駅という枠を超えて新たな感動を創造する。自然とまちの魅力を引き出す挑戦者の情熱
HIRAMEKIを機に鉄道業務から事業開発業務へと舞台が変化した2人。現在は以下の業務に従事しています。
牛嶋:HIRAMEKIをきっかけに誕生した複合アウトドア施設「Snow Peak ABURAYAMA FUKUOKA」に関連する業務を行っています。大きく2つの業務に従事しており、1つめは施設内のストア・キャンプ場の責任者、いわば店長として、商品の販売やチェックイン・チェックアウトの対応などに従事。
もう1つは、同施設を運営しているJR九州のグループ会社「JR九州リージョナルデザイン」の営業マネージャーとして、施設のイベント企画や収支予測、次年度の予算作成にも携わっています。
Snow Peak ABURAYAMA FUKUOKAの一番の魅力は、立地とロケーション。福岡市内から自動車でおよそ30分という好立地にありながら、春は桜、秋は紅葉など、美しい自然が楽しめます。九州地方にお住まいの方はもちろんのこと、最近はインバウンド需要も高く、アジアを中心にさまざまな国のお客さまにお越しいただいています。
草場:私は開発部の博多まちづくり課に所属し「博多まちづくり推進協議会」のメンバーと共に博多駅周辺の賑わい創造に力を注いでいます。たとえば、毎年5月のゴールデンウイークに開催される福岡市民の祭り「博多どんたく港まつり」では、「路上ステージ」となったはかた駅前通りにて、「はかた駅前“どんたく”ストリート」を主催。
そのほか季節に応じて、夏は夏祭り、秋は博多旧市街エリアを楽しんでいただくためのイベント、冬はイルミネーションなど幅広いイベントを企画・運営しています。また、博多駅周辺の美化も私たちの役割の1つ。毎月第3木曜日の朝、博多駅周辺の清掃活動を実施しているんです。
博多まちづくり課のミッションは、なんといってもお客さまに「博多に来てよかった!」と思っていただくこと。そのためには、まず企画を考える私たち自身がイベントを楽しまないと、魅力が伝わらないと思い、一つひとつのイベントを全力で楽しみながら運営しています。
現場での経験を創造力に変えて。車両整備と運転士から新規事業開発に挑んだ2人の決断
九州出身の2人がJR九州への就職を決めた理由、これまでの業務変遷について語ります。
草場:親族が多く暮らしていたこともあり九州で仕事をしたいと考えていました。中でもJR九州を選んだのは、鉄道事業だけでなく事業開発などさまざまな分野で事業展開していることを知り、「いろんなことが経験できそうだ」と思ったからです。
HIRAMEKIに関わる前は長らく鉄道車両のメンテナンス業務などを行う部署にいました。車両に向き合うかたわら、車両工場を一般開放するイベントの企画に携わったほか、現場管理やスケジュールを管理する業務を担当しました。当時の経験が、今の仕事でも生かされているなと感じます。
牛嶋:私は高校卒業後、同じJR九州で車掌をしていた父の背中追って入社し、父と同じように車掌や運転手をしていました。その後キャリアアップを目的とした「リーダー研修」を受講し、非現場部門へと異動。それからは本当に幅広い経験をさせてもらいましたね。
イベントの企画や人事業務、観光列車の立ち上げに携わったほか、年間7,000件寄せられるお客さまからのご意見・ご要望に対応する部署にいたこともあります。組織を内側から動かしていくためには、地道な活動が必要になることもありましたが、その中から学んだ「忍耐強さ」は今の業務でも役立っています。
それぞれのフィールドで活躍していた2人がHIRAMEKIに応募したきっかけとは。
牛嶋:もともとキャンプが好きで、休日は息子たちとよく出かけていたので「好きなことを仕事にしたい」と思ったのが1つ大きなきっかけです。
また、当時からJR九州はアウトドアブランド「Snow Peak」と包括連携協定を結び、さまざまな施策を行なっていたんです。自分も同社のテントを使うなど愛着のあるブランドだったので、何か一緒におもしろいことができないかと思い、この制度を活用することに決めました。
草場:私は「駅直結のシェアオフィスがあったら良いのに」と考えたのがきっかけです。私自身が出張中に「空港にはラウンジなどパソコンで作業できる場所があるけれど、駅には作業できる場所がないな」と思っていたこともあります。
駅も無人化などによってスペースが余ってきていますし、それを活用すれば駅を利用する人にとって有益な空間が生まれるのではないかということで、この制度を経て開業したのが「コワーキングスペースQ」です。
駅という多くの方が利用する場所にイベントもできるコワーキングスペースを作ることで、社内外のさまざまな人との交流が生まれることも期待しました。
「時間との戦い」を乗り越えて実現した夢──HIRAMEKI制度が開いた新たな扉
所属する部署や入社年次に関わらず、どんな人でも新しい事業を提案できるHIRAMEKI。厳正な書類審査や数々のプレゼンテーションを経て、2人のアイデアが事業化に向けて駒を進めます。
草場:企画が通った時、所属していた部署で新しい業務を始めたばかりだったので、正直後ろ髪を引かれる思いで開発部へ異動しました(笑)。しかも、異動した途端に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発令。やったことのない新しい仕事をテレワークで始めることに、大きな不安が伴いました。
緊急事態宣言が解除され、実際に大きく動き出せたのは2020年9月ごろ。第1号店の博多は2021年春を目標に開業を定めたので、本当に時間との戦いでした。私と担当者の2人でどんな仕様にするか、店舗の内装はどうするか、料金やサービス内容はどのように設定するか……手探りで一つひとつ決めていきましたね。
実は開業の2週間前になっても店舗の什器や備品はもちろん、内装もできあがっていなくて、「本当に開業できるのかな?このままでは無理なのではないか……」と思っていました。ですから、開業に至った時は店舗が完成した喜びより、「どうにか間に合わせた!」という安心の方が強かったです。
牛嶋:私の方は当時所属していた部署がもう長かったので、「ようやく違うことができる」「自分のやりたい仕事ができる」というワクワク感でいっぱいでした。しかし、状況は草場とよく似ていて、プロジェクトが動き出しから開業までの期間はたったの1年。
とくにこのプロジェクトはステークホルダーが多くて、福岡市やSnow Peak、施設内のカフェやレストランなど各方面の関係者と連携をとる必要がありました。1つの契約にさまざまな方の印鑑が10個以上並ぶような状態で、とにかく一歩前に進めるだけでも大変でしたね。
それに並行して、同施設を運営するにあたり必要なグループ会社の設立や実際に施設で働くアルバイトの採用活動も行なって。開業したら、それはそれで日々いろいろなことが起こるので、感動に浸っている余裕がなかったですね(笑)。
これまでとまったく異なる業務へと船を漕ぎ出した2人。新たな挑戦から学んだことを語ります。
牛嶋:デザイナーさんやSnow Peakの経営幹部の方など、これまでの業務では絶対にお目にかかることのない他業種の方々と出会えたことが、自分にとっての財産ですね。さまざまな方々と共に1つの施設を作ることができて、勉強の連続でした。
また、施設運営者として「数字を見る」力も身についたなと。どこに行っても通用する自分になれたと思います。
草場:私も牛嶋さんとまったく同じことを感じました。とくにコワーキングスペースは多種多様な業種の方々と出会えます。スタートアップ企業の方と話す機会も多く、皆さまの想いの強さや事業拡大に必死に注力されている姿を見ると、たくさんの刺激と勇気をもらいました。
一方で私は今回の新規事業をJR九州にいながらまるで起業したかのように挑めて本当に恵まれていたんだなと感じました。鉄道の仕事をしていた時はとにかく「安心・安全」が第一だったので、それを守り続けることの大変さ、新しいことに対する不安も感じながらでしたが、そんな私でも新規事業を立ち上げられたという自信がつきましたね。
「まちづくり」と「事業創造」の融合。駅を超えて広がる、九州の新しい可能性への挑戦
制度を活用してJR九州の可能性を広げた2人が、周囲からの反応についてこう言います。
草場:開業するまでは社内の知り合いにも「大丈夫?」「大変そう」と心配されていたのですが、開業して3年半、6店舗に規模が広がった頃には「売上が伸びているらしいね」「多くの人に利用されているね」とあたたかく応援してもらっています。
店舗ごとにまだまだ課題はありますが、リピーターが増えたり、月額会員になってくれる方もいたりして、必要な方にサービスが届いているのを実感できてうれしいです。
また、今私は博多のまちづくりをしていますが、まちづくりに関わってくれている企業の方ってコワーキングスペースQで接点があった方が意外と多いんです。そういったご縁も生かして、今後はまちづくりとコワーキングスペースQのコラボレーションに力を入れていきたいと思っています。
牛嶋:私もプロジェクト開始当社は鉄道会社がキャンプ場を作るということで、社内の方に随分驚かれました。しかし、実際開業してみると新しいことをやっていることで目を惹き、「私もここで働いてみたい」と言ってくれる従業員の方がすごく多いんです。同じ会社の仲間にそう言ってもらえると、やっぱりうれしいですよね。
一方で規模の大きい施設ということもあり、経営的にはまだまだ発展途上。まずはSnow Peak ABURAYAMA FUKUOKAを多くの方に利用してもらい、軌道に乗せていきたいですね。その上でJR九州リージョナルデザインという会社を通じて新たな企画をして、九州全土を盛り上げていきたい思いもあります。
2人に共通しているのは、「九州をより盛り上げたい」という地元愛。最後に九州に対して抱く課題や感じているポテンシャルを語ります。
牛嶋:九州は駅周辺が活気にあふれている地域が多く、個人的には「駅の周りは開発し尽くされている」と感じます。一方で、少し駅から離れた部分はまだまだ開発の余地があるので、今回のプロジェクト同様、JR九州がまちに出ていって盛り上げる役割をしていきたいですね。
草場:今回、HIRAMEKIを利用して地域のさまざまな方と交流したことで「九州を盛り上げたい」と思っている人が社外にもたくさんいらっしゃることがわかりました。そう言った方々とJR九州が密に関わっていくことによって、地域がもっと活気あふれる九州にしていきたい。今はそう思っています。
※ 記載内容は2024年12月時点のものです

