職人への憧れから──溶接現場で実感した基礎知識の重要性
幼いころは我が強くて、自分のやりたいことはぐずりながらも、大抵のことは通してきました。そして夢中になると、一つのことに没頭する子どもだったと髙浦は振り返ります。
「小学校低学年くらいまではとくに工作が好きでした。夢中になると時間を忘れてしまい、夕方になってもお風呂に入らずに怒られながら作り続けていた記憶があります。
中学時代はテニス部にとりあえず入部してみたのですが、実際にやってみるとすごくハマってしまって。練習は大変でしたが、試合で勝てた時の喜びが一番大きく、負けず嫌いな性格もあってどんどん強くなれるように、休みの日も練習に励みました」
高校時代には、アルバイトを通して働く責任感と、仕事に取り組む職人に対する憧れが芽生えました。
「高校1年生の時から近所の飲食店でアルバイトを始め、週3、4回ほど働いていました。初めての仕事を通じて今まで経験したことのない広い世界が見え、お給料をもらうことで責任感を持って仕事に取り組むようになりました。
また、そのころから将来の仕事についても考え始めました。アルバイトしていた和食屋で板前さんの仕事ぶりを見て職人の素晴らしさに気づき、一つのことを極める専門職に憧れを持ったんですね。これをきっかけに、さまざまな職業に興味を持つようになったんです」
高校卒業後は溶接関係の会社に就職し、働き始めた髙浦。身についたことや学んだことがあったと言います。
「溶接関係の仕事を2社経験し、1社目は工場などにある配管(水、酸素、ガスなど)を修理したり、新しく作ったり、そういう溶接がメインだったんですが、2社目は工場内で、建物の鋼管杭を製造する工程に携わりました。具体的には、厚みの異なるパイプを溶接でつないだり付随する部品を溶接したりする作業ですね。
1社目の時も、2社目の時も製鉄所内に溶接の仕事で行ったことがあって、当時から製鉄所がどんなところかは知っていました。
溶接の仕事は細かい作業が多く、図面を見たり作成したりする必要がありました。そこで、学生時代に勉強した三角関数などの基礎知識が実際の仕事で役立つことを実感したんです。
単に物を作るだけでなく、長さや角度を合わせるためにも最低限の知識は必要で、図面を理解するためにも学生時代の勉強が重要だと身に染みて感じました。この経験から、何事も仕事をする上で基礎が大事だということを強く認識しました」
家族を守るため──日鉄テックスエンジでの安定したキャリアに惹かれて
溶接の仕事を通じて、基礎知識の重要性や、安全、品質に対する心構えなどを学んだ髙浦。
一方、私生活では結婚をして家庭を築きました。家族ができたことで、安定した収入を得られ長く働けるような仕事を髙浦は求めるようになります。
「インターネットで求人を探したり知人に相談したりしながら、さまざまな選択肢を検討しました。その中で、以前の職場の知人が日鉄テックスエンジの社員として働いていて、その方は生産事業部に所属し、現場から管理職へ昇進した経験を持っていました。
そこで、経験談を聞いて日鉄テックスエンジが大きな会社で福利厚生がしっかりしており、長期的な視点で見ても安定した職場環境だとわかり、入社を決意しました」
日鉄テックスエンジに入社後、髙浦は製鉄所構内の天井クレーンの予想以上の大きさに驚きます。
「よく道路とかで見かけるクレーンは『移動式クレーン』で、そのイメージしかなかったので、自分が扱うことになる『天井クレーン』が思っていたよりも規模が大きくて驚きましたね。
5トン以上の吊荷を扱うクレーンには免許が必要なため、すぐに天井クレーンの免許取得のための勉強を始めました。実際に乗ってみると、見た時とは違う怖さがあるもののとても感動したのを覚えています。
そのほかに必要なフォークリフトの運転や玉掛けの技能、ガスの取り扱いなどの資格は事前に取得していたため、天井クレーンの免許取得後は主に現場で実践的な指導を受けました。
細かく決められたルールや手順を覚えることは大変でしたが、空き時間に手順書を確認したり、実際に作業しながら頭の中で手順を確認したり、少しずつ覚えていきました。
研修では、現在作業長を務めている先輩の指導がとくに印象に残っています。新人の意見をしっかり聞いた上で納得できる回答を返してくれる点が素晴らしいと思いました。
わからないことがあれば一つひとつ聞くことができる環境で、先輩が実際にやって見せてくれたり口頭で説明してくれたりとさまざまな方法で教えてくれました。このような先輩の姿勢は、現在も見習っています」
研修後は、生産事業部 君津生産部 製鋼課に配属となり、日本製鉄東日本製鉄所 君津地区第2製鋼工場でクレーン運転業務に従事します。
「クレーン運転業務ですが、入社直後は2CCと3CC(NO.2とNO.3の連続鋳造設備)の搬送部門を担当しました。連続鋳造設備は製鉄所の重要な工程の一つで、溶けた鋼を連続的に固めて半製品であるスラブを作る過程です。
現在は6CC(NO.6の連続鋳造設備)の搬送部門で働いています。主な業務は、90トンクレーン(天井クレーン)と11トンクレーンを操作し、スラブ(鉄の大きな直方体の塊)の運搬と疵(きず)の検査の作業も学んでいる段階です。
スラブは高温のため、設備にぶつけたりスラブを落としたりしないよう、クレーンの操作は細心の注意を払っています」
小さな成功体験の積み重ね──やりがいを生む目標設定で、難しい疵検査に挑む
髙浦が日鉄テックスエンジに入社して5年。印象に残っている出来事があると言います。
「スラブに異常が発生したときのことです。通常と違う形状のスラブが流れてきて、生産ラインの操業全体に関わる問題となりました。クレーンでつかむ際に形状が違うため落下のリスクが高く、普段以上に慎重な作業が求められました。
いつもと同じ条件でつかんでいいのか、同じスピードで動かしていいのか。初めての経験で先輩からの指示を受けながら対応しましたが、その時の先輩の指示の出し方が冷静で迅速だったことにとても感銘を受けました」
この経験を通じて、異常事態の対応や安全管理の重要性を学ぶとともに、さまざまな可能性を自分で想定し、先を見越して考えることを前よりも意識するようになりました。
「たとえば、ほかの作業との兼ね合いを考慮してクレーンを動かす最適なタイミングを予測する。そういった予測が当たり、作業がスムーズに進んだ時には達成感を感じます。このような小さな成功体験の積み重ねが、仕事のやりがいにつながっています」
仕事をする上でさらにやりがいを増やしていくため、心がけていることがあります。
「これまでいろいろな仕事を経験してきましたが、どんな仕事でも自分で目標を持って取り組むことが大切だと感じています。小さな目標でも、一日の中で『これを目標にしよう』と決めるだけで達成感を味わえます。この考え方は、現在の仕事でもモチベーションを保つために活かされています。
現在は、疵検査の学習中で、仕事の合間に教えてもらえる時間を自分で見つけては学ばせてもらっています。疵検査は他の工程よりも作業内容が複雑で、疵を発見した場合、その後の工程への指示を出す役割も担います。これは生産や物流の流れにも影響してくるため、早めに連絡を入れて必要な対応を素早く取る必要があるためです。
さらには、疵検査より前の工程で異常が発生している可能性もあるため、そちらへの連絡も必要な場合があり、疵検査を担う人は現場の指揮を取る立場にもなります。重要な工程となるため、目標を設定してそこに向かって努力する過程が、私にとっては仕事のおもしろさにつながっているんです」
働きがいと福利厚生の充実した職場で、現場と上層部をつなぐ未来を描く
日鉄テックスエンジに入社後、2回職場が変わっている髙浦。似た作業でも職場によって違いがあり、職場ごとに新しい知識が必要になるものの、働きがいのある職場だと語ります。
「ルールは似ていますが、作業の手順や優先順位が職場ごとに異なります。他の職場との兼ね合いも考慮しながら全体を見て動く必要があり、細かな違いが多くあります。
しかし、基本的にはスラブを扱う職場。職場を越えて共通する部分も多く、以前の経験を生かして自分で判断し提案できているのでやりがいがあります」
また、福利厚生がしっかりしている職場環境で実際に働いてみて、あらためてその良さを実感しています。
「子どもが生まれた時や幼稚園の行事などで休みを取りやすく、突発的な子どもの病気などでも休みの調整をしてくれるのでとても助かっています。周りの人たちもさまざまな福利厚生を利用しているのを聞きます。
職場の雰囲気も良く、みんな話しやすく明るい感じです。冗談を言いながらも、やるときはやるというメリハリのある働き方ができ、とても働きやすい職場だと感じています」
未経験者でも入社後やっていける環境だと髙浦は胸を張り、このようなメッセージを送ります。
「職場によって作業内容は異なりますが、事業の幅が広いので入社後に合わないと感じても他部署への移動を希望することができます。そのため、選択肢の幅が広く、自分に合った仕事を見つけやすい環境だと言えます。
会社全体として新人や未経験者をサポートする体制が整っているので、高校卒業後すぐに入社しても徐々に仕事に慣れていけるはずです。
三交代勤務は、慣れれば思ったほど大変ではありません。夜型の人であれば夜勤も苦にならず、私の場合は1カ月程度で生活リズムに慣れました。
平日に休みが取れて、時間の使い方の自由度が高いのが魅力ですね。さらに、交代手当や深夜手当など、給与面でのメリットもあります。若い人ほど三交代勤務に適応しやすいので、稼ぎたい人にはおすすめですよ」
最後に、日鉄テックスエンジで描く将来像について話します。
「将来的には責任者や管理職になりたいです。相手の理解度や経験に合わせて、どこまで説明すべきかを考えた上で指示を出す先輩の姿勢には憧れを感じ、めざすべき目標です。実際に、紹介してもらった方が現場から管理職に上がっているので、自分も負けていられません。
仕事はチームで連携しながら進めるので、指揮を取る立場の判断が重要。判断一つで作業の流れが大きく変わることもあるため、そういった重要な役割を担えるようになりたいですね」
めざす姿は、現場に寄り添い、現場の声を上層部に確実に届けること。人の気持ちや感情面も大切にしながら、現場と上層部をつなぐ役割を果たしていきたいと、髙浦は目を輝かせて言葉に力を込めます。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
