日の出とともに1日が始まる。養殖業者をまわり、魚の状態をみて飼料の評価を確認
私は、愛媛県宇和島市にある西部水産営業部第一課で、養殖魚用飼料の営業に従事しています。愛媛県はタイ、ハマチの養殖生産がとくに盛んな地域。西部水産営業部は、50代の部長のもと、外回り営業10人、配達調整担当3人、総務・経理担当2人で構成され、20~40代の若手を中心に拡販に取り組んでいます。
私の1日は、日の出とともに始まります。魚の養殖業者は早朝に魚を出荷するので、私も出荷時に顔を出し、代表者や現場責任者に会って話をします。この定期巡回業務と、販売特約店との商談、工場との需給調整が私のおもな業務です。
今朝も始業は6時半でした。午前中に数件まわり、午後は会社で事務処理をして午後4時頃には退勤。いつも午後10時には就寝するスケジュールで日々生活しています。
定期巡回の目的は、当社製品がお客様にどんな評価を得ているかを確認し、生産者からの要望に迅速に対応すること。現場では、自分の目で魚の状態を見たり、お客様と会話したりして飼料への評価を確認します。
たとえば、ある生産者に新たに製品を導入いただく際には、製品の餌食や沈降速度など、その現場での状況を給餌作業に同行し把握。問題や改善点がある場合には先輩社員や研究所、工場に相談し、一刻も早く改良品を納品するといったこともありました。
生産者とともに生産効率向上施策をシミュレーションすることもあります。「この飼料をこの期間にこの量だけ与えれば、これだけコストを圧縮できます」といった具合に、実際に使用して月1回ペースにて魚体重を測定するなどの定期観測をしながら導入提案しています。
製品を使っていただくことで、生産者の事業に貢献することが私たちの願い。そのためには、ときに養殖作業をお手伝いすることも。魚を適正な放養密度にするため、別のいけすに移動し間引きする分養作業など、人手が必要なときは作業応援に駆けつけています。
仕事をする上でモットーとしているのは、お客様と真摯に向き合うことです。その場限りの無責任な発言は関係悪化につながるだけ。ときに苦しい決断であっても、正直に伝えることを大事にしています。養殖業者には一本気な方が少なくありません。「もう来るな」と言われてしまえばおしまいです。誠実にお客様と向き合うことで、信頼関係の構築に努めています。
生産者の情熱に触れて芽生えた、現場に「寄り添いたい」という思い
私はもともと昔から生き物や釣りが好きだったんです。高校生のときに進路を考えたとき、好きな生物の分野の中でも自分のもっとも知らない世界を学びたいと考えて進んだのが、水産学部でした。
大学では病理学を専攻し、ウナギの寄生虫病を研究。従来から継続した研究を引き継ぐのではなく、最初から最後まで私1人で研究を完結できる点に惹かれて選びました。
学生時代に学んだ知識を活かせる仕事に就きたくて、就職活動では水産関係に的を絞りました。県の水産研究所なども検討しましたが、最終的に当社の営業職を選んだのは、私個人が信頼を得ることで会社に貢献したいと考えたからです。
入社後、新入社員研修を経て、6月に配属先の西部水産営業部へ。稚魚のワクチン接種が最初の仕事でした。小さな稚魚に1尾ずつ手作業でワクチンを打っていきます。稚魚が10万尾いればワクチンも10万本。気の遠くなるような作業です。多くの人手が必要になるため、毎年、関係者総出で対応します。
それが終わると、生産者のもとへと足を運び、給餌同行を行って担当者の生の声を聞きながら養殖の世界の基本を学びました。とくに印象的だったのが、生産者の熱い思いに触れたこと。「エサを食べてくれないのは、おいしくないからかな?」などと、魚の挙動一つひとつをまるで人に対するような感覚で話されていたのを覚えています。
手塩にかけて育てる皆さんの姿を見て、魚を大切に捉えていることを知りました。そんな生産者の方々と接するうちに、私も彼ら、彼女らの想いに寄り添いたいと考えるようになり、より多くのことを学びたいと、現場にひたすら通いました。
2年目を迎え、先輩の異動を機に初めて担当を持つことになりました。生産者の方の悩みはさまざま。当時はお客様が何を望んでいるのかを理解できず、戸惑うばかりの日々でした。
たとえば、同じ愛媛県でも北と南で水温が異なるので、別世界です。たとえば、愛媛の宇和島を起点に南に50kmくらいのところに宿毛という水温の高い地域がありますが、ここではタイだとだいたい1年で1kgに成長します。一方、宇和島から北に50㎞にいった水温の低い地域では、どんなに工夫しても1年で400gにしか成長しません。そのため水温の低い地域は高スペックな飼料が必要になります。
それぞれ適切な飼料の質も異なるため、海域に応じた提案が求められます。水質や栄養学の勉強をしたり、現場の代表者とコミュニケーションを取ったりと、ニーズを汲み取ろうと懸命に努力してきました。
3年目となったいまも、まだまだ自信はありませんが、最近は私の提案に同意いただけることが増えてきました。また、生産者の皆さんは情に厚い方ばかり。「よく現場を見に来てくれるから、そちらの飼料を使おう」と私の働きぶりに応えてくださることもあります。私がめざしていたお付き合いが、少しずつできるようになってきたと感じています。
「君はどうしたい?」と聞いてくれた。頼れる先輩がいるからこそ、積極的に挑戦できる
入社2年目にとても印象深い出来事がありました。ある生産者の方から、魚の成長具合をもっとよくしたいと、相談を受けたときのことです。
戸惑いながら上司に報告したところ、「君はどうしたい?」と問われました。現場の状況や生産者のことを一番わかっているのは営業担当です。生産者にもっとも近い立場からの意見を求められましたが、当時の私には打つべき手が見えていませんでした。
そこで、先輩のサポートのもと、社内の研究所へ相談し、自分なりの解決策を追求。工場と調整して新しい飼料の開発に至りました。実際にお客様に使っていただき、定点観測しながらさらに改良を重ねたところ、ついに生産者から「悪くないね」という言葉をいただいたんです。それは厳しい目を持つ生産者の方に製品の品質を認めていただいた証。その瞬間、これまでの努力が報われた思いがして、大きな手ごたえを感じました。
来春の出荷時の魚の成長具合が最終評価となりますが、改良から1年が経った現在もその飼料を使っていただいていることは、私にとって大きな励みになっています。
この経験を通して感じたのは、当社には頼れる社員がたくさんいるということ。何人もの先輩から助言をもらいましたし、研究所や工場の方も親身になって相談に応じて動いてくれました。2年目の若手営業でも、強い意志があれば裁量をもって挑戦できることを実感できたことは、いまも私の糧になっています。
フレッシュな感性を持つ新しいメンバーとともに挑戦を繰り返し、養殖業界をより活発に
3年目になっても、まだまだ学ぶことがたくさんあります。さらに勉強して知識を身につけ、養殖全般に関して「栁澤さんに聞いてみよう」と頼られる営業担当になることが目標です。
この世界では知識が頼りです。部長がお客様から電話で相談を受けている様子や、先輩たちが圧倒的な知識量で新規開拓に成功している姿を目にするたびに、努力を重ねて私もそんな存在になりたいと気持ちを新たにしています。
これからもお客様の現場訪問の要望には積極的に応えていくつもりです。声をかけてくれるということは信頼していただいている証。直接お話できる貴重なチャンスでもあります。私は生き物が好きなので、現場訪問はさまざまな発見があり楽しい時間です。たとえば、活魚の出荷作業では、水槽を積んだ大きなトラックに専用の箱に1尾ずつ魚を入れていきますが、成長具合が確認できて、生き物にじかに触れられることをとてもうれしく思っています。
これまで私が仕事を楽しんでこられたのは、当社に働きやすい職場環境があるからこそ。西部水産営業部ではメンバーの仲が良く、先輩に気軽に相談することができていて、仕事はもちろんプライベートでも面倒を見てもらっています。
また、宇和島地区には釣りを楽しむのに最適な環境があり、オフには先輩とボートを借りて釣りに出かけることも。朝が早い仕事ですが、そのぶん早く退勤できますし、土日祝日はしっかり休めているので、メリハリのある働き方ができています。
新しいメンバーに期待するのは、何事にも前向きにチャレンジできるマインドです。たとえば、生産者の方から急な応援依頼をされた場合でも、「どうやったらできるか」と粘り強く解決方法を模索できる方といっしょに働けたらと思っています。
これまで皆さんが学んできた新しい知識やアイデアを取り入れながら、新しいことに積極的に挑戦したいとも考えています。養殖業界をともに盛り上げていきましょう。
※ 記載内容は2023年12月時点のものです
