生産現場の品質保証体制を厳しくチェック。真摯な姿勢でクルマの法規適合性を担保する
TCSX 品質監査室に所属している原田。現在のミッションは主に2つあります。
「自動車メーカーは、市場管轄当局に書類提出や実車で性能試験することでクルマが法規適合していることを証明し、当局に認可をもらい生産しています。大量生産するクルマ全てが均一で、法規適合していることを確認することを『完成検査』と言い、知識、技能をもつ自動車メーカーの完成検査員の方々が行います。その完成検査が適切に実施されているか、定期的に工場に出向いて品質保証体制をチェックするのが我々の役割です。
もうひとつは『完成検査変更バリデーション』という業務。新型車を世に出すときや、マイナーチェンジのときには、完成検査工程にも大きく変更が生じます。変更内容を踏まえて、完成検査を指示する帳票類の準備や、完成検査員への教育など、現場で適切に完成検査が実施できる状態なのか監査するのがミッションです」
国内向けのクルマを生産している6つの工場の内、担当の3工場に足を運び、監査基準に従って多角的なポイントを細部まで見ていきます。
「日産自動車では、三層構造の内部監査体制で各層の活動整合性を確保しています。第一層は工場自身での自主チェック、第二層が我々のチェックで、主に法令順守状況の確認及び法令違反等のリスク要因の確認として、基準と照らし合わせ業務プロセスの妥当性、実施状況の適切性を監査しています。
そして第三層が第二層の観点及びマネジメントサイドの体制面を主に確認する監査です。第二層で見るべきポイントは、国交省へ届け出ている検査項目が抜け漏れなく検査されているかはもちろんのこと、検査に関わる人員や計測機器の管理、検査結果の記録内容及び保管状況、また第一層の自主管理状況等、約100項目にわたって多角的な視点で見ています。
たとえば、非常に細かいところで言うと、検査データの改ざん防止のため、こすって消えるペンや鉛筆ではなく、消えないボールペンを使って記録しているかなども監査項目の一つとなっています。
問題があれば指摘をして改善を促し、対策が講じられるまでを見届けるのが仕事。車種や性能、現場の環境によって変化するチェック項目ですが、注意すべきポイントが現場に浸透してきていると肌で感じています」
※ 現在は検査結果の自動記録化など環境が整えられつつあります
仕事をする上で心がけているのは、現場に寄り添う姿勢を持つこと。
「きっとどこでもそうだと思いますが、監査は現場に敬遠される存在です。我々の監査は事前に通告することなく完成検査の現場を訪問するため、予定していた作業が中断され、現場での負担が発生します。だからこそ、現場に寄り添う姿勢を大切にしようと心がけています。
自分から元気に挨拶してみたり、必要資料が置いてある場所を覚えて工場の方にできるだけ迷惑をかけないように動いてみたり。少しでも監査にまつわる負担を減らせるよう工夫することで、しだいにこの時間は必要なものだと理解してもらえるようになりました」
過去に製品の不具合を経験。品質管理の重要性に気づき、日産自動車へ
もともと、ものづくりが好きだったという原田。大学では機械工学を学んでいました。
「環境問題に関わる研究に携わりたいというのが、大学に入る前からの希望でした。そこで、自然エネルギー系の研究、とくに太陽光を使った熱に関する研究をしていました。
最初の就職先は同じような軸で選び、空調機メーカーへ入社しています。省エネエアコンを世界中に展開しているものづくりメーカーで、私のビジョンに合っていると思ったのが決め手でした」
入社後は学生時代に培った知見をもとに、設計を担うことになりました。しかし、入社後、同社の室外機で不具合が起きてしまいます。
「品質は十分にチェックされたのか、世に出た際に問題なく使っていただけるのか、あらゆる面で検討が足りなかったため不具合が起こってしまいました。お客さまをがっかりさせてしまいましたし、会社としても問題に対処するために多大な費用がかかりました。そしてこの経験と反省を機に、私は品質の仕事に興味を持つようになりました」
品質への想いが強くなるなか、原田は数あるメーカーのなかから、品質管理に力を入れている日産自動車に目がとまりました。EVのパイオニアとして環境に優しいものづくりをしていることと、小さいころから日産車に乗っていて愛着があったこと、さらには「人々の生活を豊かに」というコーポレートパーパスに共感したこともあり、2019年に転職を決意しました。
「入社後は、クルマの構造や部品の名前を勉強し、監査についての理解を深めました。もともと自動車が好きだったので知識をつけることは苦ではなかったものの、監査をするうえで工場の方たちと対等に話せるようになるまでが大変でしたね」
現場の方々と、おたがいが気持ちよく監査を進めるために意識していたのは、同じぐらいの知識を持つことでした。
「クルマに対する知識はもちろん、基準に沿って正しく完成検査が行われているか監査することが目的なので、完成検査に関わる無数の基準を把握しておく必要があり、状況に応じて内容が頻繁に改定されていくため、認識遅れがあってはなりません。
また、現場の作業がどんなふうに運用されているのか工場ごとの特徴も頭に叩き込みました。知識が追いついてきたら、しだいに工場の方と対等に話せるようになりました。行き着くまでは大変でしたが、今ではおたがいが信頼し合いスムーズな監査ができています」
入社3カ月で、法令改正の適応状況確認活動に抜擢!工場に通い詰め適応完了を見届けた
今年の4月で入社6年目になる原田は、自身の成長を感じています。
「問題点が見つかったときにどう判断するべきかなど、後輩から相談を受ける立場になってきました。場合によってNOと言う勇気も必要で、今はそれがきちんとできでいるので、品質を守るために貢献している実感があります」
これまでの業務でとくに印象に残っているのは、入社3カ月のタイミングで取り組んだ法令改正に伴う適応状況の確認という原田。
「ちょうど入社した年に完成検査に関する法令が改正され、現場の管理体制をガラッと変える必要がでてきました。たとえば検査時に、いつどこで誰が検査を行ったかなどを細かく記録として残すように定められたり、記録の改ざんを防止するために電子データを残すことが必要となりました。
施行前に新しい法令に対応できているか確認するため、1カ月の間で6つの工場を見て回りました。当時は、ほぼ1カ月ずっと監査に出払っていました」
順を追って工場を確認していき、対応できていないところがあれば共有し、対策案を一緒に作ってきました。
「改善点がいくつも出てきたなか、現場の皆さんがしっかり対応してくれたことで、規定に則った運用ができる状態になりました。変化を見届けられたことが印象に残っています」
仕事をする上で感じているやりがいについて原田はこう語ります。
「実は入社前は、監査というと製品を入念にチェックするだけというイメージでした。ところが、実際の品質監査の仕事は、毎月現場に行って、現場の方とお話して。現場のことをよく知ることができ、とても興味深い仕事だと感じています。
現場にいて思うのは、何かあったときに責められてしまう雰囲気があると、人は蓋をして隠そうという心理が生じるということ。隠蔽してしまうと大きな問題につながりかねません。
問題が発生した場合には、すぐに相談してもらえるよう普段から雰囲気づくりをし、これからも改善策や対策を一緒に考えていきたいと思っています」
健全なものづくりのために。現場と上位層の潤滑剤になれたら
品質管理の仕事は、ときには上位層へ進言することが必要になる場合も。原田は緊張感を胸にミッションにあたります。
「業界では、最近また不正が話題になっています。日産自動車も他人事ではなく『明日は我が身』という思いで臨んでいます。現場の方々は立場上、NOと言えない場面もあるかと思うんです。そんなときに我々が敏感に察知して、上位の経営層にも進言できたらと思っています。
今も、監査の結果は、経営層に届くように配信しています。懸念の大きい問題が発生した場合には、経営層の方々が監査結果に基づき、関係者と適切なコミュニケーションを図りながら、迅速に連携してくれます。『現場で気になるところはないか』と定期的に聞いてくれるのも心強いです。これからも現場と上位経営層をつなぐ潤滑剤になれるよう頑張っていきます」
今後は、海外の工場の品質管理にも関わってみたいと、希望を語ります。
「海外工場の中で今関わりがあるのは、日本向け車両を生産しているタイの工場になるのですが、日産自動車全体だと、アメリカやヨーロッパ、アジアなど、世界中に工場があります。
実際に現地に行っている他グループの方に聞くと『地域によって全然違うよ』という話を聞きます。自分の目で確認してみたいと興味が湧きますね」
これから、責任ある仕事にともに取り組んでくれる新しい仲間を、原田は心待ちにしています。
「現場から頼られる存在になるために、自ら工夫できる方が来てくれるとうれしいです。率先して意見を聞いたり、上手く改善していくポイントをアドバイスしたり、『ここが危なそう』と敏感に察知して上位層に進言できたり。指摘をしたら、現場が改善するまでしっかりフォローアップして、クローズまで見届ける姿勢も大切です。自分で責任を持って物事に対処できる方が来てくれるとうれしいです。
働きやすいのも当社の特長です。ライフステージが変わっても活躍している方が多いですよ。実際に子育てと仕事を両立させながらバリバリ働かれている女性が多数います。必要であれば時短勤務を選択できますし、在宅勤務ももちろんできるので、都合に合わせて働き方をデザインできるのが魅力です。実際に、品質監査室が所属するTCSX部門では、子育ての理解をしてくださる人が特に多いと子育て経験者の先輩から聞いたりしています。
また、勤務先には社内託児所もあるので、サポート制度が整っていると思います。最近では男性の育休取得も盛んで、周りから薦めもあり、半年単位で取っている方もいて、ライフスタイルに合わせて働き方を変えられるので、おすすめできる環境です」
「品質を守る」という大きな使命のもと、自ら進むべき道を選び、品質の仕事に向き合ってきた原田。現場との信頼を確立しながら、これからも日産自動車の健全なものづくりを支えていきます。
※ 記載内容は2024年4月時点のものです
