お客さまの口に入るものだから。品質保証課のトップとして、安全・安心を守る
私は現在、埼玉県にある坂戸工場で、品質保証課の課長を務めています。この工場で製造しているのはチョコレートやビスケット、グミなどのお菓子。定番の板チョコレートや、10粒入りのスティックタイプのチョコレート、お客様に長く愛されている「アポロ」や「ツインクル」のほか、業務用チョコレートなども製造しています。
品質保証課は、製品がお客さまのもとに届く前のいわば「最後の砦」。その責任を肝に銘じ、食の安全を常に厳守できるよう、十分な注意を払って業務にあたっています。
適切な品質管理のために明治がとっている方法のひとつに、二次元コードによる管理があります。チョコレートなどのパッケージの裏面に二次元コードを印字し、その製品が作られた際の製品情報と紐づけしております。もしお客さまから「重量が足りない」「異常を感じる」などのお問い合わせがあった場合は、この情報を基に、迅速かつ正確に対応することが可能となっています。
また、機械や情報技術だけでなく、人間の感覚も駆使しています。機械などではどうしても測れない違和感も、人の官能によって微妙な差異を感じ取れることがあるからです。官能訓練を受けた社員が、工場で実際に商品を食べて、香り、味、口どけ、食感などについて、いつもと同じ品質が守られているのかを検査し、異常があれば製造を止め、原因を究明し、常にお客様に喜んでいただける製品の製造を目指しております。
明治は、ありがたいことに長く愛されている商品を数多く展開しています。日本のリーディングカンパニーであるという自負のもと、決して手を抜かずにブランドを守るのが我々の仕事です。食の安全に厳しい日本のお客さまが求めているさらに一歩先、二歩先をめざすことで、世界中の方に「日本の食べ物は美味しく、安全で安心だ」と思っていただきたい。そんな思いで、社員一丸となって目を光らせているのです。
一緒に働いている品質保証課のチームメンバーは、合計15名。課長として、スタッフのマネジメントも行いながら業務にあたる毎日です。正社員他、パート社員さんさんなどさまざまな立場の方がいるので、目線を揃えながらコミュニケーションをとり、それぞれの体調の変化や悩み事なども共有できるよう、積極的に声をかけています。
研究所、本社、坂戸工場……。異動を重ねて獲得してきた人脈に救われる日々
私が入社したのは、1999年。総合職ではなく、研究所の一般(勤務エリアが限定される基幹職)として、研究所で採用されました。入社後にまず任されたのは、基礎研究です。「チョコレートに入っているポリフェノールは、身体にどんなふうにいいのか」を示すデータを取得するなどの研究をしていました。ほかにも、血糖値が上がりにくい甘味料の研究や、アミノコラーゲンの研究など、10年ほどかけて幅広いテーマに携わりましたね。
2009年10月からは本社に異動となり、サプリメントや食事代替型プロテインなどの健康食品を企画することになりました。委託先工場を含めた様々な各工場を回る機会が増え、色々な経験や出会いがあり、知識を得ることができました。
2013年に坂戸工場の品質保証室に異動したときは、周囲の方にも支えられ、すっかり馴染むことができました。その後、一旦本社の品質審査部に異動し、乳系工場を含む全国の工場を回る機会が増え、ここでも良い出会いをたくさんさせていただきました。別の立場から工場の業務に携わることができ、また工場に戻ってきたかたちで今に至ります。
工場で働く毎日は、とてもおもしろいですよ。日々いろいろなことが発生するので、都度対処していく必要があります。悪天候による停電で機械に不具合が起きたときの対応に問題はなかったか確認したり、設備の状態や衛生面を厳しくチェックしたり、製造時の温度や時間が正しく管理されているか確かめたり。全てはお客様に喜んでいただくために、何かあれば、製造部門と一緒に対応していきます。
品質保証部課は、製造部とは別の組織として独立しており、工場長直轄の組織です。なので、臆することなく対等にものを言える環境なんです。品質を確実に守るための組織形態が作られているなと感じます。
円滑な品質管理のためには、工場内だけではなく、本社や、いろいろな部署とのやりとりが必要になります。私は、分野の違ういろいろな部署を転々としてきたおかげで、各方面に知り合いがたくさんいてとても助かっているんです。コネクションを広げてきてよかったなと感じますし、これからもご縁を大切にしていこうと胸に誓っています。
全工場唯一の女性管理職に。工場勤務の醍醐味を感じる日々
私が課長に昇進したのは、2回目に坂戸工場に配属されてから半年経ったころでした。実際にライン長となったのはさらにその半年後でした。工場で数少ない女性管理職になったわけですが、プレッシャーはありませんでした。もともと課長を補佐するような立ち位置だったこと、チームメンバーが知り合いばかりだったこともあって、周囲はすんなり受け入れてくれた印象です。
管理職の中で一人だけ女性、という環境ですが、女性だからという理由で不自由を感じたことはとくにありませんし、逆に特別扱いをされたと思うこともありません。周囲の理解もあって、自分らしく、のびのびとやらせてもらっています。坂戸工場は女性社員が多く、女性に優しい工場であってほしいと思っています。
10年ほど前から他の工場に先駆けて製造現場のお手洗いに生理用品を設置する取り組みを行う等しています。また品質保証課は女性比率が高く、和気あいあいとした雰囲気。部屋の改装を行った際は実験台や棚の高さ、部屋の配色にもこだわり、楽しく働きやすい環境を目指しました。
課長として皆さんが働きやすくなるように工夫しているのは、社員やパート社員さんの話をしっかり聞くことと、褒めること。工場の仕事は、お客さまから直接褒めてもらう機会がなかなかありません。だからこそ、たとえば製造工程のちょっとした不具合を見つけてくれた人がいたら、「ありがとう!」と声をかけるようにしているんです。人は褒められるとうれしいもので、何かあったときに隠すのではなく、しっかり報告してもらえる空気感を作っているのです。
こんな工夫のおかげか、坂戸工場の皆さんはとても感度が高く、細かい違和感もすぐに察知してくれます。この「人の感度を上げること」こそ、工場全体の品質維持・向上に欠かせないもの。これからも私は積極的に褒め続けますし、できれば社員に限らず、工場で働くみなさんが、いいことをした人がいたら自然に褒め合うようになってくれたらと思っています。
工場は、明治の仕事において最も重要な現場。そこで働けることを幸せに感じています。アポロの三角チョコが型から外れてコロリと転がる様子は、工場にいる人しかなかなか見られません。工場見学に来た子どもたちが夢中になって見学し、喜んでくれたり、私たちの作ったチョコレートが世の中で役に立っていると思えたり……。このリアリティや現場感は、工場ならではの醍醐味だと思いますね。
性別の枠組みに囚われない、リベラルな企業文化をつくっていきたい
子どもたちのキラキラした目をみると、子ども時代に当社の商品に出会ってファンになってくれるといいなと思いますね。そうやって長年愛し続けてくださるファンがたくさんいらっしゃるので、素晴らしい仕事をしていると誇りに思っています。
そんな私が先々の展望として描いているのは、また違う部署に異動すること。品質管理にこだわらない、別の視点も養ってみたいからです。たとえば製造課に行った場合、率いる人数がぐんと増えます。そんな大所帯を自分がマネージャーとしてまとめられるのか確かめてみたい気もしますね。今までもさまざまな場所を渡り歩いてきた身なので、これからも求められる場所にどんどん挑戦していきたいです。
また、女性の活躍推進も、私にとって大切なミッションです。工場における女性活躍は、まだまだ道半ば。きっと工場というと力仕事が想起され、女性に任せにくい印象があるのでしょう。でも、マネージャーは、ほとんど力仕事をしない立場です。固定観念を取り払って、男性だから、女性だからという枠組みに囚われることなく、公平に判断されるように願っています。
最後に、女性社員の皆さんにメッセージがあります。仮にもし今、自分の置かれた場所が合わないと感じているとしても、まずは任された業務をコツコツ続けてほしいです。その努力を見ている方が絶対にどこかにいて、引き上げてくれるはずです。それまでは諦めたり投げやりになったりせず、続けてください。
逆に今、バリバリと頑張っている方は、それを継続してほしいです。そうすれば、きっとやりたいところに行けるはず。諦めずに継続しながら、関わる人たちとのご縁も大切すること。それこそが、チャンスをつかむために大事だということを伝えられたら嬉しいですね。
「自分には管理職は無理」と思っている方も、私を見て「あの人にできるなら、私にもできるかも」と思って、気負わなくなればいいなと思います。工場における女性管理職の先駆けとして、後に続く方のためにも、そんな背中を見せていきたいと思っています。本当に能力のある人間を選んでいけば、必然的にトップに立つ女性はもっと増えていくでしょう。近い未来、環境はどんどん変わっていくと信じています。
※ 記載内容は2024年9月時点のものです

