決済インフラを動かす、二人のミッションと譲れない仕事のポリシー
オーソリ決済リースシステム本部でシニアエキスパートを務めるNakamuraと、カード基幹システム本部で本部付部長を務めるTanaka。異なる領域で金融・決済インフラに向き合う二人は、現在担っている役割と組織におけるミッションについて語ります。
Nakamura:私はこれまでアーキテクトとして、三井住友カードや三井住友ファイナンス&リースをはじめとするグループ各社のシステム変革に向けた構想づくりに携わってきました。現在は、グループ会社が推進するクレジットカードによる電車やバスの乗車決済(交通タッチ決済)事業の拡大に向けて、将来のシステム像を描くグランドデザイン策定に取り組んでいます。交通タッチ決済は、改札を通るごく短い一瞬の間に処理を完遂させなければならず、朝の通勤ラッシュ時などに集中するトランザクションに、どう対応するかがきわめて重要になります。首都圏や関西圏をはじめ、交通タッチ決済の普及が進む中で、扱うデータ量も大きく増えています。そうした事業の成長を見据え、数年先のシステムはどうあるべきかを描くのが私の役目です。また、これらの業務に加えて人材育成の推進にも携わっています。
Tanaka:私は、三井住友カードのホスト基幹システムの保守・開発や、テスト環境の維持・管理などを統括しています。これが主な業務ですが、保守・開発にとどまらず、開発プロセスにAIを活用し、自動プログラム生成による生産性・品質の向上を図る企画の推進や、データ分析に基づく部署横断的な業務効率化施策の検討・推進も担っています。さらに、事務処理向けのプログラミング言語として長期にわたって使われている「COBOL」をはじめとする技術力の向上や、若手社員を中心とした開発力強化など、人材育成を含む多岐にわたる役割を担っています。
それぞれ重要なミッションを抱える中、二人には「これだけは譲れない」と決めている仕事上のポリシーや価値観が存在します。
Nakamura:お客さまが描いている事業戦略を理解し、その会社の成長を実現するために「将来のシステム像をどう描くか」を一番大事にしています。システム構築に取り組んでいると、いつの間にか構築すること自体が目的化してしまいがちですが、それでは本末転倒です。事業の成長や変化を支えていくには、システムだけを見ていては不十分です。事業戦略とシステム戦略がきちんとつながっているかを見極める視点を、常に大切にしています。
Tanaka:お客さまやその先にいるサービス利用者の「真の要望・目的」を追求することを大切にしています。お客さまからいただいた要件をそのまま受け取るのではなく、その背景にある戦略や本質的な課題まで踏み込み、成果につなげる姿勢を重視しています。また、管理職としては部下のキャリア形成を支援し、個人としては「自分に正直でいること(誠実さ)」を大事にしていて、自分自身が納得して臨むからこそ周囲の協力を得ることができ、より大きな成果につなげられると感じています。
二人はチームでの立ち位置にもそれぞれ独自のスタンスがあります。
Nakamura:現場と経営層などをつなぐハブのような役割を担っています。意思決定プロセスに周囲の関与を促し、現場が納得できる将来像を示すことで、モチベーションや当事者意識を高めています。
Tanaka:メンバーそれぞれが、自分の力で目標にたどり着けるよう「後方支援」を意識しています。大規模プロジェクトの経験をヒントとして、フィードバックしながら見守るスタイルですね。以前は自ら先頭に立って引っ張るタイプでしたが、役割が多岐にわたる今、自分一人で担えることには限界があると感じています。だからこそ、メンバー全員がそれぞれの持ち場で力を最大限発揮できるよう、後方からしっかり支える存在でありたいですね。
システム統合の壁も、未知への挑戦も。難局を乗り越え見つけたプロジェクト推進の答え
これまでに数々のプロジェクトやシステムの構築を完遂してきた二人。そのキャリアの道のりは決して平坦なものではなく、挑戦と試練の連続でした。
Tanaka:私にとって過去最大の挑戦だったのは、2022年に行われた三井住友カードとグループ会社との段階的な合併に伴う、大規模システム対応プロジェクトでした。クレジットに関する割賦販売法や、キャッシングに関する貸金業法など、法令対応に直結するプロジェクトであり、会社合併の期日を延期することは絶対に許されない案件でした。通常であれば1年から1年半は要する規模のシステム対応を、最初のプロジェクトでは着手から本番稼働までわずか「9カ月」という超過密スケジュールで完遂させる必要がありました。
限られた期間と失敗が許されないプレッシャーの中、Tanakaは要件を必要最小限に絞り込み、関係者との徹底的な対話によって難局を突破していきました。
Tanaka:通常であればデータを一つのシステムに移行して統合しますが、9カ月という短期間では間に合いません。そこで、二つのシステムを仮想的に連携させる仕組みを整え、双方のシステムを活用する手法を採りました。成功の鍵となったのは、三井住友カードの役員や担当者の方々が期限遵守を最優先事項として捉え、関係部署との調整を力強く進めてくださったことです。私たちはその方針のもと、「安全性を確保しながら、いかに期日を守り切るか」に徹底してこだわり、必要最小限のシステム構築に絞り込みました。無事にシステム稼働を迎えるまで考え抜き、やり切った経験は、エンジニアとして大きな糧となっています。
Nakamura:私の場合は特定のプロジェクトというよりも、これまでの仕事すべてが「挑戦の連続」だったと感じています。三井住友カードや三井住友ファイナンス&リースでのグランドデザイン策定もそうですが、現在取り組んでいる交通タッチ決済事業も、前例のないテーマへの挑戦です。毎回先が見えない中で将来像を描くのは負荷の大きい作業ですが、だからこそやりがいのある挑戦です。難易度の高い課題に直面したとき、メンバーは技術力が高いため、解決すべきポイントさえ明確になれば自らの力で突破してくれます。だからこそ、問題の本質やボトルネックがどこにあるのかを早期に見極め、メンバーが前に進めるよう示すことを大切にしています。
二人は壁にぶつかった経験を糧とし、自らの行動パターンと意識を前向きに変化させてきました。
Nakamura:約20年前、クレジットカードのパッケージシステムを立ち上げ、3社同時にシステム更改を進めたプロジェクトは苦労の連続でした。プログラム言語を変更し、設計方式も抜本的に変える新アーキテクチャの導入に挑んだのですが、東京と大阪、それぞれの拠点にいるメンバーに思いを伝えても、なかなか意図が伝わらないもどかしさを味わいました。その壁にぶつかって以来、単に手順やガイドラインを示すだけでなく、目的を丁寧に共有する重要性を学びましたね。
Tanaka:約15年前、100億円規模に及ぶ大規模プロジェクトで、長期間にわたるシステムテストの全体リーダーを務めた時のことです。自分自身のキャパシティを超え、余裕を失っていた私は、連日の進捗確認で「なぜこれができていないのか」と追及ばかりをしてしまい、現場に不満や負担を抱えさせてしまいました。
この反省から、「なぜできていないのか」と過去を責めるのではなく、「前に進めるためにどうすればよいか」を現場と一緒に考え、解決策を導き出すことの重要性を学びました。この苦い経験は、周囲と協力しながらプロジェクトを前進させる姿勢を身につける大きな転機となりました。
「目的の言語化」と「誠実さ」が育む、次世代へつなぐ仕事の真価
二人にとって印象深く残る「成功体験」の裏には、経験を通じて磨き上げられた独自の仕事観が息づいていました。
Nakamura:苦労したクレジットカードパッケージシステムのプロジェクトですが、私にとっての成功は携わったメンバーたちの大きな成長でした。苦難のプロジェクトをともに乗り越えたメンバーたちが、その後さまざまなポジションに就き、目覚ましい活躍を見せています。また、そこで試行錯誤しながら築き上げたアーキテクチャの考え方は、その後のグランドデザインにも受け継がれ、時代に合わせて発展していきました。苦労の経験が次の世代や会社の基盤として残っていることこそが、成功体験だと感じています。
Tanaka:超過密スケジュールの合併対応プロジェクトを完遂できた背景には、過去の苦い経験と、かつて自分を導いてくれた上司からの厳しい指導がありました。その上司は案件やお客さまに対して圧倒的な熱量と知識を持ち、自らすべてを理解しようとする情熱的な方でした。私はその上司に報告や説明を行う際、「上司からの指摘をゼロにする」ことを目標に徹底的に準備して向き合っていました。上司の背中を見て学んだ妥協しない姿勢と、積み重ねてきた知見があったからこそ、プロジェクトを成功へ導くことができたと感じています。
数々の経験を経て形成された二人の「仕事観」。それは現在、日々の現場でのコミュニケーションやドキュメント作成に関する指導にも色濃く反映されています。
Nakamura:メンバーに繰り返し伝えているのは、「目的」と「価値」の意識。設計書やドキュメントを作成する際にも、上位の事業目的に対してその設計がどのような価値を提供するのかを、言葉として明確に書き残してもらうようにしています。頭の中で思っているだけでなく、ドキュメントとして言語化することで本質的な理解が深まると考えています。
Tanaka:私が大切にしているのは「誠実さ」です。就職活動の際、自らが手掛けたものに納得し、自信を持ってお客さまに届けられる仕事をしたいと考え、現在の仕事を選びました。だからこそ、自分に嘘をつかず、品質に妥協することなく、自信を持てるものを誠実に提供したい。その想いが、プロジェクトを推進する力やチームづくりの土台につながっています。
「変化を楽しみ、新しい波に挑み続ける」ー次世代へつなぐテックカンパニーの誇り
リーダーとしてお互いの仕事ぶりを見てきた二人。互いの強みや仕事に対する姿勢、客観的な評価を明かします。
Nakamura:Tanakaさんの強みは、大勢の関係者を自然と仲間に引き入れながらプロジェクトを前へ進めていく圧倒的な「推進力」。パワフルにチームを導いていく一方で、仕事ぶりは非常に細やかで丁寧。相手の状況に配慮しながら柔軟かつ誠実に対応してくれるので、一緒に仕事をしていて本当に頼りになる存在ですね。
Tanaka:Nakamuraさんは、アーキテクチャや基盤技術において当社を代表するエキスパートです。豊富な知識と高い技術力を備え、ホスト、オープン、クラウドを問わず、幅広く深い知見を持っています。普段は落ち着いた印象ですが、事業の未来やあるべきシステム像について語り出すと話が止まらないほど熱い想いを秘めています。私が判断に悩んだ時には役割を超えて冷静かつ的確なアドバイスをくれる、心強く頼りがいのある大先輩です。
お互いに認め合ってきた二人は、これからの事業ビジョンとエキスパートとして果たすべき役割を語ります。
Nakamura:当面は、交通タッチ決済事業で策定したグランドデザインを着実に形にし、事業戦略の実現に貢献していくことが目標です。変革のプロセスにはエネルギーが必要ですが、描いた未来像に近づき、システムが実際に社会の中で動き、新しい変化を生み出せた瞬間の達成感は格別です。「巨大な波を乗り越えたら、また次の新しい波に乗る」。そうやって変化を楽しみながら挑戦し続けてきたからこそ、エンジニアとして飽きることがありません。今後は培ってきた変革のマインドを、次世代のメンバーに引き継いでいきたいと考えています。
Tanaka:私のミッションは、時代の変化に合わせた開発プロセスの変革です。AIなどの新技術を積極的に取り入れ、従来のやり方に固執せず、目的を最短で達成するための新しいアプローチを追求していきます。指示されたことをこなすだけの社員ではなく、自分の意見と根拠を持ち、自発的に前に進むことができる人材を一人でも多く育てていきたいですね。
最後に、日本総研に興味を持つ未来の仲間たちに向けて、温かい励ましの言葉を送ります。
Nakamura:日本総研には、銀行、カード、証券といった日本の社会インフラを支える大きなフィールドがあります。新しい技術に向き合う仕事も、長く社会を支えてきたシステムをより良くしていく仕事もあり、自分たちの仕事が事業や社会にどう役立っているのかを実感できる環境です。目の前の設計や実装だけでなく、その先にある目的や価値を大切にしながら、変化を楽しんでほしいですね。社会を支える仕組みの未来を、一緒に描いていける方と出会えることを楽しみにしています。
Tanaka:私たちが担う社会インフラのシステムには、世の中に大きな価値と安心を提供する責任があります。その責任を担うことに、大きな誇りを感じています。当社はSMBCグループを支えるシステム会社として、ナンバーワンの「テックカンパニー」を目指しています。Nakamuraさんのように、キャリアを重ねても最前線で変化を楽しみながら挑戦を続けられる魅力的なキャリア環境がここにはあります。自分自身の軸と「誠実さ」を持ち、主体的に未来を切り拓いていきたい方の挑戦を心からお待ちしています。
※ 記載内容は2026年9月時点のものです
