出身地の異なるふたり。それぞれの道をたどって同じ舞台へ
果物農家に生まれ、幼いころから農業に親しんだ竹内。第一次産業や地域活性化への興味を深めたのは、大学時代のある出来事がきっかけでした。
竹内:東に駿河湾、西に自然豊かな山々が広がる静岡県の小さな街に生まれ、実家ではみかんや桃、びわ、柿などを栽培していました。よく果物畑に穴を掘って遊んでいた記憶があります。
中学や高校では部活に明け暮れ、大学では言語学を専攻しました。卒業後は語学力を活かした仕事に就くことを考えていましたが、アルバイト先の飲食店の店長から「竹内さんの実家でとれた果物を店で使ってみたい」と頼まれ、実現に向けて取り組んだことが転機になりました。
私にとって農業は非常に身近なものでしたが、実家で栽培する果物を商品だと考えたのはそのときが初めて。品種や味、販売経路などについて両親や祖父らと話し合う中で、第一次産業の復興や地域活性化に貢献したいという想いが芽生えました。
竹内とは対照的に、石田は東京出身。農業とはほぼ無縁の環境で育ちました。
石田:私にとって農業と言えば、祖父が自家菜園を営んでいた程度。竹内さんとは違って、室内で読書や感想文を書くことが好きな子どもでした。
文芸作品全般に関心があったため、大学では小説だけでなく漫画や映画などさまざまなジャンルを学べる学部へ。入学後は、文学やそのほかの芸術形式、さらにはメディア、社会学など幅広い分野を学び、とくに詩や短歌の読解や創作に熱心に取り組みました。
まったく異なる道を通って農林中央金庫にたどり着いたふたり。入庫を決めた理由もそれぞれでした。
石田:在学中に詩や短歌に打ち込んだことを就活アプリのプロフィールページに記入したところ、唯一スカウトしてくれたのが農林中央金庫。等身大の自分を評価されたことがうれしくて、興味を持つようになりました。
また、当時の私は公益性のある事業かどうかを重視していました。チームワークを通じて、組織の利益よりも広く社会一般の利益を追求したいと考えていたからです。
最終的な決め手は、農林中央金庫との相性の良さを直感したことです。人事部や職員の方と話す中で、価値観を共有できる人が多く楽しく働けそうだと感じ、入庫を決めました。
竹内:自分のルーツについて話した際、面接官が非常に共感してくれたことが印象に残っています。入庫の決め手となったのは、最終面接で人事部長からかけられた言葉でした。
「農林中央金庫は農家の皆さんから近いようで距離がある組織。竹内さんのように現場感覚を持つ人材は貴重な存在だ」と言われ、自分が必要とされていると感じ、胸が熱くなったのを覚えています。
全国統一の施策を企画するJAバンクリテール実践部。挑戦を奨励する文化の中で成長
ふたりが所属するのは、リテール事業本部のJAバンクリテール実践部。JA信用事業に関わる商品やサービスの企画・開発および実践サポートを主に行っています。
石田:投資部門や食農部門と違い、リテール部門は地域のJAや信連を通じて、JA利用者のくらしの金融ニーズに対応しています。その点で、JAバンクリテール実践部は、農林中央金庫ならではの独自の機能を持った組織だと言えるかもしれません。
竹内:そうですね。多くの金融機関では、本店企画部門の戦略や方針に基づいて支店が商品やサービスを展開しています。JAバンクでは、農林中央金庫のJAバンクリテール実践部が全国段階として全国統一施策を企画し、JAバンクや信連はそれぞれの独自取組みと併せてそれらを推進するという構造です。
現在、JAバンクリテール実践部には約150名が在籍し、商品・サービスの企画や開発、実践支援のほか、広告PRなども行っています。
たとえば、Yahooや検索エンジンの検索結果画面に表示されるJAバンクのバナー広告の多くを手がけているのもJAバンクリテール実践部です。JAバンクのイメージキャラクター「よりぞう」のXアカウントも私たちが運営しています。
石田:施策例として、2023年1〜4月に実施された「新生活 JAバンクではじめるぞうキャンペーン」が挙げられます。JAバンクで口座を開設し、給与受取やJAカードをご契約いただいた方に抽選でクオカードをプレゼントするもので、全国規模で展開しました。
2023年に入庫したふたり。2週間の研修を終えた直後から実地で業務の基礎を学んできました。
竹内:配属されてしばらくは、稟議書や議事録の作成をサポートする業務に携わり、その後、施策に対する県域からの照会対応を担当しました。当時は金融について何も知らなかったため、先輩からアドバイスをもらったり、自分で調べたりしながら懸命に知識を蓄えていきました。
石田:私も同じです。県域からの問い合わせがあるたびに確認・調査する中で、施策や業務内容を身につけました。
ふたりが初めて主担当を任されたのは1年目のこと。若手に大きな裁量権を与えられることは、農林中央金庫では珍しくないと言います。
竹内:秋から冬にかけてローン推進のための資料作成に携わりました。スケジュールのマネジメントや外部取引先とのコミュニケーションを早い段階で担当できたことは、貴重な経験になりました。
石田:私も竹内さんとほぼ同じ時期に、年金の広告を雑誌に出稿する仕事の主担当を務めました。相応の予算が割り当てられた案件であったため、プレッシャーを感じる一方で、大きなやりがいがありました。農林中央金庫には新人にも重要なプロジェクトを任せ、業務を通じて成長を促す文化があると感じます。
JA現地研修を通じて手にした現場感覚と広い視野が、さらなる成長の原動力に
入庫2年目を迎えるふたり。共に1年目の夏に参加したJA現地研修での経験が印象に残っていると話します。
石田:JA現地研修は新入職員研修の一環として行われるもので、入庫した年に約2週間、全国のJAで金融業務や農業指導、農産物の出荷・販売などを経験します。農家を訪問して農作業を体験することも特徴で、私は秋田で小菊の収穫などに携わりました。
JAの業務に直接触れたことで、系統組織の一員としての自覚が強まったと感じています。私は現在、窓口用チラシを作成していますが、普段直接やり取りするのは、金庫支店・信連の方々が中心です。そのため、実際に現場で自分が作成した資料がどう活用されているかを知る機会はありませんでした。
JA現地研修では、自分が作成した資料を使って職員の方々がお客様に説明している現場を目の当たりにしました。自分の仕事がどこでどう役立っているのかを知ったことで、めざすべきゴールが明確になった実感があります。農林中央金庫で働くことの意義を再認識できました。
竹内:とても良い経験をしましたね。私は富山で梨の収穫やガソリンスタンドでの車の誘導、渉外職員の方に同行して貯金の案内や、スマホアプリの使い方の説明などを担当しました。
研修を通じて、JAバンクを支えているのはJAの職員の方々であることをあらためて思い知りました。農林中央金庫内にいると、現場の皆さんの活躍を想像するのは難しいものです。現地の様子を直接体験したことで、職員の方々が能力を最大限に発揮できるよう支援することが自分の役割であると深く理解しました。石田さんが話した通り、現場を肌で感じられたことは大きな収穫です。
また、組合員の皆さんと直接関われたことも思い出深い出来事です。親切な方ばかりで、非常に優しく接してくださったことをいまも鮮明に覚えています。農林中央金庫の一員として、「この人たちを決して裏切ってはいけない」と心に深く刻みました。
JA現地研修を経て使命感を新たにした竹内と石田。農林中央金庫で働く醍醐味について次のように述べます。
石田:一般的な金融機関の支店と違い、全国500以上あるJAはそれぞれが独立した組織です。そのため、本店で企画された施策でも、各県域やJAの賛同を得られない限り、展開には至りません。本店にいながら現場視点に立って企画を立案するのは非常に難しい作業です。
しかし、それぞれ独自の意思を持つ全国500以上の法人に向けて企画や資料を提案できるのは、農林中央金庫だからこそです。ほかの金融機関では味わえないダイナミズムを感じています。
竹内:私が担当している貸出業務では、お客様を審査しなくてはなりません。間違いが許されないため、法律で定められた規定や審査の要項を理解するのに苦労しています。
一方で、全国規模の組織である農林中央金庫にはさまざまなデータが集まります。それらを解析し、利用者の方々のニーズを把握して新たな商品企画等を立案していくことに、大きなやりがいを感じています。
若手が描く未来戦略とビジョン。より良い農林金融のこれからに向けて
現在、それぞれ別のグループで活躍するふたり。農林中央金庫でのキャリアを次のように展望します。
石田:貯金、給与振込、年金に関する施策の企画・運営と並行して、JAバンクの次期3カ年中期戦略の策定に向け、純新規利用者獲得のための施策の基盤づくりを進めています。
農林中央金庫では3年に1度を目安にジョブローテーションが行われるため、数年後にはJAの職員さんに対して業務をサポートする立場になるかもしれません。自信を持って対応できるよう、全力で取り組むつもりです。
また、現場への理解を深めるためには、JAの職員さんや組合員さんと直接交流することが欠かせません。近い将来、支店レベルでリテール業務に携わり、系統組織の一員としてさらに視野を広げたいと考えています。
竹内:私は、マイカーローンを中心としたローン商品の企画や推進のための施策立案を担当しながら、法制度の改正に伴い、3年後に導入が予定されているシステムの要件を詰める業務にも関わっています。
貸出業務ではデジタル化による業務効率化が急務となっていますが、JAバンクリテール実践部にはシステムに関する知見の蓄積がありません。高いITスキルを身につけ、専門的な立場からも提案できる人材になることが直近の目標です。
また、石田さんと同様に、私も現場での経験がまだまだ不足していると感じています。信農連への出向制度などを積極的に活用して実践的な感覚を磨き、現場視点の提案ができるような存在になりたいです。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです

