「美味しい」と言ってもらえる喜びが、食を「作る側」へと向かわせた原点
子どものころの私は、どちらかといえば内気な性格でした。交友関係は広く浅くというより、仲の良い固定の友人と一緒に過ごすことが多かったです。ただ、内気ではあっても勝ち気で負けず嫌いな一面もあって、勝負事になると人一倍一生懸命になっていたのを今でもよく覚えています。
夢中になっていたのは、ゲームと読書でした。対戦ゲームやシミュレーションゲームなど、ジャンルを問わずさまざまなゲームに没頭していましたし、読書も大好きで、ハリーポッターのような分厚い本でも1〜2日で読み切ってしまうくらい集中して読んでいました。内気ながらも、好きなことへの熱中度はかなり高い子どもだったと思います。
食への興味が芽生えたきっかけは、小学生のころに叔母と一緒にアップルパイを作ったことでした。自分の手で何かを作って、それを「おいしい」と言ってもらえたあの瞬間の嬉しさは、今でも鮮明に覚えています。それまでは食べることが好きなごく普通の子どもでしたが、あの体験を境に、食べる側から「作って提供する側」へと自分の視点が変わっていきました。
その気持ちを大切にして進んだのが、高校の食物調理科です。調理の基礎を学んだ後、さらに深く食と向き合いたいと思い、大学では健康栄養学科を選びました。調理だけでなく、栄養学という観点から食を科学的に理解することで、「おいしさ」と「健康」の両面から食に携わる力を身につけていきました。
学生時代に特に力を入れたのが、地元のイタリアンレストランでのアルバイトです。主にキッチンで働いていましたが、基本的な調理業務にとどまらず、季節メニューの考案や後輩スタッフの人材育成にも携わるようになりました。売上へのこだわりも強く、月間の予算目標を超えることを意識しながら働いていましたし、お客様に満足していただいてリピートにつながるような接客を心がけていました。食を「作る」だけでなく、「届ける」「選んでいただく」という視点まで広がったのは、このアルバイトの経験が大きかったと思います。調理と栄養学を学びながら、現場で実践的な経験を積んだ学生時代が、今の仕事の土台になっています。
「こんな素敵な方々と働きたい」が、入社の決定打になった理由
就職活動では、「自分で作ったものを誰かに提供する」という体験に重きを置いていました。その思いから、食品メーカーの商品開発や、外食産業の経営に強い大企業を中心に企業を探していました。自分の手が関わったものが誰かの手に渡り、喜ばれる瞬間に携わりたい——そういった軸が、当時の就職活動を貫いていたと思います。
そんな中でこの会社と出会ったとき、最初に抱いたイメージは「おもてなしと経営のハイブリッドな会社」というものでした。飲食・ホスピタリティ業界では、接客やサービスの質を重視する企業は多くあります。しかしこの会社は、そこに経営的な視点や学びが組み合わさっている点が、他の企業とは少し違って見えたんです。自分がやりたいことと、会社の持つ強みが重なっていると感じました。
入社の決め手は、大きく二つありました。一つは、面接を通じて「経営に関する学びが他社より深い」と感じたことです。面接の場でのやり取りを通して、ただ現場で働くだけでなく、経営の視点を持った人材として育ててもらえる環境があると確信できました。
もう一つは、当時採用担当だった方のひととなりです。面接の場で接した採用担当の方がとても素晴らしい人で、「こんなに素敵な方々が働いている会社で自分も働いてみたい」という気持ちが、最終的な背中を押してくれました。会社の制度や事業内容だけでなく、そこで働く「人」に惹かれたことが決定打になったというのは、今振り返っても正直な気持ちです。
入社後はまず、スタンス研修(社会人としての姿勢や価値観を学ぶ研修)から始まり、クレーム対応に関する研修、コミュニケーションスキルの研修、業務習得のための研修と、幅広い研修の機会がありました。体系的にサポートしてもらえる環境が整っていると感じましたし、入社直後の不安を和らげてくれる時間でもありました。
研修を終えて配属されたのは、現在と同じ営業統括本部です。ただ、当時の役割は今とは大きく異なり、店舗の一スタッフとしてキッチンやホールでお客様と直接コミュニケーションを取る業務を担っていました。自分の手でサービスを届け、目の前のお客様に喜んでいただく——就職活動時に思い描いていた「自分で作ったものを提供する」という原体験に近い仕事から、キャリアをスタートさせることができたと思っています。
赤字店舗の黒字化、そしてスタッフの笑顔が何よりのやりがい
現在は営業統括本部に所属し、複数の店舗を管轄する立場として、CIS(顧客満足度指標)・EIS(従業員満足度指標)・売上利益の向上に向けた取り組みを日々行っています。具体的には、店舗スタッフの人材育成や職場環境の改善、原価や販管費(販売費及び一般管理費)の管理などが主な業務です。さらに、通常の管轄業務に加え、ダイニング事業部全体のオペレーション改善や業務の仕組みづくり、そしてAIを活用した業務改善にも携わっています。周囲の統括者や店長と連携しながら、ムリ・ムダ・ムラをなくすことをテーマに、エリア単位での改善活動にも積極的に取り組んでいます。
これまでの仕事の中で特に印象に残っているのは、赤字店舗の黒字化を達成できたことです。実際に営業現場に入り込み、QSC(品質・サービス・清潔さを示す飲食業界の基本指標)の向上やシフトの最適化、売上と利益の改善を地道に積み重ねた結果として、数字が好転した瞬間はとても嬉しかったです。ただ、それ以上に心に響いたのは、数字ではなく「人」の変化でした。
長らく厳しい状況が続いていた店舗のスタッフが、改善の取り組みを重ねていく中で少しずつ表情が明るくなっていく様子を間近で見たとき、この仕事をやっていて本当によかったと感じました。「ありがとうございます」という言葉を直接かけてもらえる瞬間は、どんな数字の成果よりも大きなやりがいを与えてくれます。また、お客様からも感謝の言葉をいただき、何度も足を運んでくださるファンになっていただけたことも、忘れられない経験のひとつです。
一方で、苦労したことも正直に振り返ると、店長として着任した当初は、スタッフとの関わり方に非常に力を注いでいました。新しい取り組みを導入したり、行動の改善をお願いしたりする際に、どうすれば相手に共感してもらえるか、どうすればトップダウンの一方的な指示にならないようにできるかを、毎回真剣に考えていました。人が自分自身で動機を持って行動することが、質の高い取り組みを長続きさせる鍵だと今でも強く感じているからです。その意識は現在も変わらず、スタッフ一人ひとりとのコミュニケーションを大切にしながら、それぞれが主体的に動ける環境をつくることを日々心がけています。
また、学生時代と比べて大きく成長したと実感しているのは、リーダーシップです。以前は人前に立つことが苦手で、誰かの指示を待ったり、引っ張ってもらうことが当たり前でした。しかし今は、チームや集団全体を動かすことを意識し、それぞれのメンバーが最大限の力を発揮できるよう、発信の頻度や質にも細かく気を配るようになりました。この変化は、店長や統括という役割を通じて自然と身についたものであり、現場での経験がそのまま自分自身の成長につながっていると感じています。
「強い情熱さえあれば」おもてなしとDXで描く、新たなキャリアの形
今、私が短期的な目標として取り組んでいるのが、AIを活用したアナログ業務の改善と、デジタル業務の効率化です。私たちの仕事の根幹にあるのは「おもてなし」、つまり人に対して心を尽くすことです。だからこそ、その「おもてなし」に最大限の時間と力を注げる環境をつくることが、今の私にできる大切な貢献だと思っています。事務作業や管理業務の効率化を推進することで、スタッフ一人ひとりがお客様と向き合う時間を増やし、おもてなしの質をさらに高めていきたいのです。
中長期的には、複数の店舗をサポートする統括業務と、AIやプログラミングを活用したDX化(デジタルトランスフォーメーション、つまり業務全体をデジタル技術で変革していくこと)を同時に担うポジションを確立することを目指しています。現場のおもてなしを深く理解しながら、テクノロジーで業務全体を底上げできる存在になること、これが私の描くキャリアのビジョンです。業界の中でもまだ珍しいこのポジションを自分自身でつくり上げていくことに、大きな挑戦とやりがいを感じています。
この会社は、お客様に喜んでいただくことに純粋なやりがいを感じられる方、素晴らしいおもてなしのお店をつくり広げていきたいという志を持つ方にとって、とても魅力的な環境だと思います。人と誠実に向き合う文化が根付いており、「被害者意識ではなく自己責任の意識で仕事に取り組む」という姿勢が、社内で活躍している人たちに共通して見られる特徴でもあります。
最後に、これから一緒に働きたい方へ伝えたいことがあります。リーダーシップを持っている方、あるいはこれから身につけたいと思っている方、相手の立場に立って人と接することができる方と、ぜひ働きたいと思っています。でも、何より大切なのは「強い情熱を持っていること」だと私は思っています。スキルや知識は、入社後に努力すれば十分に習得できます。しかし情熱だけは、自分の内側から湧き出るものでなければなりません。その情熱さえあれば、並大抵のことは乗り越えられると、日々の仕事を通じて実感しています。おもてなしへの想いと、テクノロジーへの興味、そして何かを成し遂げたいという熱い気持ちを持った方と、ぜひ一緒に新しいキャリアの形をつくっていきたいです。
