法規遵守の土台づくりと認証業務。社内外に働きかけながらHondaの製品を届ける
Hondaの事業、製品、サービス全体における法規遵守をリードする認証法規部。事業を推進するために必要となる法規情報を調査・収集して全社へ周知するところから、完成品が法規を遵守しているかを確認し、当局から許認可をもらうまでを一気通貫で行う部門です。
そのなかで山口は、法規情報の収集を担うチームに所属しています。
山口:私たちのミッションは、Hondaの事業や製品、サービスに関係する法規情報を漏れなく集めて整理した上で、関連部署に周知すること。もちろん、ただ周知すればいいということではなく、必要に応じて該当部署が法規を遵守できるように法規解釈のサポートをしています。時には部門間の調整役となりながら、法規遵守の土台をつくっています。
法規の専門家として、開発部門をはじめとするさまざまな部門から相談を受けることも。的確に回答したり、他部署に働きかけたりする上では、法規の目的を深く理解していることが大切だと話します。
山口:法規を読み込むことはもちろん、「この法規が何を目的としていて、何を実現したいのか」を知ることが重要です。その目的を踏まえて条文を理解することで、他部門へ共有する際の伝え方も変わってきます。
また、しっかりと理解することと同時に、スピード感も必要です。段取りや手順は押さえながらも、「まずは始めてみる」という精神も大切にしています。
一方、石井が所属するのは、二輪の認証業務を行うチームです。
石井:私たちは、Hondaのバイクを販売するための許認可(保安基準に適合しているかを審査する制度)を取得するための業務を行っています。ブレーキや騒音、車体サイズなどさまざまな項目があるなかで、私の専門はエンジンやモーター出力、排ガス性能。実際に試験をしながら基準に沿っているかどうかを確かめています。
また、最近では業務標準化のためにチーム全体で業務プロセス改善やDXに取り組んでいます。
認証業務においてもっとも大切なことは、法規というルールに従う「遵法マインド」だと石井は言います。その上で、現物と照らし合わせて乖離があった時に、どのように橋渡しをするか。それが自分たちの重要な役割だと続けます。
石井:たとえば、試験結果が想定と異なったら、その差を丁寧に分析して開発部門や製造部門と連携しながら、「この製品をどのように、適切かつ法規適合状態に導いていくか」をリードしていきます。
とくに新技術や新機能の場合は、現行の法規では想定していないことも起こります。その場合は、法規の目的を踏まえた上で、業界団体などと共に当局に働きかけることもあります。
日本の技術と世界をつなげる架け橋になりたい──Hondaらしいビジョンに惹かれて入社
山口は新卒で商用車メーカーに入社。市場から上がってきた不具合を解析してリコールが必要かどうかの判断をしたり、その対応を行ったりといった業務を担当していました。
Hondaにキャリア入社したのは2024年。自分のこれからのキャリアプランを考えていくなかでの決断だったと振り返ります。
山口:もともと新しい技術に興味があり、最先端の領域に関わる仕事がしたいという想いがありました。前職の仕事に不満があったわけではありませんが、転職することに抵抗がなかったこともあり、選択肢を狭めずに「自分は、どこでどのような経験を積んでいきたいのか」を考えてみたんです。そこで生まれた選択肢が、Hondaの今の仕事でした。
Hondaには「個性的な人が多い」という印象を持っていたと笑う山口。選考過程では、年齢や立場にとらわれずに意見が言い合える文化に惹かれたと話します。
山口:前職では市場製品の品質課題に携わっていたこともあり、緊張感を持って慎重な発言を求められる環境でした。しかし、Hondaにはワイガヤという文化もありますし、実際に言いたいことを言える空気があると感じます。もちろん、意見を言えばいいというわけではなく、その先を考えて主張することが大切ですが、私はこの文化が好きですね。
一方の石井は、新卒で樹脂成形メーカーに入社し、車載部品の開発・設計に携わっていました。ヨーロッパでの駐在も経験し、テクニカルサポートや技術営業としてお客様と向き合う仕事もしていたと言います。
石井:私の根底にずっとあるのは、「日本の技術と世界をつなげる架け橋になりたい」という想いです。前職の仕事を通じて、日本で生まれた技術が世界の市場や法規のなかでどのように評価されて、社会に実装されるのか──そのプロセスに当事者として関わりたい、日本の技術を世界に広げることに貢献したいという想いがさらに増していきました。
認証を行う部門は、製品の情報が集約される場所。特定の機種や国に限定されることなく、さまざまな法規と国内外で設計・製造された製品を扱います。さまざまな製品の現物を「見て・触れて・確かめる」ことができる点に魅力を感じました。
次のステージにHondaを選んだのは、「自由な移動の喜び」を提供するというビジョンに惹かれたからでした。
石井:運転する楽しさやクルマ・バイクを所有する喜び、安全や環境に配慮することも意識しながら、「移動を自由にしよう」という発想がHondaらしいな、と感じたんです。
また、Hondaの二輪販売台数は世界トップ。いろいろな地域の生活に根差した製品を届けています。実際、私自身の愛車も90年代前半に販売されたHondaのバイク。メンテナンスしながら長年乗り続けています。バイク特有のワクワク感を知っているからこそ、その楽しさをどこよりも届けられるHondaを選びました。
守りだけではなく、事業や製品の自由度を高めるために。俯瞰の目線で最適解を考える
入社を決めた理由のひとつとして山口が挙げた、年齢や立場にとらわれずに意見が言い合えるHondaの文化。石井も、この文化が浸透していることがHondaらしさだと、日々の業務を通じて実感していると話します。
石井:Hondaでは、現状に満足せず常に改善しようとする文化があります。そのなかで大切にしていることが、「ありたき姿」という考え方です。めざすべき理想像を共有しながら、職責に関係なく意見を交わすことで、組織として同じ方向を向いて進むことができるのだと思います。
私は現在、海外拠点を含めたグローバルガバナンスを強化する部内プロジェクトにも参加しているのですが、この活動は海外を含むAll Hondaの認定品質の向上に取り組むもの。既存の仕組みや手法論にとらわれるのではなく、立場の異なる海外部門が同じ理想像を共有し、全体最適の「ありたき姿」から議論を始める。皆で理想の将来像を共有することで、組織の枠を超えたボトムアップの変化を生み出す原動力が生まれることにHondaらしさを感じています。
もちろん、時には厳しい議論になることもありますが、お互いに素直に意見をぶつけ合えることも、Hondaの社員一人ひとりに根づいている考えがあるからだと言います。
石井:Hondaには「人間尊重」という基本理念があり、個人の違いを認め合い、尊重することを大切にしています。難しい判断に迷う時に原点に立ち返る考え方があることと、互いを尊重する姿勢があることで、皆の違いを活かしながら理想像に向かっていくことができるのです。
山口は入社後、ヨーロッパで策定されたバッテリーに関する法規対応のためのワーキングに参加。新しい法規に対して、どのような解釈をすべきかを議論するなかで、自身の視野の広がりを実感していると話します。
山口:販売、購買、開発、工場など、さまざまな立場の人と議論を重ねるうち、認証法規部がどのような期待を寄せられているのかを肌で感じることができています。
私たちは「法規の遵守」を絶対の使命としていますが、それは単に守りに入ることを意味しません。法規には満たすべき要件が記されていますが、その適合性をどう証明するかはメーカーの裁量に委ねられている部分もあります。
「遵法マインド」を大前提としながら、Hondaとしての適合証明のアプローチを論理的に構築する。その解釈の妥当性が認められれば、製品や事業の自由度は飛躍的に高まります。決められたルールを守るだけでなく、ルールの目的を深く理解し、技術の可能性を最大化するための視点が求められているのだと気づきました。
入社当初から「俯瞰して見ることを大切にしなさい」と言われてきましたが、自部門だけに最適かどうかの視点ではなく、複数の法規との関係性や他国の状況など、さまざまな視点から広く考えることの重要性を感じています。
製品を届けることに貢献できるやりがいを胸に、困りごとを解決できる存在をめざして
今、大きな変革期にあるモビリティ業界。新しい技術や法規が生まれるなかで、認証法規部はHondaの製品を世界中のお客様に届けるための重要な役割を担っています。そのやりがいを、ふたりはこう語ります。
石井:多くの関係部門と協力し、当局とも交渉を繰り返して許認可を得られた製品が、法規にのっとった形でお客様の元に届き、街中で走っている姿を見ることができる。やはり、それが一番のやりがいです。
私たちの仕事は、外から見た時に決して目立つものではありません。けれど、認可が取得できなければ製品を届けることはできません。Hondaが大切にしている「自由な移動の喜び」を、法規という観点から支えられる役割だと思っています。
山口:明確な答えがない課題に対して各部門のさまざまな意見を調整し、ロジックを積み立てていく過程は大変ですが、それが形になり、最後にHondaとして法規遵守を達成できた時は、何より嬉しいです。
また、いろいろな技術に触れられる点も魅力です。開発部門に限らず、技術を形に残すことに貢献できる仕事があると知ってもらいたいですね。
そして、今後はさらに視野を広げながら、「自由な移動の喜び」を届けていきたいと意気込みます。
石井:現在はエンジンや環境性能を専門にしていますが、将来的には完成車全体を俯瞰して、製品と法規、市場をつなげて判断できる認証のエンジニアとして貢献したいと思っています。
「日本の技術と世界をつなげる架け橋になりたい」という想いをさらにかなえるためにも、いずれは海外駐在も含めて、現地に入り込みながら日本と世界をつなぐ認証業務にも携わりたいと考えています。
山口:私は、まずは現在の仕事をさらに深く理解した上で、石井さんのような認証業務にも挑戦してみたいと思っています。というのも、今はあまりモノに触る機会がないのですが、実際のモノや現場を知ることで、さらに見えてくることがあると思うのです。
将来的には、法規渉外や解釈サポートなどより幅広い視点からさまざまな部門の困りごとを解決していくコンサルタントのような仕事ができたらおもしろいですね。
技術の進化とともに変わり続ける法規の世界。その変化のなかで社内外の架け橋となり、「自由な移動の喜び」を世界中に届けていきます。
※ 記載内容は2026年3月時点のものです
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