気心の知れた同期の強みを結集。「JRI書籍バンク」実現をめざす最高のチーム
社員自らが会社や組織を変革するマインドを醸成するため、2020年度から毎年開催されている「イノベーションコンテスト(以下、イノコン)」。2024年度は「社会的価値の創出や、環境・社会課題の解決」をテーマに、数多くのアイデアが寄せられました。
本コンテストで優勝を果たしたのが「JRI書籍バンク」という施策。この実装に挑んだデータ・情報システム本部のAoki、グローバル決済システム本部のAndo、カード業務システム本部(当時)のYamazakiの3名は、三井住友銀行のCRM(顧客関係管理)システム、法人インターネットバンキング、三井住友カードの入会システムのプロジェクトにそれぞれ従事しながら、本業で多忙を極める傍ら本プロジェクトに奔走しました。
Aoki:私たちは新人研修で同じクラスになり、寮も同じだったことから以前より親しい間柄でした。配属先が分かれてからも気軽に連絡を取り合える関係が続いていました。
こうした関係性から2024年の挑戦が始まります。きっかけは、AndoからAokiへの呼びかけでした。
Ando:主業務に加えて、ゼロから企画を立ち上げることにも挑戦したいと考えていました。そんな中でイノコンの募集を知り、主体的に提案できる機会だと感じ、まずAokiさんに声をかけたことから、このプロジェクトが始まりました。
Aoki:1年前からアイデアを温めていたものの、1人では勇気が出ずにいたため願ってもない機会でした。その後、より自社の戦略に沿ったアイデアへブラッシュアップするため、中期経営計画や社会的価値の創出に関する資料を調査しました。
また、当社がめざすB Corp認証(公益性の高い企業に与えられる国際的な認証制度)に関する関連書籍を取り寄せて学習し、そこで得た知見を活かしました。
こうして誕生した「JRI書籍バンク」は、①不要な古本を回収・換金して慈善団体へ贈る「古本寄付」、②社内図書の利用・管理の利便性向上と利用活性化を実現する図書アプリ「JRI BOOK STATION」開発、③既存制度より幅広いジャンルの本を会社負担で購入できる「スキルアップ書籍購入制度」という3本柱から成り立ち、「本の循環」を狙いとして設計されました。
見事優勝を果たしたものの、真の試練はアイデアを制度として定着させる「実装・推進フェーズ」でした。そこで協力を仰いだのが、高い実行力を備えたYamazakiでした。
Yamazaki:最終発表会で同期2人の活躍を見ていたため、推進メンバーとして打診された際は、ぜひ力になりたいと感じて迷わず参加を決めました。
Ando:Aokiさんは発想力と情報収集力でキーパーソンの特定やアイデア創出を担い、Yamazakiさんは圧倒的なスピード感と折衝力で物事を強力に推進。私はアプリ開発の要件定義や仕様整理に加え、アイデアの整理・構造化を担い、企画を具体的なサービスへと落とし込みました。お互いの強みが補完しあう、バランスの良いチームとなりました。
挑戦する若手を全社でバックアップ。チームを鼓舞した同期の絆と伴走体制
アイデアを実現するためには、企画の内容だけでなく、既存の業務フローや社内ルール、関係部署との連携まで含めて考える必要がありました。企画段階では見えにくかったさまざまな業務や手続きのつながりを理解し、必要な関係者と協力しながら実現可能な形へと企画を磨き上げていくことが、3人にとって最初の大きな壁となりました。
Yamazaki:若手ということもあり、会社全体の組織構造や詳細な社内規定を十分に把握できていませんでした。自分たちなりに実現可能と考えた案を作成して担当部署に提案しても、「社内の規定・部署都合により、その手法での実施は難しい」と差し戻しを受けることに。途中でくじけそうになる局面もありましたが、その度に代替案を再構築し、粘り強く交渉を重ねました。
相次ぐ社内折衝は多大な労力を要し、時にはチームのモチベーションが低下しそうになることも。そんな局面でもメンバーを鼓舞し、チームを強力に推進したのがYamazakiでした。
Ando:モチベーションが下がりそうなときでも、Yamazakiさんが先頭に立ち、スケジュール調整や資料作成など次のアクションを素早く整理して前に動かしてくれました。ゴールに向けた道筋を具体的に示してくれたからこそ、くじけずに一歩を踏み出せたと感謝しています。
また、このプロジェクトは若手3人だけの孤軍奮闘ではなく、会社全体の手厚い伴走体制に支えられていました。火曜日の定例報告会には、経営企画部、業務管理部、人事部、さらには過去の優勝者など、毎週15名ほどの大人数が一堂に会し、3人の挑戦を見守っていたのです。
Ando:事務局をはじめとする多くの先輩社員が、私たちのために毎週時間を割いてくれました。本業がどんなに忙しくても「今週は進捗がありません」という報告は絶対に許されないという良い意味でのプレッシャーがあり、毎週月曜日の夕方に必ず3人で集まって進捗を形にするサイクルを自主的に運用していました。
Aoki:本業の繁忙期は3人それぞれ異なっていたため、「今、相手が多忙だから自分がフォローしよう」と互いの状況を察して補完し合えた点も同期ならではの強みでした。そして何より、1,000万円規模の予算を託され、25組のエントリーの中から選出された以上、選ばれなかった他のエントリーのためにも最後まで完遂する責任があるという覚悟が、私たちの推進力となっていました。
社内カルチャーとの親和性が生んだ成果。「知の集結」を加速させる確かな反響
さまざまな課題を一つずつ乗り越え、段階的に全施策のリリースが完了しました。日本総研には、調査部をはじめ、専門的な研究を行う社員や、システムに関連する資格試験に日々励む社員が数多く存在します。そのため、この施策は社内のカルチャーと見事に合致しました。
Ando:1番最初にリリースした古本寄付については、執務室の目の付きやすい場所に古本寄付ポストを置き、手作りポスターを掲示しアピールしました。
結果として、2025年2月の開始から2026年3月末までの約1年間で、集まった古本は502冊、総額4万7,230円の寄付実績を達成。不要になった書籍が社会貢献へとつながるスキームが、しっかりと社内に定着した瞬間でした。
Aoki:2番目にリリースした図書アプリ開発は、古本寄付とはまた違った意義を持ちます。当時、日本総研の社内スローガンとして「知の集結」が掲げられていましたが、それをIoTラボ(社内のバーチャル組織。有志メンバーで様々なアプリ・サービスの開発を推進中)と共同開発した図書アプリに登録・一律管理することで、会社全体の「知の交通整理」に大きく貢献できたと感じています。
Yamazaki:最後にリリースした「スキルアップ書籍購入制度」は、社員からスキルアップにつながる書籍を募集し、会社負担で購入できる制度として立ち上げました。
銀行システムの開発やコンサルティングなど、社会的影響の大きい業務を担う日本総研において、社員一人ひとりの成長は社会への価値提供につながります。そうした考えのもと、社員が主体的に学び、自らのスキルアップに取り組める環境づくりを目指して、本制度を実現しました。
経営企画部長や人事部長、さらには社長への最終報告というプロセスを経て、全施策が全社に公開されたときの達成感はひとしおでした。
しかし、Yamazakiは「リリース直後も、余韻に浸っている余裕はなかった」と振り返ります。
Yamazaki:リリースされた瞬間の嬉しさはありましたが、それ以上に「実際に利用されているか」「古本がどの程度回収されているか」が気になり、すぐに運用の安定化へと意識が切り替わっていました。
その結果自分たちの力で軌道に乗せることができ、事務局の方々からも「自走している姿が素晴らしかった」という評価をいただきました。
この一連のイノコンの挑戦を通じて、3人の心境や普段の業務に対する姿勢にも大きな変化が生まれました。
Ando:応募前は選出されるか分からず、ためらう気持ちもありました。しかし、実際に手を挙げて挑戦し、具現化したことで「行動すれば形になる」という大きな自信を得ました。現在の業務でも、単にお客さまのご要望を受動的に聞くだけでなく、こちらから主体的に提案を行っていこうというマインドに変化しました。
Aoki:私自身、最後までやりきったことで、社会人としてタフな精神力が身についたと感じています。また、自分たちで予算を獲得し、他部署と折衝しながら最終成果物へと落とし込むプロセスを経験したことで、業務全体の段取りや他部署の関心事が深く理解できるようになり、ビジネスパーソンとして大きく視野が広がりました。
「変えたい」と手を挙げる若手を会社が後押し。挑戦を前向きに受け入れる風土とは
プロジェクトを通じて得た多くの学びは、現在3人が取り組んでいる本業のフィールドでも大いに活かされています。
Yamazaki:私は2026年6月からイノベーション共創推進部に異動し、グリーン・マーケティング・ラボにて脱炭素プロジェクトに携わっています。自治体・学校・企業と連携し、教育やイベントを通じて生活者の脱炭素行動変容を創出する仕事です。イベントを一つ動かすだけでも、自治体・企業との調整、広報物の準備やスタッフの調整、契約や社内決裁など、数多くの段取りが欠かせません。
これらはまさに、イノコンの推進フェーズで試行錯誤しながら必死に身につけたスキルそのものとも言えます。当時は本業との両立が大変で苦労も多くありましたが、そのほとんどが現在の業務に直結していると実感しています。プロジェクトが終わったときは「やっと終わった」という達成感とともに、この3人で夢中で走り抜けた時間から離れるのが正直さびしかったですね。大変なこともありましたが、振り返れば本当に楽しい日々でした。
3人が創り上げた「JRI書籍バンク」は、社内における「知の集結」を支え、知識を共有するための貴重なインフラとなりました。
最後に、当社に興味を持っている方々や、社内の若手社員に向けてメッセージを送ります。
Yamazaki:日本総研には若手が自発的に提案した内容であっても、会社がめざす方向性に合っており、十分な説得力を備えていれば、しっかりと受け止められ、必要な予算を得て形にできる環境があります。会社がこれからどうありたいのかを主体的に捉え、「こう変えていきたい」と声を上げられる方に、ぜひ仲間になっていただきたいですね。
Aoki:金融系のシステムを多く扱っているため、外部からは保守的な会社に映るかもしれません。しかし、イノコンをはじめ、現状を変革していこうとする「攻め」の姿勢にも注力しています。攻めと守りのバランスが取れた会社であり、何より親身な人が多く、挑戦に対する心理的安全性が確保された環境が整っています。
Ando:固い印象を持たれることが多いですが、実は社員の働きやすさを向上させるために、現場の声を取り入れながら毎年自社をアップデートし続けている誠実な会社です。イノコンの取り組みを通じて、上層部の方々も私たちの意見に本気で耳を傾けてくれましたし、挑戦と失敗を前向きに受け入れてくれる風土があると実感しています。
苦楽をともにした同期3人の絆と、諦めずにやり抜いた経験は、確かな自信となりました。周囲と連携しながら自ら未来を切り拓くその姿勢は、日本総研の新しい風となっています。
※ 記載内容は2026年7月時点のものです
