まるで経理部長を1人雇ったような便利さを。中小企業の業務改善を担う「Trunk」
──まずは、お二人が携わっているサービス「Trunk」について教えてください。
MORITA:2025年5月に提供開始した、銀行口座と法人用クレジットカードとファイナンス機能を主軸とした中小企業向けのデジタル総合金融サービスです。
単純に口座やカードを提供するだけでなく、振込や請求書の受け取り、仕分け、帳簿保存などのワークフロー全体で、私たちの金融サービスをシームレスにご利用いただける環境を整え、お客さまの業務改善につながる仕組みを作っています。
ARAKI:このサービスによって、いわば「経理部長を1人雇った」ような価値を提供できると考えています。中小企業や起業したばかりのお客さまは、あらゆる業務を少人数でこなさなければならず、本来取り組むべき業務に集中できないという状況にあります。
たとえば資金繰りの管理が円滑にいかず資金ショートに陥る、といった危険を招かないよう、Trunkが経理業務をしっかりバックアップできるのです。
──その中で、お二人はどのような役割を担っているのでしょうか?
MORITA:私はBM事業開発部で、Trunk全体の新規事業開発を担当しています。中小企業のさまざまな経営課題に寄り添うサービスの戦略を考えるのですが、あらゆる課題に網羅的に対応できるよう、社外のパートナーさまとのアライアンス戦略も統括しています。
金融にとどまらない総合的なサービスを通して「Trunkはなんでもやってくれる」と経営者の皆さまに感じていただき、継続的な関係を構築することがミッションです。
ARAKI:私は今年4月に新設されたBMファイナンス部で、中小企業の資金繰り改善に特化したファイナンス商品の開発を担当しています。
たとえば、資金の「見える化」や資金繰りの支援、DXによる書類の電子化と支払い機能といった、Trunk内で提供するサービスを手がけています。
MORITA:BM事業開発部が戦略を練り、それをもとにBMファイナンス部で商品化を進めるという流れですね。たとえば、お客さまが普段お使いの業務システムの中にTrunkのファイナンス機能を組み込む案件ならば、まず私たちが、さまざまなSaaS事業者さまに対して提案を行います。そこで引き合いがあった事業者さまをARAKIさんの部署に紹介し、実際に事業化するというように連携しています。
「お客さまファースト」×SMBCグループ・他社との協業で、未知の領域を開拓する
──Trunkが生まれた背景を教えてください。
ARAKI:下請け法の改正によって、取引先への支払いが遅くなることへの規制が厳しくなっています。そうした中で、企業間の請求書支払いをクレジットカード決済で代行できる「BPSP(Business Payment Solution Provider)」サービスは、資金繰りを調整する上でも非常に使い勝手がよく、ニーズが高まっており、今後大きな成長が見込まれる市場です。
また、請求書払いが主流のBtoBの取引でカード決済を可能にしたいという要望も多いです。それによって業務がデジタル化され、会計処理もシステムと連動できるメリットがあります。
MORITA:私たちは、戦略を考える際に徹底的な顧客インタビューを行います。信用金庫や地方銀行をメインバンクとして利用している中小企業の方に資金調達の課題をヒアリングした結果、大量の資料を用意しなければいけない、審査期間に時間がかかるなどの状況に対して「面倒だ」という声が多く聞かれました。ここに大きなビジネスチャンスがあると捉えています。
また、金融領域だけでなく、中小企業のあらゆる課題に寄り添い、お客さまの業務フロー全体をサポートする必要性も感じていました。たとえば、普段お使いの会計ソフトとシームレスに連携する仕組みや、人手不足対策としての健康経営支援などです。こうした非金融領域のサービスを充実させ、中小企業のお客さまと強固な関係を構築したいという点もTrunk開発の背景の1つでした。
──三井住友カードならではの優位性はどこにあると考えていますか?
ARAKI:SMBCグループで総合的なソリューションを提案できる点が最大の強みです。カード会社とメガバンクが密に連携し、両者が持つノウハウや情報を柔軟にシェアしながら、同じオフィスで協議を重ねることで、よりお客さまのニーズに沿ったサービスを生み出すことができます。Trunkに先行する個人向け総合金融サービス「Olive」もまさにその一例です。
さらに今回は、資本業務提携したインフキュリオン社との3社連携により、いっそう独自性のある商品を作りたいと考えています。
──SaaS事業者との連携にも力を入れていますね。
MORITA:最大の理由は「お客さまファースト」であるためです。中小企業の経営者の方々は、会計SaaSを利用しているケースが圧倒的に多い。Trunkを利用した後にこれらのサービスへデータを集約すると考えると、データ連携や協業は必然です。
今後は、Trunkの口座があればさらに便利になるサービスも生み出していきたいですし、経費精算など他領域サービスの拡充も視野に入れています。
また、こういった身近なSaaSを切り口に機能を充実させることは、従来リーチしにくかった中小企業のお客さまにアプローチする、新たなチャネルになると考えています。
パートナーと「背中を押せるサービス」への目線を合わせ、リアルな知見を開発に活かす
──Trunkのプロジェクトに携わる中で、印象に残っていることを教えてください。
ARAKI:4月に部署が新設されるにあたり、「ファイナンス商品の開発」という大きな方針はあったものの、具体的な内容はまだ決まっておらず、その整理から始める必要がありました。最も大変だったのは、三井住友カード、三井住友銀行、インフキュリオンの3社での目線合わせです。
「中小企業のお客さまの背中を押せるサービスを作りたい」という想いは皆同じでしたが、細かいターゲット層について議論を重ねました。創業間もないスタートアップなのか、長年続く町工場なのか、上場をめざす成長企業なのか……。立場やフェーズの違いによって、響くサービスは異なります。
だからこそ、特定の層に絞り込むのではなく、それぞれのニーズをしっかりと把握した上で幅広いサービスをそろえ、お客さまご自身が選べる状態にすることが重要だと考えています。
MORITA:Trunkの開発では10社以上のサードパーティー事業者と協業しています。同じ方向をめざしてサービスを作るために、お客さまのペルソナや課題について各社と共通認識を持つプロセスは簡単ではありませんでした。
とくにソフトバンクグループとのタッグで開発した健康経営支援サービス「CareCon」では、もともと大企業向けだったサービスを中小企業向けに初めて展開するため、アンケート調査から始めてサービス設計、ビジネスモデル構築まで相当な時間と労力をかけましたね。
──こうした新たなパートナーとの協業を通して、どのような気づきや学びがありましたか?
ARAKI:当初私たちは、中小企業の経営者の方の気持ちについて、なかなか想像が及ばない部分もありました。商品設計を行い、アンケート結果をもとに精査することによって、1人であらゆる業務をこなさなければならないなど、その大変さを知ることができました。BtoBはまだまだ未開拓ゾーンが多い領域で、お客さまの立場や業界の課題について、日々新しい発見があります。
MORITA:非金融領域のサービスは、私たち金融事業者にとってこれまで本丸ではない領域でした。一方で、会計SaaSやヘルスケアサービスを提供する方々はプロフェッショナルです。彼らとの協業を通じて、お客さまが実際に抱える課題についてリアルな知見を得られました
──これまでの三井住友カードでのキャリアが、現在の仕事に活きていると感じる場面はありますか?
ARAKI:個人向けカードの商品開発を行っていた時に培った「お客さまの声をもとに商品設計する」という姿勢は今も活きています。一方で、自分自身の気持ちを直接ヒントにできた個人向け商品に比べ、法人向け商品は、お客さまの声により注意深く耳を傾けて、マーケティングに取り組む重要性を感じています。
MORITA:私は、良い意味で昔と今の社内風土の変化を実感しています。かつて法人営業に従事していた頃に比べると、「お客さまファースト」を大切にし、徹底的にお客さまの声を集めて「自分事化」しようとする文化が年々高まっています。たくさんの声が集まると、おのずと仮説が生まれ、新たな商品のアイデアにつながる。自身でもそうした姿勢が身についたと感じます。
未知の領域に挑むベンチャー気質で、Trunkをグループの中核ビジネスに育てたい
──今後の展望を聞かせてください。
ARAKI:商品開発に挑戦できることは非常に幸せだと感じています。SMBCグループとしても、中小企業向けの金融サービスという未知の領域に総力を挙げて挑んでいます。まずは今年度・来年度に予定しているリリースを成功させ、さらなるブラッシュアップを進めたいですね。
今後注力したいのは情報が命である法人与信の分野です。Trunkを通じて情報集約することで、面倒な手続きなしに与信を受けられるサービスを実現できると考えています。
MORITA:BM事業開発部としては、TrunkをSMBCグループの中核ビジネスにするべく、中小企業の経営課題を解決するサービスを集結させた総合ソリューションに育て上げ、口座数・カード契約数を大幅に伸ばすことが目標です。そこで必要になるのは、2~3年先に中小企業が抱えるであろう課題を見つけ、いち早くサービスを展開することです。とにかくいろいろなことに興味を持ち、課題を自分事化することに努めたいですね。
とくに人事領域での連携やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)などのサービス提供に注力したいと、さまざまな構想を巡らせています。
──そのようなビジョンを掲げる中で、どんな方に新たな仲間になってほしいですか?
ARAKI:スキルや経験もさることながら、重視するのはマインドです。新しいことに挑戦する気持ちがあれば、この領域は十分キャッチアップできます。商品開発は業務範囲が幅広いので、その中の一部、たとえば戦略や業務設計、システム設計、PM、システムオーナーなどの経験がある方は大いに活躍できると思います。
MORITA:新規事業開発では金融にとらわれない幅広い発想が求められるため、新しいことに興味を持てる人が向いています。ゼロイチを生み出すため、チャレンジ精神がある方も歓迎します。キャリア入社の仲間も多く、直近では新興系の金融事業立ち上げ経験者やパートナー企業との交渉・アライアンス経験者などが加わっています。
――最後に、採用候補者の方へのメッセージをお願いします。
ARAKI:三井住友カードは、会社全体で新しいことに挑戦するベンチャー気質が根付いています。前向きにチャレンジした結果であれば、たとえ失敗しても咎めることなく、次に活かそうと背中を押してくれる文化があります。
商品開発の醍醐味は、明確にゴールがあり、リリースが成功するたびに、喜びをチーム皆で分かち合えるところや、お客さまの反響がダイレクトにわかるところです。このやりがいを共に味わいましょう。
MORITA:法人決済の領域において、三井住友カードはお客さまからの高い信頼やブランド力を築いています。そういった大きな期待を背負う中で、会社としても組織を大きくしながら数百億円規模の投資を行い、新たな仕組みを作ろうとしています。とても働きがいのある職場だと思いますので、皆さんの強みをぜひ活かしてほしいですね。
※ 記載内容は2025年11月時点のものです
