多発する豪雨の被害。水害を最小限に抑えるために、活躍するハイドロサブシステム
山下が所属するのは、防災統括部の送排水システムグループ市場開発チーム。遠距離大量送排水システム「ハイドロサブシステム」(以下、ハイドロサブ)を各自治体や民間企業に勧めています。
「ハイドロサブは、災害時などに消火用水を大量に送水することはもちろんのこと、洪水や水没箇所から大量に排水することもできます。ここ数年、ゲリラ豪雨や大型台風などで町中が浸水してしまうケースが多々ありますが、弊社のハイドロサブは1km以上先まで排水できるんですよ。排水先が近隣にないという自治体様のニーズにも合致するかと思います」
国内トップクラスの実績を誇るテイセンですが、新規開拓の営業は容易ではないと山下は語ります。
「消防団や消防車両の分野においてはどの自治体でもよく知っていただいているのですが、下水道課や道路整備課など土木関連の部署では社名は通用しません。
コロナ前に立ち上がった、まだ歴史が浅い事業なので、本当にゼロからのスタート。最初の1、2年はかなり大変でした。でもここ最近は、少しずつですが確実に実績につながりはじめていて、私を含めた排水担当のチームメンバー6名全員が手ごたえを感じているところです」
今年に入ってからも豪雨の被害が多発する中で、はやくもテイセンのハイドロサブが役立った事例が報告されています。
「たとえば福岡の自治体様には、すぐに納品即稼働ができる弊社のハイドロサブを導入いただき、その後、危惧していた集中豪雨が起こりましたが、住宅街の方に浸水することなく、被害を最小限に食い止めることができたと聞いています。排水機場などの施設を整備するには時間もお金もかかりますが、今すぐにでも対策を行わなければならない、という自治体様には最適なシステムとなっています」
山下自身が新規開拓をして、成約に至った例も。小型ポンプを半年以上かけて紹介、提案し、先日納入が決まりました。
「あまり水害が起こらない自治体様だったのですが、いつ必要になるかわからないので……と粘って商品の良さをお伝えしていました。商品のすばらしさをわかってもらえたことが嬉しかったですし、なにより諦めずに営業することの大切さも実感できましたね」
実は山下は、営業をする一方で、カタログや販促用の資料、見積書等の作成を行う営業事務も行っています。兼務は大変ですが、両方携わっているからこそのメリットも。
「自分で作った資料を持ってお客様に説明するので、どういう見え方だと相手に響くかが現場で如実にわかります。
排水部門は日本全国の自治体を対象としていて、かつ、いつ豪雨が起こるかわからない緊急性があるため、東日本と西日本にあるグループ会社と連携しながら営業活動を行っています。そのため台風・豪雨後にどのような浸水被害があったか自治体ごとの水害情報をまとめていますが、それをできるだけスピーディーに、タイムラグがないように両販社と共有し、メールなどにもすぐにレスポンスするよう心がけています。
これも、自分が営業活動をしているからこそスピードが大事であると、気づけたことかもしれません。兼務のメリットは大きいですね」
やりたかった営業職へ。新しい発見と学びの連続で、いまが一番濃い毎日
大学時代は外国語を学び、新卒でプレス機械のメンテナンスを行う会社に入社。海外営業部で輸出入業務に携わっていた山下は、その後国立大学に転職し、英語科共同研究室の秘書業務に携わりました。
「諸事情があって実家に帰らなくてはいけなかったのですが、どうしても英語を使って仕事がしたいという思いがあり、活かせる場所を探した結果、大学だったというのが背景です。
数年して実家の方も落ち着き、もう一度ビジネスの世界に戻って、できれば貿易関連の仕事ができたら……と思っていた矢先、テイセンの募集を見つけました。実家の近くに工場があったので昔から知っており、親近感がありましたし、『国の安全を守る』『防災減災』というミッションがすごくすてきだなと感じたので、面接に応募しました」
テイセン入社後は、防災開発部で輸入業務を担当。その後、経営企画部にて有価証券報告書の作成を担当していましたが、2020年4月、入社3年目で現在の部署に異動になりました。英語を活かす仕事から一転、営業職へとシフトしたきっかけはある人物から声をかけられたからです。
「自分の中で、営業をやってみたいという気持ちは正直ありました。ただ周囲には話していなかったんです。そんな中で当社の相談役が声をかけてくれたんです。社内でとくに勢いのある部署だから、市場開発チームで力をつけてみなさいと。
輸入業務に関わっていたので会社の商材のことはある程度理解していましたから、ハイドロサブの営業にも活かせるだろうという見立てがあったのかもしれませんね」
新しい分野である営業に来た山下は、上司をはじめチームメンバーと共に外回りを行い、営業のノウハウや交渉の秘訣、相手との話の仕方などを肌で学ぶ日々を送りました。
「正直、今の部署が一番濃い日々を送っていると感じていて、毎日が学びの連続です。優秀な先輩方が多く、とくに部長はまさに“切り込み隊長”。市場開発という名にふさわしく、常に日本中を飛びまわり、最前線で新規開拓に挑んでいます。
部長は営業スタイルを確立されていて、自然な話の流れの中で価格のことなど大事なポイントは必ず抑えています。まだまだ私は戸惑ってしまうので、はやく会得したいです」
雑談をきっかけに盛大な見学会に発展。製品への理解と信頼関係の構築に役立つ
営業は毎日が学びと挑戦だと言う山下。これまでに印象的だったエピソードについて、ある自治体との雑談から生まれた出来事について語ります。
「お客様との雑談の中で、新工場が竣工したことを話すと、『テイセンの新工場をぜひ見てみたい』と言ってくださったことをきっかけに、そこから話が広がって、最終的に70名近くの方が見学に来てくださったんです。消防団の方だけでなく、市長さんもお越しいただき驚きましたね。
製品への理解だけでなく、なにより帝国繊維という会社のことを知ってもらえて、より信頼いただけたのではないかと思います。当社にとっても、実際にお客様が喜んでいる姿を目の当たりにでき、どんな点に反応しているかも実感できたので、社員各自のモチベーションアップにつながりました。
今回の大人数の見学会もそうですが、新しい分野を開拓しているチームのため、『これをやってみたい』『あの自治体にアプローチしてみたい』と思ったら、上司も応援、協力してくれます。これは大きなやりがいになっていますね。
あとは、長い歴史の中でメーカーとして確固たる地位を築き上げてきた一方で、世界各国から新しい商材を持ってくる商社としての一面もあります。この二面性がテイセンのおもしろいところ。商社として得たニーズを商材に反映できる点もやりがいがあります。私自身も新しい分野をお客様にアピールしていくことが、本当に楽しいです」
そんなアピールのひとつとして、山下が担当しているチームでは、ここ最近毎月のようにデモンストレーションを行っています。
「ハイドロサブ1台で、河川から排水する様子の実演会を行っているのですが、皆さんものすごく驚かれますね。水量が目に見えて減っていき、『1台でこんなに排水できるんだ!』って。この驚きの体験が、当社の製品の信頼と安心につながっていけばと願っています」
自分なりのスタイルを確立。テイセンの女性営業を導く存在をめざす
いまや、当社防災部門における女性営業の第一人者となった山下。今後の展望をたずねると、「テイセンに女性営業が増えていってほしい」と熱く語ります。
「本当にやりがいがあり、楽しく、働きやすいので、女性の営業仲間が増えるといいですね。現在私は兼務している状況なのですが、とにかく営業が楽しいから、もう少し営業職の方に重きを置いていきたいです。
最初は戸惑いもあったのですが、お客様からは初対面でもあまり警戒されず、すぐに打ち解けてくださる印象があって女性ならではのメリットを感じています。周りに男性が多いからこそ名前を憶えてもらいやすいですし、女性が少ないことを柔軟に活かし、自分の強みに変えていける仕事だと思います」
今後の課題としては、もう少し専門的な製品知識をつけたいと山下。
「私が文系なので、専門的な技術の話は正直苦手な部分もあるのですが……。ただ、社内にはプロフェッショナルが揃っていますので、困ったことがあればすぐに教えてもらえる環境です。オフィスには100名くらいいるのですが、ワンフロアなので、おたがいに顔と名前、どんな案件で動いているかもだいたい把握しているので。私が何に困っているのか、どう説明したいかを汲んでくださって、的確に教えてくださる方ばかりです。
今後は、マーケティングについても勉強したいです。当社は専門でやっている部署がなく、営業個人でマーケティングについても行っているので、その力をつけていきたいと思っています」
お客様の反応を直に感じながら、テイセンの良さを伝えていくことが心底楽しいと語る山下。きっかけは予期せぬ異動でしたが、結果的に営業職という天職に出会えた山下は、水を得た魚のようにキラキラと輝いています。彼女の真摯な営業活動をきっかけに、今後ハイドロサブを導入する自治体が増えていき、日本の水害防止の大きな布石となってくれることでしょう。
※ 記載内容は2023年12月時点のものです

