品質管理の鍵となるのは、部門を超えたコミュニケーション
椎橋が籍を置くのは豊橋工場 品質課。その業務範囲は多岐にわたります。
「工場の生産状況の確認や、生産する製品を検査して、品質に問題がないか確認することが品質課の主な業務です。出荷判定会議を毎日実施し、前日の生産状況や製品サンプルを製造課のメンバーと共に確認しながら、製品の出荷判定を行っています。
不良品が出てしまった場合に、その原因を究明し再発防止のための対策を講じるのもわれわれの仕事です。豊橋工場ではフィルムパウチを製造しており、印刷、ラミネート、製袋などの工程に分けられますが、その中で私はフィルムを袋状に成型する製袋工程を担当し、工程内で起きる問題の対応に当たっています。
また、新製品の立ち上げに参加することもあります。開発部門で事前にテスト機での試験を行っておりますが、製造ラインで生産して初めて見えてくる課題も少なくありません。品質課でもテストを実施するなど、開発段階での品質確認を行っています」
また品質課では、営業担当を通じて寄せられる顧客からの要望や困り事に対応することも。
「たとえば『使用するフィルムの組み合わせを変更してこんな性質を持たせることはできないか』といった相談や問い合わせをよくいただきます。技術的に難易度が高い場合は開発部門で対応しますが、品質課でも普段の業務で培った知見や技術を活かし、試作品の作製や評価、お客様への提案を行っています」
製造や開発部門だけでなく、生産の予定を組み立てる部門など他部門と連携しながら仕事を進めることが多いと言う椎橋。品質課の窓口役として、相手目線のコミュニケーションに努めてきました。
「工場内では機械化が進んでいますが、実際に機械を動かすのは人です。生産を円滑に進めるためには、意思疎通をうまく図ることがとても重要だと感じています。
以前、試作品をつくった際、こちらの意図がうまく相手に伝わらず、想定とまったく違うものができあがったことがありました。自分にとっての当たり前が誰かにとっての当たり前でないことを意識して、図に落とし込むなど相手が理解しやすいような伝え方を心がけています」
一方、製袋工程に携わるようになって4年。経験豊富なメンバーのひとりとして、椎橋はチーム内のコミュニケーションにも力を入れてきました。
「下は20代から上は50代まで、チームにはさまざまな世代のメンバーが在籍しています。私はどちらかというと若い部類ですが、他工程から製袋工程の担当に移ってきたメンバーもいるため、慣れない年上のメンバーから技術的な相談を受けることも最近は増えてきました。そうやって自分がこれまで培ってきた知見を積極的に共有することが、課全体の成長につながると考えています」
上司や先輩社員から学んだ社内外とのコミュニケーションの作法が糧に
大学と大学院では化学を専攻して高分子材料の研究に携わった椎橋。プラスチック材料の製造に関わるメーカーを志しますが、最終的に東洋製罐への就職を決めた背景にはこんな想いがありました。
「日々の生活の役に立つような製品をつくりたいと思っていたんです。就職活動中はプラスチック材料を手がけるメーカーを中心に見ていましたが、食べ物や飲み物、生活用品など、私たちにとって身近な容器を製造しているところに惹かれ、当社を選びました。
また、選考の過程で社員の人柄に魅力を感じたことも入社を決めた理由のひとつです。面接では堅苦しい雰囲気になりがちですが、私の緊張を和らげようと面接官が笑顔で応対してくれたことが印象に残っています」
入社後、実習を兼ねて椎橋が配属されたのは製造課。生産現場についての知識がなかったことから、当初は戸惑う場面も多かったと振り返ります。
「機械を整備したり、材料を準備したりするのが製造課の主な仕事だと考えていたので、人とコミュニケーションする機会がとても多いことに驚きました。とくに苦労したのが、こちらの意図を正確に相手に伝えること。認識に齟齬を起こさないためにはどのような指示を出すべきかを考えることになるとは夢にも思っていませんでした」
そんな椎橋の支えになったのが上司や先輩社員たち。その背中を懸命に追いかけながら成長してきました。
「お客様への対応の仕方など、入社して間もないころは先輩の振る舞いを見て多くを学ばせてもらいました。たとえば、品質不良が発生した際、迷惑をおかけしたお客様に誠意をもって接するのはもちろんですが、生産上の便宜などの理由から、どうしても譲れないこともあります。双方にとって納得のいく落とし所を探るプロセスなど、交渉の場に立ち会う中で学んだことはいまも糧になっています。
また品質課に移ってからは、製造課との関係構築の面で多くを学びました。とくに印象的だったのが、どんなに忙しくても、製品の検査や評価など製造課から寄せられた相談に対して上司が真摯に受け答えしていたこと。信頼関係をつくるのは、そうした日々の行動の積み重ねです。こちらが製造課を頼る場面も多いので、私も思いやりのある対応を普段から心がけています」
新製品開発の品質改善の旗振り役に。問題解決への道のりで得た確かな手ごたえ
品質課での業務の中で椎橋がとくに記憶に残っていると話すのが、新製品の立ち上げに携わったときのこと。入社して3年目の出来事でした。
「それまでほとんど前例がなかったシャンプーの詰め替え用パウチの開発に参加しました。シャンプーは化粧品に分類される商品。機能性だけでなく高いデザイン性も重視されます。とても特殊な形状をしていることから、さまざまな問題に直面しました。
たとえば、開発部門で検証したときはうまくいったのですが、実際に製造ラインで生産してみると、搬送中にトラブルが起きてしまって。製品の外観に大きなダメージがあり、そのままでは出荷できない状態でした。
そこで、私が取りまとめ役となって製造課と共に状況を調べて原因を究明。開発部門とも相談を繰り返すことで最終的に問題解決に至り、期限内に納品することができました。パウチが商品としてドラッグストアの店舗に並んでいるのを見た時の達成感はいまでも忘れられません」
もともとは開発職を志望していたこともあり、新製品開発を成功させたことに確かな手ごたえを感じた椎橋。品質課の仕事に大きなやりがいを感じながら取り組めていると話します。
「そのパウチ開発は、まさに入社前に自分が思い描いていた仕事。品質課では日々の生産管理以外に、そうやって新製品の立ち上げに関わる機会もありますし、お客様とのやり取りも楽しいと思えるようになりました。いまは品質課の仕事にとても満足しています」
後進に託すバトン。豊橋工場が受け継いできた伝統を、未来へ
品質課に配属されて約5年半が経過し、メンバーをリードする課の中心的存在へと成長した椎橋。自身の将来をこう展望します。
「現在は製袋工程を担当していますが、その前工程に当たる印刷やラミネート工程が原因で起こる不良も多くあると感じています。他工程のことを理解できていれば、工場として抱えている問題に対していまよりもずっと早く原因究明に辿り着けるはず。品質課で学ぶべきことはまだまだたくさんあると思っています。
ただスペシャリストとして品質課の仕事をきわめたいと考えている一方、開発部門に挑戦したい気持ちもあって。また、パウチに限らず缶やペットボトルなど、チャンスがあればほかの容器にも取り組んでみたいです」
気がつけば、2023年で入社7年目。これまで前向きに仕事と向き合ってこられたのは、品質課そして豊橋工場の仲間に支えられてきたからこそだと椎橋は強調します。
「出身が千葉なので、入社のタイミングで引越して寮に入りました。寮には地元や家族から離れてひとりで暮らす人が多いのですが、年齢の近い先輩社員が積極的に声をかけてくれたおかげで、新しい環境にすぐ馴染むことができました。
また、仕事終わりにはよく飲みに連れていってもらいましたし、休日には野球部の一員として職場の皆と草野球を楽しんだり、ゴルフのイベントに参加したりと、年齢が離れた先輩社員たちとも社外で交流する機会が多くありました。
工場内には年齢に関係なくフラットな付き合いができる風通しの良い雰囲気があり、オンオフ問わず周囲に支えられていまがあると思っています」
そしていまや中堅社員として後進を育成する立場となった椎橋。後輩に目をかける豊橋工場の良き文化を、次の世代へと引き継いでいくつもりです。
「上司や先輩社員に質問したり悩みを相談したりするたびに、誠実に対応してもらった記憶があります。仕事上でサポートするのはもちろんですが、一緒に食事に出かけるなどしながら、仕事、プライベートに関係なく、大事な仲間のひとりとして、自分がしてもらったのと同じように真心を持って後輩たちに接してあげたいですね」
先輩社員から受け継いだものを、今度は自分の手で後輩たちのもとへ。仲間との絆が、これからも椎橋の成長を支え、新しい挑戦へと導きます。
※ 記載内容は2023年12月時点のものです
