大学病院前の店舗で幅広い処方に向き合い、専門性を深める日々
現在所属している枚方店は、大学病院の門前薬局です。調剤事務5名・薬剤師4名の計9名体制で、日々多くの処方箋を応需しています。立地の特性から、抗がん剤をはじめ、特殊な薬や高額な薬など幅広い種類の医薬品を取り扱っており、薬剤師としての知識や経験を深めることができる環境です。
私の担当業務は、主に監査と服薬指導です。調剤事務が多く在席しているため、処方箋の受け取り・入力・ピッキングは調剤事務が担当しています。その間、私はお薬手帳などを確認しながら、併用薬のチェック、処方内容の妥当性・相互作用・前回からの変更点の確認など監査に集中しています。監査後は、患者さまへ服薬指導を行い、ヒアリングした内容や服用状況などを薬歴に記録するところまでが一連の流れです。
仕事をする上で私が大事にしているのは、処方箋の内容をそのまま受け取るのではなく、その先にいる患者さまの生活を想像することです。がん治療を受けていらっしゃる患者さまが多く来局され、多くの方が抗がん剤治療による便秘・口内炎・手足の痛みなど、日常生活に影響する副作用に悩まれています。よくある副作用に思えても、ご本人にとってお腹が張って辛かったり、食事が取れないことは生活の質を大きく下げる深刻な問題です。服薬指導の際には、薬の説明だけでなく、こまめな水分補給や便秘に効果的なレシピ紹介、管理栄養士への相談提案など、患者さまそれぞれに合わせた対応をプラスすることを心がけています。
この価値観を持つようになったきっかけは、以前所属していた店舗で在宅医療を担当していたときの経験です。訪問した患者さまのご自宅の部屋は、夏の時期にもかかわらずエアコンが暖房設定になっていたのですが、ご本人は全く気にしていない様子で過ごされていました。認知症の診断は受けていなかったため、強い違和感を感じました。別の日には、お酒の飲み過ぎで酩酊していることもありました。訪問看護師やヘルパーがお酒を隠しても探し出して飲んでしまうなど、日常生活にさまざまなリスクが潜んでいることが分かりました。処方箋だけを見ていても分からない患者さまの生活があることを強く感じ、薬だけを見るのではなく、「患者さまの生活そのものを想像することが大切」という価値観につながりました。
時短勤務への移行で変わった働き方。変わらない患者さまへの思い
目の前の患者さまのためにできることを丁寧に行う姿勢など、仕事に対する価値観そのものは育休前と変わりません。一方で、働き方はフルタイム勤務から時短勤務へと大きく変わりました。育児と仕事を両立するため、何をするのも時間との勝負です。限られた業務時間の中で、どのように効率よく仕事を進めるかを常に考えながら動くようになりました。また上長や店舗のメンバーが気にかけて、声を掛けていただけることも多いのでとても心強いです。
育休に入る前は、地域密着型の店舗で外来と在宅医療の両方を担当していました。店舗の営業時間に合わせて開店準備を行い、午前は外来対応を行いながら、合間に在宅患者さまの薬を準備。午後は外来が落ち着いたタイミングで在宅訪問・不足薬の配達を行っていました。
第一子を妊娠した頃は、管理薬剤師として勤務していました。体調の変化や万が一のことがあった際に対応していただけるように、上長や店舗のメンバーに妊娠の報告と育休取得の意向を伝えました。その際、「体調を最優先にしてね」「無理しないで、何かあればすぐ言ってね」と温かい言葉をかけていただいたことがとても心強かったです。管理薬剤師として責任のある立場でしたが、周囲が支えてくれる環境だったからこそ、安心して育休に入る決断ができたと感じています。
そして、産休に入る前は、後任の方が困らないように、丁寧な引き継ぎを行うことを心がけていました。口頭で説明するだけでなく、実際に一緒に作業しながら流れを確認してもらうなど、できる限り実践的な形で引き継ぎを進めました。また、調剤事務の皆さんも、私が伝えきれていない部分を補足しながら、店舗全体で後任の方をバックアップする体制をつくってくださいました。
三人の子どもとともに歩んだ育休期間。温かな支えに包まれた復帰の日々
育休はこれまでに3回取得しました。第一子は2021年2月から1年強、第二子は2022年11月から約1年半、第三子は2025年4月から1年間取得しました。第一子のときは初めての育児ということもあり、分からないことがあるたびに調べながら手探りで過ごしていました。夜泣きも多く、どうすれば寝てくれるのか試行錯誤の毎日で、泣けばすぐに抱っこし、落ち着くまであやし続けていました。なかなか寝ない子だったので、パートナーと交代しながら抱っこし、腕が痺れるまで抱え続けたこともよく覚えています。
第二子・第三子のときには、ちょうど世間で「パパ育休」が広まり始めた時期でパートナーも育休を取得しました。子どもが3人に増えたことで体力的には大変でしたが、経験値が増えた分、精神的には穏やかに育児に向き合うことができました。上の子2人はパートナーが中心となって見ていてくれたため、私は赤ちゃんのお世話に専念でき、とても助かりました。何より、一番近くで子供の成長を見守れた1年間は本当にかけがえのない時間となり、育休を取得してよかったと心から思っています。
復帰後は時短勤務に変更し、休憩1時間込みの9時~16時という時間で勤務しています。1度目と2度目の復帰は休業前と同じ店舗だったため、不安はありつつもすぐに感覚を取り戻すことができました。店舗のメンバーが細かくフォローしてくださり、その支えがあったからこそスムーズに復帰できたと感じています。3度目の復帰では店舗異動があり、正直一番不安が大きかったです。扱ったことのない薬が多く、知識面での不安があったうえ、店舗の環境が変わったことで、機器の使い方にも戸惑うことがありました。それでも店舗のメンバーがとても根気強くサポートしてくださり、質問しやすい雰囲気をつくってくれているおかげで、少しずつ業務に慣れることができています。
小さな子どもがいると、急な発熱や体調不良でどうしても仕事を休まなければならない場面があり、そのたびに「申し訳ない」という気持ちが強く、休むことを伝えるのが精神的に辛い時期がありました。そんなとき、店舗のメンバーが「大丈夫です、あとは任せて帰ってください」「子どもさんのそばにいてあげてください」と声をかけてくれ、背中を押してくれました。この温かな支えがあったからこそ、仕事と育児の両立を続けることができていると感じています。
一人で抱え込まず、周囲に頼りながら。温かな支えの中で描き続けるキャリア
仕事と育児を両立する上で心がけているのは、完璧を求めすぎないことと、一人で抱え込まないことです。育児をしていると、子どもの体調や機嫌によって予定が大きく変わることが日常茶飯事です。やりたいと思っていても実際にはできないことも多く、すべてを完璧にこなさなきゃと考えると、自分が辛くなってしまいます。だからこそ「思い通りにいかないことがあっても仕方ない」という気持ちの余裕を持って、無理をしない働き方を意識しています。また、困ったときはパートナーや親族、そして店舗メンバーに相談して、助けてもらうようにしています。周囲に頼ることで気持ちに余裕が生まれ、結果的に仕事を続けながら育児にも向き合えていると感じています。
今はまだ子どもたちが小さく、仕事と育児の両立で精一杯で、正直、遠い将来のキャリアを具体的に描く余裕はありません。ですが、私が大切にしている「患者さまの暮らしと心に寄り添う」という想いを持って、今自分ができることを丁寧に積み重ねていきたいです。
以前は妊産婦さんや授乳中の方、子どもへの薬の飲ませ方などの服薬指導に苦手意識がありましたが、実際に自分自身が妊娠、出産、育児を経験したことで、「妊娠中のこの時期にはこんな不安があるな」「妊娠中、授乳中にも飲める薬が結構あるな」「子供に薬を飲ませることはこんなに大変なのか」という実感が生まれ、患者さまに寄り添った説明や提案など服薬指導の幅が広がったと思います。日々の業務の中で、「こんな処方提案をしてみたらどうかな」「こう伝えたら患者さまの負担が減るかもしれない」といった小さなチャレンジを続けることが、今の自分にとってのキャリアアップだと感じています。また、店舗や会社への恩返しとして、いずれは在宅訪問の件数を増やす取り組みにも挑戦してみたいです。
これから育休を取得する方や将来的に取得を考えている方へ伝えたいのは、安心して育休を取ってほしいということです。会社には出産・育児を支える制度が整っており、実際に私自身もその制度を無理なく活用することができました。また、店舗メンバーも本当に温かくサポートしてくれました。私が育休を取得できたのは、制度だけでなく、「互いに支え合う」風土の会社だったからこそだと感じています。私自身もサポートしていただいた分、恩返しができるよう、日々の業務にしっかり取り組んでいきたいと思っています。
※記載内容は2026年7月時点のものです

