社会を支える物流の一員になるために、NTTロジスコへ
大学在学中に留学を経験し、さまざまな価値観に触れてきた吉岡。就職先に選んだのは物流業界でした。
「物流業界に興味を持ったのは、2011年に東日本大震災を経験したこと。当時、食べ物や飲み物などの物流が滞っただけでなく、電話やメールがつながりにくくなって人々は大きな不安を抱えました。だから、日本の通信事業を支えるNTTグループの総合物流事業に興味を持ったんです」
社会を支える物流業界の一員になりたい。そんな思いで、2013年にNTTロジスコへ入社。大阪の南部にある八尾物流センターで、1年間研修を受けます。
吉岡は現場で現場のメンバーのマネジメントをしながら、期日までに出荷が間に合うようにコントロールするという役割を担いました。
「飛行機や新幹線などの旅客機は席がいっぱいになったらそれ以上の予約は入りませんが、物流は在庫がある限り発注が入ります。当時はまだDXが進んでおらず、倉庫の作業量やトラックの容積率などを勘案せずに出荷オーダーが入り、非常に忙しくなることもありました。
また、経験年数が長いパートさんと働くので、自分を認めてもらうことにも苦労しました。何もできない若手社員よりも、ベテランのパートさんの方が厚い信頼がある。そこで必死に自分の腕も磨いていきました。最終的には、異動のタイミングで送別会を開いていただくなど、名残惜しくなるほどの人間関係を築くことができました」
2年目からは東京の本社で、品質管理の仕事に就きます。
「主に取り組んだのは『5S活動』といって、整理・整頓・清掃・清潔・しつけのレベルを上げるための活動です。全国の物流センターの5Sレベルを向上させるために、現場に指導を入れるなど奮闘しました。
また、安全推進にも尽力しましたね。形骸化していた荷役機器の取り扱いルールを見直したり、パートさんが操作しやすいように説明ビデオを作ったり。実際にセンターに足を運び、パートさんに対して直接フォークリフトの研修を開くなど、より安全に働けるような環境整備にも取り組みました」
社内の課題に目を凝らし「最適」のために取り組んでいく
吉岡はその後も、各拠点の事情やセンターで働く人々に寄り添いながら、現場への働きかけを続けました。
「とくに印象的だった仕事は、段ボール開封時に使うカッターナイフの種類を統一したことです。当時、開梱時に指を切ってしまうという事故が続いていたので調べてみると、工具用のカッターを使っているセンターがあることがわかりました。工具用は確かに切れ味が良くて使いやすいのですが、軽作業としてはオーバースペック。そこで、安全なカッターナイフに統一するよう機種を定めました。
もともと工具用カッターを使っていたセンターからは、最初は使いにくいとの声がありました。しかし、それでも目的を伝えて納得してもらえたおかげで、今ではカッターナイフでの事故はほとんど起きていません。信念をもって地道に取り組んだ結果、安全に貢献できていることがうれしいですね」
そして2021年11月からは、社内で一番規模の大きい千葉物流センターに異動となり、総括業務を担うことになりました。
「品質管理として全体施策に力を注いできたので、今度はひとつの物流センターで業務に取り組んでみたいという思いがあったんです。千葉物流センターは、従業員が800人ほどの大きな物流センターです。どんな仕事になるだろうと思いながら、異動しました」
実際の総括の業務は、大きく分けて4つありました。
「1つめは、千葉センター全体の運営統括業務です。売上や利益率、収支予想などを立てて事業計画に反映したり、経営層に運営方針を説明するための資料を作ったり、進捗を管理したりしています。
2つめは、従業員の対応です。パートの募集広告を掲載したり、面接をしたりという採用まわりの一連の業務のほか、雇用契約書の作成、健康保険証の手続きなどの幅広い事務作業を担います。
3つめは、設備関連。自社倉庫である千葉センターの設備維持ですね。エアコンや蛍光灯の修理、壁の補修など、従業員が働きやすい環境を維持するために動きます。
4つめは役所関係の対応です。労働基準監督署や消防署などとやり取りをして、就業規則や危険物取扱など、必要な申請の届出を行ったりとしています」
これら4つの仕事を担当するのが総括チームです。中でも吉岡は、全体を俯瞰する役割を担当しています。
「全体に対する細かいフォローのほか、見直しが必要な要素への改善もしています。取り組む中で気づいたのは、業務の進め方が古く、効率化が必要ということ。横で見ていてもどかしく思うことが多く、環境を整えたいと思うようになりました。そこでアナログでやっていた作業をできるだけデジタルに移行する、総務DXの業務を行っています」
物流センター内の事務や情報管理をデジタル化。会社全体にも広げていきたい
業務をより効率的にするべく、吉岡はkintoneを導入・活用。アナログ業務をデジタルへ移行し、働きやすい環境をつくっています。
「成功事例のひとつに、雇用契約書のやりとりをデジタル化したものがあります。パートさんは3カ月に1回、契約社員は年に1回雇用契約を取り交わす必要があるのですが、もともとは、一人ひとりの雇用契約書のデータを作り、2部印刷して封筒に入れ、部署ごとに仕分けて現場のリーダー経由で従業員に渡すという流れで処理していました。
社員・契約社員・パート社員・派遣社員と幅広い区分があり、800人もいる中で作業をするのは大変なのですが、パソコンを一人ひとり持っているわけでもないため、紙でやらざるを得ないところもあり。従業員がサインしたものを返し、総括が全員分の書類が届いたかをレ点をつけてチェックする……そんな膨大な作業に追われていたのです」
結果、3カ月に1回は、夜遅くまで残業をする形となっていました。
「当時は従業員の情報もアナログで管理していたので、誰かについて知りたいときは書棚のファイルを確認してみないといけない状況でした。そこで私は、雇用契約書の電子化と、従業員情報のデータベース作成を実現するために、動きはじめました。ただ、システムを導入するには費用が高額になります。千葉センターだけでは判断できない額になるため、上司にも相談し、本社と細かく連携していくことになりました」
kintoneを使って雇用契約書の送信ができることがわかり、まずは月額1,500円ほどの規模でスモールスタート。システムを導入することでどれだけ効率化されるかを証明することで、一気にプロジェクトが進んでいきました。
「私が着任早々いきなりスキームを変える提案をしたので、同じ統括部のメンバーの反応も、最初は戸惑いが大きかったです。ただ実際にデジタル化が進んで作業量が減っていくと、賛成してくれるようになりました。慣れてきたら、やはりみんな喜んでくれるんです。
現在は、千葉物流センターのDX事例を知った他のセンターから、同様の仕組みを導入したいという相談の声が届いています。センターごとに細かな調整が必要ではありますが、全社的に広く普及できるよう働きかけています」
長年の「当たり前」を打破し、みんなに喜んでもらいたい
さまざまな改善活動に取り組んできた吉岡が感じている、現在の仕事のやりがいとは。
「『今どきできていて当たり前だよね』ということを、ないがしろにせずしっかり実現していく。本社が動くのをただ待つのではなく、自分から仕組みを作る。その結果、みんなに喜んでいただけるのが、やはり一番嬉しい瞬間です。
うまくいかなくて頓挫したアイデアはいくつもありますが、課題意識を持って仕事に取り組んでいる姿を評価してくれる上司や同僚がいるので、モチベーションが下がることはありません」
新しい取り組みに対して常に前向きな吉岡は、今後の改革に向けて、自ら精力的に動ける社員に出会いたいと考えています。
「現状に何か課題があったとして、そこに不満を抱くだけではなく、自分の手で状況を変えられないかと考えられる人は、光って見えます。くじけずトライできる方、これまでにない変化を一緒に作っていける方に加わってもらえたら嬉しいです」
最後に、今後の展望を伺いました。
「データの活用には、まだ課題があると感じています。従業員のデータを一元化することはできましたが、そのデータをもとにした解析はまだまだできていないんです。より踏み込んだ使い方ができるよう、環境を整えていきたいと思っています。
また本社側との連携も必要ですね。センター側で独自にDXを進めるにしても、基幹システムとの兼ね合いでスムーズにいかないこと多々あるんです。本社に対し、基幹システムの使い勝手についても積極的に発信していくことで、よりよいかたちをめざせると信じています」
課題を見つけ、自ら進んで着手してきた吉岡。前のめりな姿勢をもとに、これからも業務改革に挑み続けます。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
