担当部門がない仕事を拾う。全体最適を追求する、バランス感覚に優れたチームの力
JA三井リース全体の舵取りを担う総合企画室。2024年4月から、この室長を務めているのが杉田 剛です。
「総合企画室はひと言で言えば、『会社のコントロールタワー』。会社の方向性や経営計画を策定し、その達成に向けて各部門の目標設定や進捗状況を確認・管理しながら施策の実行を支えています。さらに、要員計画の策定や社内規程の管理なども、私たちの重要な業務です。
当社グループの持続的な成長を支えるため、部門横断的な連携と調整を日々行っているのが、私たち総合企画室です」
多岐にわたる業務範囲の中でも、とくに重要なのが「担当部署がない仕事を拾う」役割です。
「たとえば、全社的な『ペーパーレス化の推進』といったテーマが出てきたとき。書類の廃棄は人事総務部、電子契約の導入は業務企画部、お客さまへの案内は営業戦略部、というように各担当部署が存在します。
もちろん、各部署がそれぞれの持ち場で最適をめざすことは重要ですが、会社全体で見たときに、本来の目的からずれてしまったり、部門間の連携がうまくできないような場面も出てきます。そうしたときに私たち総合企画室が間に入って、各部署を横断的につなぎながら、全体最適の視点でプロジェクトを推進しています」
自部署だけでは完結しない業務が多い総合企画部では、他部署との密な連携が不可欠です。そこが、この仕事の難しい要素の1つだと語ります。
「部門間の連携で大事にしているのは、一方的にこちらの要望を押しつけないこと。まずは背景を丁寧に説明して理解してもらい、同時に相手の状況もしっかりと聞きます。その上でお互いの立場を踏まえた合意点を見つけて、前向きな合意形成につなげていくことを常に心がけています」
利害調整をしながらも、時には会社全体のために厳しい決断を下すこともあると言います。社内の中でも難しい役割を担うからこそ、総合企画室には、30〜50代の多様な現場経験を持つメンバーが集結しています。
「営業部門を長く経験してきたメンバーもいれば、システムや人事など専門性の高い分野を経験してきたメンバーもいます。それぞれが現場の役割や大変さを理解しているからこそ、社内のハブ役として、円滑なコミュニケーションが取れるのだと思います。総じてバランス感覚に優れたメンバーが多いですね」
営業、新規事業、専門分野を経て──総合企画室の室長へ
2000年に入社後、杉田はキャリアの最初の約6年間を営業の最前線で過ごしました。京都支店では約300社の顧客を担当し、新規開拓に奔走する日々を送ります。
「当時は、いわゆるエリア営業で、かなり泥臭いこともやってきましたね。その後、社内制度を活用して専門職大学院のMBAコースへ進み、復帰後はマーケティング部で新規事業開発を担当しました。
商業施設や自動販売機ロケーションのサブリース、井戸水のPay Per Use、オイルろ過器のレンタルなど、次世代のビジネスを形にしようと模索しました。失敗も多かったですが、この時期に本当にいろんな経験をさせてもらったと感じています」
キャリアの大きな転機となったのが、2010年から約10年間在籍した環境エネルギー部門です。ここで杉田は、社内で初となる再生可能エネルギー分野のプロジェクトファイナンスを手掛けるなど、専門性を高めていきました。
そして、2020年からはモビリティ関連の分野を管掌する部の部長を務め、2024年4月、総合企画室の室長に着任しました。会社全体を俯瞰する総合企画室への異動は、自身にとってもう1つの転機だったと言います。
「これまでのキャリアでは、純粋な機能部門の経験がありませんでした。環境エネルギー分野でキャリアを積む道もあったかもしれませんが、自分の視野を広げることが更なる成長につながると考えていたので、会社の経営に近い部門を経験することは、キャリアにとって非常に有意義だと前向きに捉えました。
実際にこの部署に来て、会社の方向性を左右するような大きな責任を日々感じています。そのプレッシャーはありますが、同時にこれまでにない大きなやりがいがありますね」
全社員の「自分ごと」になるように。新中期経営計画、策定の裏側
2025年度からスタートした新中期経営計画「Sustainable Evolution 2028」。その策定は、杉田が総合企画室に着任してからの最重要ミッションでした。計画の根幹に据えたのは、「持続性」というキーワードです。
「前中計の期間で当社は営業資産も利益も倍増するなど、非常に速いスピードで成長を遂げましたが、その急成長に会社の体制が追いついていない部分もありました。今後さらに高くジャンプするためには、一度しゃがんで力を溜めるような、足元を固める期間が必要です。今回の計画は、持続的な成長を実現するための基礎固めです。その点はメンバー間でも強く意識を共有し、ぶれることなく進めていきました。
そして、持続的な成長の核となるのが『人的資本』です。今回の中計では『人的資本経営の実現』を大きな柱の一つとして掲げ、社員一人ひとりの成長を力強く後押しするメッセージを打ち出しました」
また、計画で掲げた成長領域は、特定の部門だけでなく、支店を含む全部門が一体となって対応していくテーマとして位置付けました。
「たとえば『エネルギー・トランジション』の分野は、これまで大型設備への取り組みが主で、専門部署が主体となって推進してきました。しかし、今後はお客さまの工場の屋根や遊休地に太陽光パネルを設置するような、より地域に根差したビジネスが増えていくはずです。
そうなると、お客さまとの最前線にいる営業部門が情報をキャッチし、専門部署と連携して提案していく体制が不可欠です。専門部署がやっていることを『他人事』ではなく『自分ごと』として捉え、全社員で関わっていくことが持続的な成長には欠かせません」
こうした全社一丸の体制を築くために、今回の計画策定において杉田たちが最もこだわったのが、計画を全社員の「自分ごと」にしてもらうことでした。
「今回は、役員や部門長だけでなく、中堅・若手社員を対象としたワークショップも開催し、全役職・年代から幅広く意見を収集する方法を取りました。自分たちの声が経営に届き、計画に反映されたと感じることで、計画に対する想いは大きく変わってくるはずです。
もちろん、さまざまな立場から多様な意見が集まる中で、方針を決めることは簡単ではありませんでした。すべての意見を採用することは難しい中でも、できる限り誰もが納得できるよう、資料の表現一つひとつにも気を配り、全社員が共通の言葉で語れるような計画をめざしました」
計画発表後は、社員の理解をさらに深めるための施策も展開しています。その一つが、経営層と社員が直接対話する「タウンホールミーティング」です。選抜されたグループ社員約300名が参加するこの場では、役員が自らの言葉で中期経営計画の背景や意図について丁寧に説明します。
「当初は『自分の業務が計画のどこにつながるのか見えづらい』という声もありました。しかし、このミーティングを通じて、『より深く理解できた』『自分ごととして捉えられるようになった』という意見を多くもらっています」
一方的な伝達で終わらせず、双方向のコミュニケーションを重ねることで、計画を全社員にとって血の通ったものにしていくための地道な努力は、今も続けられています。
成長の追い風をつかむ。リース業界の枠を超え、社会に貢献する企業へ
杉田が入社した2000年頃、リース業界は「衰退産業」と言われることもありました。しかし、時代は変わり、今や成長産業の1つと注目されています。
「業界のイメージも変わり、前中計期間での大きな成功によって、社員に『やればできる』という確かな自信が生まれていると感じています。会社のステージは確実に変わりました。私たちは今、社会に対してより大きな価値を提供できる企業グループへと進化するステージに立っています。そのためには、私たち自身の意識も変えていかなければなりません。
この中期経営計画を達成し、その先にある『社会課題を顧客やパートナーと共に解決し、社員の成長を通じ持続可能な社会に貢献する企業グループ』という長期ビジョンの実現に向け、会社をより良い方向へ導いていく必要があります」
その実現のために、総合企画室が果たすべき役割は大きいと杉田は考えています。
「経営陣の想いや方針を現場に伝えると同時に、現場の意見を吸い上げ経営陣に届ける。私たち総合企画室が、経営と現場をつなぐハブ役として機能し、双方向の対話を促進することで、組織全体に好循環を生み出すことが使命です。
今回実施したタウンホールミーティングのような場はもちろん、日々のコミュニケーションからも現場の声を丁寧に拾い上げ、経営に届けていきたいと考えています」
こうした未来を見据える杉田が、26年という長きにわたりJA三井リースで働き続ける中で感じてきた魅力は「挑戦を後押しする文化」です。
「社内公募の新規事業創出プログラムなど、現場からのボトムアップで『やりたいこと』を後押しする環境と精神が社内に根付いていると感じます。
私自身、環境エネルギー部門に在籍していた頃、社内で前例のなかった太陽光発電のプロジェクトファイナンスを手掛けた経験は、今でも強く印象に残っています。当時はまだ事業性が不透明と見られていて、最初は反対もされましたが、事業の蓋然性をロジカルに組み立て、経営陣への説明を粘り強く繰り返しました。
最終的に経営陣は私たちの挑戦を認めてくれて、新しい領域に一歩を踏み出せたのです。あの経験こそ、当社の『挑戦を後押しする文化』を象徴する出来事だったと感じています」
最後に、会社の未来を担う若手・中堅社員へメッセージを送ります。
「私の経験からも言えることですが、若いうちにこそ、さまざまな経験を積んでもらいたいと思います。一つの専門性を深めることはもちろん重要ですが、それだけではなく、広い視野を持つことが将来必ず役に立ちます。ぜひいろんなことに積極的に挑戦し、自分たちの手で会社の未来をつくっていってください」
会社の未来に確かな手応えを感じている杉田。その視線は、JA三井リースのさらなる進化を、力強く見据えています。
※ 記載内容は2025年10月時点のものです
