設備の安定稼働を支える、工務の現場。協力会社との対話で築く信頼関係
現在、中村が所属する生産管理課工務グループは12名のメンバーで構成されています。グループ内には工務、電気、設計、鉄工といった機能が存在しますが、実際の業務は担当の垣根を越えて柔軟に進められます。中村自身も「工務」と「電気」の知見を掛け合わせ、幅広い領域をカバーしています。
「私の担当業務は、製缶ラインの設備保守や保全、そして近隣のグループ会社の建物管理や受変電設備の保守など多岐にわたります。工場では、設計や鉄工などの専任担当が細かく分かれているわけではありません。そのため、12名のメンバーで手分けをし、一人ひとりが複数の役割を担う必要があります。
私の場合は、設備のトラブル対応はもちろんですが、老朽化した設備の計画的な更新など、突発的な事象と中長期的な計画の両輪を回していくのが役割です」
担当領域が広く多忙な現場において、中村が仕事をする上で最も大切にしている価値観があります。それは、共に現場を支える「協力会社」とのパートナーシップです。
「以前、先輩から教わった言葉があります。現場で共に汗を流す協力会社こそが、困った時に頼りになる存在である、と。私はその教えを胸に、協力会社とのパートナーシップを何よりも大切にしています。
私自身、すべての専門知識を持っているわけではありません。だからこそ、一方的に指示を出すのではなく、専門家である彼らに教えを請いながら、双方向のコミュニケーションを通じて一緒に最適解を模索するようにしています」
恥ずかしがらずに聞き、学び、相手を尊重する。その実直な姿勢が、円滑な現場運営の土台となっています。
化学メーカーからの転身と技術の拡張。工場を越えた連携が生む知見
前職では化学メーカーの工場で、電気設備の保守エンジニアとして働いていた中村。転職活動の際、エージェントを通じて東洋製罐に出会い、入社を決めました。その決め手となったのは、扱う製品の「身近さ」でした。
「前職では素材を扱っていたため、自分が作ったものが世の中でどう使われているのか実感しづらい部分がありました。しかし、東洋製罐が作る缶やPETボトルは、コンビニやスーパーで毎日目にするものです。『これを作っているんだ』と家族や友人に説明できるわかりやすさと、生活に不可欠なインフラを支えるおもしろさに惹かれました」
入社後、中村を待っていたのは技術者としての守備範囲の劇的な広がりでした。
「入社して驚いたのは、電気ひとつとっても、その担当領域が非常に広いことです。一般的に電気設備というと、高圧電気や制御(プログラム)などで担当が分かれていることが多いのですが、ここではそのすべてに関わることができます。
私は高圧電気の経験はありましたが、設備の動きを制御するプログラム分野は未経験でした。ここに来て初めて触れる技術も多く、必要に迫られて学びながら、技術の幅を広げていきました」
その後、広島工場での新製缶ラインの立ち上げ応援や、他工場への支援など、拠点を越えてさまざまなプロジェクトに参加。多様な設備や異なる工場の文化に触れることは、中村にとって大きな財産となりました。
「PETボトル、缶、そして中身を詰める充填設備まで。素材も製法もまったく異なる設備に、横断的に関わることができるのはこの仕事の醍醐味です。
また、広島工場での立ち上げなど、他工場のメンバーと一緒に汗を流したことで、工場間のネットワークが強固になりました。今では基山工場でトラブルがあった際も、他工場の担当者に事例や対処法を気軽に相談できる関係ができています。工場を飛び越えて知見を共有し合える環境は、技術者として非常に心強いですね」
混沌としたプロジェクトを乗り越えて。属人化からの脱却と仕組みづくり
中村のキャリアにおいて、自身の成長の糧となったプロジェクトが2つあります。1つは入社5年目、PETボトルラインを移設するプロジェクト。そしてもう1つが、3社共同出資による新会社「TOYO PACK KIYAMA(以下、TPK)」の立ち上げです。
「移設では、決められた予算の中でいかに工事を完遂するかという課題に向き合いました。予算という制約がある以上、すべての要望をそのまま通すことはできません。そこで諦めるのではなく、視点を変えて『そもそもこの壁は本当に作る必要があるのか』『別の方法で機能を満たせないか』といった検討を重ねました。協力会社とも知恵を出し合いながら、品質を落とさずにコストを抑える方法を模索し、形にしていきました」
続くTPKの立ち上げは、東洋製罐だけでなく、パートナー企業も含めた3社での共同事業。それぞれの強みや視点をすり合わせ、1つのゴールをめざすプロセスには、既存事業とは異なる丁寧な調整力が求められました。
「既存の協力会社だけでは手が足りないほどの大規模な工事だったため、初めて依頼する協力会社にも多く参加してもらうことになり、工場のルールや設備の場所を一から説明する必要がありました。
費用面や工期の調整など、各所の要望のまとめ役として板挟みになることもありましたが、一つひとつ丁寧に説明し、コミュニケーションを密に取ることで信頼関係を築き、プロジェクトを前に進めていきました」
こうした経験を経て、中堅社員となった中村の心境には大きな変化が生まれています。それは「自分がやったほうが早い」というプレイヤー視点からの脱却です。
「私が入社した頃はベテランの方が多かったのですが、近年は若いメンバーが増えてきました。かつてはトラブルがあれば自分で走って直していましたが、ふと気づいたんです。『自分がすぐに解決してしまうと、後輩たちが経験を積む機会を奪ってしまうのではないか』と。それでは組織として強くなりませんし、いつまでたっても技術が継承されません」
その気づきから、中村は今、あえて一歩引き、誰がやっても同じ品質で業務ができる仕組み化や標準化を推進しています。
「属人化していた業務を見直し、誰でも迷わずに作業ができるような環境づくりに注力しています。私は見守り、後輩に任せる。そして彼らが失敗しそうになったらサポートする。そうやってチーム全体の底上げを図ることが、今の私のミッションだと感じています。
また、基山工場に導入されているフレックス制度を率先して活用し、チーム全体に広めるなど、働きやすい環境づくりにも力を入れています」
仕事を楽しみ、変化を恐れない。次世代と共に創る新しい工務の姿
入社から約10年。化学メーカーから転身し、東洋製罐の工務として確かなキャリアを築いてきた中村は、今後の目標について力強く語ります。
「この工場にある、あらゆる設備について深く理解している存在になりたいと考えています。特定の機械だけ詳しいのではなく、電気も機械も、廃水処理も、どの設備について聞かれてもきちんと説明できる。そんなプロフェッショナルでありたいです。
そして、その知識を自分だけで抱え込むのではなく、後輩たちと教え合い、共有しながら、チーム全員で工場の安定稼働を支えていきたいと考えています」
これから工務部門に加わる仲間に向けて、人生の多くの時間を費やす仕事だからこそ、楽しむというマインドを持ってほしいと中村は言います。
「人生において仕事をしている時間は長いですから、苦しい時があっても、基本的には楽しみながら仕事に向き合ってほしいです。今の基山工場のチームには、自然とそういう明るい雰囲気があると思います。
実際、業務だけでなくプライベートでも仲が良くて、若手メンバーと課長が一緒に10kmのマラソン大会に出場したこともあります。そういった風通しの良い関係性の中で、一緒に前向きに仕事ができればうれしいです」
もちろん仕事である以上、大変な局面も訪れます。しかし中村は、現場に足を運ぶことで見えてくるおもしろさがあると語ります。
「現場に出て、機械の動きを知り、製造担当者や協力会社と対話を重ねることで、見えてくる改善点や発見があります。課題を見つけたら、改善できるところから着手していく。デジタルの力も借りながら、より働きやすく、より効率的な職場を自分たちの手で作っていく。そんな前向きな変化を、これから入ってくる方と一緒に楽しみたいですね」
触れる技術の幅広さにおもしろさを感じ、社内外の多くの人と関わりながら、今は次世代のために働きやすい環境を整える。中村の歩みは、東洋製罐というフィールドが、技術者として知識を深め、人として視野を広げられる場所であることを、等身大に伝えています。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです
