海外事業会社の生産活動を把握し、企画や支援をする部署。国内外の研修にも携わる
私が所属している生産本部 海外生産グループは、海外事業会社5社の生産活動を把握し、各社の環境や課題に応じて必要な企画やサポートをしている部署です。グループでは5人が活動し、生産系と品質管理系に分かれており、私は後者です。現状、全員に海外駐在の経験があります。
私は主に3つの業務に携わっています。1つめは海外事業会社との定期的なミーティングです。現地の生産系トップや品質系トップ、安全担当、サステナビリティ担当から情報を収集し、フィードバックや他部署との連携を進めています。品質管理や製品安全など共通する課題、テーマについて各社の取り組みを発表してもらい、ベストプラクティスを共有するような場も設けています。各社が横のつながりを深めるためのサポートも大切な仕事です。
次に、海外事業会社の生産実績のデータや電力消費量、設備投資計画などの情報をとりまとめ、必要に応じて要因を分析、海外事業会社へのフィードバックを行っています。
3つめは、海外関連研修の企画やサポートです。まずは日本のオペレーターが海外の拠点に出向き、よい部分を学ぶと同時に、日本の優れた取り組みを海外の人たちに伝えるという相互研修があり、双方のレベルアップやコミュニケーションの深化をめざしています。学ぶ内容としては製造を中心に、製品の包装や出荷、小麦粉の成分分析・製品分析など、さらには製品安全や品質保証など多岐にわたります。
日本の若手社員を対象にした海外研修もあり、社員に海外勤務に関心を持ってもらったり、すでに関心のある社員を育成したりするのが目的です。逆に、海外拠点の生産系キーパーソンが日本を訪れる研修もありますね。工場視察や研修を通じて業務への理解を深め、日清製粉グループの一員としてのマインドを養ってもらいます。
このように日頃、さまざまな業務を同時並行で進める中で、私が大切にしているのは工程管理の徹底です。これは、入社3年目で赴任した函館工場での出来事が大きく影響しています。当時、品質管理や品質保証の担当者が私1人しかいないという初めての経験をし、業務をスムーズに進められませんでした。そんな時、上司がかなり親身になって、時間の使い方やタスク管理などのノウハウを教えてくれた経験から、工程管理の重要性を強く認識するようになりました。
入社5年目でタイに出向。マネジメントも託され、工場全体に指示を出す立場に
学生時代は食品生産科学科で学び、2017年に日清製粉に入社しました。最初に配属されたのは、神戸の東灘工場です。品質管理担当者として生産現場や包装、出荷の各担当者と連携しながら、製品の安定供給と品質の安定化に従事しました。私自身は、生産プロセスの全体管理を通じて品質を管理したり、お客さまが求める品質を満たすための取り組みを考えたりするのが役割です。
その後勤務したのが函館工場です。工場の規模が東灘より小さく、品質管理の担当者は私のみ。フードセーフティマネジメントシステムという、食品の安全を保つためにリスクを低減していく品質保証の役割を同時に担っていました。
2021年からは、東南アジア市場に向けた小麦粉の製造・販売を担うタイの合弁会社「日清STC製粉」に出向しました。上司から海外勤務に関して希望を聞かれた時、「タイに興味があります」と伝えたところ、チャレンジさせてもらえることになったのです。現地では品質管理や品質保証に加え、工場でのマネジメント業務も任されることになりました。直属の部下は10人余りでしたが、品質管理以外の従業員の労働安全などについても工場全体に指示を出す立場に。経営層に近い目線で物事を考え、現場の従業員のために何ができるかということを常に意識しました。
日本と海外という視点で言えば、業務内容や法令、スピード感、文化など、多くの面で違いを感じました。たとえば、タイは日本よりスピード感があり、見習いたいと思った一方で、長期的な目線で計画を立てることは日本の方が得意なのかもしれません。
コミュニケーション面では、重要案件については優先度の高さなどをきちんと伝えた上で、同じ内容を相手の口からも説明してもらって理解度を確認するなど、より丁寧に進めるように心がけました。基本的に英語でやりとりするのですが、日本人にとってもタイ人にとっても母国語ではないため、イラストや写真を活用して視覚的にわかりやすく伝えるなどの工夫もしました。
海外業務で活躍する人の特徴としては、異なる文化をリスペクトして慣れていく適応力や、目標達成に向けてさまざまなアプローチができるような柔軟性が挙げられるのではないでしょうか。同時に、日清製粉グループの利益を上げるという大きな使命を意識し、高い意欲を持って働くことも大事な要素だと思っています。
生まれ育った国も文化も異なる者同士。同じ仕事を選び、協力し合うすばらしさ
現在の海外生産管理グループの仕事では、小麦の製粉技能を披露し合う社内競技会のグローバル大会の開催に携わったことが印象深いですね。日本や北米、オセアニア、タイなど国内外の製造担当者が日本の工場に集結し、技能を競い合いました。
それまでは日本の担当者だけを対象に実施していましたが、製造担当者の技能向上やモチベーションアップにつながるいい取り組みをもっと広げようということで、グローバル規模で開くことになったのです。
開催に向けては参加者が実際に使う用具をそろえたり、会場の動線を整えたり、さらには競技会を盛り上げるためのアイテムを用意したりと、さまざまな準備が必要でした。この経験から、長期的な目線で計画を立て、早めに関係各所との調整に入ることの重要性をあらためて実感しました。
またグローバルに仕事をするという意味では、タイ駐在時のマネジメント経験も心に残っています。英語を使ってやりとりしなければならず、かつ年上の部下に接することも多いので、マネジメントに苦心しました。その中でも、タイ人の部下に対して「なぜその業務をする必要があるのか」という本質を説明したり、「あなたはどうしたいのか」と尋ねたりという対話を地道に続けていました。
そんなある日、部下が「この業務改善に取り組みたい。そのためにはこれくらいの期間が必要で、このような工程で進めたい」と自主的に提案してくれたのです。とてもうれしくて、それまでの苦労が報われた想いがしました。マネジメントの経験が浅く、人を動かす難しさを痛感しましたが、貴重な経験を通じて自分も成長することができたと感じています。
私が思う海外業務の魅力は、新しい視点やアプローチ方法を学べることです。生まれ育った国も触れてきた文化も異なる者同士が、同じ仕事を選んで働いているということ自体、とてもすてきなこと。さまざまなギャップを乗り越えながら共通の目標に向かって協力し合う環境はとても刺激的で、その過程で自然と、新たな価値観が育まれていきます。
問われるのは「海外で働きたい」という意志を持ち、自分から行動できるかどうか
私が現在の海外生産管理グループで働くようになって、まだ1年しかたっていません。引き続き、海外事業において自分が役に立てる機会を模索しながら日々研鑽していきたいですし、海外の新しいプロジェクトや取り組みがあれば積極的に参加していきたいです。
さらに、自分で企画できるだけの実力を養っていくことも大事だと思っていて、相手を動かすための論理的思考力に加え、海外業務という性質上、英語力も磨いていきたいと考えています。
将来的にはもう一度、海外勤務にチャレンジしたいという想いがありますね。その上で、先輩社員たちのように新しい取り組みに関して企画段階から参加し、プロジェクトを推進できるような存在になりたいと思っています。
当社での海外勤務や、海外関連の業務に関心を持っている就活生の方々に伝えたいことがあります。たとえば今、「海外に関係する仕事がしたくて、だから英語の勉強をしている」という方がいるとしたら、十分、すばらしいことだと思います。問われるのは「海外で働きたい」という意志を持ち、海外の文化や生活について学ぶこと、海外勤務経験者に積極的にアドバイスをもらうことなど、目標に向かって自ら行動できるかどうかではないでしょうか。
ぜひ、海外業務が自分のキャリアにどのように活きるのかをしっかりと見極め、具体的な目標を持ってください。海外勤務で自らの存在感を発揮するためには、異文化への理解を深めてコミュニケーション能力を高めるだけでなく、仕事における自分の軸を確立させ、業務関連のスキルを伸ばしていくことが重要です。
海外勤務は平坦な道のりではありません。しかし、その先には大きな自己成長と充実したキャリアパスが待っています。世界という大舞台に目を向け、勇気ある行動で新たな道を切り開こうとする皆さんの挑戦を心から応援しています。
※ 記載内容は2025年3月時点のものです

