できる人ができることをやる。専門外の挑戦をしながらも「ポケモン愛」が生み出した「顔」
【前編】はこちら▶︎
https://global.honda/jp/career/183.html
限られた時間のなかで「Hondaだから作ることができるコライドン」を生み出すためには、それぞれが自発的に考えながら進めなければいけません。遊座は、「想定していた以上に多くのパーツが必要で、専門分野以外にもできる人ができることを進めていく必要があった」と話します。そのため、普段の業務では経験しない領域を担当したメンバーも。
とくに、見た人がホンダコライドンに魅了される大きなポイントとなっている「顔や目の動き」を担当した遊座と紺谷は、初めての挑戦ばかりだったと振り返ります。
遊座:このプロジェクトに参加する時、「顔と目を動かしたい」と思ったんです。はじめは「重たくなりすぎてしまうからダメ」と言われたのですが、子どもたちにとって「ホンダコライドンが自分を見てくれた」という唯一無二の経験になるはずなので、絶対に実現したかった。
だから、普段の業務とは違う挑戦でしたが、全体の設計が始まる前からCADを使ってモデリングしていました。
紺谷:顔をどう動かすかは、何も決まっていなかったんですよね。使うソフトも初めて使用するものだったので、1カ月くらいかけて独学で使い方を学びながら作業していました。その作業は私しか担当していなかったので、「私ができなければホンダコライドンの顔は動かないかもしれない」というプレッシャーとの戦いでもありました。
まるで生きているかのような動きを実現するためには、さまざまなシミュレーションを重ねる必要がありました。
紺谷:いくつものパターンを作った上で、ポケモンに詳しい石川さんをはじめ、いろいろな人に見てもらいました。「ここはもう少し早く動いたほうがいい」「口を開けた後に瞬きをしたほうがいいんじゃない?」といったアドバイスをもらいながら調整していきました。
住岡:微妙なニュアンスで印象が変わる顔の動きは、技術だけではなくセンスが必要なんです。そのセンスは、紺谷さんのポケモンに対する愛からくるものだと思います。そうでなければ、この表情は生まれなかったはずです。
紺谷に負けず「ポケモン愛」 あふれる石川は、普段は電動芝刈機の電装設計をしています。 ホンダコライドンプロジェクトには2次募集で参加したこともあり、皆の手の回っていない部分を見つけて担当していったと話します。
石川:自分はどのポジションに入るべきなのか。それを見つけるために、これまでの開発をキャッチアップすることから始まりました。通常業務との調整に苦戦しながらも、人体や医療機器に悪影響な電波が出ていないか、無線操縦のテストなど、専門領域を活かしながらできることを探していきました。
辻村:人が触ったり乗ったりするので、検証の際などは量産開発の基準でチェックする必要がありました。石川さんのおかげで、いろいろなことが一気に進みましたよね。
子どもから大人まで、ホンダコライドンがきっかけで生まれる笑顔がたまらなくうれしい
一致団結して開発を進め、2025年8月には鈴鹿8耐の会場でホンダコライドンの“走る姿”を披露。10月31日から開催された「Japan Mobility Show 2025」や12月に開催された「Japan Mobility Show Kansai 2025」では、トヨタミライドンと並んで展示されたり、ライド体験が実施されたりと、多くの来場者を楽しませました。
尾辻:Japan Mobility Showでは、私たちもスタッフとして参加しました。子どもたちがブースに集まって、夢中になって見てくれている姿が本当にうれしかったですし、楽しかったですね
石川:ホンダコライドンの顔が動いた時の、子どもたちのびっくりしているけど楽しそうな笑顔がたまらなかったです。泣きそうになってしまいました。
紺谷:そうですね。ホンダコライドンの顔は、規則的ではなく気まぐれに動くんです。だから、動くまでずっと待っている子がいたり、動いた瞬間に歓声が上がったりするのがうれしくて。
遊座:親御さんがホンダコライドンをバックにお子さんの写真を撮ろうとするのですが、顔が動くのを見たくてお子さんがホンダコライドンばかり見てしまうんです。「全然カメラを見てくれない」と嘆いている声を聞きながら、「やっぱり顔を動かすことに決めてよかった」と思いました。
もちろん、ホンダコライドンに魅了されたのは子どもだけではありません。住岡と辻村は、会場で出会った大人たちの反応がうれしかったと笑います。
住岡:ホンダコライドンには、Hondaが培ってきたロボットや二輪の技術が詰め込まれています。「これはHondaじゃなければ作れませんでしたね」という言葉をもらった時はうれしかったですね。
辻村:Japan Mobility Showでは、大人の方にもホンダコライドンに乗ってもらう機会があったのですが、その瞬間にニコッと子どものような笑顔になるんです。年齢を問わず, ホンダコライドンに乗ったら皆が子どもに戻る。その笑顔を見た時に「やってよかった」と感じました。
「いいものを作る」ために突っ走る。プロジェクトを通して実感したHondaらしさ
皆が信頼し合い、自分にできることを探して取り組む。ホンダコライドンプロジェクトを通して、あらためてHondaの魅力、Hondaらしさを感じたと口をそろえます。
住岡:普段の業務でも、裁量をもって自由にできるのがHondaの良さ。「いいものを作る」というゴールに向けて、ボトムアップで突っ走ることができるのがHondaで働く魅力です。
今回は、ホンダコライドンプロジェクトに力を入れ過ぎて「この半年、何をしていたんだ」と叱られたこともありますが、それでも「やるな」とは言われないのがHondaなんです。「やるからには、驚くようなものを作ってほしい」という雰囲気に背中を押されました。
石川:メンバーそれぞれが自発的に考えて実行する。それでプロジェクトが成り立っていることが、ホンダコライドンプロジェクトに感じた清々しさや心地よさです。Hondaには, 挑戦したいことへの想いが強い人が多いんですよね。
遊座:負けず嫌いも多いですよね。プロジェクトの報告の場でも、「やるからには一番をめざせ」と何度も言われました。あとは、安全に関してのこだわりも感じました。顔を動かす際も、指を挟む可能性はないか、万が一挟んだ場合でもケガをしないかなど、安全面の議論が自然と生まれました。
紺谷:安全に加えて、「お客様第一」で考えることにもHondaらしさを感じました。顔に関しても、「この角度だと自分を見てくれていると感じるよね」と、必ずお客様目線でのアドバイスをくれるのです。
また、「やる」と決まったら一致団結してゴールに突き進む推進力もHondaらしさだと続けます。
辻村:モータースポーツで培った部分もあるのかもしれませんが、何かトラブルが起きた時に発動するパワーがすごいですよね。自然と人が集まってきて、気がついたら解決している。皆のベクトルがそろった時のスピード感は、今回のプロジェクトでも何度も感じました。
尾辻:イベントの時にお客様に説明したり、ライド体験の誘導をしたりといったことも、すべてプロジェクトメンバーで行っています。そういった開発以外の仕事にも積極的に参加してくれますし、自分が今どう動けばいいのかを判断して協力し合える。一体感と責任感を持って取り組むHondaの文化があふれているなと実感しました。
あらためて気づいたものづくりの楽しさ。未来のHondaファンが生まれるきっかけに
伝説のポケモンをこの世界にモビリティとして作る──そんな夢に大人たちが本気で取り組んだこのプロジェクトは、次世代のHondaファンの形成やものづくりへの興味関心の醸成につながったことが評価され、2025年度の社長賞を受賞。現在LPLを務める遊座は、その喜びをこう語ります。
遊座:このプロジェクトは、“運がいい”プロジェクトだと思っています。Honda Riding Assistという技術をどのように熟成させていこうかと探っているタイミングにプロジェクトが立ち上がり、研究開発チームに参加してもらえたこと。HondaとしてJapan Mobility Showにとくに力を入れた年に展示できたこと。そこに、私たちの熱意が加わったことが成功につながったのではないかと思います。
利益に直結するわけではありませんが、Hondaに興味を持つきっかけになり、10年、20年先にHondaのファンになってくれる人がいたら、うれしいですね。
そして、このプロジェクトが「何かのきっかけ」となったのは、自分たちも同じだと話します。
遊座:自分がLPLを務めるなんて思っていませんでしたし、正直キャリアをどう描くか悩んでいたんです。でも、ホンダコライドンプロジェクトをきっかけに世界が開けて、「やっぱり好きなことに挑戦するのは楽しいんだな」と思いましたし、熱量のあるチームなら素晴らしいものが作れるのだとあらためて知りました。これからも、夢中になれるものを見つけていきたいと思います。
辻村:私は入社した頃からずっと、未来のモビリティを作りたいと思ってきました。ホンダコライドンプロジェクトに参加して、その想いがより強くなったと感じます。ホンダコライドンのように、多くの人に楽しさを味わっていただけるように技術を昇華させていきたいですね。
住岡:魅力的で解像度の高い目標が示せると、自立分散型のチームができてボトムアップで動くことができ、相乗効果で総和以上の成果が生み出せることを実感しました。それは普段の業務にも活かせることなので、皆の創造力を引き出せるような姿勢を示していきたいと思います。
石川:そうですね。私も、このプロジェクトチームのようにもともと持っている力以上の成果を出せるようなチームづくりに貢献していきたいと思っています。また、現場に出てお客様と顔を合わせる大切さも知りました。そういった機会も作っていきたいですね。
紺谷:私もこれまで、お客様から直接フィードバックをいただく研究テーマに取り組む機会が少なかったのですが、このプロジェクトを通して自分の関わったものを世に出してフィードバックをもらえることのやりがいを知りました。今後も、そういったテーマに挑戦してみたいと思っています。
尾辻:私は、このプロジェクトであらためてHondaの技術力の高さを実感しました。しばらく電装設計の業務から離れていたので、技術の話はまったくついていけなかったのですが、近くでサポートしているうちに、「私もまたものづくりに挑戦したい」という気持ちが芽生えてきて、今は再び電装設計に挑戦しています。
次にホンダコライドンプロジェクトのような企画が立ち上がったら、技術者として手を挙げるのか、若手のメンバーが開発しやすいようにサポートで入るのかはわかりませんが、また挑戦してみたいと思っています。
大人の本気が子どもの夢になる──本気で取り組んだからこそ見えた、ものづくりの楽しさや新たな自分の道。夢を追いかける姿が誰かの夢につながるよう、挑戦を続けます。
※ 記載内容は2025年11月時点のものです
ホンダコライドンプロジェクトについてはこちら▶︎
https://global.honda/jp/hondakoraidon/
関連動画はこちら▶︎
https://global.honda/jp/stories/182-2510-honda-koraidon.html
社長賞について
業務表彰の中でも最も栄誉ある賞が「社長賞」です。高い技術的価値や新価値の提供を行い、Hondaの事業に大きく貢献したテーマに贈られます。
※社長賞受賞テーマには、表彰金300万円が授与されます。
〈業務表彰の目的〉
業務における優れた成果や模範となる取り組みを行った社員を称えるため、社内表彰制度を設けています。この制度は、社員のチャレンジ精神や成長意欲を後押しするとともに、会社全体の活力向上につなげることを目的としています。
