英語への情熱から始まった私のキャリア
私は短期大学の英文学部で学びました。英語を学ぶことが大好きで、その気持ちは今でも変わりません。ただ、日本にいると英語を実践的に使う機会がなかなかないのが悩みでした。そこで、大学ではESS(English Speaking Society)部に入部し、部長として活動する中で、人を観察する力が自然と養われていきました。メンバー一人ひとりの個性や意欲を把握し、どのように接すれば良いのかを考える習慣が身についたのです。
就職活動が始まった時期、私の通っていた大学は航空業界への就職に強く、多くの同級生がエアラインを目指していました。私も一時期は地元のエアラインへの就職を考えましたが、「本当に好きなことを仕事にしたい」という思いが強くありました。
しかし、なかなか自分の進むべき道が見えてきませんでした。そんな時、両親からサービス業という選択肢を提案されました。地域に貢献できる仕事、特に「おもてなし」を通じて人々に喜んでもらえる仕事に興味を持ち始め、最終的にホテル業界への就職を決意しました。
ホテルでの仕事を通して、地域の魅力を発信しながら、お客さまに最高のサービスを提供したい。そんな夢を抱きながら、私は社会人としての第一歩を踏み出すことになりました。
興味の赴くままに、多彩な業界での経験を重ねて
私の職歴は、ホテル業界、美容業界、保険業界と、一見すると関連性のない業種を渡り歩いてきました。最初に飛び込んだホテル業界では、レセプションを担当していましたが、人手不足という状況から、料理部門にも携わることになりました。ビュッフェの料理を運ぶ業務が中心でしたが、お客さまと直接関わる機会の多い仕事でした。
その後、以前から興味のあった美容業界に転職しました。実は私自身も肌のトラブルに悩んだ経験があり、その経験から美容についてより深く知識を得たいと考えたのです。美容部員として働く中で、お客さま一人ひとりのニーズに合わせたコンサルティングができることにやりがいを感じました。自分の経験を活かしながら、お客さまの肌の悩みの原因を一緒に考え、解決策を提案していく。その過程で、お客さまとの信頼関係を築いていけることが何よりも嬉しかったです。
その後、人生の大きな転機として、結婚を機にブラジルでの生活を経験しました。異文化の地での生活は、私の視野を大きく広げてくれました。日本に戻ってからは、保険業界で働くことになりました。営業職は最初こそ苦労の連続でしたが、美容部員時代に培ったコンサルティングのスキルを活かすことができました。特に印象に残っているのは、飛び込み営業などで初対面の方と関わる機会が多かったことです。この経験を通じて、人見知りだった私が、積極的にコミュニケーションを取れるようになりました。また、お客さまの心理や傾向を見る観察眼も養われました。
このように、その時々で興味を持ったことに挑戦し、新しい業界で経験を積んでいきました。一見バラバラに見える経歴かもしれませんが、どの仕事でも「人との関わり」が中心にありました。そして、それぞれの経験が、次のステップでも必ず活きてくることを実感してきました。
心を通わせる「おもてなし」の日々
そんな中、元々鉄道好きだった父から「ななつ星㏌九州」について教えてもらい、人との関わりを軸にしてきた私にとって非常に魅力的な仕事だと思い、挑戦してみることにしました。
現在はクルーズトレイン本部で、「ななつ星in九州」のクルーとして、車内での細やかなサービスはもちろん、食器類の管理や収納方法の改善など、さまざまな業務に携わっています。
私たちが目指しているのは「世界一のサービス」です。それは単にお客さまの期待に応えるだけではなく、想像もしていなかった驚きや新鮮さを感じていただけるようなおもてなしを意味しています。
特に印象に残っているのは、香港からいらっしゃったお客さまとのエピソードです。その方は友人の紹介でななつ星を知り、世界的に有名な豪華列車にも乗車経験があったのですが、「ななつ星が一番良かった」と言っていただけました。そのようなお言葉をいただけると、本当にやりがいを感じます。
初対面の方との会話を自然に展開できる雰囲気づくりや、緊張されているお客さまにリラックスしていただくためのお声かけなど、保険営業時代に培ったスキルが役立っています。「初めて会った気がしない」「話しかけやすい」といったお声をよくいただきますが、これも前職での経験があってこそだと感じています。
私は英語、韓国語、ポルトガル語を話すことができ、その言語を活かし、他のクルーが説明に困っているときのサポート役を担うこともあります。時に言語が通じないお客さまもいらっしゃいますが、あたたかく迎え入れ、誠実に対応することで、心のこもったサービスは必ず伝わるものです。
後日、通訳の方を通して「言葉は通じなくても、とても満足できた」というお言葉をいただいたときは、本当に嬉しく思いました。
また、車内で使用する備品などもクルーが提案したり、私自身が製作に関わったものがお客さまの手元に届いたりすると、大きなやりがいを感じます。伝統工芸品への関心も高く、観光地や車内の備品を通じて日本の伝統的な価値あるものに触れられる環境も、この仕事の魅力の一つです。
九州と日本の未来を照らす、世界一のおもてなしを目指して
私が目指しているのは、「ななつ星㏌九州」のクルーとして世界一のおもてなしを実現することです。そのために日々、自己研鑽を積んでいます。例えば、趣味で茶道を習得し、車内でのお点前ができるよう練習を重ねています。また、日本酒のソムリエに相当する酒ディプロマの資格取得も目指しています。一人でも多くのお客さまに喜んでいただけるよう、おもてなしの幅を広げる努力を続けていきたいと考えています。
JR九州の魅力は、一人ひとりの価値観や能力を活かせる風土があり、意欲と能力のある社員には挑戦と成長の機会が提供されることだと思います。
また、 なんといっても九州全域にわたる鉄道ネットワークを活かして、地域密着 で「九州をもっとにぎやかに、もっとおもしろく」に取り組んでいることです。 「ななつ星㏌九州」を通じて、九州の元気、九州の文化、そして日本の文化を世界に向けて発信していくことができる。そう信じて日々の業務に取り組んでいます。

