「できることを、できる範囲で」前向きに。JR九州人事部で見つけた、私らしい働き方
九州旅客鉄道(以下、JR九州)の人事部勤労課に在籍する私は、現在、部を円滑に運営するための業務や社員フォロー業務、企画業務などを行っています。部を円滑に運営する業務として、部の予決算を財務部と調整して策定するほか、部への依頼事項(回答作成や研修入所など)を人事部の社員と調整し、人事部がやるべきことを漏らさないように気を配っています。
社員フォロー業務としては、給与事務に関わる通勤手当などのシステム入力や各種申請など社員にとって必要な業務をサポートすることが私の役目です。また、企画業務では福岡市などで開催されている「子どもお仕事参観デー みらいプロジェクト」の企画運営や、「永年勤続表彰式」の運営、表彰式ムービーの製作なども担当しています。
子どもお仕事参観デー みらいプロジェクトとは、社員の子どもたちを対象に親の仕事を体験してもらう取り組みです。お父さんやお母さんと一緒に出勤して会議に参加、駅員としての仕事をしてみたり社長や会長と名刺交換したりするなど、少し大人な職場体験をしてもらっています。
永年勤続表彰式は、社内では「効績章」と呼ばれ、毎年10月14日の鉄道の日に合わせて開催しています。25年にわたって会社に貢献してきた社員を表彰し、その功績を讃える大切なイベントです。2024年は約230人もの方々が受章される大きなイベントとなり、チームメンバーと力を合わせてイベントの企画・運営に尽力しました。
私が仕事をする上でもっとも大切にしているのは、「人とのつながり」です。JR九州は全国各地からさまざま個性を持つ従業員が集まってくるため、個性的な社員とのコミュニケーションを楽しみながら、良好な人間関係を築いてきました。とくに、人事部は仕事内容によって幅広い方と関わるため、どんな場面でも自分らしく明るく話すことを心がけています。また、周りで話し声が聞こえると、その輪の中に入って会話を楽しむこともあります。
そのほか「自分にできることをしっかりこなす」ことも大切にしています。車いすでの生活には不便な点も多々あります。しかし、私は「自分にできる範囲のことができればいい」と考えているので、不満を感じることはあまりありません。日常生活で買い物へ行っても、「手が届くものから商品を選ぼう」と考えています。
このように、私一人にできることは限られていますが、ちょっとした声かけで場を和ませたり、困っている人がいれば手を差し伸べたりと、周囲のお役に立てるよう工夫しています。
人見知りだった私が見つけた人とつながる喜び──明るく優しい仲間との出会い
私は生まれつき脚(両下肢)に麻痺があり、車いすでの生活を送っています。高校卒業後、もともと地元市内での就職を希望していましたが、バリアフリーなどの条件が叶う職場がなかなか見つからず、まずはスキルを身につけるため障害者就労支援センターで職業訓練を受けることになりました。
JR九州との出会いも就労支援センターがきっかけでした。紹介を受け、練習のつもりで面接に参加したことを覚えています。その結果、面接後に試用期間をいただき、最終的に「ぜひ働いてください」とお声がけいただいたことで、契約社員としてJR九州の一員に加わりました。
入社を決めた理由の1つが、JR九州グループの倫理行動憲章にある「明朗な企業風土と働きやすい職場づくり」という項目。続く「従業員一人ひとりがお互いを尊重し信頼し合える企業風土」という言葉に惹かれ、自分に合っているのではないかと感じたのです。また試用期間中に出会った人々が皆、明るくユニークで、「ここで働きたい」という気持ちが強くなりました。
一方で、初めての就職には不安も伴いました。とくに、当時は勤務先が自宅から離れていたため、片道2時間の通勤時間がかかることが不安でした。しかし、通っていくうちにその生活にも慣れ、職場に馴染んでからは会社の近くで一人暮らしを始めることに。通勤や一人暮らしを通じて、自立した社会人生活を送れるようになりました。
また、環境面での不安もありましたが、当社の入り口自体がスロープ状になっていて車いすでも入りやすいほか、オフィス内も配置など車いすが通りやすいよう配慮してくれていたので、入社後困ることはほとんどありませんでした。周囲の「困ったことがあったらいつでも言ってね」というひと言もありがたかったです。
入社当初は、電話応対や伝票入力といった社員フォロー業務を中心に行っていました。入社前は人見知りをする性格だったので、初めは電話に出るだけでも緊張しました。そんなある日、社内で「ぜひ企画業務も挑戦してみて!」と背中を押してもらえる機会がありました。当時は契約社員でしたし「私がやって大丈夫なのかな」と遠慮する気持ちもありましたが、周囲からのサポートもあり「挑戦してみよう」と思えたのです。
JR九州に入って12年が経過しましたが、今では人見知りも克服して相手を知り、そして自分を知ってもらうことを楽しいと思えるようになりました。これも、日々関わる人たちが明るく優しいおかげです。また、幅広い業務に携わらせてもらえたことで、業務を進める力や「この企画をよりよくするためにはどうしたらいいだろう」と考える力も身についたと感じます。
「みらいプロジェクト」がつなぐ親子の絆──働くお父さんお母さんの姿
業務の中で私がとくに印象に残っているのは、みらいプロジェクトの企画・運営です。JR九州社員の子どもたちが親の職場を体験できる取り組みで、2017年から私が担当しています。着任当初は福岡市内を中心に15人程度の参加者だったのですが、2024年の第15回目には参加者が100名を超える九州全土を巻き込んだイベントになりました。
引き継いだ当初は企画業務に不慣れだったこともあり、「前任者からもっと情報を聞いておけばよかった」と後悔したこともありましたが、周囲のサポートもあり現在は主担当としてほとんど1人で企画を進められています。参加者が増えることは喜ばしいことですが、1人でまとめ上げるのは苦労することも。まさに、「うれしい悲鳴」ですね(笑)。
じつは、このプロジェクトを引き継いだ当初は、参加を募っても「参加者を絶対出さないといけないのか」という後ろ向きな声が多く聞かれました。しかし、実際に参加した子どもたちの様子を見た社員から「うちの子も興味を持っている」という声が徐々に増えていき、現在では多くの部署に積極的に参加してもらっています。
参加者は安全面への配慮から小学4〜6年生を中心としており、とくに「お父さん・お母さんの働いている姿を見てみたい」という動機での参加が多いです。参加した子どもたちには感想文を書いてもらっており、「家ではゴロゴロしているお父さんが、職場ではかっこよく働いていて感動した」といった感想や親への感謝の言葉が寄せられ、親子の絆を深める機会にもなっていることを実感しています。
15周年の節目であった今年は、特別な取り組みも実施しました。子どもの頃にみらいプロジェクト職場体験に参加し、現在社会人として活躍されている方々から応援メッセージをいただき、ムービーを制作したのです。今年参加してくれた子どもたちに見てもらうことができ、とても感慨深い想いでした。また、この取り組みをより多くの方々に知っていただきたいという想いから、テレビ局や新聞社にも取材の案内を出すなど、積極的な広報活動も行いました。
人事部で働く私にとって、最大のやりがいは社員の笑顔を見られること。人事部は制度や従業員の生活、仕事に直接影響を与える部署です。イベントの企画や日々のフォロー業務を通じて社員の意見や声を聞き、皆さんが生き生きと働いている姿を見ることが私の大きな励みとなっています。
九州の人々の暮らしを支える誇り──垣根のない挑戦が生む成長
JR九州の魅力は、なんと言っても列車運行を通じて九州全土の人々の生活を支える企業であることです。そのほか、マンション開発や保険業など幅広い業務も担っており、九州地方に暮らす人々にとって身近で欠かせない存在なのです。TVCMなどを通じて社員の輝いている姿を見ると、そういった人々と一緒に働けることに大きな誇りを感じます。
また、私自身2024年10月から正社員登用の機会をいただき、よりJR九州の一員としての実感が湧いてきました。当社はもともと障がい者・健常者の垣根なく、さまざまな業務に挑戦させてもらえる環境でしたが、これからは正社員としてより一層主体的に働いていきたいと考えています。
今は人事部の一員として、社員にとって働きやすい環境づくりに貢献しています。これからも社員の声に耳を傾け、社員が忙しい毎日の中で少しでも「喜び」を感じられるような明るいJR九州を作っていきたいですね。また、日々の業務の中でグループ会社との関わる機会も多いため、引き続き連携を強化していきたいです。
一方で、JR九州は「お客さまとの関わり」を大切にしている企業。そのため、今後はお客さまと関わりが持てる業務にも挑戦してみたいです。みらいプロジェクトで経験したメディアを通じた情報発信のように、間接的でもよいのでお客さまに関わってみたい想いがあります。
私が思うJR九州で活躍できる人とは、積極的に発言・提案できる人です。「これやってみたい!」と前向きに自分の意見を表明する方や、ダメ元でも気軽に自身のアイデアを提案する方が多く、そういった方々がいることで会社全体が活性化していますし、私も大きな影響を受けています。
入社当初、正直私はここまで幅広い業務を任せてもらえることになるとは思ってもいませんでした。しかし、実際に蓋を開けてみると、車いす移動による合理的配慮は行なってくれながらも、業務面では一般社員と同じように幅広い挑戦をさせてもらうことができ、自分自身が予想以上に大きく成長できたように思います。
JR九州には幅広い業務があるので、障がいや病気を抱える方にもぜひ自分が「やってみたい」と思う仕事を見つけて、挑戦してみてほしいです。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです

