DC/DCコンバータの量産開発に従事。グローバルな連携で、プロジェクトを推進
日産自動車のR&D部門に所属する寺田。EVやハイブリッド車の電動パワートレインに用いる部品を開発する部署で働いています。
「私が所属しているのは、モータやインバータをはじめ、車載充電器や充電ケーブル、DC/DCコンバータの開発を担う部署です。私のチームでは、EVおよび日産独自の電動パワートレインであるe-POWERに搭載する、DC/DCコンバータの量産開発を担当しています。
設計から実験、量産まで、一連の開発プロセスを担うのが私たちの役割です。具体的には、車両の性能や安全性といった要求を、DC/DCコンバータの部品仕様に落とし込む業務を行っています。気温や湿度、走行条件の違いなど地域ごとの使用環境を考慮しながら、車両全体として最適に機能するよう電気性能や冷却構造を設計しています。
また、実験部門と協力して車両試験を実施したり、必要に応じてお取引先さまの工場へ足を運び、量産の立ち上げをサポートすることもあります」
その中で寺田は、エンジニアとして現場を支えながら、チームをまとめるリーダーとして活躍しています。
「各メンバーが担当しているすべての車種について、部品開発の進行管理を担当しています。メンバーが課題にぶつかったときの相談役として、プロジェクトが円滑に進むようにサポートするのが私の役割です」
日本国内だけでなく、海外の開発拠点とも協力しながら、寺田はグローバルな体制で業務を推進しています。
「イギリスやスペイン、中国にある日産の開発拠点のチームと連携しながらプロジェクトを進めています。また、海外のお取引先さまとの協力体制も構築しています。
海外との協業では、まず時差があることに加え、日本では言葉にしなくても通じることが伝わらない難しさがあります。そのため意識しているのは、意図を明文化して正確に伝えることです。相手に伝わったと過信せず、認識の相違がないかをその都度確認するように気をつけています」
それは、チームを率いる上でも大切にしていることの1つだと言う寺田。ほかにもメンバーと接する上で心がけていることがあります。
「自分が手を動かせばすぐにできるとしても、私がやることで部下の成長機会を奪ってしまいかねません。それを防ぐため、多少時間がかかってもメンバーに考えてもらい、トライアル&エラーを繰り返して成長してもらえる環境づくりを心がけています。
この指導方針の背景には、私自身の経験があります。自分で考えて実際に手を動かした仕事は年月を経ても忘れませんが、先輩に手伝ってもらった仕事は身につきませんでした。自分で試行錯誤するからこそ、一生もののスキルが得られると考え、指導にも活かしています」
ものづくりに対する想いを胸に。先進的な技術の開発に挑戦する姿勢に惹かれ、日産へ
大学院時代、海洋観測で使用する自律走行ロボットの制御システムを開発していた寺田。ものづくりに対する個人的な想いがあり、自動車メーカーを志望しました。
「実家が食品加工業を営んでおり、職人が一つひとつの工程にこだわりながら、手間暇かけて品質を追求する姿を間近で見て育ちました。自分もプロフェッショナルなものづくりがしたい。そんな想いが幼い頃からありました。
そうした中、自営業において身近で欠かせない存在だったのがクルマです。人々の生活を支えるクルマづくりに携わりたいと考え、就職先は自動車メーカーを志望しました。
最終的に日産を選んだのは、先進的な技術の開発に挑戦する姿勢に惹かれたからです。EV開発に力を入れる日産で、最先端のクルマづくりに挑戦したいと思い、入社を決めました」
こうして寺田は2005年に日産へ入社。最初の約3年はマーチのe-4WDに用いるインバータの開発を担当しました。
「その後、DC/DCコンバータを開発する部署に異動し、『フーガ ハイブリッド』の開発で初めて量産対応を経験しました。さらにe-POWERの開発にも関わり、EV充電関連部品の開発を経て、現在は再びDC/DCコンバータの開発に従事しています」
部署異動の経験は、寺田にとってエンジニアとしての成長につながる貴重な機会になったと振り返ります。
「高電圧部品の開発に長年携わる中で培った量産化のノウハウは、部品が変わっても活かすことができます。私の知見を異動先のチームメンバーに共有することで、プロジェクトを円滑に進められました。
また部品が変わるごとにお取引先さまも変わるため、その国ならではの商習慣や量産品質の保証方法など、新たな知識も習得できました。異動を重ねたことで、エンジニアとしての視野が広がったと感じています」
空冷式DC/DCコンバータの車内搭載に挑戦。独自の冷却設計で、性能と快適性を両立
電動化技術の開発を中心に、多様な経験を積んできた寺田。中でも「他のやらぬことを、やる」という日産のDNAを発揮したのが、DC/DCコンバータの冷却方式と搭載位置に関するプロジェクトです。
「多くのメーカーが水冷式のDC/DCコンバータをエンジンルームに搭載していますが、日産は独自の空冷式を採用し、車内のセンターコンソール(運転席と助手席の間)への搭載を実現しています。私が知る限り、この方式を採用しているメーカーは他にありません。
この独自の方式にはさまざまなメリットがあります。
外部環境の影響を受けやすいエンジンルームにDC/DCコンバータを搭載する場合、防水・防塵対策が必要ですが、車内だとそれが不要になり、筐体の部品点数を削減できます。また、外気温やエンジン熱の影響が少ないため、電子部品の長寿命化にもつながります」
大きなメリットがある一方、この開発を実現するにはさまざまな課題をクリアしなければなりませんでした。
「まず車内では、搭載できるスペースが限られているという課題があります。それに対しては、高電圧バッテリと冷却ファンを共用化して部品点数を削減することで対応しました。一方で車内に搭載する場合、快適な空間を保つために騒音対策が必要になります。その1つとして高電圧部品特有の高周波音の問題がありましたが、音の発生部位を徹底的に調べて対策を行いました。
さらに困難だったのが、冷却性能と静粛性の両立です。冷却ファンの回転数を上げれば部品の温度は下がりますが、その分だけ騒音が大きくなってしまいます。この課題を解決するために、公道やテストコースでの実走行データを収集し、さまざまな利用シーンにおける部品温度を検討。同時に、ロードノイズや空調音といった測定対象外の音を考慮しながら、最適な冷却設計を追求しました」
こうした試行錯誤の末、空冷式DC/DCコンバータをセンターコンソールに搭載する挑戦をやり遂げた寺田。仕事を通じてやりがいを感じるのは、量産が実現し、市場で安定的にクルマが走行していることを実感したときだと話します。
「DC/DCコンバータは、直接お客さまの目に触れる部品ではありませんが、無事にクルマが世に出ると大きな喜びを感じます。そして、数年経っても高い品質を維持できていることが確認できると、あらためて『開発がうまくいって良かった』と思います。
クルマの電源は『動いて当たり前』で、普段は意識されないものです。だからこそ何事もなく稼働し続けることが重要であり、それを支えるのが私たちの責務だと考えています」
1人ではできないクルマづくり。仲間と助け合い、時代を変える革新的な技術の開発を
日産に新卒入社して今年で21年目を迎えた寺田。仕事への向き合い方が以前と変わったのを感じています。
「入社前は、特定の分野でスペシャリストにならなければならないと考えていました。しかし日産に入社して気づいたのは、どれだけ専門性を磨いたとしても、クルマの開発は1人ではできないということです。仲間と協力してはじめてプロジェクトは成功するのだと、仕事を通じて学びました。
そして今では、チームのメンバーはもちろん、他部署の専門家から知見を得て、組織一体となって成果を生み出すことを大切にしています。それは日産に根付いている文化でもあります。大きな課題に直面した際には、全社で協力して解決にあたり、互いに助け合う。その風土は、長く働く中でずっと変わらないと感じています」
そうした助け合いの文化に加え、日産の魅力は「人」にあると寺田は話します。
「会社の規模が大きく多様な人材が働いているため、どの分野にもプロフェッショナルがいることが魅力です。そしてすぐに相談できる環境があるので、優れた人材から学ぶことで成長スピードも速いと感じます。
また、新しいことに積極的に挑戦できる環境も魅力の1つです。先行開発で取り組むテーマを提案できる機会があり、会社として承認されれば実際に開発を進めることができます」
寺田自身も、時代をリードする新たな技術の開発に挑戦し続けたいと語ります。
「自動車業界は100年に一度の変革期と言われますが、そのことを業務を通じて肌で感じる日々です。この変革期に、自分たちが今までにない技術を開発できれば、時代を変えられる可能性があります。自動車業界をリードする革新的な技術の開発をめざし、『他のやらぬことを、やる』という姿勢で挑戦を続けたいと思います」
同じように、日産で今までにない技術の開発に挑みたいと考えている仲間へ、寺田がメッセージを送ります。
「私たちが扱う部品はクルマのさまざまな性能に関わるため、社内の多くの部署との連携が必要です。クルマの開発はチームで協力して進めていくので、積極的にコミュニケーションを取り、わからないことは臆せず質問する姿勢が大切になります。
そうすれば仲間は必ず助けてくれます。チームで新しいことに挑戦したいという方にとって大きなチャンスが広がっている環境なので、ぜひ日産で活躍してほしいと思います」
※ 記載内容は2025年9月時点のものです
