせる企業を軸に探していましたが、一方で「本当に専門が生きる場があるのだろうか」という不安もありました。
そんな中で出会ったのが、今の会社です。会社説明会に参加した際、技術者の先輩方がいきいきと働いている姿が印象的で、若手も活躍できる環境だと感じました。なかでも、説明会でお話を伺った先輩の明るさやエネルギーから、職場の雰囲気の良さが伝わってきたことを覚えています。さらに、重量物である自動車を止めるブレーキパッドがフェノール樹脂モールドで作られていると聞き、「樹脂で本当に成立するのか?」という純粋な好奇心が湧きました。材料工学を学んできた自分にとって、とても面白そうなテーマだと思い、この会社への入社を決めました。
“現象を解く”から“製品に生かす”へ
入社後は、安全に関する研修から始まりました。図面の書き方、ビジネスマナー、伝票処理、特許講習など、基礎的なことを一通り学びました。ブレーキの基本についても丁寧に教えていただきました。これらの研修を経て、研究開発部に配属されました。
研究開発部では、ブレーキ鳴きに関する基礎研究に取り組みました。5年ほど在籍しましたが、この期間は私にとって本当に貴重な経験でした。何より恵まれていたのは、上司の存在です。文章力やお客様への接し方など、一つひとつ丁寧に教えていただきました。その指導のもと、当時の上司や共同研究先の大学の先生方に支えていただきながら投稿した論文が、自動車技術会の浅原賞を受賞しました。
また、研究開発時代に取り組んでいたテーマを通じて、市場で起こっている問題を解決する一つの手法を見出すことができました。その考え方がブレーキパッドの配合に活用されたときは、本当にうれしかったですね。研究が製品化のフェーズに移るタイミングで、私も現在の部署へ異動することになりました。
チームを輝かせるリーダーへの転換、苦悩と成長の軌跡
現在はフリクション技術開発部でグループリーダーを務め、ブレーキパッドの配合設計とBCP支援対応を担当しています。
ブレーキパッドに求められる性能は一つではなく、ある性能を高めると別の性能に影響が出ることも少なくありません。だからこそ、狙うべき方向性を定め、関係者と認識をそろえながら最適なバランスを探ることが、この仕事の難しさであり面白さだと感じています。
入社当時は「自分の成果」を中心に考えていましたが、今はチームとして成果を出すことが何より重要です。メンバーが力を発揮できる環境を整え、判断の軸を共有することが、リーダーの役割だと実感しています。かつて上司にしてもらったように、メンバーを輝かせるリーダーを目指しています。
一方で、リーダーになりたての頃は、配合設計の知識も十分ではなく、分からないことが多くありました。判断が遅れたり、説明が曖昧になったりして、メンバーに余計な確認や手戻りを発生させてしまい、室長にも負担をかけてしまったと思います。
この経験から学んだのは、リーダーは何でも知っている必要はない一方で、「分からないことを分からないままにしない」責任があるということです。分からない点は早めに言語化して相談し、必要な情報を集めて共有する。その積み重ねが、チームが動きやすい状態をつくるのだと気づきました。
判断のスピードと精度を高め、チームの力を引き出す
短期的には、メンバーが前向きに働ける環境づくりに挑戦したいと考えています。管理職としての役割を担いながらも、技術とデータの勘所を押さえ、納得感のある判断ができるリーダーでありたい。それが私の目指す姿です。
現在の開発環境では、機械学習による配合推定などにより、開発サイクルの短縮は実現できています。中長期的には、その技術を土台に、よりよいものを迷わず、より早く世の中に出せるブレーキパッド開発を実現したいと考えています。データをもとに判断の軸を明確にし、品質に自信を持って前に進める開発を通じて、開発全体の競争力を高めていきたいです。
この会社の魅力は、何といっても職場の雰囲気の良さです。教育制度が充実しているだけでなく、時短制度や育休・産休制度も整っており、育児や介護と両立しながら働ける環境があります。だからこそ、安心してキャリアを積んでいけると実感しています。
これから一緒に働く仲間には、前向きに挑戦できる人、周囲への感謝を忘れない人に来ていただきたいです。そして、課題を放置せず、より良い未来につなげようとする意志を持つ人と一緒に仕事ができたらうれしいですね。
データを生かして組織をより良くしていくことは、決して一人では成し遂げられません。同じ志を持つ仲間と力を合わせながら、より良い職場をつくっていきたい。そして、技術とデータ、そしてビジネスをつなぐことで、お客様にも社員にも価値を届けられる存在になりたいと考えています。もし少しでも共感いただけたら、ぜひ一緒にこの挑戦に取り組みましょう。
