全体最適の視点と現場での対話。製品の出荷を判断する品質保証としての責任
現在、髙岡は静岡工場品質課に所属しています。品質課の役割は、単なる品質管理にとどまらず、製品の品質を確実なものとして保証することにあります。
「日々生産される製品が基準を満たしているか、毎日の会議や測定データ、記録などを通じて厳しく確認します。お客さまへ製品をお届けしてよいかを見極める重要な役割であり、万が一イレギュラーな数値や懸念事項が生じた際は、出荷停止や手直しの要否を的確に判断します」
現在、静岡工場品質課は7名体制で構成されています。担当ごとに工程が分かれているほか、出荷検査や菌検査を担うメンバーもいる中で、髙岡は大きく4つの業務を担当しています。
「1つめは、PETボトルの元となるプリフォームを作る『インジェクション工程』。2つめは、缶詰など食品用途に使われる金属缶『DR缶』の製造工程です。3つめは、洗剤などの詰め替え用パウチの注ぎ口をヒートシールする『FP工程』。そして4つめが、グループ会社から仕入れた缶製品について、お客さまへ提供する際の品質を管理する業務です」
これらに加え、現在はライン立ち上げに伴う測定や確認も担当しています。
「多岐にわたる製品を並行して扱うため、他部署との連携は欠かせません。毎朝の工程検討会で前日の生産状況や品質データを確認し、製造課と密に連携して出荷のジャッジを下し、午後からは現場へ出向き、メンバーと積極的にコミュニケーションを取っています。日々計画は立てますが、突発的な問い合わせや現場対応を優先するため、柔軟な対応が求められる仕事です」
予測不可能な業務の中で、髙岡が大切にしている価値観は大きく2つあります。まず、「客観的な視点と広い視野」を持つことです。
「品質課の判断は出荷の可否に直結するため、非常に大きな責任を伴います。製品の状態を見極める際は、原理原則に基づきつつ、一歩引いて客観的な視点を持つことが重要です。
たとえば、少しでもイレギュラーな事象が起きた際に、原因を見極めることなく一律ですべてを出荷停止にしてしまえば、不良品のリスクはなくなりますが、それでは本来問題のない製品までロスになり、現場の負担も増大してしまいます。
品質を最優先に守りつつ、コスト面や会社全体の利益、現場の負担も考慮し、全体最適の視点でバランスを見つけ出しながら判断を下すようにしています」
もう1つが、「現場との直接的なコミュニケーション」です。
「わからないことや現場で確認すべきことがあれば、自ら足を運んで担当者と直接話すようにしています。現場の状況を正しく理解し、自分自身が納得した上で判断を下すことが何より大切です。そうすることで自然と関係性も深まりますし、品質課として円滑に業務を進めることができます」
現場の最前線で痛感したプロの責任。情報収集の徹底が品質保証の基盤へとつながる
水産高校を卒業後、食品系の短大へ進学した髙岡。そこは、東洋製罐の創業者である髙碕 達之助氏によって建てられた学校であり、校内にも東洋製罐の関係者が多くいたため、話を身近に聞ける環境だったことが、東洋製罐への興味を持つきっかけだったと振り返ります。
「話を聞く中で、技術に誇りを持つ社員から多くのことを学びつつ、多様なメンバーと協調しながら働ける社風にも魅力を感じました。また、強固な事業基盤のもと、福利厚生が充実しており、社員を大切にする意識も強い印象でした。働きやすい環境が整っている点も決め手の一つです」
こうして2014年に東洋製罐に入社し、九州の基山工場で品質保証の仕事をスタートした髙岡。同年、会社としては新たな容器を複数工場で立ち上げるプロジェクトがあり、顧客先でのテスト・検証作業にアサインされます。
「当初は経験豊富な先輩と、販売、設備、品質の3部門で同行していました。しかし、テストの拠点が2カ所に分かれたタイミングで、私が1人で品質担当として現場へ向かうことになりました。
現場での作業自体は滞りなく進められたものの、お客さまからの専門的なご質問に対し、即座に的確な回答ができず、自身の力不足を痛感する場面がありました。社内では若手としてフォローしてもらえる環境にありましたが、外に出れば『東洋製罐の品質のプロフェッショナル』として見られます。発言一つひとつに責任が伴うことを肌で感じました」
この経験を通じて、「東洋製罐の品質課という看板を背負っている以上、容器や製品の豊富な知識と経験を蓄え、お客さまと信頼関係を築くための対話力が必要だと痛感した」と振り返ります。
「普段から先輩が『情報や知識を多く持っておくことが的確な判断につながる』と徹底して情報収集を行っていた理由も、社内での的確な報告や連携はもちろん、いざという時にお客さまに納得していただける根拠を持つためだったのだと腑に落ちました」
トラブルゼロから仕組みづくりへ。現場と本社の架け橋として見出す、新たなやりがい
基山工場でさまざまな経験を積んだ後、2020年4月に静岡工場へ異動となります。新たな環境での変化をどのように捉えていたのでしょうか。
「基山工場と現在の静岡工場では扱う製品が異なるため、ルールやお客さまの要望、独自の文化も変わってきます。しかし、製品が変わっても『品質保証の考え方』という根本の軸は同じです。製品ごとの違いを尊重しつつも、品質保証としての確固たる基準を持ち、各部門の間を取り持つよう意識しています」
一方で、新たな経験を重ねる場面もあると言います。
「静岡工場では販売の窓口が本社になるため、お客さまから品質に関するお問い合わせをいただいた際、本社から返答をするよりも、静岡工場から私たちが直接向かった方が迅速に対応できるケースがあります。品質課のメンバーが主体となって迅速な対応でお客さまの課題解決に貢献できるのは、静岡工場ならではのやりがいです」
こうした経験を経て、現在の仕事の魅力や成長を感じる部分も変化してきたと話します。
「品質トラブルがゼロであることは品質部門として非常に嬉しいことです。現在はそれに加えて、現場の作業負担を軽減することや、生産性の向上につながる仕組みづくりにも大きなやりがいを感じています。たとえば、検査機の設定を最適化し、製品のロスを削減するための改善策などを、日々製造課と協議しながら進めています」
髙岡は、現場に近いという強みを活かし、現場の状況を肌で感じ取り、本社や開発部門と連携して規格や仕組みをアップデートする「架け橋」の役割に喜びを見出しています。
「『これまでこうやってきたから』という過去のやり方を踏襲するだけでなく、『まずは新しい方法を試してみよう』という視点を持つことが大切です。現場の状況を客観的に見つめ直し、より良い仕組みに変えていくことで、会社全体の進化に貢献できると考えています」
対話を通じて仕事の楽しさを次世代へ。日常に溶け込む容器づくりで感じる誇り
現場と本社をつなぐ架け橋へと成長した髙岡は、自身の今後の展望を次のように見据えています。
「これから後輩が増えていく中で、チームを牽引する立場として育成に注力していきたいと考えています。ただ業務を任せるのではなく、何のためにその作業を行うのか、目的や背景まで丁寧に伝えることで、仕事の楽しさを感じながら前向きに取り組めるようサポートしていきたいです。
また、上司に対しては求められる情報を先回りして準備し、チームの潤滑油として皆をサポートしながら、客観的に物事を見る視点はこれからもブレずに持ち続けたいと思っています」
そんな髙岡が考える東洋製罐に合う人はどんな人なのでしょうか。
「コミュニケーション能力がある人ですね。東洋製罐はものづくりの会社であり、さまざまな人と対話し、経験を知識に変えていく力が求められます。突出した技術の有無に関わらず、周囲としっかり連携し、一致団結して仕事に向き合える人が活躍できる環境です。
また、オンとオフのメリハリをつけ、プライベートも充実させながら、和気あいあいとコミュニケーションが取れる方も合うと思いますよ」
最後に、髙岡が日々実感しているという「東洋製罐で働く魅力」について、次のように締めくくりました。
「自分が携わった容器が世の中に出回り、多くの人々の手に渡っていること。それが容器メーカーならではの魅力です。苦労して立ち上げた新製品が店頭に並んでいたり、テレビCMで紹介されていたりするのを見た瞬間は、言葉にできないほどのやりがいを感じます。東洋製罐だからこそ味わえる、ものづくりの醍醐味がありますね」
現場に足を運び、「品質と生産性」の最適解を追い求めてきた約10年間。その日々を糧に、髙岡はこれからも東洋製罐の確かな品質を支えていくでしょう。
※ 記載内容は2026年3月時点のものです
