常に疑う心を持つこと──ベテランエンジニアとしての教訓
電気系の学校を卒業後、室井は総合家電メーカーの関連会社に新卒として入社し、30年以上にわたりエンジニアとしてモノづくりに携わってきました。 そして、50代前半で自身のキャリアを見つめ直し、アビストへの転職を決意。
現在は、第一東京支店の回路設計チームにて技術担当課長を務めています。
「現在、回路設計チームは4名で業務を行っています。業務内容は、主に自動車のLEDランプの点灯回路設計や制御回路の設計開発です。
プロジェクトの期間は1カ月から1年かかるものまでと幅広く、新製品から既存製品の部品置き換えの検討まで多岐にわたります。その他にも、設計してでき上がった製品が要求仕様を満たしているかの検証も行います。
私は、受注案件を進めながら若手の育成にも注力しています。今のチームは、メンバー同士がお互いに頼り合い、良いチームワークで働いています。まだ新しいチームですが、今後はメンバーを増やして受注案件を拡大し、チームを成長させていきたいと考えています」
業務を行う中で、室井は「常に疑う心を持つこと」を大事にしていると語ります。それは、前職の上司がよく口にしていたある言葉がきっかけだったと語ります。
「『信じるものは救われる』という一般的な言葉がありますが、前職の上司がよく口にしていたのは『信じるものは救われない、足元を掬われる』でした。エンジニアとして経験を積む中で、その言葉が実際に当てはまると感じました。
自分のアウトプットに対して『できたはず、間違っていないはず』という意識に陥らないことや、インプットされた情報を鵜呑みにせず『情報は間違っていないか、必要な情報はそろっているか』と確認することの大切さを痛感したんです。スキルや経験を積まなければ適切な判断は難しいですが、判断の根拠を常に疑問視し疑いを持ちながら業務に取り組んできました。
若手育成の際も、報告書や文書の確認は必ず行うように求め、間違いがあれば指摘しています。若手メンバーにも、疑いの視点を持つことの重要性を伝えています」
モノづくりの多彩な経験からの転身──選んだのは安定よりも挑戦
室井は、長きにわたる前職時代に、モノづくりの上流から下流までさまざまなプロセスを経験してきました。
「最初は、製造部署で修理エンジニアとしてキャリアをスタートしました。
その後、生産技術部署へ異動し、生産用治工具の設計に携わることに。機械設計を担当し、機械図面の作成方法や旋盤、フライス盤などの加工技術を習得し、他にもAV機器関連(DVDレコーダーなど)のEMC設計、テレビ受信ブロックの設計などを担当してきました。とくに、テレビ受信ブロックの設計では、ヨーロッパ向けのモデルを手掛け、年に2~3回ほどヨーロッパへ出張する機会もありました。
この仕事は10年ほど経験してきて苦労も多かったですが、やりがいのある仕事でしたね。ヨーロッパでは、フランスの大手量販店「FNAC」が各社の新製品を独自の基準で★で評価し、製品を陳列する棚の位置をその★の数で決定する文化があります。この評価は新製品の売り上げにも直結するため、自分が手掛けた製品が良い評価を受けた時はとても嬉しかったです。
また、異なる国籍やバックグラウンドを持つ人々とのコミュニケーションを図る機会があり、自身の成長にもつながったと感じています」
その後も、新規ビジネス担当や医療機器関連のプロジェクトに携わり、一般消費者向けの製品からBtoB向けの製品まで多くの経験を積んだ室井。そして、2021年2月にアビストに入社することになります。
「役職定年にさしかかるタイミングで、自分の将来におけるキャリアをあらためて考えました。
このまま前職にとどまって安定したキャリアを選ぶことも考えましたが、年齢的にもエンジニアとして活躍できる残りの年数も限られていると思ったんです。安定を求めるよりも、新しいことにチャレンジした方がこれからの人生がより充実するのではないかと考え、転職を決意しました。
転職活動では、設計開発エンジニアとしての仕事を中心に探していましたが、前職で経験がなかった自動車部品の設計開発業務ができるという点でアビストに魅力を感じ、入社を決めました」
アビストで働くおもしろさと難しさ──顧客ごとの柔軟な回路設計
室井は、回路設計チームの立ち上げにジョインする形でアビストでの業務をスタートしました。
「入社当初は、機械設計や解析関連の既存顧客に対して回路設計業務の受注をめざし、チームメンバーと営業活動を行っていました。同時に、当時は電気分野を専攻した新卒社員が不在だったため、少しでも回路設計の知識がある社員をチームに加え、育成をゼロから行っていました」
アビストでの業務は、お客様に合わせたさまざまな対応が求められるため、進め方に難しさを感じたと語ります。
「以前の職場では、会社のルールやスケジュールに合わせて開発を進めることが主でしたが、アビストでは製造業のお客様ごとの要求やルール、スケジュールに柔軟に対応しなければなりません。ここがおもしろくもあり、同時に難しいところでもあります。
電気部品の仕様基準は、お客様によって差があります。その基準を踏まえてどの部品を使用するのか、お客様の要望に応じてコストと品質(性能)のバランスを判断しながら進めなければなりません。
一般的によく目にする電子機器に内蔵される基板の例を挙げると、内部に組み込む部品の選定に際しては、求められる性能や機能を実現する回路と製品デザイン的なスペースの両立を考慮しなければなりません。回路から発生する熱の放熱効率を考慮すると、基板のサイズを大きくする必要がありますが、同時に製品全体の許容スペースに入るかどうかも検討しなければなりません。
お客様の要望を最大限に満たす設計を進める際に、トレードオフの関係が発生します。つまり、最適解を見つけるためにこうした判断が求められるんです。これが、設計開発におけるスキルを問う部分です」
しかし、この回路設計の業務も少しずつ成果が出始めたのを感じ、喜びもあると語ります。
「お客様一つひとつの要望に真摯に向き合ってきた成果が、お客様の会社内で実績として共有され、これまでお付き合いのなかった部署からも仕事の依頼をいただくことがありました。その際は、信頼関係を築けたことや自分の取り組みが認められたのだと、とても喜びを感じましたね」
自身のモノづくりの経験と知識を伝承──回路設計チームを大きくしていく
現在は小規模の回路設計チームですが、将来はチームの人数やビジネスの規模を拡大させたいと室井は熱を込めて語ります。
「人材面では、お客様の要求に応えられる人材を育成し、中途採用のキャリア採用も強化していきたいと考えています。新人教育にも力を入れ、技術力の高いチームを構築していく予定です。
業務面では、新規の受注案件を増やしつつ、お客様の要望に対して派遣や常駐での設計開発を提供しています。将来的には信頼関係を構築し、電気、機械、ソフトウェア、解析など製品全体の受託業務を自社で一括して行える体制を構築したいと考えています。
そうすることで、アビストが製品のあらゆる面で設計開発を提供できる会社へと成長することを期待しています」
室井自身としては、これまでのモノづくり全体の経験を回路設計のメンバーに積極的に伝えていきたいと語ります。
「チームメンバーに、自らの経験や知識をどう伝えていけるか考えながら、さらなる育成の強化を目標にしたいですね。モノづくり全体の知識を持つことが、設計開発エンジニアにとって非常に重要だと感じています。
将来、中途で入社する方々にも、このような幅広いモノづくりの知識を持った人材が入ってきてくれることを期待しています。中途入社する際は、環境が大きく変わることがありますが、その変化を積極的に受け入れて変化を楽しむことができる人と一緒に仕事ができると嬉しいですね」
アビストに入社した室井は、さまざまな課題に立ち向かいながらもその変化を楽しんでいます。自身のモノづくりの知識や経験をチームメンバーに伝え、いつまでも挑戦し続ける姿勢をアビストは応援しています。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです
