サークル活動をきっかけに、農業×金融の世界へ
学生時代は文学部で人文地理学を学んだ山口。農業に関心を持つようになったきっかけは、サークル活動で棚田や里山の保全活動に携わったことでした。
「環境ボランティアに取り組むサークルに所属していて、棚田の区画を借り受けて農作業体験ができる千葉の大山千枚田のオーナー制度のお手伝いをする機会がありました。作業に来られなくなったオーナーに代わって田植えや草刈りをするなど、炎天下での作業は大変でしたが、綺麗に整備された棚田の風景は圧巻でした」
家族が金融機関に勤務していたことから、山口は自然と金融業界を志すように。農業とゆかりのある金融機関を探していて出会ったのが農林中央金庫。選考の過程で出会った人の魅力に惹かれたことが入庫の決め手になりました。
「就職先を選ぶ上で私が重視していたのは、人や職場の雰囲気。金融機関を幅広く見ていましたが、農林中央金庫の方には自分に通ずるものがある気がしました。当初からこの人たちと一緒に働くことになるだろうと漠然と感じていました」
転勤族だった父親のような働き方は難しいと考えていた山口。転勤のないビジネスエキスパート職を選択し、最初に配属されたのは株式投資部でした。
「20人ほどの小さな部署に丸4年在籍しました。初めは総務業務を担当し、やがて証券事務を任されるように。ファンドの売買取引に関する情報を社内システムに入力する業務などに携わりました」
当時、金融に関する知識がほとんどなかったと言う山口。実務ベースで業務知識を深める一方、資格取得や社内の研修にも積極的に取り組みました。
「1年目は、業務に関係のある銀行業務検定試験や証券外務員資格取得をめざして励んでいたのを覚えています。また、金融に関する基礎を学びたくて会社が提供する通信研修やFPのための勉強もしながらキャッチアップしていきました」
入庫2年目で効率化に着手。債券投資部との合併時にも業務フローの改善に貢献
入庫当初は指示やマニュアル通りに業務を進めていた山口でしたが、やがてその中に効率化できる作業があることに気がつきます。入庫2年目のことでした。
「売買取引の金額や口数などを社内システムにインプットしながら、同時に自分たちの管理用のExcelシートにも同じ内容を入力していました。それまで当たり前のようにやっていた業務でしたが、あらためて洗い出してみたところ、省略できる作業だとわかったんです」
社内システムに蓄積されているデータを出力できれば、Excelシートへの入力作業が省けると考えた山口。当時一緒に働いていたチームの先輩と協力して社内のIT系の部署に働きかけた結果、重複業務の改善に成功します。
「周囲のサポートがあったおかげでうまくいったと思っています。株式投資部には作業効率化にどんどん取り組んでいこうという雰囲気がありましたし、人数が少なかったこともあり、職種の垣根を越えて皆さんとても協力的でした。
また、IT系の部署とつながれたのは、顔が広い職員が部内にいたからこそ。どんな質問を投げかけても終始丁寧に対応してくれたIT系の部署の方にも助けられました」
その後、所属していた株式投資部が債券投資部と合併して市場運用部に。山口はそれまで担当していた株式だけでなく債券投資の事務にも関わるようになります。
「株式と債券とでは、売買取引の成立からシステムにインプットするまでのスケジュールや業務フローがまるで違います。データ入力上のギャップを埋めていくために、事務だけでなく部長代理クラスの職員も交えたミーティングを定期的に実施し、試行錯誤を繰り返しました。
債券投資の事務の方から教えてもらったり、逆に株式投資について教えたり。業務量は一時的に膨れ上がりましたが、双方のやり方の良いとこ取りをしながら効率的な方法を模索することができました」
業務が軌道に乗り出したのはおよそ1年後。株式投資部時代に培った学びが大いに役立ちました。
「2年目以降も引き続きMOS資格などを受けていましたし、株式投資部にはExcelを活用している方が多かったことから、普段の業務の中で簡単なマクロを組むこともしていました。
また、農林中央金庫では職種を問わず、受けたい研修を自由に受講することができます。Excelやマクロの研修で学んだことが部署統合の際にも活かされました」
事務作業の範疇には収まらない幅広い業務に携わってきた山口。入庫前の想定とは違ういまの仕事に、前向きな気持ちで取り組めていると言います。
「ビジネスエキスパート職が担うのは事務のオペレーションが中心ですが、私はそれが業務全体のフローの中でどのような位置を占めていて、自分の入力するデータがなんの役に立っているかを知りたくなるタイプ。部内にはビジネスエキスパート職の業務領域を拡大していこうという動きもあることから、従来のやり方に固執することなく、さまざまなことに挑戦させてもらってきました。
入庫前は淡々と定例業務をすることが多いのかと思っていましたが、いまの部署は自分ととても相性が良いと思っています」
上司の勧めで貸出預金業務担当に。新たな分野に飛び込んで広がった視野
2022年に部内の担当替えを経て、山口は貸出預金業務を担当することになりました。
「証券事務では全体の業務フローのうちごく限られた部分だけを担当していたのに対し、貸出預金業務では契約締結から社内稟議の起案、融資実行まで一連の事務処理を一貫して行うため、すべての業務フローを見ることができます。入口から出口までひと通り経験できるところにおもしろさを感じています」
一方、市場運用部の後続処理を担う市場業務マネジメント部のEUDシステム導入にも携わってきました。
「貸出預金業務ではこれまで、市場業務マネジメント部(以下、市マネ部)に紙を手渡しするのが一般的でしたが、EUDシステムの導入によってペーパーレス化に成功しています。
月末の処理案件が多いプロジェクトファイナンス部(以下、PF部)に先立って導入されることになったのですが、PF部と市場運用部では案件の性質が違っていたため、想定していた使い方ができませんでした。
そこで、デジタルイノベーション推進部(以下、DI推進部)の協力のもとミーティングを実施。議論を重ねてシステム改修を実施し、解決に至りました。
従来は手渡しした紙をもとに市マネ部にてデータ入力をしていましたが、当部でEUDシステムにインプットすることによって、転記ミスの削減や双方の負担軽減につながっただけでなく、検索の利便性が高まったことは大きな進歩だと思っています」
上司からの勧めがあって貸出預金業務への挑戦を決めたと言う山口。毎日が充実していると話します。
「私は慎重な性格なので、自ら未知の領域に飛び込むような経験はこれまでなかったのですが、『ぜひお願いしたい』と上司から背中を押されて担当替えを決意しました。
仕事の内容はこれまでとまったく違いますが、業務効率化に取り組んできたことなど、証券事務を担当していたときに培った知識や経験が活かせる場面が多いんです。
また、証券事務をしていたときは、農林水産業と関わる機会はほとんどありませんでしたが、いまは農林中央金庫の銀行業務の根幹的なところに触れることができていて、とても新鮮な気持ちで仕事と向き合えています」
一方、貸出預金業務を担当するようになって、こんな成長もありました。
「証券事務は定例的な業務が多くひとりで淡々と進めることもできましたが、貸出預金業務では少しでもイレギュラーが起きると、規定に目を通したり関連部署の人に問い合わせたりして確認する作業が発生します。
自分だけで完結させようとしていた以前と比べて、周囲を頼るようになったことで視野が大きく広がったと感じます」
異動の先に広がる、多様なキャリアパスの可能性
職種に関係なく、職員の前向きな一歩を後押しする組織風土があるところに農林中央金庫の魅力があると話す山口。女性の視点からさらに次のように続けます。
「育休から復帰後にふたたび育休を取得している方など、農林中央金庫にはワーキングマザーが多く、長く働き続けられるところにも魅力を感じています。女性としてこれからのライフプランを考えていく上で、ロールモデルとなる先輩庫員がたくさんいるおかげで、この先どんな選択をしても将来の不安なく仕事に向き合うことができます」
また、人の魅力に惹かれて農林中央金庫への入庫を決めた山口ですが、その印象はいまもまったく変わっていないと言います。
「私は仕事で行き詰まると思考停止してしまうことも多いのですが、一緒に仕事をしていた先輩が育休に入る際、次に来る方への引き継ぎ事項の中に、『山口さんはパンクしそうになることがあるから、フリーズしないよう適宜声をかけてあげるのがマスト』と書いてくださっていたんです。農林中央金庫には優しい方が多く、周囲の皆さんには本当に助けられています」
現在、後輩の指導も担う中堅庫員の立場となっている山口。新たな仲間に向けて伝えたいことがあります。
「誰かと協力したり、自分がした仕事が次の人の手に渡ったりと、事務作業とはいえ、ひとりで完結する業務はほとんどありません。農林中央金庫で働く人に求められるのは、協調性。
一緒に働く人や次に作業する人が何を考え、どんな動きをしているかを理解しながら、相手を思いやり助け合う気持ちを持つことがとても大切だと思います」
ビジネスエキスパート職として着実にキャリアを歩んでいる山口。将来をこう展望します。
「これまで取り組んできた証券と貸出預金のうちのどちらか極めるつもりでいましたが、異動のたびに新しい業務を経験している先輩の話を聞いて、まったく違う仕事に挑戦するのもおもしろそうだと思っています。
周囲にはキャリアプランだけでなく、仕事の進め方や働き方の面でもお手本になるような先輩がたくさんいますから、その背中を追いかけながら少しでも近づいていけたらいいですね」
今後も業務効率化に着手していきたいと話す山口。その真摯な態度が、彼女のキャリアだけでなく、組織全体を引き上げる原動力となっていくはずです。
※ 記載内容は2023年7月時点のものです

