カラメル色素とデザートソース、2つの分野が部署統合。相乗効果で図る技術向上
上﨑が所属している第一開発室は、カラメル色素とデザートソースを扱う部署です。メンバーは35名ほど。上﨑は現在、マネージャーとして9名の部下を率いています。
「カラメル色素は食品添加物で、デザートソースは食品にあたります。使う技術は似ているものの、両者の使用される場面は大きく異なります。そのため、この2つはかつては別の部署で開発していたのですが、2年ほど前に編成が変わり統合しました」
食品添加物の場合、池田糖化からお客様に積極的に売り込むことはありません。カラメル色素は、あくまで「着色したい」というオーダーがあってからサンプルを用意するものになります。一方、食品の場合は「こういった味のものがほしい」などの細かい要望をヒアリングして作っていく「依頼開発」を行うケースがしばしば。お客様に対する働きかけが、まったく異なるのです。
「両者は、開発のスタイルも大きく違います。カラメル色素は素材開発にあたるので、研究データを蓄積しながら作っていきます。新製品がひとつ出るのに、2〜3年はかかるイメージです。しかも、商品を出したあとの市場への浸透速度もゆっくり。市場で必要とされ花開くまでがとても長いです。
反対に食品は、依頼開発が多いこともあり、短期間で開発します。すぐに結果が出るのがいいところですが、流行り廃りのある世界でもあるので、ブームが去るとまったく売れなくなることもある。一長一短で、どちらもおもしろいし、それぞれに難しさもあるわけです」
2つの部署が融合した背景には、カラメル色素とデザートソース、それぞれの知識を掛け合わせてより良い商品を作ろうという狙いがあります。
「新たな付加価値をもったカラメル色素を食品のように可能ならば短いスパンで世に出せるようにしていきたい。逆にデザートソースの分野で、カラメル色素のように、品質の根拠を示せるようなデータを逆に取っていきたい。両者のいいところを持ち寄って、総合的にマネジメントできたらなと思っています。
実際、すでに技術面での成果が出始めています。デザートソースにカラメル色素のやり方を入れてみたり、その逆にトライしたり。工場スケールでテストに取り組み、開発された商品もあります」
14年にわたりカラメル色素の開発に注力。成果が出ず、もどかしい時期も
大学時代はバイオテクノロジーの分野を学んでいた上﨑。就職活動では食品業界に興味を持ち、いくつかの企業を受けました。
「最終的に池田糖化を選んだのは、中間原料のメーカーで、甘いものからしょっぱいものまで幅広いジャンルの開発に取り組めそうと思ったから。広島県福山の出身で、もともと池田糖化を知っていたということも背中を押してくれました」
1年目からカラメル色素の開発に携わり、14年もの間、研究開発を続けてきました。その地道ともいえる作業に気持ちが詰まる瞬間もあったと打ち明けます。
「入社1年目は、開発の基礎を学ぼうということで既存製品の改良などから始めました。そこからカラメル色素の開発に着手したわけですが、私が手掛けた商品が初めて採用になるまでには、3〜4年かかりました。
研究にはやりがいを感じていましたし、苦ではなかったのですが、当時は正直モチベーションの維持に悩むこともありました。また、商品化されたはいいものの、なかなか売れず、工場で作るロットには乗らないほどしか注文が集まらない時期もありました」
そもそもカラメル色素の開発は競合参入が少ない分野で、外部には情報がほとんど出ていません。貴重な技術を扱うからこそ、当時は少数精鋭のクローズドな部隊で開発を進めていました。
「とにかく自分たちの手で研究データを積み上げていかなくてはなりません。けれども先輩社員とは歳が離れていたこともあって、まだ若かった私は、ちょっとした質問があってもなかなか声をかけられず、内心ではしんどさを感じることもありました」
モヤモヤした気持ちを持ちながらも懸命に続けていたところ、転機が訪れました。
「10年目のタイミングでようやく、私の手掛けた商品に大型の受注が入るようになったんです。受注量というよりも、自分の作ったものがいいものとして他の人に評価され、役に立っていることがうれしかったです。努力が報われる想いがしました」
すべての経験が糧に。思い悩んだ時期を経たからこそ見える、開発のやりがい
つらい時期を超えたからこそ、得たものが数多くあります。
「当時は、誰に指示をされたわけでなくとも、自分で気になったことを実験したり、試作したりして、自分の手でデータを積み上げてきました。それが新しい製品へのヒントになり、結果として品質のいい製品を開発することができました。大変でしたが、とにかく行動し結果を待つという、私の仕事のスタンスが確立された時期でしたね。
また、豊富な経験ができました。 カラメル色素は食品添加物の着色料なので、色付けの目的でどんなジャンルの食品にも入ります。それゆえに、多くのメーカー様とやり取りを経験し、たくさんの接点を持つことができたんです。さまざまな食品関連企業と関わりを持てたのは、かなり貴重な経験でした」
今ではベテランにあたる上﨑。振り返って思う、池田糖化の良さとは?
「環境面ですね。たとえばデータを取るという作業は売上には直接つながらないので、企業によっては避けたがるものだと思うんです。けれども当社は、とことん突き詰めさせてくれる。基礎研究を重要視していることは、池田糖化の大きな強みだと思います。
また、いろいろな部署があって、開発スタッフだけでも総勢200名ほどいるのも大きなメリットです。何かわからないことがあった時でも他部署を探せば、どこかに詳しい人がいて相談に乗ってくれる。最近では部署ごとの連携が盛んなので、コミュニケーションを通して次の開発の種が見つかることも多々ありますよ。アイデアを自分で考えておいて周囲にシェアすることで、相乗効果で新しい可能性を生み出していけるんです」
今後も、培ってきたカラメル色素の知見を活かして、ビジネスの拡大を狙います。
「食品添加物なので、使用に際しては国が定めた法律によるところが大きく、開発には一定の限界があります。でも、まだまだ出せる色にはバリエーションがあると感じていますし、品質にも工夫・改善の余地があると感じます。今後は海外市場にも視野を広げつつ、さらなる研究開発を続けようと思います」
マネージャーとして意識しているのは、メンバーに成功体験を得てもらうこと
これからも部下を鼓舞しながら、新しい可能性に手を伸ばします。
「現在の部下は、入社して5年目くらいまでのメンバーが多いです。自分の経験から、何かしらの成功体験を実感していくことが、楽しく働く上で大事かなと実感しているので、部下のモチベーション維持から頑張っていこうと思います。
とくにカラメル色素の担当者の場合は、自分のように成果が出るまでの長い研究に心が折れそうになったり、もどかしく思ったりする経験もあるかもしれません。だからこそ私から『今やっている仕事はこういう意味があって、こういうふうに今後役立っていくから』と声かけをすることで、時間がかかる中でも成功体験を積めるよう指導しています。
また、食品分野の担当者には、実際にお客様の前に立って、商品について説明してもらっています。それで採用されたら、成功体験になると思うので。小さくても、やりがいを日々感じられるようにマネジメントを工夫したいです」
最後に、就職活動に取り組む学生の皆さんにメッセージがあります。
「当社は、いろいろなジャンルの食品に携わることのできる会社です。最近は部署同士の連携や異動が盛んになっていて、最初に配属された部署を2〜3年で離れ、新しいことに挑戦できるケースも増えています。可能性が無限大にある環境なので、やりたいことを絞りたくないという方、いろいろな挑戦をしたいという方は、当社を選ぶといいと思います。また、まだ食品にはそこまで興味がないという方でも、入ったら必ずおもしろく感じられるとも思いますよ」
上﨑自身、カラメル色素の分野は専門家レベルですが、デザートソースにおいては、まだまだ勉強中の身。それでも「新しいことをするのは楽しいし、学び続けないと衰退してしまう」と話します。くすぶる日々を乗り越えてきたからこその強い足取りで、今後も部下たちのキャリアを頼もしく導いていきます。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです
