移動をもっと楽しく。生活を彩る体験を提供するためのサービスを創りだす
カーボンニュートラルの実現に向けてモビリティ業界が大きな変革期にあるなか、Hondaは組織体制を変化させながら新たな価値創造に向けて進んでいます。
その中心にいるのが、電動事業開発本部。荒井と野口が所属するコネクテッド事業開発課は、新規事業を含むサービスの戦略立案から開発、運用まで一連の流れを担う部署です。荒井は新規事業の立ち上げに関わる事業開発、野口は戦略策定と立ち上がった事業を発展させるための事業企画に携わっています。
電動事業開発本部のパーパス/ミッションは、「ライトモビリティとコネクティビティで、笑顔あふれる毎日を創りだす」。この言葉の意図を、ふたりはこう説明します。
荒井:これまでは、移動のために必要なハードウェアとして新たなバイクを提供すること、つまり「車両販売とアフターセールス」が事業の中心でした。しかしこれからは、その周辺のサービス、移動の喜びを提供するためのソフトウェアを中心とした事業を展開しようとしています。
野口:過去はバイクやクルマを所有して移動することに価値を見出していましたが、今、モノを所有することではなく、体験に価値をおくサービスが求められています。お客様の価値観が変化するなかで、Hondaとして何ができるのかを軸に事業を生み出すのが私たちの役割。
車両管理システムや保険といった車両ありきのサービスを拡充していくことはもちろん、最終的には「車両はお客様がHondaに触れるサービスの一つでしかない」という形にしたいのです。極端な話、車両がなくても周辺のサービスだけでお客様に喜んでいただける事業を作りたいと考えています。
荒井:今、複数のサービスアイデアが進んでいますが、アイデアを推進するメンバーは「既存事業の機種開発では通常到達できないお客様の潜在ニーズに応えることができ、それに必要なハードを要求できる可能性があること」「モノづくりが得意な会社のなかで、どのような顧客体験を提供すべきか洞察・提案し、具現化できること」がHondaで新しいサービスアイデアを推進する醍醐味だと話しています。
新たなアイデアを生み出すカギとなるのが、部署名でもある「コネクテッド」。二輪のトップメーカーだからこそ、膨大にあるお客様との接点を通して必要とされるサービスを作り出していきたいと話します。
荒井:サービスを出すことで得られたデータを元に、お客様の潜在的なニーズに応えるサービスを生み出す。この循環を、Hondaとお客様、さらにはサードパーティーを含む多くのステークホルダーと共に作っていくことをめざしています。
Hondaに合った形を模索しながら新たな事業開発の仕組みを作るのは大変ですが、この1年、課のメンバーたちと一緒にもがきながらやってきました。自分自身の幅も広げられたと実感しています。
野口:少し前までは、二輪事業でコネクテッドに大きく舵を切るという方針はありませんでしたが、私は絶対に必要だと考えて提案し続けてきました。今こうして、一つの部署としてHondaの新しい価値を作れていることにやりがいを感じます。
Hondaのスローガンである「The Power of Dreams」を象徴する体験ができているのではないかと思います。
エンジニア、テストライダー、事業企画。自分にしかない視点と強みを活かして
現在、事業開発と事業企画というゼロから1を生み、発展させていく仕事をしているふたりですが、これまでのキャリアはまったく異なる歩み。新卒でHondaに入社した野口は、二輪の電装系テストエンジニア兼テストライダーからキャリアをスタートしました。
野口:学生時代に電子機器の組み立てや設計をしていて、全国大会では評価項目別でいくつか1位になったこともあります。バイクやレースが好きだったこともあり、世界一のバイクメーカーであるHondaに入社しました。
入社後は、電装品のテストエンジニアとテストライダーを兼任し、開発中の部品が性能要件を満たしているかをテストし、設計担当者へフィードバックしていました。
2年ほど経ち、自分のキャリアを長い視野で考えてみた結果、専任で電装系の設計エンジニアをすることに。
野口:設計とテストの両方に関わっていたからこそ、「技術が進歩して設計の精度が上がったら、テストエンジニアの出番は減っていくかもしれない」と感じたんです。これから数十年と仕事をしていく上で、もっと自分の中に蓄積していけるものがほしいと考えました。
その後、設計エンジニアとしてキャリアを積む傍ら、二度の大きな転機を迎えます。まずは、レースエンジニアへの挑戦。きっかけは2012年、Hondaが23年ぶりにダカールラリーの二輪部門への参戦を表明したことでした。
野口:どうしても関わりたかったので、「絶対にやらせてほしい」と直訴して挑戦させてもらいました。
実は当時、ほとんど英語を話せなかったのですが、必死で勉強してコミュニケーションをとりました。英語が理解できるようになるにつれ、ライダーやメカニックと深く意思疎通ができ、インタラクティブな開発ができるようになったことが大きな成果です。
次の転機は2020年。研究開発から事業企画へと異動したこと。技術を磨き上げる部門から、エンジニアの目線を持ってビジネスを生み出す部門へ移ったことで、苦労はありつつも自分にしかない経験ができたと話します。
野口:関わる人たちも必要な知識もガラリと変わりましたから、最初の1年は人生で最も勉強した期間でした。けれど、ピンチはチャンス。今振り返ってみれば、その経験があるからこそ、研究開発から事業・営業まで理解した上で新規サービスの構築に取り組むことができる。それは私だけの強みであり、自信につながりました。
生活に根差したモビリティサービスを作りたい──駐在経験が挑戦への転機に
一方の荒井はキャリア入社。Honda入社前は外資系メーカーで、予算管理や間接材購買を担当していました。幅広い知識を必要とする購買業務に魅力を感じていた荒井が転職を考えたのは、より主体的に挑戦できる環境を求めてのことでした。
荒井:外資系企業だったので、日本法人側で決められる範囲は限定的でした。もっと自分の手でコントロールしながら仕事を進めてみたい、いずれ海外駐在なども経験してみたいという想いから、グローバルに展開しているメーカーで自分のキャリアを広げてみようとHondaへ入社しました。
2007年に入社後は、長らく四輪のバンパーやドア周りの内装など、樹脂・艤装(ぎそう)部品の購買を担当。グローバルの調達戦略立案も経験した後、2015年には念願かなってインドネシアへの駐在が決まります。この駐在経験が、今につながる転機でした。
荒井:それまでは、あくまで部品を調達するという範囲で仕事をしていました。でも、駐在先では営業や開発、生産の担当者たちと密に連携しながら、収益に貢献するために自分は何ができるのかを考える必要があったのです。
調達という機能のみならず、事業として収益性を担保しながら良いサービスを提供すること、さらに踏み込んで地域に根差したモビリティサービスとは何かを考えるようになりました。
帰国後は、会社全体で事業性をどう管理・評価しているのかを深く理解したいと、四輪の調達事業を管理する部署へ異動。さまざまな外的要因がコストを圧迫する事態に直面し、既存事業だけでなく新規事業の予算管理・収益評価の必要性を痛感したことをきっかけに、社内公募制度を活用して現在の部署に移ります。
購買から事業開発へ、そして四輪から二輪へと、扱う領域は大きく変化していますが、そこにも荒井ならではのストーリーがあります。
荒井:学生時代にバックパッカーをしていた時のことです。途上国を訪れた際、移動手段がないために仕事が限られている状況を見て、移動することは人びとの経済活動を動かすことなのだと実感しました。
駐在していたインドネシアでも、二輪は生活に欠かせない移動手段。世界中のお客様の手助けをすることができると感じました。
四輪での購買業務もやりがいはありましたが、より生活に根ざした二輪で新たなサービスを生み出すことが自分のやりたいことに近いのではないか。そう考えて、社内公募に挑戦しました。
それぞれの知見と経験を活かした価値創出の輪を世界へと広げたい
荒井と野口以外にも、営業経験者、データサイエンティストなど、部署にはさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが所属。だからこそ、新たなサービスを生み出すための掛け算ができると語ります。
荒井:何もないところからサービスを作っていくので、それぞれが前向きな意見を出しながら自由闊達に議論が行われています。いろいろな視点から議論が繰り広げられるので、視野が広がっていくのが実感できておもしろいですね。
積極的に新たな環境に飛び込み、自分の可能性を広げてきたふたりの挑戦は、まだまだ始まったばかりです。
野口:今取り組んでいる仕事は、10年20年先のHondaを作っていくと信じています。まずは事業を軌道に乗せ、さらに新しい知識や専門性を磨き、また新たなチャレンジをしたい。それは、今と同じように新規事業かもしれないし、組織を変えるような挑戦かもしれません。
何が待っているかはわかりませんが、何でも吸収して、次のステージで発揮していくことを楽しみたいですね。
荒井:私たちはまだ、スタートラインに立ったところ。私自身、事業開発の経験はまだまだ足りません。自分に力をつけて、この取り組みを国内だけではなく、海外にも広げていきたいと考えています。
世界に視野を広げてHondaを見たら、ゼロから事業を立ち上げてみたいと考えている人はきっとたくさんいると思うんです。その人たちと手を取り合って、新たな価値を創出するという輪を拡大させていきたいですね。
野口:そうですね。モノを作ること、お客様との接点の多さ、向かうべきゴールが決まった時に発揮する従業員のパワーというHondaの強さを活かして、世界のお客様に届けていきたいです。
The Power of Dreams──周囲の人たちと力を合わせ、さらに大きな夢へと向かいます。
※ 記載内容は2024年4月時点のものです
