風速計を必要とする多種多様な分野のお客様のもとへ。正しい測定値を提供
計量計測センター 計量計測部 光・放射計測課に所属する小野。現在は風速計の校正業務を担っています。
「風速計の校正業務に携わるメンバーは、私を含めて3名。私は主査として、これまでに計測実績がない新規の風速計や特殊な風速計の校正を行うほか、進捗確認やスケジュール管理なども担当しています。
校正とは、使用している機器で正しい値が測定できているかを確認する作業です。国が定めた正確な計測値の基準である『国家標準』や、お客様が使用している業界固有の標準値である『産業標準』を基準に、お客様の風速計の値がどの程度ズレているかを計測し、正しい値をお客様に提供することが私たちのミッションです」
風速計とはその名前通り、風の速度を測ることができる装置のこと。現代社会ではさまざまな場面で活用されています。
「風速計は、気象状態を知りたい工事現場や自動車のテストコース、空調メーカーが空調の吹き出し口の風速を計測する際にも使用されます。また、工場のクリーンルームで空気中のホコリをうまく流す際にも風を利用するため、風速が測定されます。化学分野では、ドラフトチャンバーと呼ばれる排気装置の風速仕様を設定する際に役立つなど、JQAに風速計の校正を依頼するお客様の業界や業種は多岐にわたります」
風速計は、熱線式、ベーン(風車)式、超音波式、差圧ピトー管式の4種類に大別されます。JQAでは、いずれの風速計の校正にも対応してきました。
中でも1日に担当する校正は平均3~4件。顧客から送られてきた風速計は、風洞と呼ばれる風を制御する設備の中で値が計測されます。
「校正作業には決まった流れがありますが、お客様の希望する校正点やアウトプットに応じて内容は異なります。依頼書類の文面から要望を読み取るのが難しいこともあるため、必要に応じて会話を通じて擦り合わせを行い、校正作業に当たっています」
校正は正確性が求められる業務です。ミスやトラブルを防ぐために、小野は常に集中力を高めて業務に取り組んできました。
「ダブルチェックを徹底するのはもちろんのこと、よりミスが起きづらい作業方法や手順に変更するなど、さまざまな工夫を行っています。また、2台の校正設備を同時に使うことで校正作業のスピードアップを図り、より多くのお客様の要望に対応できるよう努めています」
高い信頼と社会貢献度に惹かれ、JQAへ。充実した教育プログラムで磨かれた技術
「高校生のころ、家族が体調を崩したことを機に病院へ足を運ぶ機会が増え、医療に関心を持つようになりました。高齢化社会が進む中、医療への需要がさらに高まるとの考えから、大学では生命工学を、大学院では基礎医学を学びました」
卒業後、小野は医療機器の製造受託などを手がける企業へ。製造部門の製品技術者として眼底カメラやレントゲンカメラの新製品の立ち上げなどに携わりました。
「電気や機械関係の知識はありませんでしたが、コツコツと仕事に取り組んだ結果、最終的には信頼されるエンジニアへと成長できたと思っています。当時の経験は、私の社会人人生にとって貴重な土台となりました」
約9年のキャリアを経て、小野は転職を決意。高い信頼性があり、社会に広く貢献できると思えたことが、JQAを選んだ決め手でした。
「前職時代、JQAに校正を依頼した放射線測定器を利用していたことから、JQAが担う仕事の重要性をよく理解していました。校正はものづくりにとって欠かせないこと。日本の産業を支えるような役割が果たせると感じ、JQAへの入構を決めました」
入構後、放射線や風速の計測機器校正に従事してきた小野。ある程度の知識はあったものの、実際に校正業務に携わるのは初めて。不安を抱えながらも、着実に経験とスキルを磨き上げてきました。
「中途採用としての即戦力が期待されるかと思ったのですが、確実にステップを踏んで校正業務を覚えられるような教育プログラムが提供されました。長期的な目線で育成する環境で、コツコツ一歩ずつを意識しながらノウハウを身につけてきました。
校正は正確性が求められるため、厳しく無口な方が多い職場を想像していたのですが、実際には親切で丁寧に教えてくれる方ばかり。とても助けられています」
校正と聞くと、黙々と1人で業務に向き合うイメージがありますが、実際には周囲との連携が重要です。小野もまた、チームワークを意識しながら仕事に取り組んできました。
「別の課のメンバーが、機器の受け入れや送り出し、見積りの提出などを担当しています。彼らとうまく連携できれば作業が効率化できますし、お客様の手間の軽減も可能です。
周囲と協力しながら仕事を進めること、まわりが円滑に仕事を進められるよう先回りすることを常に心がけてきました。自分と似た名前の著名なサッカー選手のような、受け手にとってプレーしやすい『エンジェルパス』を繰り出せたらと思っています」
前例のないことへの挑戦の先に見つけるやりがい
前例のない、特殊な風速計の校正業務を担当する機会も多いと言う小野。困難に直面しながらも、好奇心が仕事への意欲を掻き立ててきました。
「たとえば、風洞設備への取り付けが難しい風速計の場合、固定方法を含む計測方法から考えなくてはなりません。そんなケースでは、アイデアを提案した上で、技術管理者を担う先輩社員の確認を得てから作業を進めるようにしています。
新しいことは困難が伴いますが、もともと私は好奇心が強いため、それを糧に仕事に取り組んできました。試行錯誤の上、風洞設備にうまく取り付けられたり、新しい風速計の校正に成功したりしたときは大きなやりがいを感じます」
計測器校正の専門集団の一員としての自覚も、モチベーションになっていると言います。
「通常、風速計を取り扱うメーカーは自社製品のみの校正を行いますが、JQAでは多種多様なメーカーの風速計の校正に対応できます。この柔軟性や長年の実績が評価され、近年はJQAへの校正依頼が増えてきました。
新しい技術を身につけることで、それだけお客様のニーズに応えられる幅も広がります。より多くのお客様の依頼にスピーディーに応えようと、日々改善や挑戦を続けています」
一方、主業務と並行して、新卒採用に向けたインターンシップでの業務説明や実習も担当する小野。その丁寧な説明や指導ぶりが、参加する学生から高い評価を受けてきました。
「中学と高校の理科の教員免許を取得していたので、その過程で学んだことを活かすことができているのかもしれません。理解が早い人もいればそうでない人もいて、作業を進めるペースは人それぞれ。一人ひとりに合わせたアドバイスや教え方をするようにしています」
校正を通してものづくりを支え、社会に貢献できる存在に
JQAでの経験を通じて校正の奥深さを知った小野。校正を一から学ぶ最適な環境がJQAにはあると言います。
「校正業務は、責任感を持って細かい作業をコツコツと進めていくことが得意な方にとって相性が良い仕事だと思います。詳細な手順書や充実した教育体制が整うJQAには、経験のない方でも自分のペースで学んでいくことができる理想的な環境がありますね」
また入構後に結婚し、新たな家族を迎えるという大きなライフスタイルの変化を経験しながらも、小野は自分らしく働き続けてきました。
「仕事も家族と過ごす時間も、どちらも充実しています。中学から大学まで陸上競技に取り組んでいたので、ときどき長距離を走ってリフレッシュすることも。趣味でもコツコツと積み上げることを楽しんでいます」
一方、入構時から「日本の産業に貢献したい」という想いを大切にしてきた小野ですが、6年目を迎えたいま、校正の仕事こそがそれをかなえる近道だと確信しています。
「メーカーが製造する製品や部品は、すべて計測が実施された上で製造されており、正確な値を示す『校正された機器』が不可欠です。自分が校正した値が、さまざまな製品や装置を動かす一助となっていることを実感し、大きなやりがいを感じています。
風速計の校正業務を始めて以来、街やテレビで風速計を見かけるたび、『JQAで校正した機器が役立っているのでは』と考えるようになりました。社会との関わりや社会貢献を実感できる仕事だと思います」
さらに顧客に寄り添ったより良い校正を提供するために。コツコツと真剣に、小野は日本のものづくりを支え続けます。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです
