「統制のある自由」を目指して ―― 営業企画としての挑戦
スタートアップの営業現場では、プロセスや仕組みが未整備なことも多く、どう顧客と関係をつくるか、どの情報を拾って案件につなげるか――判断の多くが個人に委ねられています。結果として属人化しやすく、全体の成果も安定しません。
その中で私が意識しているのは、自由を活かしつつ最低限のルールを設け、確かな仕組みに落とし込むことです。個人の成果が最大限に発揮できる環境を守りながら、仕組み化によって属人化を防ぎ、数字に変換し、次へとつなげていく――それが私の考える「統制のある自由」です。
現在、私は営業本部で営業企画という役割を担っています。SES領域のマッチングやパートナー連携といった既存業務に取り組みながら、ブティック型コンサルティングファームをめざす過渡期にあり、その中で自分はどんな役割を果たすべきかを考え、行動している最中です。
私の役割は、社内で生まれるさまざまな「ビジネスの種」に肉付けをし、情報を整理して仕組みに落とし込むことです。例えば営業進捗の入力ルール。情報の精度を担保するためには統一フォーマットが必要ですが、面談での印象や人物評価は人それぞれ。だからこそ“統制”と“自由”の両立を意識した設計を行っています。
こうして規律と自由のバランスを保ちながら、現場から生まれるノウハウを「使いやすさ」と「納得感」のある仕組みに整えていく。曖昧だったものが少しずつ整理され、「これで動けそう」と形になっていく瞬間。そして整備した仕組みや資料が誰かの意思決定や行動の後押しになる瞬間に、私は大きなやりがいを感じています。
可能性と制約のはざまで―― 営業職での10年と新たな選択
出版業界の広報室から、私のキャリアは始まりました。
――その後、約10年間を営業職として過ごすことになります。雑誌の校正編集も経験しているため、今でもテレビのテロップや字幕の誤字につい目がいってしまいます。
20代の頃を振り返ると、印象的なのは法人営業時代のあるプロジェクトです。毎日、通常業務が終わったあとに担当法人の実績データを抽出し、改善に向けた数値を作成・投入する作業を繰り返していました。始業より数時間早く出社し、強制退勤時間まで働く日々。今であれば自動化できるような業務ですが、当時は生データと付帯情報を一つひとつ丁寧に見て、売上改善につなげていきました。この経験は、今も私の土台になっています。
結果として対目標売上125%を達成。統計学を学んでいた知識も活かし、Excelでの関数処理をパズルのように楽しみながら磨きました。さらに営業先との折衝を重ねる中で、交渉力という大きな武器も手に入れることができました。
しかし結婚・出産を経て、環境の変化とともに新たな課題に直面します。「時短だから」という理由で仕事の幅を制限される場面が増え、もどかしさを感じるようになったのです。上司の配慮であることは理解していましたが、このままでは「自分の意思で仕事を充実させ、積み重ねていくことは難しいのでは」という不安が募っていきました。
限られた時間の中でも成果を出そうと、締め切り前の前倒し進行やタスクのカレンダー共有、マニュアル整備など工夫を重ねました。それでも、長男の小学校入学を前に働き方を見直す決意をします。小学生にとって親がそばにいる時間は大切だと考えた一方で、当時の「時短勤務+フル出社」の環境では理想の両立は難しいと判断したのです。
そこから約半年から1年かけて、自分のスキルを棚卸しし、「できること」「やりたいこと」「譲れないこと」を整理しました。仕事は好きで続けたい。しかしこれまでとは違う働き方を模索したい。その思いの先にたどり着いた答えが「転職」でした。
データを力に変える ―― 仕組みづくりから実感した成長
長く一つの業界で働いてきた私にとって、カジトルへの転職は大きな挑戦でした。慣れない環境に戸惑うことも多い中で、最初に成果として形にできたのが、ServiceNow社とのパートナー契約に関わった経験です。契約に向けた社内外の連絡窓口として、必要な情報を整理し、関係者間で共有する役割を担いました。Business Planの作成から打ち合わせの議事録整理まで幅広く実務を担当し、一つひとつのプロセスを丁寧に整えることの大切さを改めて実感しました。
同時に、営業進捗を正確に把握するための仕組みづくりにも力を注ぎました。SES特有の複雑な商流の影響もあり、進捗を追い切れず、課題を特定して改善につなげることが難しいという現状がありました。そこで「使ってもらえなければ意味がない」という視点を大切にし、現場が無理なく活用できる一方で、分析にも耐えられる仕組みを整えていったのです。
前職で培ったデータ活用力は、現職でも大きな武器になっています。その強みを活かし、営業進捗や案件・人材マッチングのログを集計・可視化し、KPIの達成度を一目で把握できる仕組みづくりを進めています。数字を「ただ蓄積する」から「意思決定に活かすデータ」へと変換する。その第一歩を形にできたことに、大きな手応えを感じています。
また、時短勤務時代の経験もさまざまな形で活きています。当時は短い時間で成果を出すことはもちろん、急な呼び出しにも対応できるよう「自分しか分からない状態」を極力なくす工夫を重ねていました。その習慣が、現在の業務でも「まずたたき台をつくる」「形にしてからチームで検証する」という効率的な進め方につながっています。
さらに、カジトルでの働き方は以前よりも柔軟になり、子どもの宿題や学校行事にも無理なく関われるようになりました。自分で時間を組み立てられることで、「これまでの働き方」とはまったく異なる、新しいワークスタイルを実感しています。
前職では「自分が成果を出すこと」に集中していましたが、今は「成果を出せる環境を整えること」に意識がシフトしました。ときにはルール化に時間がかかり、導入が後ろ倒しになることもありますが、その過程で学んだのは、スピード感と現場感覚を両立させる調整の重要性です。こうした一つひとつの経験が、確実に自分自身の成長につながっていると感じています。
強みを生かして広がる未来 ―― ワーキングマザーとして築くこれからのキャリア
「キャリアは捨てるものではなく、形を変えて積み重ねていけるもの」だと思っています。ワーキングマザーという立場にあっても、それを理由にキャリアを制限するつもりはありません。むしろ状況に合わせて柔軟に築いていけることが、これからの働き方の一つの形だと思います。
まずは目の前の課題に向き合うこと。これまで整えてきた仕組みを、本当の意味で「使えるもの」に育てていくことが、私の短期的な目標です。営業進捗の管理やデータ活用には、まだ改善の余地が大きく残されています。「誰が使っても同じ結果が得られる仕組み」をめざしながら、一人ひとりの強みや個性を最大限に活かせる環境を整えていきたいと思います。
その先には、社内PoCを通じてノーコードや自動化ツールを組み合わせた仕組みやシステムづくりにも挑戦したいと考えています。小さく試しながら改善を重ね、私の強みである「地盤を整える力」と掛け合わせることで、再現性のあるサービスに育てていきたい――それが中期的な挑戦です。
そして何より、この会社の魅力は、一人ひとりのスタイルを尊重しながら挑戦できる環境があることです。まだ整備の余地が多いからこそ、「決まっていないことを一緒に決めていく」楽しさがあります。仲間のアイデアを拾い上げ、整理し、仕組みに落とし込み、最終的にはお客様に価値として届ける。「一緒に考え、形にしていく」ことを楽しめる人にとって、大きな可能性が広がる環境です。
「これ、おもしろいからやってみよう」。そんな声が自然と生まれる職場で、スキルや能力だけでなく、変化を楽しめる柔軟なマインドを持った仲間と共に、新しい仕組みやサービスを形にしていきたいと思います。
