同じ企業内で異なる職種や部署を経験できるジョブローテーション制度。複数の仕事を経験することで、自分自身に合った職種に出会えたり、新しいスキルを得られたりすることから、就職活動において、ジョブローテーション制度のある企業を選ぶという方も少なくありません。
ジョブローテーション制度といっても、新入社員研修の一環として数週間〜数カ月単位でローテーションするものから、人材育成の一環として年単位でローテーションするものもあります。
本記事では、こうしたジョブローテーション制度のメリットとデメリット、ジョブローテーションを経験した人の声をご紹介します。
ジョブローテーションのメリットは?
ジョブローテーションを経験するメリットとしては、次のようなメリットが考えられます。
・同じ企業でさまざまな部署や職種を経験できる
新しい職種に経験したい場合、転職をしてチャレンジすることもできますが、ジョブローテーション制度を利用することで、転職することなく他の職種にチャレンジすることができます。また、新しい業務に取り組むことで、新鮮な気持ちで仕事に取り組め、モチベーション向上につながることもあります。
・自分に合った仕事に出会える
さまざまな職種や業務を経験することで、自分に適した仕事に出会える可能性があります。
・企業内で幅広い人脈をつくることができる
異動先によって、関わるステークホルダーが異なります。ジョブローテーションを重ねることで、企業内のさまざまなところに人脈をつくることができます。
・ゼネラリストを目指せる
複数の職種や業務を経験することで、さまざまなスキルや知見を得ることができ、ゼネラリスト人材をめざすことも可能です。
・多角的な視点を持つことができる
同じ企業に所属していても、部署や職種によって物事を見る視点や見える範囲は変わるものです。複数のポジションを経験することで、多角的な視点をもって業務に当たることができます。
・業務の属人化を防ぐことができる
長年同じ業務を担当していると特定の業務が属人化してしまう可能性もあります。定期的に人材が異動することを見据えた運用をすることで、業務の属人化を防ぐことも可能です。
ジョブローテーションのデメリットは?
メリットも多い一方で、デメリットとして捉えられることもあります。
・所属期間/担当期間が短い
同じ業務を担当する期間が短いことで、専門性を身につけにくいというケースもあります。しかし、ジョブローテーションで自分に合った職種などに出会った後に、専門性を極めることも可能でしょう。
また、自分自身やチームメンバーがジョブローテーションで異動になった場合、業務が一時的に中断してしまう可能性もあります。
・異動先で新たなスキル/知識を学ぶ必要がある
異動前と関連する業務や、職種が同じ場合それまでのスキルを十分に活かすこともできますが、異なる場合は新たなスキルを得たり情報をキャッチアップしたりする必要があり、一時的に生産性が下がってしまう可能性もあります。また指導する側としても教育・トレーニングの工数がかかってしまうこともあります。
ジョブローテーション経験者の実体験
ここでは、ジョブローテーションを経験した方の声をご紹介します。
※掲載内容は記事公開当時のものです。
▶︎NRIセキュアテクノロジーズ株式会社
事業内容:コンサルティング事業、DXセキュリティ事業、マネージドセキュリティサービス事業、ソフトウェア事業
・仕事内容:ID認証周りのナレッジやアプリケーション開発スキルを活かした業務に従事
・ジョブローテーションを経験してみて:
出水さん 「NRIセキュアの組織体制は、世の中のセキュリティニーズに合わせて部門編成や人員配置が素早く見直されていると感じます。前職と比較しても高い頻度でジョブローテーションを経験しましたが、その時々の顧客ニーズにマッチする最先端の知識・技術に常に触れることができ、充実したキャリアを積めていると感じます」
→ストーリー:セキュリティはさまざまな技術の集合体。クリエイティビティが求められるエンジニアとは?
▶︎株式会社エスプール
事業内容:人材派遣/人材アウトソーシングサービス、障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、セールスサポートサービス、採用支援アウトソーシングサービス、広域行政BPOサービス、プロフェッショナル人材バンク、環境経営支援サービス、台湾向け越境ECサービス
・仕事内容:新規事業開発担当として、新規サービスの開発・提案を担当
・ジョブローテーションを経験してみて:
ジョブローテの難しさと、それによる伸び率。それを体現するようなキャリアを歩んできた平野さんではあるが、それは積極的な姿勢があってこそだと考えている。
平野さん 「ジョブローテすることそのものがいいというよりは、与えられた環境で成果を出し、またさらに難易度が高い仕事にチャレンジして成果を出すというのが仕事の楽しさだと思います。
また、ジョブローテを『今がダメだったら次の部署があるから』という保険だと思ってほしくない。配属部署で短期間に実績を残していくのが Gコース社員のあるべき姿であり、実績を残せばそれだけチャンスがたくさん巡り早く出世もできる。私はこれからももっと成果を出していくための覚悟がありますし、そういう人と一緒に働きたいですね!」
→ストーリー:「成果を出して、社長になる!」“周りの目が気になる少女”だった4年目社員の挑戦
▶︎東洋製罐株式会社
事業内容:製缶・製蓋機械や飲料充填設備などの製造販売、飲料充填品・エアゾール製品・一般充填品(液充填製品)の受託製造販売、貨物自動車運送業や倉庫業など
・仕事内容:テクニカルセンター設備技術開発部制御グループに所属し、若手を育成しながら、上層部とのパイプ役も果たす副主査として業務に携わる
・ジョブローテーションを経験してみて:
脇坂さんは入社後、3年間は開発本部(現・テクニカルセンター)に在籍。大学時代に身に付けた知識や技術を活かせたことから、苦手意識もなく業務を受け入れることができたといいます。その後2年間は、ジョブローテーションの一環として、東洋製罐の広島工場に勤務します。広島工場での経験は、これまでの業務と異なり苦労することもありましたが、それ以上に得るものも大きかったと語ります。
脇坂さん 「広島工場での仕事は、開発本部の業務とは大きく異なりました。工務課の電気係に務めることになり、設備の保守やメンテナンス、修理を担当するなど“設計する側”から“使う側”になったわけです。
最初は苦労したものの、日常的に設備を間近で見て、触れて、知識や経験が増えていった点が非常に良かったですね。出張だけではできない経験もあり、気づきも多かったです。この経験をきっかけに、現場で求められる仕様や、使いやすさについて意識できるようになったのは大きな収穫です」
→ストーリー:容器の製造設備をイチから設計──わが子に誇れる仕事と感動が原動力に
▶︎日本郵船株式会社
事業内容:ライナー&ロジスティクス事業(定期船事業、航空運送事業、物流事業)、不定期専用船事業、その他事業(不動産業、その他の事業)
・仕事内容:主計グループ決算統轄チームで活躍
・ジョブローテーションを経験してみて:
乗田さん 「ジョブローテーションは賛否両論ですが、日本郵船は上の年次になってもまったく違う分野から新しい部署に配属されるからこそ、下にも話を聞く風土ができるのだと思います。そして、ジョブローテーションがあるから、チームの中で自分の存在意義を探しながら、それに応えていこうと思えるのだと思っています」
→ストーリー:自分なりの価値を発揮して“組織に埋もれない”──存在意義を生み続ける原動力とは
▶︎富士通株式会社
事業内容:テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューション
・仕事内容:ミッションクリティカルサービス事業本部に所属
・ジョブローテーションを経験してみて:
小島さん 「これまで仕事に対して持っていた考え方を、いったんリセットするいい機会になりました。新しい仕事を前にして、どんなふうに仕事に取り組んでいけばよいかと考える中で、『自分のスキルってこうだよね』と、スキルを棚卸しすることにもつながったと思っています。
また、チャレンジすることに対するハードルが、すごく下がりました。これまで、外の部署の仕事を経験することにはかなりの抵抗感があったんですが、新しいスキルを身につけ、キャリアの可能性を広げていく上で、知らない世界に飛び込んでみるのは良い機会になると肌で感じました。この先、興味の向くところが出てきたら、積極的にチャレンジしたいですね」
→ストーリー:仕事観を変えた3カ月間。Jobチャレ‼で広がる自分と組織の可能性
新しい部署への異動や、新たな業務は自分自身にとってもある程度の負荷がかかるものです。しかし、その分新たなスキルや知見を得ることで、キャリアアップやスキルアップのきっかけにすることもできます。
経験のない部署への異動などはジョブローテーション制度以外にも、社内公募制度や有志のプロジェクトなどに参加することでも実現は可能です。多様な部署や業務を経験してみたいという方は、そういった切り口で企業を調べてみるのも良いかもしれません。
