航空機の事故発生時に空港を守る化学消防車。さまざまな付加価値をお客様に訴求
防災開発部 空港特殊車輛グループの部長を務める古澤。現在は3名のメンバーを率いています。
「国内の空港や防衛省の基地に対して、航空機の事故が起きたときに活躍する化学消防車の販売とアフターサポートを担当しています」
空港特殊車輛グループでは案件に携わる期間が長いのが特徴です。受注してから納品するまで約2年の歳月を要することも。
「受注後、図面や計算書を提出して仕様の打ち合わせを行い、海外から車輛が入荷するまでに1年間かかり、そこから国内法規に合わせた追加工事を行い、検査を経てお客様に納品するまでに、さらに1年間必要です」
納入実績の豊富さを強みに、顧客から選ばれ続けてきた帝国繊維。中でも最近とくに好評だと言うのが、同社が取り扱うオーストリアのローゼンバウアー社の化学消防車です。
「従来の化学消防車は、鉄板を張り付けたような角張ったフォルムが一般的でした。一方、ローゼンバウアー社の化学消防車にはデザイナーのこだわりが反映されており、丸みを帯びたスタイリッシュなデザインが特長。スタイリッシュなフォルムは多くのお客様から支持いただいています」
放水時の水量などに代表される消防性能は、国際民間航空条約(ICAO)によって定められているため、差はほとんどありません。だからこそ、さまざまな角度からお客様に訴求する必要があると古澤は言います。
「車内で消防隊が防火衣に着替えることが多いので、広い運転席が喜ばれます。また、荷物を置けるスペースが広いこと、クリーンなエンジンを積んでいることも、お客様から評価されるポイント。さまざまな付加価値をわかりやすいように伝えて、訴求しています」
海外の現場で身につけた、異文化を受け入れ、粘り強く仕事に臨む姿勢
2006年に帝国繊維に入社した古澤。大学時代は地震の研究に打ち込んでいました。
「防災に携わる仕事を探している中で、帝国繊維を知りました。ものをつくるメーカーとしての機能と、良い商品を仕入れて販売する商社としての機能の両方を兼ね備えているところに魅力的に感じて入社を決めました」
入社後、古澤はホースグループに配属され、帝国繊維の基幹産業である消防用ホースに携わります。販売会社とやりとりする中で調整力を身につけたのち、当時の市場開発グループに異動し、大容量泡放射システムの販売を担当。その後、ふたたびホースグループを経て、2011年7月に現在の部署に着任します。
しばらく海外商材を調査・輸入し、顧客に提案する仕事に就いていましたが、2016年から化学消防車の担当に。最近では海外出張する機会も多いと言います。
「海外の工場を視察した上で決めたいというお客様を連れて、オーストリアやフランス、ドイツへ視察に行ったこともあります。英語は苦手ですが、お客様を案内するのが私の役目。念入りに事前準備をして臨みました」
英語がまったく通じなかったフランスの消防では、ローゼンバウアー社の営業担当者がフランス語を英語に訳し、それを古澤が日本語に訳してお客様に説明する場面も。そうやって数々の現場をこなす中で成長を重ねてきました。
「言葉ではうまく伝えられず、皆で絵を描きながらイメージを共有したこともありました。意思の疎通が思うように図れないときでも、それぞれの意見を集約し、粘り強く話し合い、合意形成へと導く力が身についたと思います」
また、海外と日本とでは文化も気質も異なります。違いを受け止めた上で、古澤は柔軟な対応を心がけてきました。
「きちんとした性格の日本人と比べると、海外の人には大雑把なところがあります。たとえば、日本の道路交通法や車両運送法に合わせた細かいカスタマイズを現地のメーカーに依頼しても、理解が及ばす、未対応のときも。そんなときは国内であらためて工事を行うようにしています。
そんな事情はお客様には関係のないことですから、納期や性能に関するリクエストに確実に応えられるよう、私たちがハンドリングして製品のクオリティを保つようにしています」
資料の見せ方ひとつにも手を抜かない。後悔がないよう、できることを全力で
空港特殊車輛グループで経験したことの中で、とくに古澤の印象に残っていることがあります。
「開業以来、初めて化学消防車を複数台入れ替えるタイミングで当社を選んでいただいたことがありました。もともと、その空港には当社の車輛が1台しか運用されていませんでしたが、『アフターサービス体制も整っており帝国繊維が取り扱っているローゼンバウアー社の化学消防車も候補に』とお客様からお声がけをいただいたのです。
期待に応えようと車輛の性能や当社ならではの強みをお伝えしたところ、2019年に4台の受注をいただけることに。その実績を足がかりに、近隣空港でも3台も導入していただき、一気にシェアを伸ばすことができました」
こうした案件は、偶発的に獲得できるものではありません。
化学消防車の買い替えは15年に1度だけ。納入後もどれだけ継続的に空港担当者と接点を持てるかがきわめて重要です。
「消防関係でわからないことがあったとき、真っ先に思い出して相談いただける関係性ができていれば、おのずと更新のタイミングで声をかけていただけると思っています。定期的に訪問してお話をしたり、プライベートで食事したりしながら、地道にお客様との関係性を築いてきました」
顧客から選ばれるためには細部の工夫も怠りません。資料ひとつをつくる際にも、構成だけでなく見た目のわかりやすさにまでこだわってつくり込むと言う古澤に「できることをやり切る」姿勢が身についたのは、海外商材を販売していたときのある経験がきっかけでした。
「当時は、除染剤や仮設のコンテナハウス、工事現場にある鉄板の代わりになる敷板などを海外から輸入して販売しましたが、思うような成果を出せていませんでした。
いまになって振り返ると、もっと自分にできたことや工夫の余地があったかもと思います。その反省を胸に、案件を獲得するために、できることはすべてやるつもりで取り組んでいます。最終的には金額が決め手になることもありますが、当社にしかできないことを伝えたり、思いつくことは全部試したりするのはもちろん、担当者の方と信頼関係を築くことも大切にしてきました」
部下の育成や他部署、他グループとの連携にも意欲的に取り組む
2023年でキャリア18年目を迎える古澤。経験を重ねるにつれて視野を広げてきたことで、いまでは他部署と顧客とをつなぐ役割も果たすようになってきました。
「たとえば、防火衣は別のグループが販売しているので、お客様に最新の防火衣を案内して興味を持っていただけたら、そのグループのメンバーに声をかけるという具合です。また、消防車の訓練をする際に使う消火薬剤のニーズをお客様が持っているとわかれば、販売会社を紹介します。
自分の成果にはならなくても、グループ全体としての売上があがったり、次の案件につながったりすればそれでいいという考えで仕事をするようになりました」
自分のグループのことだけでなく、他グループとの連携にも目を向けるようになってきたと言います。
「ひとつのグループだけでできることは限られています。他グループと協力したり、知恵を借りたりすることが欠かせません。車両の整備士が所属する、アフターサービスを手がけている部署との連携はとくに重要なので、月例会議を設けて不具合の情報を共有したり、課題に対する解決策をブレインストーミングのようなかたちで話し合ったりしています」
グループに新入社員を迎え、古澤は部下の育成にも奮闘しています。
「自分が新人のころは、『背中を見て学べ』という雰囲気がありましたが、時代も社風も変わりました。現在は共有フォルダに提案書や情報を格納し、積極的にノウハウを共有しています。
ただ、一度にたくさんの情報を渡しても消化しきれないもの。一緒に案件に取り組みながら場面に合わせて、『この情報を参考にするといいよ』と適宜渡していければと思っています」
部長としてマネージャーの役割も果たす古澤ですが、今後も最前線で顧客と向き合う営業としてキャリアを重ねていくつもりです。
「『古澤さんに聞けばなんでもわかるし、わからなくても誰かを紹介してくれる』とお客様から信頼される存在になりたいと思っています。自分の存在価値を認めてくれる人が増えるような仕事を重ねていけたらいいですね」
入社して18年が経過したいまも、社内の雰囲気に魅力を感じていると言う古澤。新しい仲間に向けてこんな言葉を送ります。
「役職者を『さん』付けで呼んだり、先輩が気軽に声をかけてくれたりと、温かくてフラットな社風があるのが帝国繊維です。資格を持っていなくても、英語が話せなくても構いません。わからないことを素直にわからないと言える人、明るくて人とコミュニケーションを取ることが好きな人と相性が良いと思いますね」
「できることはすべてやる」という姿勢を貫き、顧客の信頼を獲得してきた古澤。
最前線で顧客と向き合いながら、これまで培ってきたノウハウを惜しみなく後輩に与えたり、顧客を他の社員へつないだり、その視線は周囲へと向けられています。
そのゆるぎない精神とともに、周囲を巻き込みながら、帝国繊維のさらなる飛躍に尽力していきます。
※ 記載内容は2023年12月時点のものです

