アオウミガメから商社へ――途上国への想いを抱いた学生時代
私は大学時代、人間科学部で野生動物保全管理学を専攻していました。卒業論文のテーマに選んだのはアオウミガメの保全です。研究のため小笠原諸島にしばらく滞在し、産卵行動について調査を続けました。熊本で生まれ育った私にとって、大学進学後の経験はすべてが新鮮で刺激的でした。島での研究生活も、そんな貴重な経験の一つです。
学業以外にも、幅広い活動に取り組んでいました。学園祭実行委員や野球サークルに加えて、とくに力を入れていたのが自然環境保全団体での活動です。代表として大学職員と協力しながら、地域の皆さまや子供たちに自然や生物と触れ合うことの魅力を伝えるイベントの企画・運営を行っていました。生き物や自然環境への関心は、こうした活動を通じてさらに深まっていったように思います。
大学3年次には、ベトナムでの植林ボランティア活動に参加しました。海外での長期滞在は初めての経験で、ベトナムという国の魅力に触れると同時に、さまざまな社会課題も目の当たりにしました。この経験は、自分のキャリアを考える上で大きな転機となりました。そして何より、大学の友人たちと国内外さまざまな場所へ旅行したことも、私の視野を広げてくれました。
就職活動では、抽象的ながらも「途上国の発展に貢献すること」を将来やりたいこととして掲げていました。この想いを実現するために、①実現可能性、②時間軸、③自身のらしさを活かせるか、という3つの軸で会社選びを進めました。インターンシップなどの経験を重ねる中で、総合商社、損害保険、通信インフラの3業界に関心を持つようになりました。
御社については、当時すでに「アフリカ」への取り組みが始まっており、「長期目線」「社会的意義の追及」という特徴を強く感じていました。また「現場主義」という価値観も印象的でした。就職活動でお世話になった先輩社員の皆さんは口を揃えて、「非自動車分野の強化」「業界上位UP」をめざしていると語っており、今後の変革が期待できる勢いのある会社だと感じました。
入社の決め手は、この会社なら自分のやりたいことが実現できる可能性が一番高いと思ったことです。会社規模は5大商社と比較すると小さいものの、一社員として働くことを考えたときに、自分の頑張りや実績が会社の成長に貢献できていることを実感しやすいと感じました。インターンシップ参加を通じて、どの商社よりも接点が多かったことも大きな理由です。この会社なら自分らしく働ける、自分のやりたいことの背中を押してくれると確信しました。
初期配属は人事部、そして多様なフィールドへの挑戦
入社後の研修を経て、私に通知された配属先は人事部でした。正直なところ、驚きとともに少し戸惑いもありました。就職活動では総合商社らしいダイナミックな仕事を想像していましたし、商社マンとして営業の最前線で活躍することをイメージしていたからです。しかし、この人事部での配属が、後の私のキャリアを形作る重要な基盤となったのです。
新卒採用担当として4年間、私は会社の未来を創る仕事に携わりました。採用戦略の立案から各施策の企画・実行、そして配属企画まで、幅広い業務を経験させていただきました。途中からは新卒採用リーダーを拝命し、責任ある立場で業務に取り組む機会をいただきました。この経験を通じて、豊田通商という会社の本質や価値観を深く理解することができましたし、何より「豊通の人」の素晴らしさを実感する日々でした。
その後、チャレンジローテーション制度を利用してエネルギーソリューション部へ異動しました。ここでは1年間、バイオガスに関する新規事業開発を担当し、営業の最前線を経験することができました。続いて、約2カ年の経済産業省資源エネルギー庁への出向という、きわめて貴重な機会をいただきました。民間企業とはまったく異なる政府の仕事に苦しみながらも、国際的なエネルギー・カーボンニュートラル動向や各国政府の考え方を学ぶことができました。
現在は豊通エネルギー株式会社の環境ソリューション部に出向し、国内発電所向けに固形バイオマス燃料の供給事業を担当しています。入社から8年間でさまざまな部署を経験してきましたが、とくに大きなギャップを感じることなく、むしろこの会社を選んでよかったと心から実感しています。それは会社の価値観や方針だけでなく、「豊通の人」が非常に良く、自分に合っているからだと思います。
バイオマス燃料トレーディングの最前線で直面する現実と成長
現在、私はグリーンインフラ本部カーボンニュートラルフューエル部と兼務で、豊通エネルギー株式会社の環境ソリューション部バイオマスグループに出向しています。部署のミッションは、バイオマス燃料をはじめとするカーボンニュートラル燃料の開発・供給を通じて、社会や顧客のカーボンニュートラルへの貢献を果たすことです。私自身は営業担当として、日本国内の石炭火力発電所やバイオマス発電所向けに、北米や東南アジアから調達したバイオマス燃料、具体的には木質ペレットやパーム椰子殻を供給する輸入トレーディング業務を担当しています。
2025年4月に着任してから、ようやく1カ年が経過しました。この仕事の特徴は、実績が分かりやすく見えることです。稼ぎが目に見える形で表れるため、さらなる事業拡大に向けて営業活動を強化していく手応えを感じています。ただし、日々の業務は華やかなものばかりではありません。むしろトラブルシューティングなどの地味な業務が多いというのが実情です。
トレーダーとして燃料サプライヤーと顧客である発電所の間に立つ立場にあるため、両社の利害関係をうまく調整することが求められます。契約書が非常に重要な役割を果たすことは間違いありませんが、すべてのことが契約書だけで解決できるわけではありません。日々、想定外のトラブルやイレギュラーな事態への対処に直面しています。この業務を通じて、私は学生時代と比べて大きく成長したと実感しています。とくに論理的思考力に加えて、情報処理能力や状況適応力といった柔軟性が飛躍的に向上しました。現場で起こる予期せぬ事態に対して、冷静に状況を分析し、最適な解決策を見出す力が着実に身についてきたと感じています。
エネルギーのトータルコーディネーターへ、そして故郷への貢献をめざして
短期的な目標として、私はまず自身の力で複数の新規商売を作り、組織を先導する商社パーソンになることをめざしています。商社パーソンとして価値を発揮するためには、自ら事業を立ち上げ、推進していく力が不可欠だと考えています。そのために日々、現場での経験を積み重ね、商売の感覚を磨いています。
中期的には、バイオマスに限らず、水素などさまざまなカーボンニュートラル燃料まで視野を広げて、燃料商材においてトータルコーディネートできる人材をめざしています。エネルギー業界は今、大きな転換期を迎えています。脱炭素社会の実現に向けて、多様な燃料オプションを組み合わせて最適なソリューションを提供できる人材が求められていると感じています。
さらに長期的には、燃料に限らず電力分野にも視野を広げ、エネルギー全体のトータルコーディネーターをめざします。そしてその先には、途上国への貢献を実感できる大きな商売を実現したいという夢があります。エネルギーは経済発展の基盤です。途上国の発展を支えるような事業に携わることで、社会に対してより大きなインパクトを与えたいと考えています。
また、並行して故郷熊本への貢献もめざしています。豊田通商のビジネスを通じて、転職、あるいは政治の世界など、関わり方はさまざまですが、より良いキャリア・手段を選択できるように、まずはエネルギー商材で知見を増やす予定です。
豊田通商は成長途上にあります。まだまだ業績拡大の可能性が大きい会社です。もちろん強みである自動車関連やアフリカ事業を延ばすことも大事ですが、次のステージに求められるのは非自動車分野だと感じています。豊田通商で活躍できるのは、利他の精神を持った人だと思います。そして夢を持って、豊通を使って実現したい人にこそ、ぜひジョインしてもらいたいです。この会社には、そうした志を持つ人が活躍できる環境が整っていると確信しています。

