研究開発のスピードを上げるために。業務の進め方を工夫し効率化を追求
池田糖化グループにおいて、独自性の高い素材や技術の開発をミッションとする食品基盤技術研究室。そこで佐野は主任として研究に取り組んでいます。
「食品基盤技術研究室では、発酵や乳化、粉末化といったコア技術を活かし、素材の開発を行っています。池田糖化が開発をめざす素材のアイデアを、製品として形にすることが私たちの役目です。そのため最終的には工場で量産できるよう、テーブルスケールから検討を開始し、生産スケールに応用できるまで繰り返し実験を行います」
実験の要所では上長に報告を行いながら、基本は佐野が一人で作業工程や進捗の管理を務めています。
「研究開発から製品化までの全工程を主任として責任を持って管理しています。一日のスケジュールは、どの工程に携わっているかによってさまざまですが、基本的には出社してすぐ実験の準備に取りかかり、実験を行いながら合間を縫ってデスクワークを実施。
そして退社前には今後の研究準備を行うなど、自分で立てた計画に沿って研究開発に取り組むことが主な流れとなります。開発期間は製品によって異なり、すでに確立されている技術を使用する場合は半年程度、一から技術を開発する場合だと長いもので3年ほどかかることもあります」
製品化に向けて日々研究開発に取り組んでいる佐野。仕事をする上でいつも心がけていることがあります。
「研究開発は、製品として実用化されるまでは利益に直接貢献することが難しい仕事です。そのため、実用化にかかる期間を可能な限り短くできるよう、業務の効率化を常に意識しています。
具体的に取り組んでいるのは、一人でできることは限られているので、自分が抱えているさまざまな仕事をまず仕分けすること。自分にしかできないことと、アウトソースできることを見極め、依頼が必要な業務は自分でボールを止めず優先的に進める。そうして複数の作業を同時進行することで、研究開発のスピードをアップできるように努めています」
学生時代から接点のあった池田糖化グループ。幅広い製品に魅力を感じて入社
大学時代は農学部で学んだ佐野。学生時代から池田糖化工業株式会社(以下、池田糖化)のことは知っていたと話します。
「池田糖化の社員の方が大学の研究室へ見学に来られたことがあったんです。もともと祖父や祖母から池田糖化は良い会社だという話を聞いていたこともあり、それを機に池田糖化に対する親近感がいっそう湧きました」
就職活動を行う中で、佐野が最終的に池田糖化グループへ入社を決めた理由。それはライフプランと、やりたい仕事の両方が実現できると考えたからでした。
「私は家の事情で将来的に地元の福山市に戻る必要があるため、就職は地元の企業を志望していたんです。また、農学部で学んだ知識を活かせるよう、食品メーカーか化学メーカーで働きたいと考えていました。
その中でも池田糖化グループを選んだのは、学生時代に池田糖化と接点があったため入社後のイメージが湧き、取り扱っている製品の幅広さに惹かれたからです。ここなら自分の好奇心を満たす仕事に出会えそうだと感じました」
そして2017年、佐野は池田糖化グループに入社。入社後に半年間受けた研修を通じて、佐野は製品だけでなく製造設備や研究方針にも改めて魅力を感じたと話します。
「研修では国内だけでなく海外の工場も見学させてもらい、製造現場について学びました。初めて見る機械や設備は想像以上の大きさで圧倒されました。そして当初から配属を希望していた研究室の研修では、エビデンスに基づいて製品や技術を開発する姿勢に触れ、あらためて自分のやりたい研究ができる環境だと実感。
研修を経て研究室へ配属されてからは、先輩の指導のもと実験に取り組み、少しずつ一人で対応できる範囲を広げていきました」
そして研究開発の経験を着実に積みながら、業務の効率化に努めた佐野。入社から4年目にして、主任に昇進します。
「入社前から、せっかく働くなら上をめざしたいという想いがありました。主任になっても仕事内容自体は大きく変わっていませんが、裁量が広がり責任の範囲も増えました。食品基盤技術研究室では私が一番若手になるので、今後は後進が新たに増えたときのために、マネジメントもできるようになりたいと考えています」
理論だけで研究開発は成功しない。経験から学んだ、運を信じて挑戦する姿勢
佐野は池田糖化グループに入社して以来、さまざまな独自素材の研究開発に取り組んできました。その中でも大きな成長につながったのが、最初に取り組んだ菌体の製品開発です。
「発酵技術を使った菌体製品を開発したときのこと。会社で菌体製品を開発するのが初めてだったため、食品工場で菌を扱えるようにするための手続きや準備などから始める必要がありました。前例がないため思うようにいかないことも多く、中でも苦労したのがスケールアップの工程です。菌の培養をテーブルスケールから始めて、生産スケールで実現できるまで何度も実験を重ねました。
培養では何十時間と菌を増やし続ける必要があるため、研究室に泊まり込んで一時間おきに観察していたこともあります。それでも仕事がしんどいとか逃げ出したいと思ったことは一度もありません。実験に失敗しても、それはうまくいかない方法を新たに見つけ出したということになります。次はこうすれば成功するのではないかと、文献を読むなどしてまた別の可能性を探ることにいつもワクワクします」
そうして佐野は粘り強く研究を継続。3年の歳月を経て、思わぬ方法でついに実用化を果たします。
「その日はたまたま、培地に使う原料が不足していたんです。そこでふと、いつも培地で菌が増えたあとに原料が余っていたことを思い出しました。それなら通常より原料が少なくても菌は増えるはずだと考えて、試しに培地に使う原料を減らしてみることにしました。
そしたらそれが功を奏して、ついに実験が成功したんです。あとからデータを調べて成功した理由が解明できたのですが、理詰めで考えても思いつかなかった方法でうまくいったのは意外でした」
偶然の条件を活かしたことで導き出された成功。この経験から、佐野は研究を行う上で運も大切だと考えるようになります。
「徹底的に理論立てて考えれば、実験がすべてうまくいくというものではありません。考えられるすべての方法を試してうまくいかないときに、たとえ根拠がないとしても、やってみないとわからないからとにかく試してみる。そうやってあきらめずにトライしたときに、運良くうまくいくことがある。だからこそ運を信じて、可能性を探り続けることが大切だと思っています」
研究のたびに新しい発見に出会える楽しさ。製品として形になる喜びをこれからも
自分で立てた計画に沿って進められる今の研究環境に満足していると話す佐野。その中で感じる仕事のやりがいを次のように語ります。
「私の仕事はゼロからものをつくることがほとんどです。そのため試行錯誤を重ねてようやく製品として形になったとき、研究開発職としてのやりがいを感じます。
膨大な資料を読み解きながら、この方法で試してみればうまくいくのではないかと考え、狙いどおりに実験がうまくいく。そうしてまだ世の中にない素材の開発に貢献できることは、何よりの喜びです。検討を重ねれば重ねるほど新しい発見や知見が増えていくので、仕事への興味は尽きることがありません」
研究開発の楽しさは、池田糖化グループという環境だからこそ得られる部分も大きいと佐野は話します。
「池田糖化グループが手がける素材は店頭で目にするような調味料や甘味料はもちろん、私が携わっている発酵製品や菌体製品の開発まで、本当に多種多様です。その中から自分の興味に合う素材に出会える可能性は大きく、研究者としての探求心を発揮するのに理想の環境だと思っています。私自身、今の研究室に配属されるまで菌体についての知識はあまりありませんでした。
でも研究に取り組むうちにどんどん興味が湧き、菌体のおもしろさにのめりこんでいきました。これからも自ら研究の楽しさを見つけ、新しい素材や技術の開発を通じて会社の発展に貢献していきたいです」
そんな佐野が今後取り組みたいことの一つとして挙げるのが、後進の育成です。一緒に池田糖化グループの未来をリードしてくれる新しい仲間に期待を込めます。
「研究開発職に求められるのは、物事を論理的に把握し、多角的な視点で捉える力、そして何より重要なのが挑戦し続ける粘り強さです。研究が最初からうまくいくことはありません。失敗してもそれを一つの成果だと前向きに考えて、今度は別の角度からアプローチしてみる。そうやって成功するまで何度もトライし続けられる姿勢があれば、池田糖化グループで成長できると思います。
池田糖化グループでは近年若手の採用も増えてきており、私が入社してすぐ菌体製品の開発に携わったように、社歴に関係なく活躍のチャンスを与えてもらえます。幅広い製品を開発する池田糖化グループで、探求心を刺激する仕事に挑戦してください」
※ 記載内容は2023年8月時点のものです
