「いつものでいいですか?」常連客との一言が描いた、就職活動の軸
学生時代、がむしゃらに取り組んでいたのはアルバイトです。引っ越しのバイトをメインにやっていました。体を動かしながら稼げるという点に惹かれて始めたのですが、やってみると単純な肉体労働ではありませんでした。引っ越し作業というのは、荷物の運び方や積み方の段取りをしっかり組まないと、効率が大幅に落ちてしまいます。いかに事前の準備と段取りが大切かを、身をもって学びました。
それ以上に大きかったのは、「相手が何を求めているかを先読みする」という意識が自然と身に付いたことです。社員の方が次に何を必要としているかを考えながら動くようにしていたら、仕事がどんどんスムーズになっていきました。この経験は、今の仕事にも確実に生きていると感じています。
アルバイトはほかにも、ラーメン屋、焼き肉屋、ピザーラのデリバリーなど、いくつか経験しました。振り返ってみると、そのすべてが一度きりの接客で完結するものばかりでした。そんな中でひとつ、忘れられない出来事があります。焼肉屋でのことです。常連のお客様が来店されたとき、いつも同じメニューを注文されることに気づいていたので、「いつものでいいですか?」と声をかけてみたんです。するとお客さまがとても喜んでくださって、その笑顔を見た自分もすごく嬉しくなりました。
その瞬間に「これだ」と思いました。お客さまのことを覚えていて、相手も自分のことを知っていてくれる。そういう関係性の中で仕事をしたいという気持ちが、就職活動の軸になりました。一回限りの関係ではなく、長くお付き合いを続けられる仕事を探そうと決めたんです。
就職先を探す中で、現在の会社のことを知りました。最初は「ノルマがきつそうだな」「休みはちゃんと取れるのかな」という不安が正直ありました。でも、選考の面接で当時人事を担当されていた方――もともと営業職のご経験があった方――が、包み隠さず本音で話してくださったことが転機になりました。「帰りは遅くなることもある」「ノルマはある(当時)」、でも「仕事を覚えてお客さまと仲良くなれば、数字は自然とついてくる」と。その言葉には妙な説得力があって、不安よりも「やってみたい」という気持ちの方が大きくなりました。
入社の決め手は、お客さまと長期的な関係を築ける仕事であることと、会社の規模やネームバリューがあることで営業活動がしやすいと感じたことです。知名度のある会社であれば、お客さまに初めてご挨拶する際の入り口がスムーズになる。それは営業職にとって大きなアドバンテージだと考えました。就職活動の軸と、現実的な働きやすさ。その両方が揃っていると感じて、入社を決めました。
接客の基礎から車の整備まで。「自分一人では何もできない」と気づいた入社後の日々
入社後、まず取り組んだのは社会人としての基本から学ぶ研修でした。お辞儀の仕方といった接客マナーをはじめ、車の構造に関する知識、そして実際に手を動かす整備研修まで、幅広い内容を一つ一つ身につけていきました。自動車を販売する仕事といえば「話して売る」だけのイメージを持つ方もいるかもしれませんが、車の仕組みや整備の基礎をしっかり理解してこそ、お客さまに正しい提案ができると、研修を通じて強く実感しました。
研修を終えてからは、ずっと営業職としてのキャリアを歩んでいます。入社当初の3〜4年間は、個人のお客さまにも法人のお客さまにも分け隔てなく、時間の許す限り外回りで新規開拓の訪問営業を続けていました。断られることも多く、決して楽な日々ではありませんでしたが、その経験が今の自分の土台になっていると感じています。
現在はお店への来店型のスタイルに変わり、点検や車検などでご入庫いただいたお客さまに対して、車の乗り替えをご提案する仕事が中心です。訪問営業とは異なり、すでに接点のあるお客さまと向き合う機会が多くなりました。スタイルは変わっても、「お客様のために何ができるか」という姿勢は変わっていません。
入社してから気づいた最大のギャップは、「自分一人では仕事がまったくできない」という現実でした。営業というと、個人の力で成果を出すイメージがあるかもしれません。しかし実際には、接客が重なってしまったときにお店の仲間がすぐにフォローしてくれたり、新車の受注から納車まで、整備・事務・管理など、さまざまな部署の方々が関わって一台の車をお客さまに届けてくれていたりと、チーム全体で仕事が成り立っています。
自分の名前で売っているように見えても、その裏には多くの人の力があります。周りに支えてもらいながら仕事ができているのだということを、今でも常に意識するようにしています。この気づきが、仕事への向き合い方を根本から変えてくれたように思います。
「点検のつもりが車を替えちゃった」が一番の営業成果だと思っている
現在、私が所属する部署のミッションは「町一番のお店作り」です。その中で私が担っているのは、お客さまの問題意識を丁寧に引き出し、それを解決へと導く営業の仕事です。チームの中での自分の役割をサッカーに例えると、フォワード。まず自分が数字をつくらないことにはチームの実績も上がらないし、周りのスタッフへの刺激にもならない。だからこそ、いかに数字を落とさないかを常に意識しています。
お客さまと向き合う際に大切にしているのは、「どんな使い方をされているか」「どんな困りごとがあるか」をとことん聞くことです。情報を集めるために、とにかくお客さまとお話しすることを心がけています。そのうえで、今後のカーライフにかかる費用と、車を乗り換えた場合にかかる費用を一緒にシミュレーションしながら、お乗り換えのご提案を行っています。
この仕事をしていて一番うれしい瞬間は、点検でご来店されたお客さまが、その場で車を替えることを決めてくださるときです。「点検のつもりで来たのに、なぜか車を変えちゃった」と言っていただける、あの瞬間こそが、営業として最大の成果だと思っています。実際に、点検でご来店のお客さまがお乗り換えを決めてくださることは、今でも多々あります。
特に印象に残っているエピソードとして、現金一括でのお支払いしか考えていなかったお客さまが、シミュレーションを通じてカーライフ全体のお金の流れを一緒に整理していくなかで、毎月のローン払いに切り替えるご決断をされたことがあります。「乗り換えるなら一括払いしかない」という固定観念が変わった瞬間を目の当たりにして、丁寧なご説明と対話がいかに大切かを改めて実感しました。
一方で、苦労することもあります。一日にこなしきれないほどの情報量や約束ごとが重なるときは、お客さまをお待たせしてしまうこともあります。そういったときに欠かせないのが、優先順位の判断です。期日があるものを先に対応するのはもちろん、お客さまの性格や状況も考慮しながら、瞬時に判断して動くことを繰り返しています。これが毎日続くのは正直大変ですが、だからこそ判断力が鍛えられていると感じています。
また、入社当初と比べて変わったと思うのは、お客さま一人ひとりの理解度を常に確認するようになったことです。人によって考え方も感じ方も違います。接客のちょっとした一言が大きな成果につながることもあれば、思わぬトラブルに発展することもある。長いお付き合いができるこの仕事だからこそ、お客さまのことを自分なりにしっかり把握しながら、信頼関係を積み重ねていくことを大切にしています。
「嘘をつかない」を貫き、後輩とお客さまに誠実であり続ける
今、私が短期的に取り組みたいと思っているのは、後輩たちに仕事のやりがいや楽しさをしっかり伝えていくことです。
具体的には、お客さまの快適なカーライフを提案する方法や、日々の業務の流れ、仕事の進め方といったことを丁寧に伝えていきたいと考えています。自分自身がこの仕事を通じて感じてきた「お客さまと長くお付き合いできることの喜び」、それをそのまま後輩にも感じてもらえたら嬉しいですね。
たとえば、「鮎澤さんに息子や娘の車を任せたい」と言ってくださるお客さまがいらっしゃったり、法人のお客さまが「会社の車を全部トヨタ車にする」と言ってくださったり、友人や知人を紹介してくださったり——そういった場面に立ち会うたびに、この仕事を選んで良かったと心から思います。自分の対応ひとつで、自分のファンになってくれるお客さまがいらっしゃる。それがこの仕事の大きな魅力だと、後輩にも伝えていきたいです。
中長期的には、お店のスタッフをまとめられるようなリーダー的な存在になることをめざしています。ただ、今の自分にはまだ業務面の知識や経験が不足していると感じていますし、日々の業務に追われて時間的な余裕が持ちにくいことも正直な課題です。そこを一つひとつ克服しながら、仲間から信頼されるリーダーに近づいていきたいと思っています。
仲間からの信頼という意味では、私がずっと大切にしていることがあります。それは「嘘をつかない」ということです。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、私にとっては大事な信念です。嘘をつかずに仕事をすることが、周りの仲間に信頼される一番の近道だと思っています。特別なスキルや実績がなくても、誠実に向き合い続けることで、チームの中での信頼は積み上げられると信じています。
これからこの会社に入ることを考えている方には、ぜひ「周りの仲間を思える人」に来てほしいと思っています。自分のことだけを考えるのではなく、チームの仲間のことを気にかけられる。そういうマインドを持った人は、きっとこの職場で活躍できますし、お客さまとの長いお付き合いの中でも本当の意味で信頼されていける人になれると思います。
お客さまと長く関わり、信頼を育てながら、仲間とともに成長していける環境がここにはあります。嘘をつかず、誠実に、そして仲間を大切に——その積み重ねが、きっと自分だけのキャリアをつくっていくと信じています。
