課題を引き出し、顧客を成功へと導く。選ばれ続けるプリセールスの哲学
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No. 2 世界中どこでも通用できる人になりたい──自分の軸をぶらさず、つかんだ海外勤務
ネットワーク部門のプリセールスエンジニアとして活躍する小笠原。シドニーのニューサウスウェールズ(以下、NSW)でネットワークソリューションの提案・技術支援を行っています。
「既存・新規を問わず、お客様に常にハッピーでいていただくことが私たちのゴール。そのために、技術的な支援だけでなく、ミーティングを重ねながら課題を引き出し、弊社の製品でどのようなソリューションを提供できるかを日々模索しています。
チームには約10名のプリセールスエンジニアが在籍し、各メンバーが営業担当とペアを組んで活動しています。取り扱う製品は多く、新製品やそれぞれの製品のソフトウェアアップグレードなどによる新機能へのキャッチアップが欠かせません。同僚たちと情報を交換しながら、案件の対応事例を共有し、次の成功へとつなげています。
また、私はアジアパシフィック地域のプロダクト開発チームから最新の情報が共有されるミーティングにも参加し、そこで共有された最新情報やロードマップ、新製品の開発計画などをチーム内に展開する役割も担っています」
現在、小笠原がとくに力を入れているのが、私立学校向けのソリューション提供。NSWでは私立学校のおよそ60%に、HPEの製品が採用されています。
「私立学校は、ITインフラへの投資に非常に積極的です。生徒が使用する端末やIoTセンサーなど、すべてがインターネットに接続されており、安定したネットワークの構築が最優先に考えられています。
たとえば、最新のWi-Fi 7対応機器の導入が決定されると、次期の予算で全生徒のデバイスもWi-Fi 7対応に更新するなど、新しい技術を積極的に取り入れる姿勢が特徴的です」
入社以来、プリセールスエンジニアとして活躍してきた小笠原。これまで一貫して、顧客との継続的な関係構築を大切にしてきました。
「本来、販売後のケアはポストセールスの役割ですが、継続的にサービスを利用していただくためにも、お客様に常に満足していただくことを意識してきました。
次回の契約更新時に当社を選んでいただくためには、ポジティブな意見、ネガティブな意見を含むすべての声を丁寧に拾い上げることが大事です。たとえば、最近やり取りが減ったお客様には積極的に連絡を取って状況を確認するようにしたり、直接お客様と会ってお話しするようにしています」
スピード、適応力、自信。異文化のビジネス環境で大きく成長したスキル
2023年からシドニーを拠点に活動する小笠原。日本とは異なる仕事の進め方や商習慣に順応しながら、プリセールスエンジニアとして成長してきました。
「日本では長期的な視点で準備を進め、最初にスケジュールやプロジェクトマネジメントをしっかり組み立てますが、シドニーでは『1カ月後にスイッチがほしい』と言われたら、すぐに動き出すのが当たり前。圧倒的なスピードの違いを実感しました。
また、新しい技術導入のハードルが低いことも驚きましたね。日本ではトラブルの可能性を含めた説明やそれに対する準備が求められますが、ここではメリットを説明するだけで導入が決まるケースも。トラブルは起こってから対処したり、走り出しながら考える点が日本とは違うところだと感じています。
さらに、日本ではパートナー企業が中心となってプロジェクトを進めることもありますが、ここでは私たちとエンドユーザーとの距離が近く、プロジェクト終了後も直接やり取りする機会が少なくありません。
そのため、お客様の生の声をダイレクトに聞き、具体的な問題点を開発チームやプロダクトラインマネージャーに直接届けることができます。より深い課題理解につながり、最近では新しいソリューションをどのお客様に提案できるか、具体的な企業名がすぐに思い浮かぶようになりした」
2023年にシドニーに赴任した直後は、言語の壁に直面したと言う小笠原。文化の違いを受け入れ、それに適応することで乗り越えてきました。
「とくに最初の半年間は英語に自信がなくて。ネイティブとのミーティングでは緊張して実力を発揮できませんでした。しかし、シドニーには移民が多く、それぞれ特徴的なアクセントがあります。そんな環境で仕事をする中で、しだいに気後れしなくなり、『内容が伝われば良い』と割り切れるようになっていきました。
そのうち、『困っている人を助けたい』という気持ちが強くなってきたんです。気がつけば、言葉の心配よりも目の前の課題解決を優先するようになっていました」
さらには、初めての海外赴任だからこそのこんな学びも。
「日本では謙虚さが評価されることがありますが、こちらでは謙遜にしすぎると、『この人は本当に理解しているのか?』と疑問を持たれることもあります。わかることは自信を持って示し、わからないことは『わからない』と正直に伝えた上で、必ず後で答えを返す姿勢が大切だと学びました」
寄り添うことで築く信頼。新しいことに挑戦できる環境が成長の原動力に
小笠原がシドニーでとくに印象に残っている出来事のひとつに、ある学校でのシステムトラブル対応があります。長期間アップデートされていなかった認証サーバー「ClearPass 」(※1)の問題に直面したときのことです。
「新しく着任したIT担当者がシステムの状態を確認したところ、何十年も前からアップデートが止まっていることがわかりました。すぐに対応を進めましたが、アップグレードした途端、さまざまな機能が正常に動かなくなってしまったんです。
週明けまでに修復しなければ、休暇から戻った生徒たちが学校のシステムを使えなくなるという緊迫した状況でしたが、一緒に試行錯誤を重ね、最終的にすべてのシステムの復旧に成功しました。
すると、復旧後しばらくしてIT担当者から『本当にありがとう、君に助けられたよ』というメッセージと共に、大きな花束が届いたんです。キャリアの中でも初めての経験で、忘れられない出来事になりました」
また、新校舎建設時のネットワーク構築では、独自のソリューションを提案し、大きな成果を上げました。
「数週間後にはネットワークを供給しなければならないのに、物理的にネットワークの配線を引くことができない状況でした。そこで、無線同士でネットワークのアップリンクを確立するメッシュネットワークのソリューションを提案したところ、すぐにオーダーをいただけることに。最終的に、大きな問題なく無事に解決できました」
一連の経験を通じて、顧客との適切な距離感を保つことの重要性を学んだと話す小笠原。新たなやりがいも生まれています。
「お客様との距離が近いのは良いことですが、だからといってすべてに対応してしまうと、私たちが有償で提供するサービスと矛盾が生じてしまいかねません。適切なバランスを取りながらサポートすることが大切だと考えています。
また、最新技術に関心を持つお客様が多く、一緒に新しいことにチャレンジする機会が多いところに、この仕事のおもしろさを感じています。まだ一般公開されていない機能を特別に試すことができるケースもあり、『こんなことができるようになったんだ』という感動をいち早く味わえるのは、ワクワクします」
※1 ClearPass:ユーザーや端末を識別して、アクセス権・設定・ポリシーを一括管理するセキュリティソリューション
新しい環境で、自分らしく働く。多文化の中で築くキャリアとライフスタイル
念願だった海外勤務を実現した小笠原。新しい挑戦が始まっています。
「長年の夢をかなえましたが、いまは現在の役割をこなすだけで精一杯の状況です。ただ幸いなことに、日本とシドニーの職場の雰囲気は似ていて、マネージャーから『遠い親戚に会えたような感覚だよ』と言われるほど、家族的で温かい環境があります。
共通する価値観があるのを感じているので、どのように余裕を生み出し、次のキャリアステップを考えていくかが今後の課題です」
小笠原が現在暮らしているのは、オフィスのある中心部から少し離れたノースショア地域。多文化が共存するエリアで、充実した日々を過ごしています。
「アジア系のスーパーも近くにあるので、食生活に不自由はありません。マルチカルチャーだからこそフュージョン系の料理があって。たとえば日本料理とペルー料理をかけ合わせた料理など、食べることが大好きなのでいろいろトライしていますね。また、バイクで10分ほどの距離に本当に綺麗な海があって。そこでシュノーケリングを楽しんでいます。
まだオーストラリア国内の旅行ができていないので、パース近郊のロットネスト島を訪れて、クオッカワラビーを見てみたいです」
プリセールスエンジニアとして最前線で活躍してきた小笠原。これからIT業界をめざす女性に向けて、こんなメッセージを送ります。
「IT業界では実力が重視されるため、性別に関係なく活躍できる環境があります。チームワークより個人作業が多いことも、ジェンダーギャップを感じることなく、自分らしく働けている理由のひとつかもしれません。
ただし、技術の領域は広く深いため、常に学び続ける姿勢が必要です。すべてを完璧に理解できないもどかしさと向き合いながら、継続的に学習や自己啓発に取り組める人、そしてその過程を楽しめる人が、この業界には向いていると思います。ぜひ、多くの女性に挑戦してもらいたいですね」
異文化環境で培った経験を糧にさらなる成長を遂げ、新たな可能性を切り拓いてきた小笠原。自分らしい未来を築くために挑戦を続ける彼女のキャリアは、まだ始まったばかりです。
※ 記載内容は2025年3月時点のものです
