新卒で入社し、実際に働き出してみると、入社前には見えなかった部分や実際に仕事をしてみて感じることが、誰しもあるものです。たとえば、入社前に感じていた印象とのギャップや、想定していたこととのギャップ。これらのギャップが良い効果をもたらすこともあれば、逆の効果をもたらすこともあります。
では、実際にギャップを感じた経験のある若手社会人はどのようなギャップを感じたのでしょうか?社会人として働く前に、あらかじめ知っておくことで、就職活動や内定者研修の受け方も変わってくるかもしれません。
若手社会人の約6割が新卒入社後にギャップを感じた経験アリ
株式会社グロービス(東京都千代田区)が提供する、ビジネスナレッジの定額制動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」の、「20‐34歳の若手社会人のキャリア観に関する実態調査」によれば、若手社会人の約6割が新卒入社後にギャップを感じているようです。
実際には、どのようなギャップを感じている人が多いのでしょうかか?
一番多かった回答は「業務内容」。新卒で入社する場合、社会人経験がないため事前に話を聞いていたとしても、想像しにくい部分もあるかもしれません。また、実際に働いてみるとメイン業務に付随した細々とした仕事が発生することもあるでしょう。そういったものが回答に現れているのかもしれません。
次に多かったのが「働き方」という回答です。仕事内容にもよりますが、1年や月の中で仕事に波があることもありますし、参加しているプロジェクトなどによって忙しさが変化することもあります。実際に長期的に働かなければ見えてこない部分がありますから、働き方のギャップも上位に入っているのではないでしょうか。
「入社後、ギャップを感じた事柄は現在どのように変化したか」という問いに対しては、「諦めた」が34.5%、「継続して不満/課題感を持っている」が17.6%。自身で解決したという人も20.8%いるものの、約半数の若手社会人がギャップを解消できずにいることが伺えます。
入社後のギャップを解消するために取り組んだこととは?
入社後にギャップを感じていた若手社会人はその後、どのようにキャリアを歩んでいるのでしょうか?
1社目で入社後ギャップを感じていた若手社会人に、現在のキャリアへの満足感を尋ねると、約半数が「満足していない」と回答しています。
さらに、「現在のキャリアに満足している」と回答した人、「現在のキャリアに満足していない」と回答した人に対して、それぞれギャップの解消のために行ったことを尋ねたところ、次のような回答がありました。
「会社・業務についての理解を深めるように努めた」「仕事上の人間関係を良好にすることに努めた」「視野を広げるための情報収集を行った」などの項目が現状のキャリアに満足していると回答した人の方が上回り、自発的なアクションを取っていることが分かりました。
また、「現在の仕事に対するスタンスについて、近いものをお答えください」という問いに対し、約半数が「決められた必要最低限の業務しか行いたくない」と回答しています。
この結果を詳しく見てみると、入社後ギャップを解消するために自発的に行動をしなかった人にこの傾向が強く見られました。
「GLOBIS 学び放題」による発表では、入社後ギャップ解消のために、自発的な行動をした人としなかった人では、現在の仕事に対するスタンスに差があり、自発的な行動をしなかった人には、仕事に対する「静かな退職*」の傾向が見えるとの考察がなされています。
*「静かな退職(Quiet Quitting)」とは、「必要以上に一生懸命働くのをやめること」を指す新語。コロナ禍を経て近年、米国や中国などで若い世代を中心に急速に広がりつつある考え方
若手社会人が描くキャリアプラン
同調査では、入社後のギャップに関する設問だけでなく、キャリアプランについても設問が設けられ、若手社会人の実態がさらに浮き彫りになりました。
「今後のキャリアプランを持っていますか?」という問いに対し、2人に1人が「持っていない」と回答。その理由としては、「やりたいことがないから」「モチベーションが上がらないから」といった回答が上位に入っています。
さらに、「今後のキャリアプランを持っていない、どちらかと言うと持っていない」と回答した人に、「キャリアプランを持つために何をすればよいのか分かっていますか?」と尋ねたところ、9割以上が「分かっていない」と回答。自信のキャリアに対して「迷子」になっている状態であることがわかりました。
一方で、キャリアプランを持っている人は、キャリアプランの実現のためにどのような行動に移しているのでしょうか?多くの回答者が行動をしているようで、「専門的な知識・スキルを学ぶ(特定の業界知識の獲得、特定ツールの習得など)」「人的ネットワークを広げる」といった回答が寄せられています。
若手社会人の約6割が「期待を持っていない」
キャリアプランの有無にかかわらず、将来のキャリアに対する期待を尋ねたところ、約4割が「期待を持っている」、約6割が「期待を持っていない」と回答しています。
将来のキャリアに期待を持っている人に理由を尋ねると、「自分の成長を実感しているから」「やりたいこと・目標があるから」といった回答が上位に入りました。一方、将来のキャリアに期待を持っていない人に理由を尋ねると、「やりたいこと・目標がないから」「これまでに成長をあまり実感していないから」といった回答が上位に入っています。
またこの結果を詳しく見てみると、キャリアプランを持っている人の約7割が「将来のキャリアに期待を持っている」と回答。一方、キャリアプランを持っていない人の約9割が「将来のキャリアに期待を持っていない」と答えました。
■調査概要
・調査期間:2022年10月21日~2022年10月24日
・調査対象:20歳~34歳の有職者(会社員・団体職員など) ※パート・アルバイトは除く
・回答人数:750名
・調査エリア:宮城・東京・愛知・大阪・福岡
・調査方法:インターネットによるアンケート
入社後にギャップを感じた若手社会人のリアルな声
入社後のギャップの有無やそれらが現在の仕事観にどのような影響を与えているのか、はたまたキャリアプランの有無が未来への期待値へどのような影響を与えているのかが明らかになった本調査。
ここでは、talentbookに掲載されている企業へ新卒で入社した方々が体験したギャップについてもご紹介していこうと思います。
▶︎MANGO株式会社
事業内容:運用型デジタル広告オペレーション事業
福岡さん:研修期間を終えて、いざ自分の担当業務を任せてもらえるというタイミングで、仕事を進めるためには「自分で考えて動かないといけない」と気づいたことです。仕事の優先順位を決めたり、どのような方針で進めていくのかを考えたり。ギャップというよりは、「あぁ、社会人だなぁ」と感じていました(笑)。
木下さん:私は、入社する前にもこの業界は情報の移り変わるスピードが速いということは認識していたつもりでしたが、入社して改めてそのスピード感に驚きました。たとえば、1年前に頑張って覚えた知識が今ではまったく通用しないということも結構あって。情報のキャッチアップや知識のブラッシュアップがこんなにも求められるということは、大きなギャップでした。
尾﨑さん:私が感じたのは、年次の若いメンバーでもチームづくりにちゃんと参画できているという実感があるという良いギャップです。社会人って「新人は一生懸命先輩に付いていって、仕事を覚えるのが大事!」というイメージでしたが、MANGOには若手のメンバーでも働き方や環境について提案できる空気感があります。
→ストーリー:一人ひとりの想いと挑戦がMANGOをカタチづくる──若手メンバーが語るこれまでとこれから
▶︎日本データスキル株式会社
事業内容:ソフトウエア企画・開発、システムコンサルテーション、ERPパッケージ導入支援(EBS版)、社内OAインフラシステム(Lotus Notes版)
池戸さん 「最初のプロジェクトに関わった当時は、情報系の大学生の感覚と社会人としてのシステム開発工程に関わる任務のギャップが、正直ありました。しかし、当時の上司や、専任指導員として1年間ついてくれた先輩は、私がわからないところを把握して、とても上手に教えてくれたのです」
→ストーリー:大学での学びと仕事で感じたギャップ。それを乗り越え歩み出したリーダーの旅路
▶︎デル・テクノロジーズ株式会社
事業内容:個人・法人のお客様を対象に、パソコン・モバイル端末から基幹システムやクラウドの導入支援、セキュリティサービスに至るまで包括的な IT ソリューションを提供
──入社前とのギャップ──それぞれが感じる、意外と●●だった
Leeさん:共通言語は英語じゃなくて数字であること。これは入社してすぐに、叩き込まれました。細かい数字は営業部署だけではなく、たとえばマーケティング、マーチャンダイジング、テクニカルサポートの部署などにも密接に連携しているんです。どの数字がどこでどうつながっているのか。点と点が線になることが多いですね。
Watanabeさん:また、その数字は自分の責任として持たなければいけない。成果主義であることは入社前から知っていたことですが、責任の重さは入社以降さらに実感しました。
ターゲット(目標)達成のために、自分が担当するお客様と向き合っていかなければいけません。裁量と一緒に、それだけの責任も若手のうちから背負っていく。仕事のやり方も、働き方も、すべて自分に任せてもらえていて、その分成果が出たときのボーナスも自分次第です。
→ストーリー:【座談会】新卒社員3名が赤裸々に語る“私のファーストキャリア”
▶︎株式会社デンソー
事業内容:事業内容:自動車技術、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカー
鬼頭さん:一方イメージと違って驚いたのは、グローバルな印象とは真逆で、かなりローカルな会社だと感じるシーンもあることです。僕の配属先が本社ではなく製作所であることも関係しているかもしれませんが、一つひとつの行事に皆が全力で取り組むところには圧倒されました。
大竹さん:私は3週間インターンシップをした部署に配属されたので、そこまで大きなギャップは感じなかったかもしれません。ですが、安定している大企業に入社したいと思ってデンソーを選びましたが、会社として安定していても個々で見るとそうではない面もあるのは驚きましたね。
黒字の事業もあれば、赤字の事業があり、全ての事業が安定しているわけではありません。デンソーのように大きな会社であれば、どこかの赤字をどこかの黒字でカバーする必要があり、私が今携わっているプロジェクトは、まさに赤字をひっくり返すことを期待されているものです。
入社4年目で想像以上に責任感が求められる仕事に関わることになって驚いていますが、「利益が出なかった部分をサポートするんだ、私が黒字をつくるんだ」と思いながら日々働いています。
志賀:デンソーは大きい会社だと知っていましたが、想像以上に大きく多種多様なことをしているので、1つ壁を挟めばまったく違うことをしているのが印象的でした。
自分はこれに興味がある、やってみたいと思って社内公募に手を挙げれば、転職せずともやりたいことに挑戦できるところも魅力です。私の友人もソフトウェアの勉強を頑張りたいといって新しい部署へ異動し、活き活きと働いています。部署移動も海外出向も、自分の意思で選択できる点は良いところですね。
→ストーリー:入社後のギャップから印象に残った経験まで。若手社員が赤裸々に語るデンソーのリアル
「GLOBIS 学び放題」の調査では、キャリアプランを持っている人の方が将来のキャリアに期待を持っているという結果となりましたが、実際に働く人の中にはキャリアプランはなくてもいいという考え方を持っている人もいます。
そこには、現代が先行きが不透明で未来予測が難しい「VUCA時代」であることや、目の前のことに精一杯取り組むことでキャリアを積んでいくという方法もあるという考え方があります。キャリアプランがなく、不安に思っている方の不安を解消するヒントになるかもしれません。
▶︎株式会社エーピーコミュニケーションズ
事業内容:システムインテグレーション事業、技術者派遣事業、研究開発事業、サービス開発事業
荻野さん 「エンジニアになったのも、マネージャーになったのも、わりと流されてたどり着いたという感じで。もっと言うと今後のキャリアビジョンもあまり具体的に持ってないんですよね(苦笑)。
ただ、私の中に『自由に人生を送りたい』っていうライフビジョンがあるので、そのためにどうすればいいかだけを考えてきました」
→ストーリー:管理職賞を受賞したマネージャーが「キャリアプランはない」と言い切るわけ
他にも、talentbookには新卒で企業に入社した方のストーリーやキャリアを切り開いてきた肩のストーリー、また社員の挑戦を後押しする社内制度について語られたコンテンツも多数あります。
入社後にギャップを感じているものの、どのように解決して良いかわからない方や、キャリアに不安を持つ方、またキャリアプランをブラッシュアップしたいという方のヒントになるかもしれません。ぜひあわせてご覧ください。
▶︎【特集】コロナ禍入社の新卒たち
▶︎【特集】挑戦を後押しする社内制度
▶︎【特集】30歳のストーリー
▶︎新卒で入社した社員のストーリー一覧
