地方創生への想いと、一人一人の存在を大切にする企業との出会い
北海道の寮のある学校に中高時代通っていた私は、長期休暇のたびに、両親が住む東京に飛行機で帰省していました。その時に利用していたのが日本航空でした。客室乗務員やグランドスタッフの方たちがお客さま一人一人に寄り添った、杓子定規ではないサービスを提供する姿を見てきました。2010年の経営破綻から再生し、あらためて選ばれる企業となるために何をすべきかを真摯に考えている姿勢が当時学生だった私にもしっかりと伝わり、この経験が日本航空という会社に対して興味を持つ最初のきっかけになりました。
大学時代は法学部法律学科に在籍し、法律の基礎を学ぶと同時に、地方行政学や地域創生、政治分野の学びに力を入れていました。長い間地方に住んでいた経験から、東京一極集中ではなく、地方や地域に寄り添い貢献することの重要性を強く感じていたからです。
その経験もあり、就職活動では、「地方創生や東京以外の地域にどれだけ仕事を通じて貢献できるか」という観点を軸にしました。
その中で航空会社を就職先に選んだのは、この業界が単にインバウンドで海外のお客さまを地方に送っていくだけでなく、地方から都会へ、地方から海外へという人の動きを作ることができると感じたからです。航空機という大きなアセットを活用して、日本全体、そして世界を舞台に仕事ができる可能性に魅力を感じました。また就職活動や選考のプロセスを通じて感じたのは、一人一人を大切にする企業文化や社員一人一人が会社に誇りを持ち、同じ方向を向いて働いているということでした。この会社で自分のやりたいことが実現できる、そう確信して入社を決断しました。
現場の経験を糧に、世界へ広がり続ける航空貨物のキャリア
2018年に日本航空に入社した私は、まずグループ全体での新入社員教育を受け、その後、貨物部門へ配属されたメンバーと一緒に初期教育を受けました。最初の配属先は、成田空港で航空貨物のハンドリング(積み付け計画や管理、書類の処理など)を行うグループ会社、株式会社JALカーゴサービスでした。
ここでは、貨物とは何か、国際貨物と国内貨物の輸送の仕組み、危険物の取り扱いといった基礎知識から、日々のハンドリング業務におけるOJTまで、非常に丁寧な研修で学ぶことができました。実際の現場では、JAL便の成田出発便を担当し、特に北米向けの貨物におけるフライトコントロール業務や、貨物の搭載計画を担当しました。本社で調整された予約データをもとに、実際に到着する貨物の梱包状況を確認しながら、日本発貨物と海外からの3国間輸送を行う貨物の組み合わせを考え、最適な搭載プランを作成する。そして、フォークリフトで実際にハンドリングを行うグループ会社の方へ、積み付けの指示を出す──そのような業務を1年半ほど経験しました。
その後、オペレーション本部に異動し、出発する飛行機の重心や搭載する燃料を計算するロードコントロールという業務を担当しました。
約1年運航管理という航空会社の心臓部といっても過言ではない部門で経験を積んだのち、再び貨物の世界に戻り、まずは羽田貨物支店にて国内と国際の両部門の総務や委託先管理、旅客部門との連携など支店の担当として幅広い業務を担当しました。
そして2022年、現在所属している国際路線収入グループ、いわゆる国際貨物におけるレベニューマネジメント(需要を予測してサービス価格を変動させ、収益を最大化するための戦略策定・管理)のグループに異動した、というのが私のキャリアの歩みです。
現部署では、最初はフライトコントロール業務を担当しました。これは、日本発や海外から日本を経由して運ぶ貨物を、最も収入が高くなるような形でベストミックスし、空港に搭載計画をリリースする仕事です。また成田と中部、成田と関西といった区間でのトラック輸送の計画や台数調整も行いました。
半年後、アジア・オセアニアの路線担当となり、10カ国15空港と日本を結ぶ1日約30便の旅客便に加えて貨物専用便のレベニューマネジメントや市場における需給分析、路線計画、中長期の収入計画、機材調整などの担当となりました。2024年2月には、ボーイング767フレイター(ボーイング767型旅客機を改修した貨物専用機)が13年ぶりに就航再開し、アジアにも路線を張ることとなったため、収入計画や収入・販売戦略の策定も担当しています。
さらに2025年4月からは、企画部の中にあるアジア・オセアニア室の業務を兼務するようになりました。これは、貨物郵便本部の地区本社機能として、本社の戦略を各地域の特性に合わせて落とし込み、拠点展開していく役割です。地区内各拠点のニーズを吸い上げ、日々の運営をサポートしたり、文化や商習慣、経済発展の状況も異なる国々の状況に合わせた営業活動や戦略策定を行ったりします。各拠点の代理店訪問のサポートや、未就航拠点や地域の貨物開拓の調査などで現地に直接足を運ぶ仕事も行っています。月に2回程度出張を行い、現地の声を聴くとともに自分の目と足で文化を理解するようにもしています。
今業務を改めて振り返ってみると入社前は、こんなに海外とやり取りをするような業務に従事するとは、全く想像していませんでした。今では業務の3~4割が海外の方とのコミュニケーションですし、担当する10カ国の皆さんとは、毎日メールや電話など密接に連携しながら仕事ができています。入社時に掲げていた地方創生という軸とは直接的にはつながっていないかもしれませんが、地方からの貨物を世界に運ぶことや、日本の地域の魅力を海外に示していくサポート役にはなれていると感じています。地域のおいしい食料品や伝統的な工芸品を海外に輸出するサポート──これも地方創生の一つの形なのかもしれません。30歳に差し掛かった年次でこれだけ多くの国と関わりながら働けている状況は、私にとって嬉しいギャップであり、大きな財産だと思っています。
収入最大化への挑戦と、成長を支えた俯瞰的視点
これまでの仕事の中で特に印象に残っているのは、コロナ禍明けのアジア・オセアニア路線での取り組みです。地区としてもともと収入額があまり大きくない地域ではありましたが、コロナ禍が明けた後航空貨物需要が大きく伸び、この需要を取り込むことで地区を成長させるべく、旅客便を使った貨物事業の制約の中ではありますが各拠点とさまざまな工夫を行うことで収入額を向上させています。スペースコントロールを担当するスタッフとの連携を深め、毎日の貨物予約状況を把握し、スペース調整やレートのモニタリングを日々行ったこともあります。需給バランスの変化や予約状況を見て柔軟にレート対応やスペース分配を行い、海外地区スタッフとの連携を強化しました。マーケット状況はすぐに変わりますが、変えすぎると営業スタッフにとって混乱となるため、営業スタッフの声にも耳を傾けながら、収入拡大という共通の方向性を理解してもらうことが効果的でした。
担当になったからには地区を成長させていくんだという意気込みを強く持ち、地区の旗振りを行っています。
例えば、運航開始当初は臨時での運航だったバンコク線の767貨物便を定期運航へと成長させることができた点です。バンコク発の貨物の特性上、搭載制限や運航規定などを満たしつつも最大積載を目指し、収入を高めていくことはとても困難でした。初便では、実際に私自身も現地に出向き、出発ギリギリまで東京本社と電話でやり取りしながら調整も行いました。どのスペースにどれくらいの重量を積載すれば問題ないのか、どのような貨物の組み合わせをすることで便として成立するのか、実例を見せながら示すことで、毎便毎便運航の経験を重ねレビューを適宜行うことで少しずつ収入を上げていき、安定した収入を稼ぐことができ、実際に仲間とともに考えた計画や企画が実行に移り、目に見える数字として現れた時は、非常に大きなやりがいを感じました。
一方で苦労したのは、各国・地域でのマーケット状況や貨物の需給バランスが異なる中で収入を上げていくことでした。アジア地域から特に北米向けには大きな貨物需要がありますが、日本からアメリカへのJAL便の供給は限られています。需要があっても貨物が取れないという状況の中、各拠点スタッフのモチベーションが下がらないようにすることは大きな課題でした。課題を乗り越えるべく、密なコミュニケーションをとることで関係性を深め、乗り越えようと努力しました。日々コミュニケーションを取る中で、前向きでかつやる気を後押しするような声をかけたり、提案したり、さまざまな側面からサポートすることを心がけました。
こうした経験を通して、物事を俯瞰的に見る力が身につきました。特に貨物事業に携わっているとマーケットの動きを一歩先に知ることができ、社会人として世の中を見るときの視野が大きく広がりました。自分の仕事の前後には多くの人々が関わっていて、私が策定した収入計画によっては現場スタッフの負荷が増大することもあります。一方的な見方ではなく、現場の状況を理解しつつ収入の最大化を図る上では、俯瞰的な目線が生かされていると思います。また、収入の最大化を一地域だけでなく地球全体で見て、貨物流動のネットワークを日本中心ではなく全体を意識して見るように心がけています。
文化も違えば、報告の手順や仕事のやり方、契約の仕方や慣習も本当に国によって異なります。留学経験がなく日本にずっと住んできた私にとって、常識だと思っていたことが一歩外に出るとすべて非常識になることもあると目の当たりにしました。国が違えば考え方や流儀はすべて違うということを理解できたことも、大きな成長の機会となりました。
貨物事業を会社の柱へ、そして次世代へつなぐ挑戦
今後の目標は、まずアジア・オセアニア地域を海外4地区(アメリカ・ヨーロッパ・中国・アジア/オセアニア)の中で最も収入額の高い地域に成長させることです。貨物専用機や旅客便の供給環境を簡単に拡大することは難しいですが、スペースの効率的な使い方や営業戦略、各国の状況に合わせた柔軟なアプローチによって成長させるとともに、貨物収入なくしてこの路線は成り立たないと言われるほどの路線を育て上げていきたいです。
また、社内における貨物事業のプレゼンス向上にも取り組んでいきたいと考えています。コロナ禍では貨物収入が注目を浴びる時期もありましたが、旅客事業が回復した今、再び貨物部門の存在は薄くなっていると感じています。社内でも貨物郵便本部が何をしているのか、航空機では何を運んでいるのか、など航空貨物を十分に理解されていないのが現状です。自分たちが毎日口にする食品や、生活に欠かせない物資が、実は自分の足元に運ばれているという事実を、もっとアピールしていきたいです。航空貨物がインフラとしてはたしている大きな役割を社内で認識してもらうことが、社外へ影響力を発揮する第一歩だと考えています。
中長期的には、貨物収入全体を発展させるリーダーとしてのポジションに就き、貨物郵便事業全体をより主体的に引っ張っていきたいと思っています。現在、貨物専用機は3機保有していますが、保有機数を増やして供給力を上げるだけでなく、航空貨物事業自体を会社の事業の柱として育てていきたいです。貨物事業としても貨物独自の供給を張ることで旅客便では届かないところとの物流の繋がりを構築していくことにも携わりたいです。
日本発着だけでなく、日本を経由地点にして貨物を運ぶビジネスモデルをさらに深化させるべく他社提携もよりいっそう取り組みを深めて成長させたいです。地球全体がマーケットとなることで収益を上げ、「JALって貨物やってたんだ」という現状から、「JAL CARGO」という名前がすぐに日本中の方の頭に浮かぶ状態に成長させていきたいと思っています。日用品輸送など日々の生活へのかかわりをもっと訴求し、マーケットプレゼンスも高めるとともに航空輸送の特性を活かしたサービス開発も加速させ、地方創生・活性化によりいっそうコミットすることで、貨物・物流の両面から日本の底力と魅力を発信する役割を担いたいと考えています。
最後に、採用候補者の皆さんに伝えたいのは、JALの最大の魅力は「人」の良さだということです。社員一人一人が高いマインドを持って成長しようとしながらも、全員が同じ方向を向いて仕事に取り組んでいます。貨物郵便本部では業務の幅が非常に広く、自分が発信したことがすぐに数字として結果に表れるのも大きな魅力です。また社内では、挑戦を後押しする文化もあり、若い世代の意見も積極的に取り入れられ、上司は「失敗しても挑戦しよう」と常に仲間に声掛けをしてくださっています。
最後に、私は、「仕事とは感謝を表現すること」だと考えています。日々の生活は多くの人と関わることで成り立ちますし、JALでは全員の力を一つにすることで事業が成り立っています。だからこそ、周囲に感謝できる人、目の前の一つ一つの仕事に常に一生懸命前向きに取り組める人と一緒に働きたいと思っています。皆さんと一緒に、JALの貨物事業を次のステージへと引き上げていきたいです。
